東京湾の無人島「猿島」へ。海に浮かぶ要塞は自然と史跡の宝庫だった!
「猿島」は東京湾に浮かぶ唯一の自然島で、しかも無人島。無人島と言うと、未知の動植物や原始の砂浜や断崖、隠された秘宝などが思い浮かびますが、猿島は年間15万人もの人が訪れる人気のレジャーアイランド。一方で長い歴史の中で要塞として使用されてきた埋蔵文化財の宝庫なのです。さまざまな顔を持つ猿島を訪れました。※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

三笠桟橋からフェリーで10分。 自然と歴史遺産の宝庫、猿島へ!


出航から10分ほどで猿島桟橋に到着。長い桟橋からはBBQができる砂浜、その向かいには売店や管理事務所が入った施設が見えます。アイランドリゾートの風情ですが、近代的な建物はここだけ。あとは史跡とジャングルです。

猿島に到着。 島めぐりスタート!



島を南から北にむかって。 「要塞の切通し」を歩く


切通し沿いには実際に使われていた兵舎や弾薬庫などがそのまま残っています。ここはもう要塞の一部なのです。

要塞としての猿島の始まりは1847(弘化4)年。江戸幕府は外国の軍艦から日本沿岸を守るために、無人島猿島に石垣を築き大砲の台場を造りました。そう、あの黒船から日本を守るためのものだったのですね!
薄暗い弾薬庫の内部は? 懐中電灯片手に覗いてみる




これらの建造物が造られたのは、江戸幕府から新政府に移った明治初期。新政府はフランス製の大砲4門を配備して、本格的な要塞づくりに乗り出したのだそう。

幕末から明治初期にかけては、フランス式のレンガ造りやレンガ積み技術が使用されていましたが、明治20年代以降、イギリス式のレンガ積み(レンガを長手だけの段と小口だけの段で一段おきに積む方式)が圧倒的に数を増し、フランス式の建造物は徐々に減っていきました。フランス式で造られた猿島要塞は今では大変貴重なものだそうです。

“愛”と言う名のトンネル 名前の由来は?


確かになぜこんなに暗いのでしょう?
「これも要塞の特徴で、攻めてきた敵から出口付近が見えないよう、内部を傾斜させています。出口が見えないから暗いのです」(細井さん)
なるほど。
このトンネルの内部には2階建ての地下室が平行に建設されていて、司令部や兵舎など要塞の中心部につながっています。


トンネルの先はジャングル まるでアニメの世界

「この場所はまるでジブリ映画のようだとネットで話題なんです」と細井さん。




景観も見どころ満載! ベイエリアから房総半島までが一望できる

「かつて日蓮上人が、房総半島から船で出航した際、嵐で漂流していたところ、白いサルに導かれこの島にたどり着いたという伝説から、猿島と呼ばれるようになったそうです」。だから猿がいなくても猿島なんですね。
島の最北端に日蓮上人がたどり着いたという洞窟も残されていました。

山の階段を昇っていくと、島のほぼ中央に位置する展望台広場に到着。この広場は、先ほど下から見上げた弾薬庫の真上に当たります。



さらに山道を進み、島の南側に位置する広場から階段を下れば、もといた管理棟の裏手に到着!これで約2時間の島内散策は終了です。多少勾配はありましたが、お話を聞きながらぐるりと周るにはちょうど良い距離でした。「細井さん、ありがとうございました」。
今回は特別にスタッフの細井さんに案内してもらいましたが、より詳しいガイドツアーも実施中。猿島の歴史について、深く濃く、教えてもらえます。
猿島公園専門ガイド協会
神奈川県横須賀市小川町11番地 横須賀市役所 環境政策部 公園管理課内
◎猿島公園コース(6名以上) 大人1人600円(税込)
※5名以下の場合はグループで3,500円(税込)
※1週間前までに要予約。小学生以下の料金はお問い合わせください。
080-6655-0557(8:00~18:00)


東京湾にこんな自然島があることも驚きだし、貴重な史跡を触るほどの距離で眺められるのも驚き。まるで巨大なミュージアムです。驚きに満ちたこの島に、また近々訪れてみたいと思います。

猿島渡船
[三笠券売所]神奈川県横須賀市小川町27
[運航時間]夏期(3月~11月)/三笠発8:30~16:30、猿島発8:45~17:00、冬期(12月~2月)/三笠発9:30~15:30、猿島発9:45~16:00
[運航日] 通年運航(荒天等による欠航時を除く)
[往復乗船料]大人1,400円、小学生700円、小学生以下は大人1名につき1名無料 ※税込
[猿島公園入園料]大人200円、小・中学生100円 ※税込
046-825-7144(株式会社トライアングル)
猿島公園
神奈川県横須賀市猿島1
046-822-9561(横須賀市環境政策部公園管理課)

平間美樹
某広告代理店で情報誌・Webサイト等の広告企画・制作を経て独立。現在、企画制作会社CLINK(クリンク)を運営し、結婚・進学・就職・旅行など幅広い分野で企画・ライティング活動中。テニス・フラ・猫にハマる日々。 テニス観戦でグランドスラムを達成するのが目下の目標。
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