ラベンダーと「ふらのワイン」の故郷で、知的好奇心と食欲を満たす!

2016.07.22 更新

富良野土産の一つとして有名な「ふらのワイン」は、富良野産ぶどうを100%使用した地ワイン。代表銘柄の「ふらのワイン(赤)」は、酸味と渋みが程よく、さわやかで飲みやすいと人気です。醸造から販売まで一貫して行う「ふらのワイン工場」では、工場見学や試飲などが楽しめ、隣接する「ふらのワインハウス」でふらのワインに合う美味しい料理を堪能できます。知的好奇心が満たされつつ、お腹も舌も満たされる、とっても贅沢な体験に行ってきました。

▲富良野土産の定番、「ふらのワイン(赤)」

JR富良野駅から車で15分程度、小高い山の中腹に「ふらのワイン」の故郷「ふらのワイン工場(富良野市ぶどう果樹研究所)」があります。富良野で収穫したぶどうをここで醸造し、販売しています。
▲山の中腹に立つレンガ造りの建物で、天気に恵まれた日は、花畑や富良野盆地、十勝岳などを一望できます
▲7月中旬から下旬頃は工場周囲のラベンダーが満開となり、と~っても綺麗です!(写真提供:富良野市ぶどう果樹研究所)

「ふらのワイン」が誕生したきっかけは、富良野市が農業振興を目的にワイン用原料ぶどうの栽培に取り組んだことです。1972年に富良野市ぶどう果樹研究所が開設され、山ぶどうなど生食用ぶどうを原料にワインの醸造試験が始まりました。
1976年に工場が完成し、1978年から「ふらのワイン(赤)」と「ふらのワイン(白)」が発売開始。それ以来この地で、「ふらのワイン」をはじめさまざまな銘柄が造られ続けています。

「ふらのワイン」の製造現場をウオッチ!

では、40年以上もの間醸造され続けている工場の中へ入ってみましょう。
建物内は、地下1階に樽が並ぶ熟成室などがあり、1階が瓶詰めなどの製造ライン、2階は試飲や買い物を楽しめるスペースに分かれています。入場料はなく、営業時間であれば自由に入ることができます。

まずは地下の熟成室へ行ってみました。
▲ガラス越しに、タンクや樽が並ぶ熟成室を見学できます

地下へ下りると室温が一気に変わり、ブルッと身体が震えるほどひんやり。富良野地方は昼夜の寒暖差も夏冬の寒暖差も大きく、湿度が低い気候風土。そのため地下室なら、冷房なしでも低温・低湿な環境が保たれるので、ここでじっくりと寝かされます。

「ふらのワイン」の熟成方法は、タンク熟成とタンク熟成+樽熟成の2パターン。
タンクは気密性が高いため香味を保ちやすく、主にフレッシュでフルーティーなワインの熟成に使用されています。
▲熟成中のタンク。昔の魔法瓶のように、内部は薄いガラスの被膜で覆われているそうです

タンク1本で、720mlのワインボトルに換算すると、約1万6,000本分も!かなり大容量です。仮に1日1本飲んだとしても40年以上かかると思うと、気が遠くなります…。
熟成期間は早いもので1か月少々、概ね半年から1年位寝かせるそうです。

タンクで熟成されたワインは、瓶詰めしてしばし熟成してから出荷するものもあれば、樽に移してさらに1~2年以上熟成させてから瓶詰めするものもあります。
樽熟成は、樽材の木目を通じて酸素の出入りがあることと、樽材から溶け出す成分がワインと化学反応を起こすことから、円熟味や滑らかさがあるワインや複雑な味わいのワインができます。
▲樽の材質はフレンチオーク材を使用しています

樽1本で、ワインボトル換算で約310本分だそうです。1日1本飲む呑兵衛さんなら、1年で樽1本以上必要ですね…!?

中の液体は樽材を通じて空気に触れているため、1週間で約50cc蒸発します。蒸発した分、樽の中に空洞ができるため、液体が空気に触れる面積が増えて酸化しやすくなります。そこで、週1回蒸発した分を手作業で補充して満タンにしているそうです。

ここには約150本の樽があるので、単純計算で1日20本以上の樽に補充しているということ。醸造って単に樽を置いておくのではなく、地道な作業の繰り返しなのですね。
▲樽上部にある穴から毎週補充しています。ちなみに、蒸発してなくなった分を、エンジェルシェア(天使の分け前)といいます

熟成室の隣には、サンプル室があります。瓶詰めごとに品質検査のため必ず抜き取り保管しており、創業以来の製品が並んでいます。
▲棚にずらっと並ぶワイン。私と同い年のワインはあるかな~?
▲こちらはタイムカプセルと称し、将来開栓して楽しめるようにと、2024年、2034年など未来の年を記入し、ガラスの天板で封をして展示されています

地下で涼みつつ!?熟成中のワインを見学した後は、上の階へ移動。1階にある製造ラインは工場関係者以外立ち入りできないので、2階へと上ります。

2階で瓶詰め工程を見学しつつ試飲!

階段途中や2階からは、1階の製造ラインをガラス越しに眺めることができます。
▲2階の大きな窓から、1階の製造ラインを見下ろせます

瓶詰め作業が行われるのは、ひと月のうち数日間のみ。訪れた時にここの製造ラインが動いていたら、稼働日にあたったということ。そんなアナタはラッキーです!
▲ワインを瓶につめてコルクを打った商品を検品。その後、ラベルが貼られ箱詰めされます

製造ラインを見下ろす窓辺には、試飲できるワインがあります。訪れた日は、「ふらのワイン(赤)」と、「シエル(白)」が用意されていました。
※試飲のワインは日により銘柄や本数が異なり、用意がない場合もあります。
▲この日用意されていた「ふらのワイン(赤)」をひと口。渋みと酸味が程よく、飲みやすい味わいでした

窓の外には十勝岳などの山並みと富良野盆地が広がり、眺望もよく開放的な雰囲気。壁際には、製造工程やワインの基礎知識などを紹介するパネルが掲示されているほか、ワイングッズも展示されています。
▲開放的な雰囲気の2階にはテーブルや椅子もあり、休憩もできます

製造工程を見学しつつワインの知識を深め、試飲のワインを片手に眺望を楽しんでみてはいかが?ただし、試飲は1人1杯まで、飲み放題ではないのであしからず。

試飲を楽しんだら、ショップへGO!

2階の奥には、売店もあります。「ふらのワイン」の各種銘柄が並び、この売店限定の商品も販売されています。ワインのほかにも、ワインや果汁を原料にしたチーズやチョコレートなども販売しています。
売店でも、休憩スペースの銘柄と別のものを有料で試飲できます。お気に入りに出合えるかも!?
▲日替わりでグラスワインを味わえます(1杯500円・税込)

売店での一番の売れ筋商品は、「ふらのワイン(赤)」。富良野市内をはじめ、北海道内の空港などの土産店でも比較的目にすることが多い定番の銘柄です。ミディアムボディで、程よいコクで飲みやすく、万人に好まれやすい味わいです。
▲セイベル種を使用した「ふらのワイン(赤)」720ml、1,281円(税込)

白ワインで人気な銘柄が、「バレルふらの(白)」。フレンチオーク樽で熟成させた、やや辛口タイプです。
▲セイベル種とケルナー種を使用した「バレルふらの(白)」720ml、1,951円(税込)

少し変わり種の銘柄は、山ぶどうを交配したぶどうを使用した赤ワイン、「羆(ひぐま)の晩酌」です。飲み口がしっかりしつつも後味は柔らかく、山ぶどうの野趣味があるコクとスパイシーさがある風味が特徴です。
▲やや重めなミディアムボディ「羆(ひぐま)の晩酌」720ml、1,854円(税込)

ラベルには、羆の可愛らしいイラストが描かれています。このイラストを描いたのは、富良野を舞台にしたドラマなどの脚本家として知られる倉本聰さんの娘、イラストレーターの倉本由美さんです。
▲館内には、倉本由美さんが寄贈した原画も飾られています

お酒があまり強くない方やお子さんには、糖度が高いバッファロー種を使ったノンアルコールの「ふらのぶどう果汁(バッファロー)」がおすすめ!甘みが強くてとっても濃厚な味わいですよ。
▲この工場限定販売!「ふらのぶどう果汁(バッファロー)」720ml、1,296円(税込)

このほかに、「ふらのぶどう果汁(赤)」(720ml、756円・税込)と「ふらのぶどう果汁(白)」(720ml、864円・税込)もあります。どれも果汁100%、無添加のぶどうジュースです。

ワインを醸造する工程をじっくり見学してから製品を眺めると、地下に並んでいた樽の中の液体が数年後にここへ並ぶのか、と感慨深く感じました。知識も深まり買い物も楽しくできるのが、工場直売店ならではの魅力です。

ふらのワインに合う料理が食べたい!

見学や買い物も楽しいのですが、やはり美味しい料理とともにワインを飲みたいですよね。そこで訪れたのは、「ふらのワイン工場」から歩いて5分ほど山の上へ進んだところにある、「ふらのワインハウス」です。
▲ふらのワイン工場と同じく、レンガ造りの外観です
▲客席間が広くゆったりとした店内。窓の外には富良野市街地や田園風景、十勝岳などの山々を見渡せます

こちらでは、富良野産の野菜やチーズなど、地元素材を活かした洋食料理を楽しめます。「ふらのワイン」を使用したメニューや、ワインにピッタリなメニューが数多くあります。

「ふらのワイン」を使用した人気のメニューが、「ふらの和牛のふらの赤ワイン煮込み」。ふらの和牛のすね肉を、たっぷりの「ふらのワイン(赤)」で煮込んでいます。
▲「ふらの和牛のふらの赤ワイン煮込み」2,300円(タマネギスープと、パンまたはライス付)と、「グラスワイン赤」(ふらのワイン)650円(ともに税別)

お肉はナイフを入れるとすっと入るものの、お肉が崩れない程度の程よい柔らかさ。肉汁とバターのコクとワインのまろやかさが絡み合う濃厚なソースで、お肉はもちろん野菜やパンをつけても美味しく食べられる味わい。思わずソースのおかわりが欲しくなる!?
これはワインに合わないわけがありません!後先考えなければ、間違いなくカパカパと飲んでしまいます。

数あるメニューの中で人気ナンバー1は、チーズフォンデュ!
▲「ふらの風チーズフォンデュ(2~3名用)」1,850円(税別)※ワインは別途

大きなパンをくりぬいた器の中に、富良野産のチーズがたっぷり!かぼちゃ、ブロッコリー、にんじん、じゃがいも、ソーセージと、くりぬいたパンを、チーズに絡めて食べます。
▲とろ~り!少し時間が経ってもチーズのとろとろ感はそのまま。最後まで美味しく食べられました

野菜は甘く、そのまま食べても美味しいくらい。超濃厚で強めな味わいのチーズに絡めると、チーズの塩気が野菜をより甘く感じさせます。白ワインも合いそうですが、しっかりした味わいのチーズなので、赤ワインのチョイスもアリ。

最後に器のパンをちぎって食べるのですが、パン生地にチーズが染み込み、ずっしりとした味わい。これだけでさらにワイン1杯追加できます!
▲眼下に広がる景色を楽しみつつも、美味しさのあまりチーズに夢中!ワインもクイクイ進みます

とてもボリューミーで、最後のパンを食べきった時には、とどめを刺された!という気分。
美味しさに打ちのめされました。仕事でなければ、ワイン1本空けてしまったかも…。

「ふらのワイン工場」と「ふらのワインハウス」を訪ね、知的好奇心を満たしつつ、物欲も食欲も満たされました。地元素材で造るワインと、地元素材を活かした料理のマリアージュ、究極の地産地消を楽しめます。
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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