養殖真珠誕生の地「ミキモト真珠島」で、魅惑の輝きを放つ真珠に迫る

2016.10.17

三重県鳥羽市にある「ミキモト真珠島」は、真珠に関するさまざまな展示施設のほか、海女さんの実演を見ることもできる真珠の魅力もりだくさんのスポット。真珠のテーマパークとして、観光客にも大人気なんです。

▲直径約19mmの真珠は圧倒されるほどの存在感!
レザーのクッションに鎮座する神々しいこちらの真珠。「ミキモト真珠島」内の「パールプラザ」で展示販売されているもので、そのお値段なんと3,400万円也。 
まずは、お値段に驚きですが、圧巻のその大きさや輝きには、目が釘付けです。

というわけで、今回のテーマは真珠。
真珠の魅力を存分に堪能できる「ミキモト真珠島」をご紹介します。

養殖真珠誕生の地「ミキモト真珠島」

「ミキモト真珠島」は、JR・近鉄鳥羽駅から徒歩約5分のところにある鳥羽湾に浮かぶ小島です。ここは、真珠王と呼ばれた御木本幸吉(みきもとこうきち)が世界で初めて真珠の養殖に成功した地。

約7,000坪の島内には、「真珠博物館」や「御木本幸吉記念館」をはじめ、海女さんが繰り広げる潜水実演の見学などもでき、島全体がまさに真珠のテーマパークになっているんです。
▲右側のパールブリッジの先に見える小さな島が「ミキモト真珠島」
志摩半島と島とを結ぶパールブリッジを渡って島内へ。
まずは、海女さんの実演が見学できるスポットへと向かいました。

磯着姿の海女さんたちによる実演

明治26(1893)年に養殖真珠が誕生するまで、日本では真珠を宝石としてではなく万能薬として使っていたため、海女さんたちはアワビやサザエなどの漁の合間に、アコヤ貝を拾って天然真珠を集めていました。 

真珠の養殖が盛んになった大正時代からは、母貝となるアコヤ貝を採ったり、貝の世話をするために海へ潜るようになったのだそう。 

今は養殖技術が発達したため海女さんが潜水する必要性はなくなりましたが、「ミキモト真珠島」では、台風の接近時など以外、一年を通してほとんど毎日1時間ごとに、昔の作業を再現した海女さんによる実演を行っています。
今では、昔ながらの白い磯着を身にまとった海女さんの実演が見られるのは、ここ「ミキモト真珠島」だけになってしまいました。

なぜ白い磯着なのか…?
それはサメなどに出合ってしまったときに、海の中で体を大きく見せる白い色の磯着で、威嚇するためなのだそう。

「ブロロロロ…」
3人の海女さんを乗せた磯舟が観覧スタンドの近くにやってきました。
浮き輪を兼ねた磯桶といっしょに飛び込んだかと思うと、桶だけを水面に残して海女さんは海の底へ。
水深約5mのところまで潜っているのだそう。
あっ!水中に白い磯着が…。
姿が見えなくなってから、1分ほど経ったでしょうか。アコヤ貝を手にした海女さんが水面に上がってきました。
「お~っ!」
観覧スタンドは一気に盛り上がり、拍手喝采!

「スィー。スィー。スィー。」
海女さんがなにやら口をすぼめて口笛を吹いています。
これが「日本の音風景100選」にも選ばれている「伊勢志摩の海女の磯笛」。
息を止めたまま深い海に潜って作業をしたあと、急に大きく呼吸をすると肺や心臓を痛めてしまうため、磯笛を吹いて呼吸を整えるんですって。
なんとも風情ある音色です。

時を超えて輝きを放つ「アンティークジュエリー」

次にご紹介するのは、4つの展示室で楽しませてくれる「真珠博物館」です。

第1展示室には、養殖真珠が発明されるまでの天然真珠を使ったアンティークジュエリー約60点が展示されています。
▲帝政ローマ時代(紀元前後)のネックレス
上の写真は、マートルの木の葉をモチーフにしたものに金箔を施したもの、小さな真珠、緑色の石を使ってつくられたネックレスです。

マートルは、ギリシャ神話の中で愛の女神“ヴィーナスの木”とされ、地中海沿岸の国々で古くから親しまれてきた白い花を咲かせる木。およそ2000年前のものですが、金箔の部分には光沢も残っていて、とても美しい状態です。
▲迫力のあるデコボコとした形のバロック真珠でつくられたペンダント「雄羊」(1590年頃)

日本の伝統技術が光る「美術工芸品」

第2展示室には、明治から昭和初期にかけて制作されたミキモトクラシックのコレクションや、真珠をふんだんに使用した美術工芸品などが展示されています。
▲ミキモトスタイルを象徴するジュエリー「矢車」
昭和12(1937)年にパリ万国博覧会に出品され話題を集めた「矢車」。その後いったん市場に出されたものが、半世紀を経た平成元(1989)年にニューヨークのオークションに出品され、再び「ミキモト真珠島」に戻ってきたのだそう。

ブローチ、帯留め、髪飾りや指輪など、部品の組み合わせによって12種類のデザインに変化する「矢車」は、ドライバー1本で分解や組み立てができる多機能ジュエリー。

日本の伝統的なモチーフをアレンジしたデザインと、錺り職(かざりしょく)の技が光る逸品です。
▲平成5(1993)年、養殖真珠誕生100周年を記念して制作された「夢殿」
日本の伝統工芸である貝や漆の加飾技術を駆使して制作された「夢殿」には、9,320個の選りすぐりの真珠が使われていて、屋根上部の先端には直径約13.4mmの南洋真珠が輝いています。

切断した黒蝶貝を一枚一枚重ねて貼り合わせた屋根瓦の繊細な美しさは息をのむほど。
屋根の下では、金箔を施した干支がサファイアやルビーなどの誕生石を抱いた、きらびやかな作品です。
見る角度によってさまざまな表情をみせる「地球儀」。
地球本体部分の陸地は22金で表現され、海と湖、軸に施された黄道十二星座は真珠で表現されています。
真珠の数は12,541個、赤道部分にはルビーが377個、黄道にはダイヤモンド373個が使われたゴージャスな作品です。

真珠ができるまでの仕組みや、アクセサリーになるまでの工程を学ぶ

第3展示室では、真珠を育む貝の紹介や真珠ができる仕組みについて、専門スタッフの方が標本や実際に使用されている道具を使って解説してくれます。
また、第4展示室では、貝から取り出した真珠が選別される様子や、ネックレスになるまでのいくつもの工程を知ることができます。

本物の真珠とイミテーションの見分け方もわかってしまいますよ~。見本が置いてあるので、ぜひ体験してみてくださいね。
▲真珠が取引されるときに使われる重さを量る機械(1もんめ=3.75g)
真珠の重さを量るには、養殖真珠が世界の市場に登場するようになった大正末期からずっと変わらず「もんめ」という単位が使われています。現在、真珠の計量だけに使用することができる「もんめ」は、英語で「momme」と表記され、世界でも通用する単位なんですよ。

養殖真珠を日本の特産品として世界に知らしめた御木本幸吉の功績を、あらためて感じますね。

「御木本幸吉記念館」で真珠王・御木本幸吉を知る

▲海女さんたちの呼びかけによって建立された御木本幸吉の銅像
真珠の養殖技術の確立によって、世界中から賞賛され真珠王と呼ばれるようになった御木本幸吉。

世界の発明王であるエジソンと会談した際には、御木本幸吉からの贈り物の真珠を見つめたエジソンが「私の研究所でできなかったものが二つだけあります。一つはダイヤモンド、もう一つは真珠です」と感嘆したのだとか。
▲美しい日本庭園の中に佇む「御木本幸吉記念館」
「御木本幸吉記念館」では、御木本幸吉の生い立ちから偉業を成し遂げるまでの波乱に満ちた暮らしぶり、独特の人生哲学、個性あふれるエピソードなどが写真やパネルで紹介されているほか、御木本幸吉がどこへ行くときも常に腰にぶらさげていたという矢立て(携帯用の墨と筆)や、恵比寿像などのコレクションも展示されています。
▲館内に再現された御木本幸吉の生家のうどん屋「阿波幸(あわこう)」

島内のパワースポットを巡る

「ミキモト真珠島」には、「珠の宮」「願いの井戸」「らぶらぶの石」の、3つのパワースポットがあるんです。
それではそれぞれをご紹介していきましょう。
▲パワースポットその1「珠の宮」
「珠の宮」の主祭神豊受気姫命(とようけひめのみこと)と大山祗命(おおやまつみのみこと)は、夫婦でありながら海に隔たれた地に鎮座しているため、夜な夜な白い龍蛇に化身して海を渡り相通ったという伝説が残っています。

このような言い伝えから「珠の宮」が縁結びの神として信仰されるようになったほか、日ごとに手を合わせていた御木本幸吉が真珠の養殖を成功させたことから繁栄、また96歳の天寿をまっとうしたことから長寿などのご利益があると崇められています。

しっかりと手をあわせて、「縁結び」「繁栄」「長寿」を祈願しましょう。
▲パワースポットその2「願いの井戸」
「珠の宮」のすぐ横には、「願いの井戸」と呼ばれる古井戸があります。
備えてあるアコヤ貝の貝殻に願い事をひとつ書き、井戸の中へ。
貝殻が沈むまでに心の中で願い事を念じると、いつの日かその願いが叶うのだとか。

ひとつといわれて、欲張りな書き方をしてしまった私ですが、はてさてこの願いは聞き入れてもらえるのでしょうか…?
▲パワースポット その3「らぶらぶの石」
海女さんの一人が発見して命名した、御木本幸吉像の近くにあるハート型の「らぶらぶの石」。 
ご利益のほどは謎ですが、とりあえず撫でてみましょう。 
いいことがあったら、この「らぶらぶの石」のおかげと思ってくださいね。

レストラン阿波幸でいただく「真珠定食」

「パールプラザ」の2階にある「レストラン阿波幸」では、真珠島ならではの食事が楽しめます。
なかでもおすすめなのが、伊勢うどんのほかにアコヤ貝の貝柱を使ったお料理が盛りだくさんの「真珠定食」。
▲「レストラン阿波幸」の「真珠定食」1,500円(税込)
もちもちした食感が特徴の伊勢うどんは、たれを絡めていただく甘さをおさえたあっさり味。
優しい味付けの貝柱のしょうゆ煮や、貝の甘みが楽しめる貝柱のうに和え、贅沢に使われれた貝柱の旨みが染みた炊き込み御飯など、真珠島ならではのメニューに大満足。

アコヤ貝の貝柱は、そのほとんどが地元で消費されるため、ほかではめったに食べることのできない希少なもの。なにより窓の外に広がる青い海を眺めながらいただく食事は最高です。

優雅に買い物が楽しめる「パールプラザ」

お腹も満たされたところで、次はショッピングを楽しみましょう!
ゆったりとしたフロアの「パールプラザ」1階。
ショーケースの中には、顔がゆるんでしまうほど美しい真珠製品が並んでいます。
▲パールネックレス 37,800円(税込)
家宝として代々受け継がれるような高価なものだけでなく、ちょっと頑張れば手の届くもの、自分用のおみやげやプレゼントとして手軽に買えるものまで豊富な品揃えのパールジュエリー。

見ているだけで、うっとり…。幸せな気分になります。

華やかに輝く宝石は時として身に付ける人を負かしてしまうことがありますが、ひかえめで上品な輝きのパールは身に付ける人を必ずや引き立て、輝かせてくれます。
それが時代を超えて人々を虜にしてきた所以なのでしょうね。
▲「ドーマン・セーマン アクセサリー」500円(税込)
手軽なお土産として人気の、キラキラ輝くアコヤ貝の貝殻でできた「ドーマン・セーマン アクセサリー」。

貝殻に彫られたドーマン・セーマンと呼ばれるマークは、古くから海女さんたちに魔除けのおまじないとして伝えられてきたもの。貝を採るための道具に彫刻したり、頭に巻く手ぬぐいに刺繍したり、海での安全を願うお守りとして身に付けられてきました。
▲「パールアイランドマドレーヌ10個入」1,512円(税込)
真珠島入り口の売店で販売されている、アコヤ貝の形をしたかわいいマドレーヌ。
生地にはアコヤ貝から抽出したパールシェルカルシウムが入っています。
表面はサクッとして中はしっとり。芳醇なバターが香る、お土産に一番人気のお菓子です。
▲鳥羽湾の島々を望む見晴し台
「ミキモト真珠島」は、とても小さな島ですが、美しくて神秘を感じる島。
真珠に囲まれて島で過ごした時間は、とてもゆったりと贅沢なものでした。

真珠博物館やパールプラザで魅惑の輝きを放つ真珠を楽しんだ後は、余韻にひたりながら美しい庭園や、野鳥がさえずる自然林を、のんびり散歩してみるのもおすすめですよ。
Yukitake

Yukitake

三重の雑誌「Edge」をはじめ、さまざまな雑誌・情報誌において、グルメ・観光などの記事を執筆。女性目線の取材とソフトな文体を大切にしています。

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