別府冷麺おすすめ3選。別府が誇る大人気ローカル麺を堪能!

2015.06.17

別府といえば温泉。世界に誇る湧出量、多様な温泉の種類で、これまで多くの人々を魅了してきました。古くから温泉地として栄えていた別府ですが、その存在感が際立ったのは戦後でした。そんな別府を語る上で欠かせない人物が油屋熊八さんです。「山は富士、海は瀬戸内、湯は別府」というキャッチコピーを考案し、その言葉通り、泉都「別府」を広く認知してもらうため、私財を投げ打って観光開発に力を尽くしてきました。その功績が称えられ、別府駅前には熊八さんのブロンズ像が建てられています。

別府が観光開発の波にのる戦後、町には今も愛されるご当地グルメが生まれました。それが「別府冷麺」です。第二次世界大戦の中、空襲による被害を受けなかった別府は、戦後になると大陸から引きあげてきた人々が暮らし始めました。その際に、朝鮮の食文化も伝わったそう。その一つが「朝鮮冷麺」です。その後、日本人の舌に合うよう、和風にアレンジされたのが「別府冷麺」でした。別府と冷麺って一見関係なさそうですが、実はそんな歴史的な背景があったのです。

惜しみなく使った昆布出汁が贅沢な冷麺

今では市内に星の数ほど「別府冷麺」の提供店があります。実際のところ、お店によってどう違うのか。そんなことが気になり、人気店をハシゴしてきました。

最初に訪れたのが、創業は2002年と比較的新しいお店ですが、連日行列ができるほどの人気を誇る「六盛 松原店」。こちらの「冷麺」(750円・税込)は、店主が幼い頃から親しんだという「焼肉 大陸」(現在は閉店)の味を独自に再現しています。
スープは釧路産の厚葉昆布、さらに羅臼昆布を使ってとった出汁が決め手。昆布の豊かで上品な旨みが味を支えています。キムチにはキャベツを使用。「キムチの辛味が合わさるのを想定してスープの濃度を整えています」と店主は笑顔で教えてくれました。麺は手延べ製法で作られていて、コシが強く、ソバの風味も強め。

創業半世紀の発祥店で冷麺を味わう

次に訪れたのが、終戦直後から別府冷麺の味を伝える老舗「胡月(こげつ)」です。今は亡き先代が旧満州で食べた冷麺を日本人の舌に合うよう、和風にアレンジ。今日まで伝わる「別府冷麺」を生み出した元祖の店とされています。半世紀以上経った今も、先代から受け継いだ味は変わりません。中には親子4代にわたって通っているファンもいるとのこと。
さっそく「冷麺」(700円・税込)をオーダー。まずはスープをひと口飲んでみると、確かに和ダシの香りと風味がしっかりと主張しますが、それに負けないくらいにコクがあるスープに感激。色は琥珀色で、力強い味わいです。聞くと、スープには天然水を使っているそう。麺は作り置きをせずに注文を受けてから作っているとのことで、噛むたびに力強い弾力とソバの風味が口に広がります。ちなみに、麺とスープを温かくした温麺も好評。気になるのがキムチ。「胡月」では、材料はキャベツで、スープの風味を最大限に活かすため、酸味が主張しすぎないように発酵させているそうです。

昔ながらのすっきり味が地元で人気

最後に訪れたのが「きりん亭」。開業は1974年で、「胡月」に次ぐ別府冷麺の老舗です。なんでもこちらのお店の創業者は「胡月」の先代のもとで修行して開業されたそうで、元祖の味を今に引き継ぐ希少な存在です。
創業から40年以上経っても常連客に支えられている、まさに地元密着の名店。「昔から変わらない」と常連たちをして言わしめる「冷麺」(650円・税込)は、ゆで卵、牛チャーシュー、キムチ、ネギ、ゴマという王道の佇まいです。店内にある製麺機によって注文ごとに作られていく麺は中太で、むっちりした食感。牛でとった出汁に昆布出汁を合わせたスープは一晩冷蔵庫で寝かし、浮いてきた油を取り除くことで、すっきりした後味に仕上げています。キャベツを用いたキムチは酸味がやや強めです。
今回、3軒の別府冷麺を食べ比べてみましたが、ほとんど同じ材料を使っているにも関わらず、どこも違う魅力がありました。しかも聞いたところによると、別府冷麺の麺は大きく2種類あって、冷麺の専門店はやや太めで、焼肉店では中細だそうです。そうなると、今度はぜひ焼肉店で別府冷麺を食べてみたくなりました。何より、冷たくって、つるりと味わえる冷麺は夏にぴったり。湯上りのほてった体をクールダウンするのにうってつけですよ。
山田祐一郎

山田祐一郎

日本で唯一(※本人調べ)のヌードルライター(麺の物書き)として活動。麺の専門書、地元の情報誌などで麺に関する執筆を続ける。7月には福岡のうどん文化を一冊にまとめた自費出版本「うどんのはなし」を上梓。福岡市内の一部書店、オフィシャルwebサイト、掲載されるうどん店などで販売する。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。

こちらもおすすめ

もっと見る
PAGE TOP