鹿児島で絶対食べたい魚「キビナゴ」を味わい尽くす

2016.08.29

キビナゴは体長10cm前後の小さな魚で、鹿児島の食卓には欠かせない存在です。中でも新鮮でないと食べられない刺身は、鹿児島を代表するグルメとして観光客にも大人気。今回はそんなキビナゴの魅力をお伝えします。

キビナゴは、鹿児島県本土や甑島(こしきしま)、種子島などの近海で年間を通じて水揚げされる青魚の一種です。キビナゴの旬は産卵期を迎える春~初夏頃ですが、冬のキビナゴも身が締まっていて、旬の時期とはまた違ったおいしさを楽しむことができます。つまり、キビナゴは、どの季節に食べてもおいしい魚なのです。

キビナゴの最大の特徴は、体に入った美しい銀色の縞模様。鹿児島では帯のことを「キビ」と言いますが、この縞模様が帯のように見えることが「キビナゴ」という名前の由来になっているという説もあるのだそうです。鹿児島でキビナゴがどれほど愛されているのかが伝わってくるエピソードですね。
▲キビナゴは、ふた口ほどで食べられるほどのサイズ

刺身で、揚げて、焼いて…キビナゴを使った多彩な料理を堪能

今回キビナゴ料理を堪能するために訪れたのは、県内に4店舗を構える「吾愛人(わかな)」。1946(昭和21)年創業の鹿児島を代表する老舗郷土料理店です。キビナゴの刺身や鶏刺し(鶏の刺身)、さつま揚げなどの郷土料理はもちろんのこと、黒豚しゃぶしゃぶや味噌おでん、首折れサバの刺身など、鹿児島の厳選された食材を使った名物料理が多数そろい、店内は連日、観光客や地元の常連客で賑わっています。
▲「吾愛人」中央駅西口店は個室も多く、ゆったりと郷土料理を楽しめる

今回特別に「吾愛人」の板前さんから、キビナゴのさばき方を教えていただきました。キビナゴはとても小さいので、手で簡単にさばくことができます。

水を張ったボウルを用意して、キビナゴの頭を折り、腹側から爪を入れて内臓を取りながら身を開きます。続けてボウルの水につけて内臓や血液を洗い流しながら、尾びれの少し手前まで骨を外していきます。最後に尾びれを引っ張って残りの骨と尾びれを取り、背びれを外せば完成です。
身が潰れないようにやさしいタッチで開くのがポイント。板前さんは慣れた手つきで次々とキビナゴをさばいていましたが、1日に何百匹もさばくのは大変な作業です。「慣れれば簡単ですよ」と笑う間も、決して手を休めることはありません。驚くべきスピードで、でも丁寧にキビナゴをさばく姿にキビナゴへの深い愛情と匠の技を感じます。
こうしてさばいたキビナゴは、身を半分に折り、「菊花造り」という菊の花のような盛り付けを施し、最後は中央にミョウガやカイワレ大根などの薬味をのせて、仕上げます。銀色の縞模様が映えて美しいですね。
▲きびなごの刺身(1人前 税込840円、写真は3人前)

キビナゴの刺身は、醤油ではなく酢味噌でいただくのが鹿児島流。「吾愛人」では、鹿児島産の甘めの味噌と辛子を混ぜて自家製の酢味噌を作っています。キビナゴで薬味を包むようにして酢味噌に絡ませると、キビナゴ本来の旨みと薬味や辛子の爽やかな香りが複雑に混ざり合い、風味豊かな味わいを堪能できます。

繊細で傷みやすいキビナゴは、かなり新鮮でないと刺身で食べることはできません。漁場に恵まれ、漁獲量の多い鹿児島だからこそ楽しめるキビナゴの刺身をぜひ味わってみてください。
キビナゴは小さく、頭や骨が柔らかいので、加熱する場合は内臓や骨を取らなくてもおいしくいただけます。そのため、フライや天ぷらなど、揚げ物にするのも鹿児島ではポピュラーな食べ方です。

「吾愛人」でも、キビナゴの天ぷらは人気メニューの一つ。天つゆにつけて食べるのもおいしいけれど、キビナゴの繊細な旨みを堪能するなら、塩で食べるのがおすすめです。

「吾愛人」では、鹿児島県内でも有数の塩の生産地・坊津(ぼうのつ)でつくられた天然塩を使っています。坊津の天然塩は塩気がマイルドなので、淡白なキビナゴには最適の塩なのです。
▲きびなごの天ぷら(1人前 税込810円)

刺身、揚げ物と続けば、やはり焼いたキビナゴも食べてみたいもの。

「吾愛人」では、「キビナゴの串焼」を提供しています。2本の串に5尾のキビナゴを刺してシンプルに焼き上げるキビナゴの串焼きからは、香ばしい香りが漂い、食欲をくすぐります。レモンをギュッと絞って口に入れれば、ホロッと柔らかい白身と頭や骨の香ばしさが相まって、箸が止まらぬおいしさです。
▲きびなごの串焼(1本 税込270円)

「吾愛人」では、生のキビナゴを焼いていますが、県内ではキビナゴの一夜干しも人気があります。他にもキビナゴが多く水揚げされる阿久根市には、牛肉の代わりにキビナゴを使った「すき焼き」ならぬ「キビすき」というご当地グルメまであるんですよ。

お土産におすすめのおしゃれなキビナゴグルメ

刺身でも、揚げても焼いても楽しめる万能食材、キビナゴ。最後に「お土産に買って帰りたい」という人におすすめな商品をご紹介します。

甑島の土産物の製造・販売を手がける「山下商店」が作る「太陽のきびなご」は、甑島で水揚げされた新鮮なキビナゴを使用したキビナゴのオリーブオイル漬けです。お酒のおつまみや一品料理として、そのまま食べるのも良し。身をほぐしてオイルごとパスタと絡めるも良し。チーズと合わせてブルスケッタや豆腐の上に乗せて食べてもおいしいですよ。
▲「太陽のきびなご」(税込750円)

アンチョビ感覚で食べられるイタリアンな逸品は、鹿児島のおみやげものが揃う「KENTA STORE Food&Sundries of Kagoshima(ケンタストア フードアンドサンドリーズオブカゴシマ)」で購入することができます。

キビナゴの小さな体には、鹿児島の海の恵みと栄養がギュッと詰まっています。鹿児島を訪れた際は、さまざまなキビナゴ料理を楽しんでみてください。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

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