甘くてコクのある絶品枝豆「だだちゃ豆」!鶴岡の生産者たちが守り続ける逸品

2016.08.24

夏と言えば、ビールに枝豆!最高の組み合わせですね。山形県鶴岡市には、江戸時代から町独自に栽培されてきた「だだちゃ豆」と呼ばれる枝豆があります。鶴岡を代表するブランドとなった「だだちゃ豆」の美味しさのヒミツを探ろうと鶴岡市にやってきました。

▲甘みとコクが際立つ、炊きたて「だだちゃ豆ごはん」

「だだちゃ豆」を使った料理が味わえる農家レストラン

訪れたのは、JR鶴岡駅から車で10分程のところにあるレストラン「やさいの荘の家庭料理 菜(な)ぁ」。2013年には日本経済新聞「何でもランキング」の「全国の農園レストラン」で1位に輝いたお店です。
▲「ごめんくださ~い」

ご両親から受け継いだ農家レストランと、有機米や無農薬野菜の栽培を切り盛りするのは長男の小野寺紀允(のりまさ)さん。「だだちゃ豆」の栽培を担当するのが次男の貴紀(たかのり)さん。それぞれの立場で「だだちゃ豆」と関わっています。
▲「だだちゃ豆」の料理を提供する、長男の小野寺紀允さん
▲「だだちゃ豆」を栽培する、次男の貴紀さん

この時期は「だだちゃ豆」を使った料理が味わえるとのこと。どんな料理が出てくるのか、とっても楽しみ!

築130年を超える自宅をレストランに。落ち着きのある佇まいに静かな時間が流れます。
「ここは曽じいちゃんが建てた家です。2003年に母がレストランとしてオープンさせました」と話す紀允さんがこの店を引き継いだのは2013年のこと。
▲天井の高さにびっくり!開放感のある部屋

「菜ぁ」では、自家栽培の有機米と鮮度抜群の野菜をたっぷり使った郷土料理が楽しめます。

さっそく「昼膳」をお願いしてみました。「昼膳」メニューは840円と1,130円の2種類。他に、予約が必要な「おまかせメニュー」1,720円~もあります。(すべて税込)
▲840円(税込)の「昼膳」。品数の多さに感動!

運ばれてきた「昼膳」のボリュームにビックリ。新鮮な素材と一品ごとに手をかけた優しい味付け。まるで、おばあちゃんの家で食事をしているような懐かしさを感じます。
▲ごはんは自家製有機栽培の「ひとめぼれ」。玄米も選べます

「昼膳」のメニューは、旬の食材によって変わるということで、魚などの主菜の他に自家製野菜を使ったお浸しや煮物等がつきます。9月までは茹でた「だだちゃ豆」と「だだちゃ豆」の風味たっぷりの味噌汁が入ることも多いです。

「だだちゃ豆」の調理法でいちばんのオススメはシンプルに茹でて味わうこと。見た目は一般的な枝豆と同じですが、噛むたびに口の中に広がる豆の甘みと濃厚な風味は格別です。
▲茹でて食べると豆の旨みがわかります
▲さやの中にはしっかりした実が!
▲「美味しくて、止まらない~」

味噌汁は、「だだちゃ豆」から出汁をとり、濾した出汁に味噌を入れてつくったもの。「だだちゃ豆」を惜しげもなく出汁に使うなんて、なんと贅沢な!

豊かな風味とまろやかな味。それほど塩辛くないのにコクがあり、最後まで飲み干したくなる美味しさ。
▲味噌汁の中に、豆の旨みがたっぷり

土鍋で炊いた「だだちゃ豆ごはん」は旬を楽しむ一品。「昼膳」とは別に、予約が必要なメニューです。炊きたてが席に運ばれると、蓋を開けた瞬間ふわっと豆の香りが漂います。「だだちゃ豆」がたっぷり入って、彩りもきれい!豆が持つ本来の甘さを生かすよう、シンプルに炊き上げています。
▲米二合分の厳選土鍋の炊きたて「だだちゃ豆ごはん」は1,500円(税込)※要予約

豆の薄皮を取って食べやすくする等、手間暇かけて作っているのが伝わります。
この時期しか味わえない料理をいただきます!
▲混ぜるたびに豆の香りが立ちます
▲米は自家製有機栽培の「ひとめぼれ」。ツヤツヤしてる!
▲豆の風味を壊さない塩加減が絶妙

別注文のデザートは、「だだちゃ豆のパンナコッタ」。クリーミーで「だだちゃ豆」の風味が利いたパンナコッタは激ウマ!
▲ぷるるん、とろん!「だだちゃ豆のパンナコッタ」は210円(税込)※要予約。食事を注文された方に限る
▲「幸せ~!」

ルーツは「八里半豆」

江戸時代末期1860年代の資料の中に「八里半(はちりはん)は栗ほど美味しく誉(ひょう)ばんして」という記述が残っています。これは、「栗のおいしさには及ばないけれど、それに匹敵するほど八里半豆はおいしい」という意味。この八里半豆こそが「だだちゃ豆」のルーツと考えられています。

八里半豆は新潟県から鶴岡市小真木(こまぎ)地区の五十嵐助右衛門(すけえもん)に伝わり、この地で作り始められました。

その後、息子の孝太(こうた)がさらに改良を重ね、美味しい枝豆を作ることに尽力し、惜しむことなくその種を村人に分け与えたことで、小真木地区を中心に広く作られるようになったのです。
▲一般の枝豆はさやの毛が白色、「だだちゃ豆」は茶色がかっている

当時の庄内藩のお殿様もそのおいしさに驚き、「どこの“だだ”(お父さん)が作った豆だ?」と尋ねたことから「だだちゃ豆」と呼ばれるようになったのだそう。「ちゃ」は「様」という呼び名から付けられたという説と、さやの毛が「茶色」だからという二つの説が。

※家長である「だだちゃ」にまず最初に食べてもらうのが正当ということから呼ぶようになったという説も有り。

だだちゃ豆畑で収穫したよ!

この日、お店の近くにあるだだちゃ豆畑で、特別に収穫体験をさせてもらいました。
▲有機栽培のだだちゃ豆畑

取材に訪れた時は早生品種「長四郎(ちょうしろう)」の出荷真っ最中でした。
最もポピュラーな品種「白山(しらやま)」の収穫が最盛期となる8月20日頃には一日の収穫がさやだけで250~300kgにもなるというから驚きです。
朝4時、朝露のおりている時間帯に収穫する日々が続きます。
▲出荷作業で大忙し。最盛期にはお手伝いの人たちが10人にも

「だだちゃ豆」は、5月~6月の間に定植してから約90日後に収穫できますが、おいしく食べられる収穫期間はたった5日間ほど。さやが黄色くなる前に収穫しなければなりません。

おいしい豆を長く楽しみたいという思いから育種家たちが品種改良を重ね、「早生」から「晩生」まで様々な品種を時間差で栽培し、約2カ月間「だだちゃ豆」が収穫できるようになったそう。鶴岡市にある山形大学農学部の調べで、現存する「だだちゃ豆」の品種は30種にものぼると言われますが、小野寺農園ではそのうち12種類を栽培しています。

収穫するときは、さやの部分だけを採るのではありません。枝全体を土から引っこ抜き、その後で枝からさやを取り分けます。

「根元をねじるようにして抜いてみて」貴紀さんのアドバイスで枝を抜こうと力を入れますが、なかなか手ごわい!結構な力が必要です。
▲枝を掴み、腰をいれて!
▲「とったどー!」(笑)

小野寺さんの畑では、全面積を有機栽培にあてています。さやを取り終わった枝と葉、そして鶏糞を混ぜて堆肥化したものと米ぬかをベースに自家製のぼかし(発酵させた肥料)を作り、畑に戻す循環型の農業に取り組んでいます。
▲肥料の山!

「根っこに根粒菌(こんりゅうきん)がついていればいるほどおいしい証拠なんです」と貴紀さんは根を見せてくれました。根粒菌は土壌の微生物。土に自家製の堆肥を混ぜることによって根粒菌がつきやすくなるそうです。
▲根にたくさんの根粒菌が付いています
▲粒々に固まっているのが根粒菌
▲枝からさやを取ろうとしますが、こちらも意外に力が必要

「生で食べてみて!」と言われ食べてみると、これがなかなか甘くておいしい。
▲生で食べても美味しいものは茹でても美味しい
▲「おいしいものを後世に残していきたい」と、鶴岡の伝統野菜を守る貴紀さん

昔から、自分の畑で育てた枝豆から優良な豆だけを種豆として乾燥させ、次の年にその種を蒔く…そうして、それぞれの農家は種を守り、栽培技術を継承してきました。土壌作りや栽培の仕方は人それぞれ。「だだちゃ豆」の味に、作り手の個性が生きてきます。
▲「地域ごとに伝承してきたものなんですね」

収穫してきた豆は葉がついたまま、枝豆選別機へ。
▲収穫してきたそのままを選別機にかけます
▲さやだけがポンポン踊るように出てきます
▲虫食い等のさやだけを手作業でより分けます
▲収穫期が短く、保存も困難だったため、以前は幻の豆と呼ばれていました

鶴岡周辺の気候や土地条件が育ててきた「だだちゃ豆」。他の地域で同じ種子を栽培しても品種の特性は消されてしまいます。この貴重な伝統野菜を守り続けていこうと、それぞれの立場で活動する兄弟の姿がとても頼もしく感じられました。

8月~9月中旬にかけて、鶴岡市内の農産物直売所には各農家で大切に育てられた「だだちゃ豆」が並びます。採れたての「だだちゃ豆」をぜひ味わってくださいね。

※「だだちゃ豆ごはん」と「だだちゃ豆のパンナコッタ」は予約が必要です。
※「菜ぁ」では「だだちゃ豆」の店舗販売はしておりません。
撮影:小笠原さとみ
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

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