名古屋人も知らない!?名古屋城の秘密はガイドツアーで知ろう!

2016.11.24 更新

観光名所って意外に地元人は行かないと思いませんか?かくいう筆者も名古屋城には数回行ったのみ。とてもお客様をおもてなしする自信がありません。そこで今回、名古屋城を深く知るべく観光ガイドツアーに参加しました。

▲天守閣がバックになる人気撮影スポット

初めて名古屋城に行くならガイドツアーが超おすすめ!

太平洋戦争の戦災で焼失するまでは、城郭建築で初めて国宝に指定された城として知られていた名古屋城。今では屋根に乗る金鯱(きんのしゃちほこ)が名古屋のシンボルとして知られ、年間約174万人近くもの人が訪れる名古屋随一の観光スポットになっています。

そんな名古屋城には、観光ガイドと呼ばれるボランティアスタッフがいます。
正門と東門のガイド案内看板周辺に、それぞれ数名ずつ待機していて、無料で城内を案内してくれます。平日は10時と13時半~、土・日・祝日は9時半と11時と13時半~案内スタートです。
この日のガイドは、2009年からガイドを始めたという鈴木さん。御年75歳!
今回は取材ということで特別にマンツーマンです。
正門から歩きはじめると、早速、鈴木さんの柔らかで丁寧なガイドが始まります。
「あれが西南隅櫓(せいなんすみやぐら)です。大正10(1921)年の暴風雨で壊れたのですが修復されました。ところであの屋根の鬼瓦が見えますか?」
目の悪い筆者はカメラのズームレンズで確認。すると菊の文様が見えました。
「そう、皇室を表す菊の紋です。徳川家康の命令により建てられた名古屋城なので徳川家の家紋である三葉葵が入っているのが普通なんですが、大正10年の時点でこの城は宮内省の管轄下にあり名古屋離宮と呼ばれていたんです。それで宮内省が修復したため菊の紋が入っているというわけです」
思わず「へぇー」と口から漏れました。まるで某テレビ番組「ブラ●モリ」気分!
さらに石垣に近づくと……。
「ここの石を見て下さい。模様が見えますか?この四角い穴は石を切る時の楔(くさび)を打ちこむために掘られた矢穴(やあな)と呼ばれるものの跡です。左のマークのようなものは刻紋(こくもん)と言います」

「B」や「W」のようにも見える刻紋は、工事を担当した大名や家臣が他の担当大名の石材と区別するために付けられたとのこと。刻紋は城内の石垣の至るところで見られ、その種類は一説には570程もあるとか。「全種類見てみたい!」と、コレクター魂が燃えます!
▲名古屋城で最大の石「清正石(きよまさいし)」。加藤清正の名前が付くものの、ここの石垣の担当は黒田長政だったとのこと。それにしても運ぶだけでひと苦労でしょう……

復元中の本丸御殿では、400年前の色彩と輝きを体感!

名古屋城といえば2009年から復元工事が始まった「本丸御殿」も忘れてはいけません。
昭和20(1945)年5月の空襲により焼失した「本丸御殿」は、工期10年・総事業費約150億円をかけ、江戸時代の文献や多くの写真・実測図を元に忠実な復元が進んでいるのです。
2018年に全体完成予定ですが、すでに三分の二ほどができあがっていて、完成した建物が公開されています。
▲車寄(くるまよせ)と呼ばれる将軍や大名が使う入口。観覧者の入口は別にあります
▲スリッパに履き替え、靴とリュックをロッカーに預け、いざ建物内を見学!身長178cmの筆者は頭がぶつかります。昔の人の平均身長を実感します
入った途端、檜の良い香りが漂ってきて、歩いているだけで「森林浴」気分です。
「ほら、あの襖を見て下さい」と鈴木さん。
玄関の「一之間」と「二之間」の襖には、絵具まで忠実に復元模写された虎と豹の絵が描かれています。でも、なぜ虎と豹が一緒に描かれているのか?と鈴木さんに聞くと……。
「江戸時代の狩野派の絵師たちは、生きた虎を見たことがなく、想像で絵を描いていたと言われており、豹を雌の虎だと思い描いたんでしょう」と教えてくれました。
▲「一之間」には子供をあやしている雌の虎(豹)が!
ちなみに全部で27頭の虎が描かれているとのこと。約400年前と同じ鮮やかな色彩とキラキラとした金色が再現されているかと思うと感慨深いものがありました。襖絵以外にも見どころは盛り沢山です。
▲こだわりは足元にも!高麗縁(こうらいべり)の小紋。畳の縁の模様がキレイに合っています。まさに職人技!
本丸御殿のすぐ隣では、現在も復元工事が行われており、工事現場を見ることもできます。完成してからは見られない部分や大工さんの作業の様子を見られるレアなチャンスです。
そもそも「本丸御殿」が復元できているのは、戦火で焼失しないように資料や障壁画を疎開させていたから。その避難先のひとつがこの「乃木倉庫」(国・登録文化財)です。天守閣の北東の位置にポツンと建っているので、散歩がてら足を運んでみてください。年に数回内部が公開されることがあるそうです。

天守閣の中は、歴史テーマパーク!

※2018年5月7日以降、木造復元事業に伴い天守閣は閉鎖されています。竣工は2022年12月の予定です。なお、天守閣以外は引き続き見学可能です。

いよいよ天守閣に向かいます。
天守閣に入る前に鈴木さんの石垣チェック!天守の石垣は加藤清正の担当だったとのこと。
▲写真では見づらいですが確かに「加藤肥後守」の文字がありました
▲天守閣の最上階では、東西南北それぞれの窓から名古屋の街が見渡せます
現在の天守は地上7階+地下1階の造り。5階までエレベーターで上がり、その後、最上階の展望室までは階段を利用します。
景色を楽しんだ後、5階に下りると実物大の金鯱のある撮影スポットがあります。この日は運よく誰も並んでいませんでしたが、日によっては行列ができることもあるそうです。すかさず鈴木さんに何枚も撮ってもらいました。
まるで本物の城の上にある金鯱に乗っているよう!?

さて突然ですが、ここでクイズです。
「金鯱に使われた金を小判に換算すると何両でしょうか?」と鈴木さん。
答えは……。
慶長小判17,975両とのこと。これが実際の千両箱の量です。ただ目の当りにすると、多いのか少ないのかよく分かりませんでした……。

4階には刀や鎧などの武具が展示され、駕籠(かご)乗り体験コーナーもありました。
▲3階に再現された城下町を歩きながら、鈴木さんのガイドで一気に町人気分に!
▲1階には巨大な城下町の模型が!
上り下りする螺旋上の階段の鉄柵には刻紋のレリーフがあり、その中のひとつ、団子のような刻紋を前に、鈴木さんクイズ第2問です。
「この刻紋のモチーフは何だと思いますか?」

団子以外に思いつかない筆者。答えを聞くと驚きのモチーフでした。
「これは加賀前田家の家臣が刻んだものではないかと言われており、討ち取った敵の首を串刺しにしたもの、という説があります」と鈴木さん。
まさかの答えに、ガクブルです。

「堀にいる鹿を見に行く」の巻

さて天守閣を後にし、筆者はかねてから疑問だったことを鈴木さんに尋ねました。
「名古屋城の堀には鹿がいると聞いているんですけど……」
すると、「いますよ、見にいきますか?」とあっさり解決。
▲鹿のいる堀へ向かう途中、石垣にビール瓶が刺さっているのを発見!
鈴木さんクイズ第3問。
「あのビール瓶はなんのためにあるのでしょうか?」

答え。
今ほど科学技術が発達していない頃、刺した瓶が割れていないかどうかで石垣のずれをチェックするという、ある意味センサーの役割があったとのこと。ささいなところに昔の人の智慧を感じます。さすがに今はもっと精度の高いチェックをしているそうです。
しばらく歩くと、西南隅櫓近くの堀にいました、2頭です!
「私がガイドを始めた頃は7頭いたんですが、減ってしまいました。今の鹿は和歌山城動物園から譲り受けた本州鹿です。2頭とも雌なので、雄が来てくれるといいんですけどね」
かなり間近で見ることができて満足です。

ということで、この日のガイドツアーは筆者のリクエストもあり鹿の写真を撮って終わりました。ツアー内容はお客さんの希望に合わせてくれるそうなので、ぜひ気軽に何でも尋ねてみてください。

お昼ご飯はもちろん「名古屋メシ」!

さて約90分のガイドツアーを終え、ちょうどお昼時。しっかり歩き回ったためお腹もペコペコです。
そこで城内にある食事処に向かいます。麺類好きの筆者は、「本丸御殿」から「清正公石曳きの像」に向かう途中にある「名古屋城内きしめん亭」に入りました。
きしめん、味噌串かつ、稲荷寿司、金シャチ焼き(金鯱の形の人形焼)、小鉢が付いた「お城セット」(1,250円・税込)をセレクトし、いざ実食!
きしめんは濃い目の出汁ともっちり麺がよく合います。味噌串かつも八丁味噌の味がしっかりと効いてサクサク!ボリュームもあってお腹いっぱいです。
店内だけでなく外にも席があるので、天気がよければピクニック気分で気持ちいいかもしれません。

全国の武将隊の先駆け、
「名古屋おもてなし武将隊」見参!

観光ガイドの鈴木さんに負けず劣らずお客様をおもてなしする事に命をかけている集団が名古屋城にはいます。それが2009年11月3日から活動を開始している「名古屋おもてなし武将隊」です。
▲武将6名、陣笠4名、計10名の武士集団です (C)2009 Nagoya Omotenashi Busho-tai Secretariat
普段はほぼ毎日、いずれかの武将が名古屋城に来て来園者を迎えているのですが、土・日・祝日には演武も行っています。
▲たくさんの人が武将隊の演武を待っていました。彼らの人気のほどが伺えます
▲城と武将は最高に絵になります
この日の演武は、リーダーの織田信長を筆頭に徳川家康、豊臣秀吉、加藤清正、前田利家、前田慶次、全武将揃い踏み!殺陣あり、舞あり、太鼓あり!各武将の性格や表情もツッコミどころがないほど仕上がっており、たっぷり楽しみました。演武のストーリーは何種類もあるそうなので、一度見ただけでは彼らの魅力は語れないなと思いました。
▲パフォーマンスの後にはお客さんのために集合写真タイム
さらに各武将ごとの撮影タイムもあります!筆者は個人的に好きな武将・前田慶次の行列に並びました。対面してみると、筆者のイメージと近い前田慶次キャラに感動!しかも筆者だけでなく、通りすがりの観光客すべてに分け隔てなく接する姿は、まさにおもてなしの鏡だと実感!

名古屋おもてなし武将隊

名古屋を世界一の観光都市にするために戦国の世より蘇った武士集団。名古屋城にほぼ毎日出陣し、写真撮影・歴史座談・演武などでおもてなし活動を行う。テレビ・ラジオにもレギュラー出演中

おみやげは新しくできたミュージアムショップで!

観光の締めとして、2016年10月にオープンした「本丸御殿ミュージアムショップ」に立ち寄りました。本丸御殿の「上台所」に当たる場所にあります。
お菓子などの定番商品のほか、家紋マグネット(250円・税込)、ゴールドクリアファイルA4(450円・税込)など、上品でオシャレなオリジナル商品が多くて迷います。
結局、金紙ポストカード(1枚180円・税込)にしました。上段真ん中の虎は、本丸御殿見学時には見えない位置にあった「三方正面眠り虎」です。太ったチャウチャウのようでかわいい!ガイドの鈴木さんから聞いていたので迷わずゲットしました。

書き切れなかった秘話を聞きにぜひ名古屋城へ!

今回の体験で分かったのは、名古屋城には歴史秘話とおもてなし要素が満載だということ。建物や展示品からも、鈴木さんや武将隊からも、それがひしひしと伝わってきました。
金鯱の雄雌の見分け方や城を縄で引っ張って修理した話など、鈴木さんから聞いた話は今回書き切れないほどで、どれも「へえー、なるほど!」というものばかり。ぜひガイドツアーに参加して、名古屋城を周りながら聞いてほしいです!
▲ライトアップされたお城も幻想的で美しい!ライトアップは毎日、日没から午後11時まで
澤井敏夫

澤井敏夫

愛知県・清須市在住のライター。情報誌の編集制作、音楽事務所でのマネジメント業務を経て独立。読書と落語鑑賞とヨガが趣味。

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