日本一高いところにあるパン屋さんで、絶品パンと志賀高原の絶景を堪能

2017.07.14

長野県志賀高原の南東端に位置する標高2,307mの横手山。眺望がよく、山頂まではリフトやバスでアクセスができる手軽さで人気を集めています。その山頂エリアにあるのが、「雲の上のパン屋さん」の愛称で知られる日本一高いところにあるパン屋「横手山頂ヒュッテ」。絶景の中で味わう焼きたてパンは格別です。

動く歩道「スカイレーター」で空中散歩

長野県と群馬県の県境にある横手山。志賀高原の中で2番目に高く、眺望のよい山として知られています。その山頂エリアで年間を通して営業している「横手山頂ヒュッテ」の焼きたてパンは、遠方からのリピーターも多く、夏休みなどの観光シーズンは行列必至!午後には売り切れてしまうことも少なくないほどの人気です。そこで、開店時刻に合わせて山頂に向かいました。
▲国立公園に指定されている志賀高原。原生林があり、湿地帯の多い大小70余の湖沼や高山植物に恵まれています

アクセスには、山の斜面に架かる「スカイレーター(動く歩道)」と「スカイリフト」がおすすめです(2017年の運行期間:5月27日~10月31日予定)
標高差35m、全長約200mの「スカイレーター」乗り場があるのは、長野県山ノ内町と群馬県草津方面をつなぐ志賀草津道路(国道292号線)沿い。志賀高原の「のぞき」とよばれる眺望のよい休憩ポイントにあり、そこまではマイカーで向かいます。
▲スカイレーターは1本のみで、時間帯や乗車待ちの人数によって上りと下りを交互に切り替えるシステム。混雑時は待ち時間が長くなることも

では、いざスカイレーターで出発!大人1人分ほどの横幅があるゴムベルトに立ってゆっくりと進むと、高度が上がるほどに景色が開けてきます。

約5分でスカイレーターの終点に着き、降りたらすぐに隣接する「スカイリフト」乗り場へ。この2人乗りリフトを乗り継いで山頂へと登っていきます。
▲冬はスキー場のリフトとして使用されている標高差170m、長さ410mの「スカイリフト」

約5分で山頂駅へ。到着後は一気に寒くなるので、しっかりとした防寒対策は必須です。ちなみに、この日のふもとの気温は32度でしたが、横手山頂は、なんと13度でした。
なお、このスカイレーター&スカイリフト以外にも「横手山頂ヒュッテ」まではいくつかのルートがあります。そのひとつが「横手山頂ヒュッテ」の送迎バス。環境整備の協力金として1人600円(税込)を支払えば、渋峠からヒュッテまでの私道を往復送迎してもらえます(片道約5分/渋峠発最終13:00、ヒュッテ発最終14:00)。
▲横手山頂ヒュッテの送迎バス。発車地点でドライバーに合図をするか、横手山頂ヒュッテに電話申し込み(0269-34-2430)をして乗車できます

お目当ては行列必至の焼きたてパン

山頂駅の駅舎を出ると、すぐ目の前にあるのが「横手山頂ヒュッテ」です。
▲標高2,307mにある横手山頂ヒュッテ。周辺にはベンチなども設置されています

趣のある木の建物の中に入ると、パンのいい香りが漂うこと!
▲宿泊もできる横手山頂ヒュッテ。レストランもあり、朝イチで訪れたこの日はチェックアウト中の宿泊客でにぎわっていました
▲レストランの一角に、人気のパン売り場が。ソフトフランスパンやアンパンなどスタンダードなものから調理パンまで常時15種類ほどが揃います

パンは志賀高原の湧き水と厳選した国産小麦粉を使用して、毎朝手作りされています。防腐剤は一切不使用。標高2,300mという高地にも対応できるドイツ製の窯で焼かれます。
どの種類のパンも昼前にはなくなってしまうほどの人気ですが、特に人気が高いのが、「野沢菜パン」や「アップルパン」など信州ならではの食材を使ったもの。クルミやレーズンを使ったものも、あっという間に完売してしまうのだそう。
▲夏季限定の「野沢菜パン」(税込300円)
▲朝早く訪れると、人気のパンも多く並んでいます

さっそく食べてみたのは、シンプルな「山型パン」(税込250円)。割ってみるとキメの細かさに驚き、食べるともっちりとした食感とおいしさにビックリします。
▲表面はパリッとしていて、中はもちもち!

ほかにも、「ベーコンオニオンパン」などの調理パンも、もちもちの食感としっかりとした具材の味わいが感じられて、とてもおいしい!
▲「ベーコンオニオンパン」(税込300円)。ヒュッテのテラス席で食べることもできます

そもそも、なぜこんな高い場所でパンを作ろうと思ったのでしょうか?

横手山頂ヒュッテでパンを作り始めたのは50年ほど前。オーナーの高相重信(たかそうしげのぶ)さんの奥様の妙子さんが独学で始めました。
山頂でのパン作りは、気圧や気温の関係で温度調整や生地の発酵が難しく、お風呂場で生地を発酵させるなど試行錯誤を繰り返したのだとか。
現在は、妙子さんと息子の育永(いくえい)さん・則子さん夫婦の3人で作っています。
▲防腐剤を使っていないため「夏場にお持ち帰りされる場合は、調理パンではないほうがおすすめです」と則子さん

その甲斐あって、今や売り切れる前にパンを購入するため、スカイレーターが動き出す前に歩いて山頂までやってきて、開店時刻の9時前から並ぶ人もいるほどの人気だとか!パンのおいしさを知ってしまうと、それも納得です。

レストラン一押しのメニューは「きのこスープ」と「ボルシチスープ」

横手山頂ヒュッテには、レストランも併設されています。2大人気商品は、具だくさんのクリームシチューを塩味の効いたパンで包んだ「きのこスープ」と、ロシア料理の定番メニュー「ボルシチスープ」。いずれも税込1,000円で、山型パンとのセットはプラス300円です。
▲きのこのような見た目で、オリジナルの器もかわいい「きのこスープ」。奥はセットの「山型パン」

「きのこスープ」は、ふくらんだパンをスプーンで破り、熱々のクリームシチューにパンを浸していただきます。ボリュームがあるのにあっという間にペロリとたいらげてしまうおいしさです。
▲具だくさんのクリームシチューはやさしい味わい。高地のひんやりした空気の中で熱々のスープを食べるなんて、とても贅沢

一方の「ボルシチスープ」はトマトベースでじっくりと野菜を煮込んだもので、約50年前にオーナーの高相さんがロシア人から直伝されたという本場のレシピ。丸ごとのジャガイモなど大きな具材がゴロゴロ入っていて、これまたボリューム満点ながらトマトの酸味が効いていてさっぱりとした味わいです。
▲見た目以上に量感のあるボルシチスープ。冬場はスキー客の体を温めてくれます

通年営業の横手山頂ヒュッテは、冬場はスキー客でにぎわいます。木のぬくもりを感じる温かい雰囲気のレストランで食べるおいしいパンとスープに、すっかり癒されました。

横手山頂で雲の上の世界を散策

満腹になった後は、山頂からの眺望を楽しむために横手山頂ヒュッテの周囲を歩いてみました。ヒュッテから山頂の三角点までは歩いて3分ほど。三角点の横には横手山神社もあります。山頂エリアは平らで広く、天気がよければ北アルプスや富士山、日本海など360度の絶景が広がります。雲が発生しやすい場所で、条件がそろえば雲海に出合えることも。パノラマビューを前にテイクアウトしたパンを頬張るのもいいですね。
▲アクセス抜群なことから、高齢者や足が悪い方でも気軽に絶景を楽しめる場所として人気の横手山頂。雲の向こうに見えるのが北アルプスです
▲横手山はサンセットポイントとしても有名で、雲が発生することも多いため、山頂からは雲海と夕景の幻想的な風景に出合えることも

横手山頂には日本初のクランペット専門店「クランペットカフェ」も!

横手山頂の楽しみ方はパンやトレッキングだけではありません。山頂駅2階の展望台の隣には、日本初のクランペット専門店「クランペットカフェ」があります。

クランペットとは、イギリス発祥の家庭的な焼き菓子。スコーンやマフィンなどと同様に朝食メニューとして食べられている軽食パンのことで、イギリス出身の料理家のアドバイスを得て作られているそうです。

甘さはなく、表面はカリッ、中はしっとりモチモチの食感です。イギリスではバターやハチミツなどを付けて食べるそうですが、クリームチーズやジャム、卵、ハム、トマト、スモークサーモンなど、どんなトッピングともよく合います。
▲手前から定番の「バター&蜂蜜」(税込350円)、人気の「クリームチーズ&卵+ハム&トマト」(税込650円)、手作りの紅玉ジャムを使った「クリームチーズ&アップルジャム」(税込450円)。オリジナルブレンドのコーヒー(税込500円)は2杯目が無料!
▲注文は黒板のポップなイラストがかわいいオープンキッチンで
▲薪ストーブが設置された店内。ソファ席も多く、くつろげます
行列ができるパン屋さんに、絶景のパノラマビューと日本初のクランペット専門店。横手山の雲の上には、わざわざ足をのばしても行きたくなる特別感があふれていました。
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

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