世界遺産・平泉で古寺巡礼。中尊寺、毛越寺で奥州の文化を体感!

2016.10.18 更新

平安時代後期、約100年にわたり発展を続けた平泉。その時代に浄土思想に基づいて造られた寺院や庭園などが、2011年に世界文化遺産に登録されました。なかでも今回は、中尊寺と毛越寺(もうつうじ)をご紹介。平安時代の歴史文化が息づく町を訪ね、貴重な歴史的財産をめぐってみましょう。

中尊寺の寺宝が集まる宝物館、さまざまなお堂を拝観

今回の平泉古寺巡礼、まずは中尊寺からスタートです。

中尊寺は、寺伝によると、嘉祥3(850)年に比叡山延暦寺の高僧・慈覚大師円仁が開山。その後、奥州を統一した豪族・奥州藤原氏の初代・清衡(きよひら)が造営に着手しました。

鎌倉時代に記された『吾妻鏡』によると、全盛期は40以上の堂塔、300以上の僧坊があったという中尊寺。境内には、みどころがたくさんあります。

中尊寺へはJR平泉駅から車で10分ほど。まずは、幽玄な雰囲気が漂う月見坂がお出迎え。
▲樹齢300~400年の杉並木が続く表参道「月見坂」
▲坂の途中にある展望台からの眺め。衣川(ころもがわ)が望めます
月見坂入口から宝物館「讃衡蔵(さんこうぞう)」までの道のりには、源義経と弁慶の像を安置する「弁慶堂」、中尊寺一山の中心道場「本堂」、目の治療の信仰を集める「峯薬師堂(みねやくしどう)」、縁結びのご利益があるといわれる「阿弥陀堂」など、さまざまなお堂が点在。これらは無料で拝観することができます。
▲源頼朝に追われて平泉に落ち延びた義経と弁慶にちなんで建てられた弁慶堂
▲比叡山延暦寺から分火された「不滅の法灯」が灯る本堂
▲目の絵馬やお守りがある峯薬師堂
▲讃衡蔵の向かいにある阿弥陀堂
お守りも人気なので、おみやげに買って帰るのもおすすめです。
▲左から弁慶力守(500円、弁慶堂)、目のお守り(500円、峯薬師堂)、縁結びお守り(600円、阿弥陀堂)
そして、月見坂入口から歩いて15分ほどの場所には、仏像や経典、装飾品など、多くの貴重な文化財を収蔵する「讃衡蔵」があります。中尊寺に伝わる国宝・重要文化財を多数見ることができ、往時の歴史の重みを感じることができます。
▲讃衡蔵外観。金色堂などを見学できる共通拝観券はここで販売しています

平泉の繁栄ぶりを象徴する中尊寺金色堂へ!

奥州藤原氏初代・清衡は約20年の月日をかけて中尊寺一山に数々の伽藍造営を手がけましたが、現在も参拝できるのが「金色堂(こんじきどう)」。中尊寺創建当初の姿を今に伝える唯一の建造物で、国宝建造物第一号です。
▲新覆堂の中に国宝「金色堂」があります。辺りはお香のいい匂いが漂います
▲奥州藤原氏四代が眠る金色堂。天井も金箔押し
金色堂は内外に金箔を押している皆金色(かいこんじき)の阿弥陀堂で、柱や天井、須弥壇の装飾にも、漆や螺鈿(らでん)などが贅沢に使われています。

平安時代の平泉は金や名馬の産地だったこともあり、奥州藤原氏は巨大な富を得ていました。当時は豪華絢爛な寺院を多く造ったといわれ、金色堂はまさにその時代を象徴する遺産です。

昭和37(1962)年から約7年かけて行われた昭和の大修理では、柱の螺鈿細工や壁の金箔などの装飾を復元。その修理時には、なんと約3万枚の金箔が使われたとか!

まばゆい輝きを放ち、圧倒的な華やかさ。平安時代の工芸技術の粋が注ぎ込まれたお堂は、必ず訪れたいスポットです!

毛越寺で平安時代の貴重な浄土式庭園をおさんぽ

続いては、中尊寺と並ぶ平泉の代表的な寺院・毛越寺へ。山の斜面にある中尊寺に対し、毛越寺は平坦な地に建てられています。
▲毛越寺本堂。中尊寺から南へ車で10分ほどの場所にあります
寺伝によると、中尊寺と同じく、嘉祥3(850)年に慈覚大師円仁が開山したといわれており、その後、奥州藤原氏二代・基衡(もとひら)が造営に着手、三代・秀衡(ひでひら)が完成させました。
最盛期は中尊寺をもしのぐ規模だったともいわれています。

庭園や伽藍遺構が今も残り、国の特別史跡・特別名勝に指定されている毛越寺。ちなみに、特別史跡と特別名勝の二重指定を受けているものは、全国でも8例しかないそうです。

毛越寺最大のみどころは、平安時代の貴重な浄土式庭園「毛越寺庭園」です。
▲山門をくぐると右手に現れる毛越寺庭園。浄土を表現して造られたといわれています
園内のほぼ中央に東西約180m、南北約90mの大泉が池を配した大庭園。かつては手前に南大門、奥に金堂(円隆寺)があり、それらを結ぶように橋が架けられていたそう。
この池の大きさから、いかに大きな寺院だったかがうかがい知れます。

毛越寺庭園は、ゆっくり歩いて一周40分ほど。庭の周辺にはお堂や史跡などが点在しているので、往時に思いをはせながら回ってみてはいかがでしょう。
▲大泉が池に注ぐ水路「遣水(やりみず)」も平安時代から残る貴重な遺構
▲遣水のそばにある「常行堂(じょうぎょうどう)」は江戸時代中期に再建されたもの
見る場所や時間、季節によって趣が異なるのも毛越寺庭園のおもしろいところ。中尊寺とは違った平泉の歴史・文化、景観にふれられます。
▲庭園の東側にある「洲浜(すはま)」は優美な曲線が印象的
▲紅葉の見ごろは例年10月下旬

平泉名物の餅料理でひと休み。6種類の餅を食べ比べ

平泉で食事を楽しむなら、名物の餅料理でキマリ。この地域では、古くから祝い事などさまざまなシーンで餅が食べられてきたそうです。

今回訪ねた「きになるお休み処 夢乃風(ゆめのかぜ)」では、店の一番人気のメニュー「藤原三代お餅膳」(税込・1,000円)をいただきました。
▲中尊寺と毛越寺の間にある郷土料理の店
▲大根おろしと漬物付き。餡には平泉産の枝豆やくるみなどを使用
ずんだ、あんこ、くるみ、ごま、しょうが、雑煮の6種類の餅が付くセットで、あれもこれも食べたい人にぴったり。
毎朝つく餅はやわらかく、ふんわりした食感。餡も自家製で、いずれも素朴な味わいです。
▲平泉産餅米「こがねもち」で作る餅はコシや粘りがあり、食べごたえアリ!
中尊寺や毛越寺と合わせて、平泉の食文化を楽しむのもおすすめですよ!
加藤亜佳峰

加藤亜佳峰

編集者・記者。編集プロダクションMOVE所属。仙台を拠点に、企画・編集・取材・執筆を担当。旅行誌を中心に、情報誌やムック、書籍、パンフレットなど幅広いジャンルの印刷・出版物を手がける。

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