東北のパワースポット・羽黒山。東の奥参りで神秘の世界に触れる!

2016.09.29

開山は1400年以上昔と伝えられる「出羽三山(でわさんざん)」は、羽黒山(はぐろさん)、月山(がっさん)、湯殿山(ゆどのさん)の3つの山を総称したもの。中でも、山岳修験の霊場として知られている羽黒山は、パワースポットブームも相まって若い女性たちが多く訪れています。今回は、この魅力たっぷりの羽黒山で神秘の世界に触れてきました。

▲羽黒山のシンボル、国宝「五重塔」

山伏が修行する山としても有名な「羽黒山」(標高414m)は、出羽三山の表玄関とされ、昔から「西の伊勢参り、東の奥参り」と呼ばれるほど信仰のある地。参詣道に沿って国宝「五重塔」をはじめ、多くの歴史的建造物や史跡が存在しています。

その中でも、“必ず足を運んでみたい”女性に人気のスポットを中心にセレクトし、山伏さんたちに案内していただきました。

ところで「山伏さんってどんな人?」と思われる人も多いのでは?
市松模様や白い装束を身にまとい、法螺貝を吹く姿が印象的ですよね。
山伏とは自然の霊力を身に付けるために、霊山と呼ばれる山々で厳しい修行を続ける修験者のことです。

「羽黒山」では、希望があれば山頂まで山伏さんに案内をしていただくことも可能です。
※山伏による案内は有料。詳しくは羽黒町観光協会へお問い合わせください。

パワースポットを訪ね、祈りの道に足を踏み入れる

▲いざ、ご神域へ!

参詣道の入り口「随神門」から「三神合祭殿(さんじんごうさいでん)」のある山頂までは約1.7km。途中、「爺杉(じじすぎ)」や「五重塔」を眺め、縁結びの神様として人気の「埴山姫(はにやまひめ)神社」にお参りしながら、約1時間の道のりを歩いていきます。

それでは、羽黒山の頂上目指して「お立ち!(出発)」
▲山頂まで案内してくださる山伏の早坂一孝(いっこう)さん

山伏言葉「お立ち~!」の掛け声には「受けたもう~!」と返事。法螺貝(ほらがい)の音を合図に出発です!
▲身近で聞く初めての法螺貝の音に身が引き締まる感じ
▲杉の大木に見守られるように継子坂(ままこざか)を下ります
▲赤い「祓川神橋(はらいがわしんばし)」を境にご神域に入ると言われています
▲清々しい空気に包まれる神聖な空間
山頂までの石段は2,446段。早坂さんに「石段には33個の絵が彫られていて、その中の18個の絵を見つけると願いが叶うんだよ」と教えられ、絵探しのスタート。絵が気になり、なかなか前に進まなくなってしまいました(笑)
▲「これも絵ですか?」ちょっとした石の凸凹も絵に見えてしまいます
▲「おちょこの絵ってわかるかな?」
▲「これは天狗だよ」と言われ、よく見ると確かに天狗の顔が
▲これは分かりやすいですよね。さて何の絵でしょう?

悠久の時を刻んできた巨木と「五重塔」は必見!

石段の絵を探しながら進むと、500本以上あると言われる杉の古木の中に、ひと際存在感を放つ老杉が。樹齢一千年、羽黒山で最も古い天然記念物の「爺杉」です。
▲胴囲はなんと10m!

計り知れない時の長さを想像しながら、ただ圧倒されるだけ。
▲「以前は婆(ばば)杉もあったんですが、暴風で失われて今は爺杉しかありません」(早坂さん)

爺杉からまもなく、木立の中に国宝「五重塔」が姿を現します。平安時代中期に平将門によって創建されたと伝えられる、東北地方最古の五重塔。
▲四季折々の景観とともに優美な姿を魅せてくれる「五重塔」

高さ29m、三間五層の杮葺(こけらぶき)の塔は約600年前に再建されたもの。素木造り(しらきづくり)のため、何も塗らず、釘の一本も使っていません。
▲「どれだけ時を繋いできたんだろう…」

この辺りは冬になると3mもの雪が積もる地域。屋根の反り具合や、一層から五層まで屋根の大きさが同じなことも雪国ならではの工夫なんですね。
▲毎年夏にはライトアップが行われ、幻想的な姿が映し出されます

「五重塔」は毎年夏にライトアップと夜間参拝が行われます。2017年は7月15日から10月9日までの土・日・祝(日没~21時30分)に開催。
光に照らされた「五重塔」の、荘厳で迫力のある姿にしばし言葉を失うほど感動すること間違いなしです。
※夜間参拝協力金として一人300円~必要です。

深い静寂の中で一心に坂を上る

「五重塔」を参拝した後は、大きな坂を3つ上ります。まずは「一の坂」から。だいぶ歩いた気分ですが、ここまででまだ全体の1割。これから「二の坂」「三の坂」と続きます。
▲石段が造られたのは約400年前。「これだけの石段を江戸時代に造ったなんて!」

石段と樹齢約350年~500年の杉並木は、フランスの権威ある旅行ガイドで三ツ星に認定。心地良い風と法螺貝の音に元気をもらいながら、坂を上っていきます。
▲法螺貝の音に参拝客もビックリ!?
▲段差が低く、歩きやすい石段
▲杉並木を通り過ぎる風が心地イイ!まっすぐ伸びる杉の木に生命力を感じます

「二の坂」は別名「油こぼしの坂」とも。あまりの勾配に、弁慶が奉納する油をこぼしてしまったと伝えられています。
▲まだ余裕の笑顔(笑)

「二の坂」の急な坂を上りながら、「そろそろ休憩したいな…」と思った視線の先に「二の坂茶屋」が見えてきました。
▲「茶屋までもう少し!」

おばあちゃんが待っててくれる茶屋でひと休み

「ふぅ。着いたー!」

「二の坂茶屋」は江戸時代から続く、登拝者たちにとって元気をくれるかけがえのない場所です。
▲茶屋は毎年4月末から11月3日まで営業
▲眼下に広がる庄内平野。天気がいいと日本海まで見ることができます
▲素敵な山伏さんと2ショット

席についたら、さっそく人気のきなことあんこの力餅と抹茶のセットを注文!

手作りのあんこと庄内産のきなこを、つきたての餅にからめた「力餅」は絶品!餅は、ここで杵打ちしているそう。ご家族とともに茶屋を営む高城静恵(たかきしずえ)さんは餅米や小豆など何キロもの材料を背負いながら毎日坂を上っていると聞き、ただただ驚くばかり。静恵さんに会いに来てくれる参拝客も多く、「その方たちのためにも休めない」と言います。
▲優しい笑顔は60年前に嫁いだ時から全く変わりません
▲きなことあんこの「ミックス餅2個セット」抹茶付き 500円(税込)
▲つきたて餅のやわらかさと優しいあんこの甘さが最高!
▲絶景と力餅で、疲れも吹っ飛びます
さて、元気を取り戻したところで再び山頂を目指します。勾配は「二の坂」よりも急ではないものの、距離が長い「三の坂」へ。

縁を結ぶ神社で、お守りを結ぶ

縁結びの神社として、特に若い女性に人気の「埴山姫神社」は「三の坂」の途中にあります。

イザナミノミコトの糞から生まれた土の神様、ハニヤマヒメノミコトを祀っているとのこと。
▲「埴山姫神社」にお参りするためだけに羽黒山を訪れる女性も多いとか

本来は、田畑の土、粘土、焼き物の陶土などを司る神様ですが、「モノを生み出す」ということで、現在は安産や恋愛成就に限らず、縁を呼ぶパワースポットとして多くの人が訪れています。
▲まずはしっかりと手を合わせて
▲格子にお守りの紐を結んで、縁結びの神様にお祈りを

お守りは、「埴山姫神社」から上って数分の山頂にある「三神合祭殿」の右隣にある「参集殿」で購入します(1,000円)。社の格子にお守りの赤い紐を結んでお祈りすると縁結びのご利益があるとされています。
▲お守りの赤い紐がびっしりと。とってもご利益がありそう

山頂にも神々しい世界がありました!

「埴山姫神社」から数分石段を上ると、赤い鳥居が見えてきました。ようやく山頂に到着です。
▲石段を上り切った参拝客を出迎えてくれる大きな鳥居
▲「着いたぁ!早坂さん、ありがとうございました!」

山頂には、月山・羽黒山・湯殿山の三神を祀った日本随一の大社殿「三神合祭殿」があります。
▲ここから、山頂の案内をしてくださるのは、山伏の大川明隆(めいりゅう)さん
▲現在の社殿は文政元(1818)年に再建したもの

厚さ2.1mという日本最大級の茅葺屋根を持つ社殿の存在感に圧倒されてしまいます。内部は総漆塗りで、山伏が滞在する長床(ながとこ)など、歴史的に貴重な構造が残っているのでこれは必見です。
▲研ぎ澄まされた静寂さを放つ鏡池

社殿の前方にある鏡池は、池そのものがご神体と考えられ、羽黒神が姿を現す池として信仰されてきました。古代から人々は銅鏡に願いを託し、池に納めたそう。池の中から多くの銅鏡が出土したことからも、ここが羽黒信仰の中心だったと考えられ、「池の御霊(みたま)」とも呼ばれています。池の大きさは18m×28mほどの楕円形をしています。

水面を覆っているのは夏に黄色の花をつけるコウホネ。一年を通して水位が変わらず、山頂に池があるというのは不思議ですね。

参詣の最後は「いけのみたま心願参り」

ここでは、平安時代から伝わる習わしを今に蘇らせた「いけのみたま心願参り(鏡池特別地中納鏡)」を体験することに。
▲まずは、紙に願いを書いて
▲「複数の願い事でも大丈夫!」と教えられ、4つの願い事を書いちゃいました!
▲納鏡用の鏡
▲辺りを案内してもらいながら納鏡するご神域へ
▲正面には「三神合祭殿」が!納鏡の時以外、通常は柵の中に入ることができません
▲池に向かって法螺貝を吹き、祝詞奏上を唱える大川さん
▲鏡と願い事を書いた紙を池に奉納します
▲「願い事が叶うといいな」
▲静寂な中に法螺貝の音が響きます

いけのみたま心願参り(鏡池特別地中納鏡)の所要時間は30分程。参拝料金は一人2,000円(税込)で、料金には納鏡用鏡や願い事を書く紙などが一式含まれています。現地で受付が可能なことと、羽黒山ならではの山伏さんによる案内もうれしいですね。他に、「三神合祭殿」のお参りと御朱印、昼食付きのセットプランや、荘厳な太々神楽(だいだいかぐら)の見学がセットになったプランなども。詳しくは羽黒山レストハウス(0235-62-2122)までお問い合わせを。

羽黒山はその全てがパワースポット。今回は「随神門」から「三神合祭殿」のある山頂まで羽黒山の魅力を訪ね歩きましたが、体力的に自信が無いという方は車で山頂まで行くことができます(羽黒山有料自動車道を使用/通行料金 普通車400円・税込)。山岳信仰、山岳修験の聖地で、いつもと違う時間を過ごしてみませんか?

※羽黒山は通年参拝できますが、積雪のため、国宝「五重塔」から山頂までは通行できないこともあります。なお、羽黒山有料自動車道は除雪するため、山頂まで車での通行が可能です。詳しくは羽黒町観光協会へお問合せください。

撮影:佐藤友美
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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