標高2,612mの「千畳敷カール」は、ロープウェイで気軽に行ける天空の絶景スポット

2017.09.26

アルプスならではのダイナミックな風景が広がる標高2,612mの「千畳敷カール」。四季折々の自然の美しさを登山初心者でも満喫できる人気の観光地です。山岳ロープウェイを使い、かつてはアルピニストしか体験できなかった雲上の世界と大自然の絶景を気軽に楽しむことができます。

ロープウェイで約8分。ラクラク行ける山岳リゾート

長野県南部の中央アルプス宝剣岳(標高2,931m)直下に広がる通称「千畳敷カール」。「カール」とは、氷河期の氷で侵食されて形成されたお椀型の地形のことで、「千畳敷カール」は畳を1,000畳敷いたほどの広さがあることから名付けられました。春~夏は高山植物のお花畑、秋は息を呑むほどの紅葉、冬は雪山と、四季を通じて素晴らしい絶景に出合える名所です。
▲高山帯に広がる千畳敷カール。9月下旬~10月上旬には、赤や黄色に色づく美しい紅葉が楽しめます
▲短くも鮮烈な印象を残す夏。咲き誇るのは、千畳敷の代表花「シナノキンバイ」(出典:駒ヶ根市観光協会ライブラリー)
▲7~8月には、夏のアルプスを代表するユリ科の花「ミヤマクロユリ」を見ることも(出典:駒ヶ根市観光協会ライブラリー)
▲厳しい寒風にさらされる千畳敷カールの冬。2万年前の未知なる氷河期を思わせる神秘的な光景が広がります(出典:駒ヶ根市観光協会ライブラリー)

そんな千畳敷カールへのアクセスは、マイカーの乗り入れが規制されているため、路線バスと通年営業の「駒ケ岳ロープウェイ」を使用します。「菅の台バスセンター」または「黒川平駐車場」に車を停め(駐車料いずれも税込600円)、そこから路線バスで約30分。ロープウェイ乗車口の「しらび平駅」に向かいます。
▲「菅の台バスセンター」のきっぷ売り場。ここで路線バスとロープウェイがセットになった往復乗車券(税込3,900円)を購入できます

路線バスで「しらび平駅」に到着したら、次はロープウェイに乗り換え。終点の「千畳敷駅」まで、約7分30秒の空中散歩を楽しみます。なお、「しらび平駅」までの路線バスは、JR駒ヶ根駅前や、高速バスが発着する駒ヶ根バスターミナル入口の停留所「すずらん通り」などからも出ています。

ちなみに、このバスとロープウェイ、夏の高山植物や秋の紅葉などのハイシーズンにはとても混雑するのでご注意を(混雑時は臨時便あり)。
▲取材に訪れた8月、ロープウェイ乗り場の「しらび平駅」では長蛇の列が!さらに列がのびると整理券が配布されます
▲係員の案内に従って、60人ずつロープウェイに乗車。通常は30分間隔ですが、混雑時は10分間隔で運行します
▲窓からは日本最大級の連瀑である「中御所38滝」や「大滝」「日暮の滝」などの滝を眺めることも。滝の写真を撮影するならロープウェイの山肌側へ
▲こちらは紅葉シーズンのロープウェイの様子

終点の「千畳敷駅」は標高2,612m、日本一高い場所にある駅です。ここから周辺散策を楽しんだり、宝剣岳(標高2,931m)や日本百名山のひとつである木曽駒ヶ岳(標高2,956m)などへ登山に向かう人もいます。なお、周辺散策といえども山の天候は急変しやすく、夏でも日陰は肌寒いことから薄着は禁物。重ね着や防寒対策、雨具の用意は必須です。

一周40分ほどの絶景トレッキングを満喫

千畳敷駅を一歩出ると、すぐ目の前には日本とは思えない絶景が広がっていました。屏風のような白い岩肌と間近に迫る大自然は、目を見張る美しさ!さらに下界の方向には南アルプスの峰々を望めます。天候に恵まれると富士山も見えるのだそう。
▲眼前に迫る千畳敷カールの絶景
▲遠くには連なる峰々が。一番奥に見える稜線が南アルプスです

周辺には、高低差が少ない一周約40~50分の遊歩道が整備されています。そこで、ぐるりと周回することにしました。
▲まずは、駅からすぐ近くの駒ヶ岳神社でトレッキングの安全を祈願
▲きれいに整備されて歩きやすい遊歩道

それにしても、間近に迫るカールのスケールは想像以上。その大きさに圧倒されます。標高が高いため空の青色もとても深く、白く険しい岩肌と草の緑とのコントラストが見事。山向こうの雲の流れもとても早く、雲上の世界にいることを感じさせます。
▲青空と千畳敷カールの自然美は下界では体験できない素晴らしさ
▲20分ほどで到着した「八丁坂分岐点」から山側を見上げると、本格的な登山道が続いています。ここから先は登山靴などの装備が必要
▲千畳敷カール一帯を眼下に望んだ風景からは、そのスケールの大きさを実感できます。写真右側にあるのは、ロープウェイ駅に併設されている「ホテル千畳敷」

目の前に紅葉が押し寄せる秋は必見の美しさ!

どの季節に来ても美しい千畳敷カールですが、その中でもぜひ訪れてほしいのが紅葉真っ盛りの9月下旬~10月上旬。ナナカマドの赤とダケカンバの黄色、ハイマツの緑と白い岩肌というカラフルな色彩の風景は、この季節ならではです。
▲紅葉シーズンの千畳敷カールは、まさに錦秋の装い!自然がつくり出したアート作品のよう(出典:駒ヶ根市観光協会ライブラリー)

また、散策ルートの中で、一番の絶景スポットと言われている「剣ケ池」も必見です。ここは「八丁坂分岐点」から15分ほど、散策ルートの一番下にあたることから、千畳敷カール全体を下から見渡せるスポットなのです。
▲「剣ケ池」からの眺望。「剣ケ池」は夏のわずかな期間のみ水が溜まる池で、水面に映し出される千畳敷カールもまた見事です
▲秋の「剣ケ池」。横にはベンチなどが備えられた広場があり、食事や休憩をすることもできます

どんなに眺めていても飽きることのないほどの絶景を前に、時が経つのも忘れてしまいそう。ここから10分ほど歩くと千畳敷駅へと戻りますが、帰るのが名残惜しく、離れることができませんでした。

ほとんど歩かずして天空の絶景に出合える千畳敷カール。「また別の季節にもぜひ訪れたい」。そう強く誓った散策となりました。
▲千畳敷カールは自然環境保護のため、遊歩道以外は立ち入り禁止。ペットの同伴が禁止されており、動植物の採集、移動、持ち出しも禁止です(落葉や落枝、枯れ木を含む)

温泉で疲れを癒やし、ご当地グルメでお腹を満たそう

散策で汗をかいた後に楽しみたいのは、やっぱり温泉です。千畳敷カールの麓、駒ヶ根高原に湧き出るのは「早太郎温泉郷」。アルカリ性単純温泉の湯は、美肌効果のほかに筋肉痛や神経痛、関節痛などにも効能があると言われています。

「菅の台バスセンター」からわずか200mほどの日帰り入浴施設「こまくさの湯」では、露天風呂から中央アルプスを望め、大自然を感じながらの入浴が楽しめます。
▲日帰り温泉施設「こまくさの湯」。目の前に路線バスの停留所もあり、マイカー以外のアクセスも便利です
▲見晴らしのよい露天風呂の他、薬湯やジェット風呂、サウナなどもあります
温泉でリフレッシュしたら、次に満たしたいのは空腹です。地元・駒ヶ根のご当地グルメといえば、甘辛いソースにくぐらせた豚かつをご飯とキャベツの上にのせた「ソースかつ丼」。市内には45以上のソースかつ丼提供店があるそうですが、なかでも有名なのが、信州産の豚肉を贅沢に使った「明治亭」です。

「菅の台バスセンター」近くの「明治亭 中央アルプス登山口店」では、川のせせらぎや季節ごとの景色を楽しめるオープンデッキで食事をすることができます。
▲緑に囲まれた2階建てのオープンデッキでは、周囲の自然や吹き抜ける風を感じながら食事ができます

ソースかつ丼は、ロース、ヒレ、エビフライ&ヒレの3種類があり、今回は一番人気のロースかつ丼(味噌汁・お新香付き、税込1,447円)を注文。ソースや辛子を好みで添えていただきます。甘辛いソースと辛子の相性がとてもよく、ぺろりとたいらげてしまいました。
▲蓋が閉まらないほど大盛りのソースカツ丼。この蓋を取り皿のように使って食べる。ごはん少なめ(税込52円引き)や大盛り(税込113円増し)もできます

この登山口店では、当店限定の「登山三登(サンド)」(税込567円)や、「ソースかつどんまん(税込454円)」といったテイクアウトメニューも。4月下旬~11月下旬の間は朝8時からテイクアウトの営業をしているので、ハイキング前に立ち寄って買うこともできます。
絶景だけでなく、温泉やグルメまで楽しめ、アクセスも抜群の千畳敷カール。ここには、いつ訪れても飽きない魅力があふれていました。
島田浩美

島田浩美

編集者/ライター/書店員。長野県出身・在住。信州大学卒業後、2年間の海外放浪生活を送り、帰国後、地元出版社の勤務を経て、同僚デザイナーとともに長野市に「旅とアート」がテーマの書店「ch.books(チャンネルブックス)」をオープン。趣味は山登り、特技はマラソン。体力には自信あり。(編集/株式会社くらしさ)

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