練り物の街だからこその味わい。「小田原おでん」を訪ねる旅
2017.01.05 更新
冬のご馳走として多くの人に愛されるおでんは、地域によって特色がありますよね。今回ピックアップするのは練り物の街、小田原市ならではのタネを楽しめるおでんの店、その名も「小田原おでん本店」。なんとこちらは、フランスの権威ある美食ガイドブックに掲載されたこともあるのだとか。さっそく訪れてみました。

歴史を感じる、ゆったりとした上質な空間
JR小田原駅から「国府津駅・城東高校行き」のバスに乗ること約5分。唐人町で下車し、3分ほど歩いたところに「小田原おでん本店」はあります。歴史のある料亭のような佇まいが印象的です。

▲提灯のあたたかい灯りが、夕闇のなかに浮かび上がる入り口
さっそくなかに入ってみると、そこには洗練された空間が。赤茶色の土壁が店内にあたたかみを与えています。壁の色が幾つかの層にわかれているのは、重なりあう地層をイメージしたのだとか。歴史ある小田原の土地にピッタリですね!
さっそくなかに入ってみると、そこには洗練された空間が。赤茶色の土壁が店内にあたたかみを与えています。壁の色が幾つかの層にわかれているのは、重なりあう地層をイメージしたのだとか。歴史ある小田原の土地にピッタリですね!

▲手前はカウンター席。奥のテーブル席の天板には江戸時代のかまぼこ屋が使っていたまな板が使用されている
そもそもおでんは豆腐やこんにゃく、里芋などに、砂糖などで味付けした味噌をつけて食べた「田楽(でんがく)」に由来します。庶民の間で流行したのは江戸時代からという説が多いですが、田楽自体は平安時代からあったのだとか。長い伝統のある料理なのですね。
そもそもおでんは豆腐やこんにゃく、里芋などに、砂糖などで味付けした味噌をつけて食べた「田楽(でんがく)」に由来します。庶民の間で流行したのは江戸時代からという説が多いですが、田楽自体は平安時代からあったのだとか。長い伝統のある料理なのですね。

▲会席やコース料理が楽しめる茶室
「小田原おでん本店」には、カウンター席とテーブル席の他に、離れの茶室もあり、「風琴(4,700円・税込)」や「水琴(6,300円・税込)」といった会席料理や「茶室deランチ(3,200円・税込)」といったランチコースを楽しむことができます。茶室でおでんなんて、なんだか乙ですね。
「小田原おでん本店」には、カウンター席とテーブル席の他に、離れの茶室もあり、「風琴(4,700円・税込)」や「水琴(6,300円・税込)」といった会席料理や「茶室deランチ(3,200円・税込)」といったランチコースを楽しむことができます。茶室でおでんなんて、なんだか乙ですね。
「小田原おでん」誕生秘話
そもそも小田原おでんは、まちおこしの1つとして2003年に誕生したそうです。昔より、小田原はさつま揚げやかまぼこなど練り物産業で栄え、その歴史は500年にも及びます。そんな老舗のかまぼこ屋13店が、それぞれこだわりのおでんタネを作っておでんを小田原の名物にしようとしたのがはじまりなのだそうです。

特徴は、煮込んでもタネ一つ一つの味の個性がしっかり生きているところ。ふつうは出汁で煮込むことでそれぞれのタネの味が薄れがちですが、老舗のかまぼこ屋によって作られたこだわりのタネは、それぞれの特徴が薄れることはありません。
また、出汁もタネの味わいを消さないようかつおと昆布に塩のみで味付けをしているのだとか。
今では、すっかりこの地に根付き、小田原城では毎年「おでんサミット」なるものが開催されるほどの盛況ぶり。小田原おでんダネの種類は現在40種類にも及び、毎年おでんサミットで最優秀賞に選ばれたおでんが、加えられていくことになっています。
また、出汁もタネの味わいを消さないようかつおと昆布に塩のみで味付けをしているのだとか。
今では、すっかりこの地に根付き、小田原城では毎年「おでんサミット」なるものが開催されるほどの盛況ぶり。小田原おでんダネの種類は現在40種類にも及び、毎年おでんサミットで最優秀賞に選ばれたおでんが、加えられていくことになっています。
「小田原おでん本店」でしか味わえない絶品おでんに舌鼓
お腹も空いてきたところで、さっそくおでんをいただくことにします。こちらが人気メニューの「おまかせ五品(850円・税込)」。

手前から時計回りに、いか墨つみれ、えび天、大根、金目なると、地鶏入り揚げつくねです。薬味は梅みそ、わさび醤油、からしの3種類が用意されています。梅は小田原の特産物の一つ。この梅みそにつけていただくのが、小田原流なんだとか。

まずは、金目なるとをいただきます。しっかりした歯ごたえのあとに金目鯛の上品で華やかな味わいが感じられます。タネ本来の味をちゃん感じられるところは、さすが小田原おでん。からしと一緒に食べると、ほんのり甘みを感じる味にアクセントが効いて絶品です。

お次は、地鶏入り揚げつくねをパクリ。噛めば噛むほど旨みが口いっぱいに広がります。こころも体も温まる美味しさです。どの薬味とも相性バッチリですが、ジューシーさを感じるこちらのタネは、わさび醤油と合うようです。
続いて大根を。ここは、やはり小田原名物の梅みそでいただきたいと思います。
続いて大根を。ここは、やはり小田原名物の梅みそでいただきたいと思います。

汁の旨味をたっぷりと吸った大根とさっぱりとした梅みそがよくマッチします。熱いけれど、止まらない。どこか懐かしく、やさしい味わいが箸をすすめます。
全部で40種類ほどある小田原おでんのタネ。他にも「しらす団子(290円・税込)」や「焼きあじつくね(290円・税込)」、「小田原さつま(190円・税込)」など気になるタネがたくさんあります。
「小田原おでん本店」には、小田原おでん以外にも魅力的なメニューがたくさん。こちらは、お店オリジナルの牛すじ(420円・税込)です。
全部で40種類ほどある小田原おでんのタネ。他にも「しらす団子(290円・税込)」や「焼きあじつくね(290円・税込)」、「小田原さつま(190円・税込)」など気になるタネがたくさんあります。
「小田原おでん本店」には、小田原おでん以外にも魅力的なメニューがたくさん。こちらは、お店オリジナルの牛すじ(420円・税込)です。

口に入れると、噛まずともお肉がとろけ出します。なんて濃厚な味わいなのでしょう!味噌をベースにした特製のダレともよく合っています。こちらは、味付けから煮込みまで3日間と大変な手間ひまがかかっているものなのだそうです。
続いていただいたのは、「あじの押し寿司(620円・税込)」。あじは小田原の名物の一つであり、相模湾で水揚げされたものは特に美味なのだとか。
続いていただいたのは、「あじの押し寿司(620円・税込)」。あじは小田原の名物の一つであり、相模湾で水揚げされたものは特に美味なのだとか。

適度に脂がのったあじと、さっぱりした酢飯の味わいがなんとも上品な一皿です。あまりの美味しさに、ペロッと食べてしまいました。
「小田原おでん本店」の魅力はまだあります。豊富な地酒をはじめ、おでんと合うワインや焼酎、日本酒などといったお酒がたくさんそろっています。
「小田原おでん本店」の魅力はまだあります。豊富な地酒をはじめ、おでんと合うワインや焼酎、日本酒などといったお酒がたくさんそろっています。

「地酒の飲み比べセット(1,000円・税別)」もあります。店主の露木さんが、じっくりとお酒がもつストーリーを教えてくれます。美味しいおでんを食べ、選りすぐりの地酒をいただいただけで、小田原という土地がなんだか身近に感じられるのが不思議です。

▲話上手な店長の露木さん。優しそうな笑顔が印象的
最後は、デザートの「梅ジャムアイスクリーム(360円・税込)」をいただきます。甘いアイスと小田原名物の甘酸っぱい梅ジャムの味が絶妙です。
最後は、デザートの「梅ジャムアイスクリーム(360円・税込)」をいただきます。甘いアイスと小田原名物の甘酸っぱい梅ジャムの味が絶妙です。

「小田原おでん本店」には、他にも旬の野菜をいただける「季節の野菜おでん」や、横浜肉しゅうまいや、里芋だんごといった「変わりおでん」、また旨みが凝縮されたおでん出汁でご飯をいただく「おでん茶漬け」など様々なメニューがあります。
夕方の早い時間から席が埋まることもあるため、事前の予約がおすすめです。
練り物の街、小田原を感じられるおでんを食べに、ぜひ「小田原おでん本店」を訪ねてみてください。
夕方の早い時間から席が埋まることもあるため、事前の予約がおすすめです。
練り物の街、小田原を感じられるおでんを食べに、ぜひ「小田原おでん本店」を訪ねてみてください。
小田原おでん本店
神奈川県小田原市浜町3-11-30
[営業時間] 11:30~21:00(平日14:00~16:00は休み)※平日月曜はランチのみ、茶室は12:00~21:00(前日まで要予約)
[定休日]なし
0465-20-0320

立岡美佐子
編集プロダクション・エフェクト所属の編集者&ライター。好きなものは、旅行とごはん。おいしいものやステキな景色のためならば、日本といわず世界各国どこへでも! 住まい、旅、食、街などジャンルを問わず執筆中です。 編集:山葉のぶゆき(エフェクト)
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