自分で掘るから一段と美味しい!!「なると金時」の収穫体験

2016.09.04 更新

徳島県鳴門市で生産されるサツマイモのトップブランド「なると金時」は、ホクホクとした食感とほんのりした甘さが自慢。夏の2ヵ月間だけ開催されているなると金時の収穫体験では、熱い砂の中から愛らしいサツマイモを自分の手で掘り出す感動が味わえますよ。

夏に食べる「新鮮な」サツマイモ

突然ですが、サツマイモの旬っていつだと思いますか? ほとんどの人は迷うことなく「秋!」と答えるでしょうが、生産者さんから言わせると秋は“2回目の旬”で、1回目の旬は夏なんだそうです。
確かに秋のサツマイモは貯蔵されてから市場に出回ることによって味により深みを増していますが、そのサツマイモが収穫されるのは夏真っ盛りの8月~9月。つまり収穫されたばかりの新鮮なサツマイモが味わえる夏こそが、1回目の旬というわけです。
▲秋のサツマイモより甘さは控えめですが、みずみずしい食感は夏ならでは!

徳島でサツマイモといえば、真っ赤な表皮が特徴的な「なると金時」が全国的に有名で、中でもJA里浦が出荷するなると金時は「里むすめ」の愛称で知られています。
緻密な肉質によるホクホクした食感と程よい甘さで親しまれ、焼き芋やふかし芋といったシンプルな食べ方から本格的な料理、お菓子、そして地元の酒蔵が作る焼酎など、様々な方法で味わうことができます。

里むすめは現在270戸ほどの農家で生産されていて、芋畑のほとんどは鳴門海峡のすぐ近くにあります。特徴的なのは畑が砂地となっている点で、サラサラとした砂に海からミネラルたっぷりの潮風が吹き付けるこの環境があってこそ、甘く、まっすぐな里むすめが育つのだとか。
海抜が低い土地にあるので、畑を掘ると1mほどで海水が浸みだしてくるので米や野菜を作るのには向いておらず、江戸時代末期頃から塩害に強いサツマイモを作ってきた記録が残っているそうです。
▲見渡す限りの芋畑。堤防の向こうは鳴門海峡です

この美味しさをもっと広く知ってほしいと、JA里浦は2003年より毎年8月上旬から9月下旬までの期間、里むすめの収穫体験「里むすめ畑」を実施しています。毎年400~500人ほどが収穫体験に訪れるほどの人気ぶりだそうで、中には40人ほどの団体がバスに乗ってやってくることもあるのだとか。

砂の中の里むすめとご対面

収穫体験はまずJA里浦への電話予約からスタート。希望日の2週間前までに予約すれば、当日はJAの職員さんが生産者さんの管理する芋畑の中から、育成状況や人数に応じたベストな場所を選んで案内してくれます。
▲外見からは、どの株が収穫に適しているか素人目には判断できません

畑は砂地で、真夏の日差しが照りつける砂は靴の底からも熱さを感じるほど。筋状に盛り上がった砂の中に等間隔に植えられる里むすめの苗は、4月~5月の植え付けから100日ほどで収穫時期を迎えます。ツルと下葉の色が黄色くなり始めた頃を見計らって収穫するそうで、収穫時期を見極めるのに生産者さんの間では「葉っぱの声を聞け」という言葉もあるとか。
▲まずはJAの職員さんが邪魔なツルを取り除いてくれます
▲優しく砂を崩していくと、すぐに顔を出す里むすめ
▲あらかた砂を取り除いたら、あとは軽く引き抜くだけ

芋掘りと聞くとツルを力いっぱい引っ張って…というイメージがありますが、実際の作業はちょっと違います。JAの職員さんが芋のツルを切って、畝(うね)を養生しているビニールをめくってくれるので、あとは砂遊びで山を崩すように、畝の砂を横から崩していくので、力はまったく必要ありません。
崩し始めるとすぐ、上から下にまっすぐ伸びる里むすめが顔を出します。1株に6本程度、合計1kgほどが実っていて、軽く砂を落とせば収穫作業は完了。
▲出てきたのは、20cmちょっとの食べ頃サイズ。どうですか、この表面の見事な赤さ!

収穫体験には動きやすい服装であれば他に特別な道具などは必要ありませんが、サラサラとした砂は足も埋まってしまいやすいので、靴の中に入る砂が気になる人は長靴を用意しておいたほうがいいでしょう。またツルを切った部分からはアクが浸みだしてくることもあり、手につくと黒い汚れがなかなか落ちてくれないので、気になる人は軍手もお忘れ無く。
▲今回の取材に同行してくれたJA里浦の中條さん(左)と、この畑で父親の代から50年以上もサツマイモを作り続けてきた坂本さん夫妻(右)

暑さにさえ気を付ければ小さなお子さんでも収穫できますから、食育としてもオススメしたい体験です。
ちなみに収穫した里むすめは少々の暑さにも耐えてくれるので、持ち帰る際は車のトランクにそのまま放り込んでOK。家では常温で保管できますが、寒さには弱いそうなので冷蔵庫には入れないようにして10度以上で保管するのが美味しさを保つ秘訣です。

生産者直伝!冷めても美味しい里むすめレシピ

通常の里むすめ畑は収穫までで終了ですが、今回は収穫体験させていただいた畑の持ち主・坂本さんご夫婦にお願いして、里むすめを使ったオススメのレシピも教えていただきました。
▲「野菜の揚げ浸し」。熱を加えることで皮はより鮮やかな赤に

一品目は、見た目もカラフルな「野菜の揚げ浸し」。里むすめをはじめ、冷蔵庫に残った野菜をなんでも素揚げにして出汁と麺つゆを混ぜた浸け汁に入れるだけで完成の、お手軽レシピです。

煮物とは違ってひとつひとつの野菜の味をストレートに楽しめるこの料理は、いろんな野菜と一緒に味わうことで、里むすめのやわらかな甘さがいっそう際立ちます。出来たての温かい状態の美味しさもさることながら、里むすめ特有の緻密な肉質のおかげで冷えても美味しさが失われないので、あえて冷蔵庫で冷やして食べるのもまたおすすめです。
▲「スピード大学芋」。わざわざ油で揚げる必要のない、簡単調理のアイデア料理

二品目は、JA里浦の婦人部が考案した「スピード大学芋」。少しの油を入れたフライパンに乱切りにした里むすめを並べ、砂糖を加えて火にかけます。あとはフライパンにフタをして、砂糖があめ状になって里むすめに竹串が通るようになれば完成!フタの内側に付く水滴をこまめに取りながら煮詰めるのがポイントです。

出来上がりの風味は、まさに大学芋!ほっくりとした食感と期待どおりの甘さが、幸せな気分にさせてくれます。出来たてすぐは油で揚げたものよりも表面がふんわりとしていますが、冷ませば表面の糖分が固まって歯ごたえも違ってくるのがおもしろい料理法です。
どちらの料理もお手軽なのに、この美味しさ。やっぱり素材の味って大切ですね。

これから秋にかけてスーパーなどでサツマイモは簡単に手に入りますが、厳しい日差しが照りつける中、汗をかきながら自分の手で掘り出した里むすめの美味しさはまた格別のはず。徳島が誇る旬の味覚、ぜひ体験とともに味わってみてくださいね。
青井 康

青井 康

地元徳島のタウン誌で勤務後に独立し、現在フリーのライター兼グラフィックデザイナー。なぜかやたらと人から道を聞かれやすい体質。

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