博多に次々と増えている「うどん居酒屋」の先駆け店がココ!

2015.06.17 更新

博多はうどん発祥の地――そんな説(※諸説あり)が注目を集める博多では、老舗うどん店に行列ができ、新しいうどん店も続々オープンするなど、まさにうどんブームの真っただ中。とりわけ注目を集めているのが、「うどん居酒屋」というこれまで博多で馴染みのなかったスタイルの店。読んで字のごとく、居酒屋として利用でき、〆のうどんまでしっかり楽しめるため、シチュエーションを選ばず幅広い層に拡大。そんな背景があり、福岡市内では天神界隈を中心に、うどん居酒屋を打ち出す店が少しずつ増えています。そこで、福岡におけるうどん居酒屋のパイオニア的存在の「二◯加屋長介(にわかやちょうすけ)」で、その人気の秘密に迫りました。

うどんも一品料理も妥協なし!

初めて「二◯加屋長介」を訪れた人は“あるもの”に驚きます。それが、カウンター席の頭上、壁一面に書かれたお品書きです。お刺身から肉料理、揚げ物、ちょっとしたおつまみまで多種多彩。眺めているだけで思わずワクワクしますし、ついつい「では、もう一品」と追加注文してしまいます。「元々、コンセプトにしたのは大衆酒場なんです。ざっくばらんに、楽しく、にぎやかに過ごしてもらえるような店にしました」と教えてくれたのが店主・玉置さん。この壁面のメニューは、お店の象徴なのです。
店がオープンしたのは2010年。当時は「うどん居酒屋」という言葉もなく、例え、そういう表現を用いても、誰もピンとこないくらいでした。そんな中、「二◯加屋長介」は徐々に大衆酒場からうどん居酒屋だと認知されるようになっていきます。当然ながら、勝手にそうなったわけではありません。「料理にはもちろん、うどんにも力を入れていましたからね」と玉置さんが言うように、うどんに並々ならぬ情熱を注いできたからなのです。
店を開業する時から看板商品に据えていたのが手打ちスタイルのうどんです。開業前の1年間、その当時、福岡のうどん通たちを唸らせていた名店「唄う!手打ちうどん 稲穂」(※一旦閉店後、2014年に「唄う稲穂」の名前で薬院に復活)の店主・岡崎さんのもとで修行を積み、その技術を継承しました。玉置さんの作るうどんは、それまで主流とされていた博多流のやわらかい麺ではなく、どちらかというと讃岐うどんを思わせる、しっかりとコシがある麺が信条です。箸で持ち上げると麺の両サイドがクイっとせり上がり、噛み締めると心地よい弾力とともに、小麦のやさしい風味が口いっぱいに広がります。
出汁には羅臼昆布を筆頭に、上質な食材を惜しみなく使用。「うどんだけを食べに来てくださる方もいらっしゃいますよ」と玉置さんがいうように、居酒屋でついでにちょっと出てくるようなうどんではなく、専門店のそれとして愛されているのです。「二◯加屋長介」での王道は、あつかけ(温かい麺に温かいかけつゆ)、冷かけ(冷たい麺に冷たいかけつゆ)、ぬくかけ(冷たい麺に温かいかけつゆ ※上写真)といった定番のうどんに、博多ならではのトッピングとして地元で絶大な支持を得ているゴボウ天を筆頭に、角天(魚の練り物を四角に揚げたもの)やワカメ、おぼろ昆布などを加えて楽しむスタイル。そのほか、釜揚げうどんや釜玉うどん、あさりうどんや鶏スープうどんなど選択肢は実にさまざまです。
「二◯加屋長介」の魅力はうどんだけではありません。玉置さんは「稲穂」で修行を積む以前、高級居酒屋として知られる「博多 田中田」を手掛ける田中田グループで料理の基本を身につけていました。その経験を生かし、本格的な味でありながらも、手頃な価格で楽しめる大衆酒場を開業したのです。ということで、料理はどれも確かな味わい。「高級店に行っているようなお客様が普段使いにふらりと立ち寄ってくれる店というイメージです」と玉置さん。ちなみに、メニューに値段がないのは「時価」だからではなく、人数に応じて可能な限り調整してくれるから。例えば、4人で来店しているのに目の前の3点盛りの刺身はそれぞれ3切れずつ。4切れにできないか聞くと「値段が1,200円と決まっているので…」と融通が利かない。 そんなケースにも柔軟に対応できるのが「二◯加屋長介」の良いところ。先述のような場合、笑顔で4切れにしてくれます。だからいつも気持ちよく過ごすことができるのです。

姉妹店はビールの無料サービスあり!?

「二◯加屋長介」の誕生を機に、福岡市内にはうどん居酒屋が着々と増えています。薬院には玉置さんの師匠である岡崎さんが営む「唄う稲穂」、赤坂にはワインの品揃えにも定評がある「うどん大學」、大手門にはカウンターのみの小バコながら連日満席が続く人気店「ゆうのや」、春吉には名店「讃岐うどん志成」出身の店主が腕をふるう「麦衛門」というように、枚挙にいとまがない状況です。
そんな中、2013年には「二◯加屋長介」の姉妹店が大名に登場しました。この「釜喜利(かまきり)うどん」はうどんと丼を主体としながらも、居酒屋利用もウェルカムなお店。なんと開業以来、昼夜問わず希望者にはグラスビールを1杯進呈するという太っ腹なサービスを実施しています。うどん居酒屋デビューにはもってこいのお店です。
「釜喜利うどん」では「二◯加屋長介」とうどんのラインナップが少々異なります。人気を集めるのが、すだちが一面に浮かぶ夏期限定の「すだちうどん」、そして写真の「甲斐スペシャル」です。この「甲斐スペシャル」は常連客の甲斐さんが「とびっきり贅沢なぶっかけうどんを作ってほしい」と懇願して生まれた一品。すき焼き用の和牛のスライスを惜しみなく盛り付けた一杯は、一度食べると夢中になること請け合いです。
飲んで良し、すすって良しのうどん居酒屋。うどん発祥の地という説がある博多だからこそ、“一食”の価値ありですよ。
山田祐一郎

山田祐一郎

日本で唯一(※本人調べ)のヌードルライター(麺の物書き)として活動。麺の専門書、地元の情報誌などで麺に関する執筆を続ける。7月には福岡のうどん文化を一冊にまとめた自費出版本「うどんのはなし」を上梓。福岡市内の一部書店、オフィシャルwebサイト、掲載されるうどん店などで販売する。

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