名湯「登別温泉」の泉源を散策し、天然温泉が流れる川で足湯を楽しむ!

2016.11.01 更新

湧き出る泉質が9種類もある北海道の登別温泉。噴気や熱湯が各所から出る「地獄谷」や、高温の硫黄泉がたまる「大湯沼」など、温泉の源でもある見所が多数あります。これら名湯の証を地元のガイドさんに案内してもらいながら巡りました。散策のシメはなんと、天然温泉が流れる自然の川での足湯!これは最高のツアーでした!

※大正地獄の活動状況によっては、大正地獄周辺と大湯沼川天然足湯周辺は通行止めになることがあります。

まずは“地獄”へ!地獄谷散策

ガイドをしてくれるのは、登別温泉街で自然散策などのガイドツアーを企画している「登別ゲートウェイセンター」。いくつかあるコースのうち、今回は登別温泉の泉源と原始林を約2時間30分で巡る散策コース「泉源ウォッチング」に参加しました。
▲「登別ゲートウェイセンター」のガイド、小林さんに案内してもらいました
▲集合場所は登別温泉街にある「泉源公園」。小林さんと合流し、早速散策スタート!

まずは登別観光の定番スポット「地獄谷」へ。歩いて2、3分の距離ですが、途中の見どころで解説してもらいながら、15分位かけて進みました。
▲登別温泉のトレードマーク、「地獄谷」にちなんだ鬼の像の前でしばし解説していただく

「泉源公園」から続く坂道を上がると、「地獄谷」を見下ろす展望台へ到着。
「地獄谷」は火山の噴火口跡。草木が生えず岩や砂利が転がる荒涼とした巨大なくぼ地で、各所から水蒸気や火山ガスが噴き出し、ところどころ熱湯が湧き出ています。
▲展望台からは「地獄谷」全体を見渡すことができます

「登別温泉のホテルなどで現在使用されている泉源は24カ所あるのですが、そのうち6カ所がここ、『地獄谷』の中にあるんですよ。しかもそれぞれの泉源から湧く泉質がバラバラなんです」
▲記念写真を撮りつつ、壮大な風景を眺めながら小林さんが教えてくれました。

山肌に沿うように続く散策路を奥へと進んでいきます。途中脇道に入り階段を下りると、「地獄谷」の底にある展望スペースまで行くことができます。その一角には薬師如来堂という小さなお社があり、すぐ脇からはミョウバン泉という泉質の湯が湧いています。
▲湯量が少ないため、ここから引いた湯は日帰り入浴施設の「さぎり湯」でのみ楽しめます

明治時代、登別では硫黄の採掘をしていたことがあり、採掘作業の影響で目を傷めた鉱夫がこのミョウバン泉で目を洗ったところ治ったという言い伝えがあります。そのため、目の湯とも言われているそうです。

階段を上がってもとの散策路に戻り、案内を聞きながらさらに先へと歩いていきます。
▲散策路脇の一角。40年位前まではここから温泉が湧き、当時の子どもたちはここで温泉卵を作って観光客へ売ってお小遣い稼ぎをしていたそうです

この先分かれ道があり、二手に分かれます。まずは、「地獄谷」の中ほどまで続く木道を進みます。
左右に広がる視界は植物や動物の気配を全く感じない荒涼とした風景、まさに地獄の中を歩いている気分です。「地獄谷」の真ん中には小さな川があり、各所から湧き出る温泉が入り混じり流れています。
▲さまざまな温泉成分が混ざるためか、川の水(湯!?)は灰色です

小林さん「さて、ここで問題です。“地獄”を流れるこの川は何という名前でしょうか」
私「うーん…、地獄川?」
小林さん「えーっと…(しばし絶句)、あの…、案内の時いつもここで同じ質問をするのですが、9割くらいの方は即答で正解するんですよ…」
私「え、そうなんですか?私わかりません…」
小林さん「三途の川、ですよ」
▲“三途の川”を眺めながら自分の頭の固さを憂いつつ、しばし沈黙…

気を取り直し、“三途の川”を渡って地獄の世界へやってきました。そこにあるのは、散策路の終点、「鉄泉池(てっせんいけ)」です。
▲直径2、3m程度の小さな池のようですが、その正体は地中からブクブクと温泉が噴き出る間欠泉です

池には湯がたまり湯気が出ていますが、おおよそ10分ごとに地中から温泉などがじわじわと湧き出し、ついにはポンプで押し出したかのようにザバザバと激しく湯が溢れ出てくるのです(時間間隔や湯量は一定ではありません)。
お釜の湯がグツグツと煮えたぎるような奇妙な光景。もうもうと湯気が立ちのぼり、硫黄のような、金属のような、不思議な臭気がほんのり漂います。
「この湯の主成分は先ほどと同じミョウバン泉、目にいい湯ですよ」
小林さんがそう語ると、ド近眼な私、湯煙を必死で浴びてみました。

「目にいい湯という意味は目の病に効能があるということで、近眼や老眼が治るものではありませんよ」
私、またも沈黙…。

地球の威力を体感できる“地獄”を後にし、このあとは「大湯沼」へと向かいます。

熱湯をたたえる「大湯沼」と「奥の湯」へ

この先は原始林が密生する山道を進んでいきます。「地獄谷」から「大湯沼」へは山を一つ越えるので、今回の散策ルートでは一番勾配がきつい登り坂や階段もあります。
▲緑とは無縁だった地獄の世界から一転、森林浴を楽しめます
▲散策路途中のナナカマド広場には、真っ赤なナナカマドの実がたくさん!
▲長い階段もあります
▲山を越えて下る途中、「大湯沼」と噴煙が上がる日和山(ひよりやま)が見えます

「地獄谷」から歩いて20分少々、山を下り最初に訪れたのは「奥の湯」。「大湯沼」と隣接していて、ともに日和山が噴火した時の爆裂火口跡にできた、湯の沼です。登別温泉街のホテルなど数軒はここの湯を引いて使用しているそうです。
▲「奥の湯」の沼底からは硫黄泉が大量に湧き出ていて、表面の温度は60~70度、深いところでは110度も!
▲沼の畔の展望台から眺めることができます

湧き出る箇所は一定ではなく、数年前から展望台端の真下からも湧き出したそうです。そのため展望台の一角は立入禁止に。自然相手なので、何が起きるか予測できませんね。
▲「奥の湯」から流れる湯は100mくらい先にある「大湯沼」へと続いています

お隣の「大湯沼」も「奥の湯」と同様、沼底から約130度の硫黄泉が大量に噴出していて、表面温度は40~50度近くになります。
沼の底に堆積する硫黄の採掘が行われていた明治時代、高温の沼の上に作業用のイカダが組まれていたそうです。作業に従事していた方々、サウナのような職場でさぞ暑かっただろうに…と驚きます。
▲「大湯沼」は広い沼なので、背後の日和山とともに写真映えするスポット
▲「大湯沼」の展望スペースでしばし休憩。トイレもあるので、一息入れるのにちょうどよい場所です

シメは天然足湯で散策の疲れを癒す!

「大湯沼」を後にし、今回の散策のハイライト、「大湯沼川天然足湯」へと向かいます。「大湯沼」から溢れ出た湯は大湯沼川という、温泉の川となって流れていきます。この川の畔で、足湯を楽しめるのです!

「大湯沼」から10分ほど歩き、途中「大正地獄」をしばし見学。大正時代に起きた小爆発でできた周囲10m程度の湯の沼です。ここから溢れた湯も川となり、大湯沼川に合流します。
▲小さな展望台から眺めることができます

沼底から温泉が湧き出していて、2011年頃までは10日に1度くらいの割合で湯量の増減を繰り返し、たまに沼が爆発したかと思うほど噴き出して湯を周囲にまき散らすこともあったそうです。今は噴き出すことなく落ち着いていますが、見学する時には念のため用心を。
▲「大正地獄」はさまざまな泉質の湯が不規則に湧き出すため、湯面が白っぽい色の日もあれば、青や灰、黄や緑など、さまざまな色に変わるそうです

「大正地獄」を後にし、灰色の“湯の川”の畔を進みます。
散策路は木の板が敷かれているので歩きやすく快適。とはいえ、柵がない部分が多いので要注意。
「大正地獄」から5分ほど歩くと、「大湯沼川天然足湯」に到着です。
座る場所は水しぶきで濡れていたので、小林さんがお尻の下に敷くアルミのシートを貸してくれました。
▲川べりに木のデッキが続き、デッキの縁に座れるようになっています

靴と靴下を脱ぎ、ズボンをひざ下くらいまでまくりあげて、湯の川へちゃぽん!
「熱いっ!」
思ったより高温で、大声を出してしまうほど。はじめは熱くてヒリヒリするほどでしたが、2、3分すると慣れてきました。
▲ポカポカしてきて、いい湯加減!

川の中のほうへも進んでみました。湯の色は灰色をしていて川底が見えないので、急に深くなっていないか気をつけながら進みます。

ふくらはぎ位の深さの場所もありつつ、まくったズボンが濡れてしまうほど深さがあるところも。さらに川底や淵からも湯が湧いているようで、急に温度が高く感じるポイントも!まさに“湯の川”!
温泉が流れる川で森林浴をしながら楽しめる足湯。2時間近く見学しながら歩いてきた足の疲れも一気に吹っ飛びました。春夏秋冬、いつでも楽しめるのも魅力、これは最高の穴場スポットです!
足湯を楽しんだ後は、20分ほど歩いて温泉街へと戻り、登別温泉の泉源を巡るガイドツアーは終了です。
▲参加記念にポストカードを1人1枚もらえます

泉源を訪ね歩いてみると、迫力ある火山活動の数々が目の前に広がり、地球の神秘に触れたかのような気分になりました。ここから湧き出る湯を引いた登別温泉が名湯であることも確信。そして何よりも、人工物ではない自然の温泉が流れる川で足湯を楽しめるという貴重な体験に大興奮!登別温泉の泉源ウォッチング、最高です。
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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