登別温泉「第一滝本館」で楽しむ7種の「生きたお湯」めぐり

2016.11.24 更新

登別温泉にある老舗旅館「第一滝本館」には泉質が異なる源泉が7つも!大地から温泉が湧き出る観光スポット・地獄谷の目の前にある“温泉天国”で、“地獄”を眺めながらのんびり湯めぐりを楽しんできました。

▲荒涼とした風景が広がる地獄谷を見下ろすように立つ「第一滝本館」

登別温泉のはじまりは「愛妻の湯」

新千歳空港から車で約1時間、登別温泉の観光名所・地獄谷の隣にある「第一滝本館」。創業は1858(安政5)年、登別温泉では一番歴史が古い温泉旅館です。
創始者の滝本金蔵(きんぞう)は、山中に湧く温泉が皮膚の病に効くという噂を耳にし、重い皮膚病に悩む妻を連れて山奥へ入り、湯小屋を作りました。
▲滝本金蔵。元々は江戸の大工で、幌別(現在の登別市内)で駅逓所(えきていじょ=運送業と旅館業を兼ねた施設)の建設に携わっていました(写真提供:第一滝本館)

妻が湯治を始めると効果はてきめん、みるみるうちに快癒したそうです。
病に効く湯を世に広めようと、湯宿をつくり温泉経営をスタート。良質な湯の噂はすぐに広まり、湯治客が増えるにつれ改築や改装を重ね、温泉へ通じる道路の改良や馬車運行も行い、登別温泉が発展する礎を築きました。
▲昭和10(1935)年頃の「第一滝本館」(写真提供:第一滝本館)

現在では年間約280万人もの観光客が訪れる登別温泉。そのはじまりは、「第一滝本館」の創始者、滝本金蔵が妻のためにつくった「愛妻の湯」だったのです。
▲「第一滝本館」には、滝本金蔵と妻が浸かった湯船を再現した【金蔵の湯】があります(写真提供:第一滝本館)

【金蔵の湯】の泉質は、少し緑がかった色をした酸性の湯。皮膚病などが適応症で、露天風呂のほか内湯でも楽しむことができます。

温泉天国!7つの源泉の湯を楽しめる!

「第一滝本館」で楽しめる泉質は、まだまだあります!
第一滝本館の大きな特徴は、【金蔵の湯】をはじめ多彩な泉質と豊富な湯量の温泉があること。地獄谷の中にある泉源から7種類の湯を引き、広さ1,500坪、3階建ての温泉棟の中にある男女計35もの湯船へと注いでいます。
▲登別温泉は1日1万トンの温泉が自然湧出していますが、その最大の源泉が地獄谷です

登別温泉で代表的な泉質が、「これぞ温泉!」と叫びたくなるような温泉情緒を感じる、硫化水素の匂いが漂う白っぽい灰色をした湯。皮膚病や婦人病などによいと言われている泉質で、第一滝本館では【美肌の湯】と呼んでいます。
▲男女ともに、露天風呂と内湯双方で楽しめる【美肌の湯】。寝湯や滝の湯(打たせ湯)なども、この湯を使用しています(写真提供:第一滝本館)

硫黄成分が強く白濁した湯は、外傷や皮膚病によいと言われる【傷の湯】。しばらく浸かっていると、湯上がり後はしばし身体が硫黄の匂いでプンプンに!
▲男性大浴場の内湯の真ん中に位置する【傷の湯】。女性大浴場でも内湯で楽しめます(写真提供:第一滝本館)

【美肌の湯】【傷の湯】など酸性成分が強めの泉質を楽しんだら、アルカリ性の泉質で“中和”してみましょう。神経痛や冷え性などによいと言われる【熱の湯】は塩分が多く、パックするかのように肌をやさしく包みこんでくれます。
▲地獄谷を一望できる男性の内湯に注がれている【熱の湯】。大きな窓に向かって思わず仁王立ちしたくなる!?男女とも内湯と露天風呂双方で楽しめる泉質です(写真提供:第一滝本館)
▲窓の外には地獄谷。四季折々の風景を楽しめます(写真提供:第一滝本館)

肌ざわりが柔らかく、浴槽のひのきの香りも楽しめるのが、【鬼の湯(ひのき風呂)】。湯の温度は約45度と、少々高温に設定されています。
▲【鬼の湯(ひのき風呂)】に片足を入れてみましたが、高温のため熱くてヒリヒリ…、でもしばらくすると慣れ、柔らかい湯の感触を楽しめました(写真提供:第一滝本館)

このほか、刺激が少なくさらっと柔らかい【癒しの湯】や、肌の角質を洗い流しツルツルになるという【美人の湯】も人気。ともに男女内湯で楽しめます。
異なる泉質の湯船が点在するので、すべての泉質・すべての浴槽を制覇したくなるという方もいるのでは!?
▲異なる泉質の湯船が並ぶ露天風呂。湯めぐりを楽しみましょう!(写真提供:第一滝本館)

第一滝本館にはこんなにたくさんの湯船がありながら、すべて温泉の湯を使用。湯温調整のために湧き水を加えることがあっても、循環設備や沸かし湯などは一切使用していません。湧き出た大地の恵みをそのまま楽しめます!

湯守の経験と職人技で、数々の湯船の湯と泉質を守っています

▲24時間オープンしている浴場、毎日どこかで清掃しています(写真提供:第一滝本館)

多種多様な泉質と広大な浴場を守り維持していくのには、湯守(ゆもり)の存在が欠かせません。湯の華などが沈殿した浴槽の清掃とともに、湯量や湧き水の水量を調整して湯船を一定の温度に保つことが、湯守の主な役目です。
▲お話を伺った湯守の行町(あるきまち)さん

「浴槽の温度管理が一番大変です」と語った行町さん。湧き出る湯は自然任せなので、湯温や湯量も一定ではありません。たとえば、雨の日が続くと地獄谷から引く湯の温度が下がり、晴れの日が続くと温度が高くなるそうです。
▲大地から湧いた“生きた湯”を新鮮なうちに綺麗な浴槽へ届ける湯守のみなさん。現在行町さんをはじめ12名の湯守が第一滝本館の湯を守っています(写真提供:第一滝本館)

第一滝本館の湯は一切加温していないので、浴槽の温度が下がりすぎてしまうと、入浴に適した温度まで上げるには高温の湯を注ぎ続けるしかなく、かなり時間がかかる場合もあります。温度が下がりすぎないよう湯量を調整するなど、長年の経験や職人技を活かした昔ながらの人の手による作業で、7種類の源泉と35もの浴槽を維持しています。

温泉とともに、食事や買い物、飲泉を楽しみゆったり過ごそう

▲温泉宿では食事もゆっくり楽しみたい(写真提供:第一滝本館)

温泉旅館の最大の楽しみはもちろん温泉ですが、食事などもしっかり楽しみたいですよね。第一滝本館では、季節の素材を取り入れた会席膳やビュッフェを楽しめます。
▲和食会席膳の「デラックス膳」。会席膳は全4種、季節により内容が変わります(写真提供:第一滝本館)
▲「金蔵かに御膳」。かに好きの方は間違いなくこちら!北海道の海の幸「かに料理」を存分に!(写真提供:第一滝本館)

これら豪華な料理を部屋食で堪能できるほか、一部会席膳は食事処でも食べられます。

さまざまな種類の食事を楽しみたいのであれば、ビュッフェもおすすめ!
▲北海道の海の幸や山の幸など、さまざまな料理が並びます(写真提供:第一滝本館)

なかでもイチオシは、好きな海鮮ネタをごはんの上に盛る「わくわく丼」。
▲かにもステーキも食べたいので、軽めに盛った「わくわく丼」を、いただきまーす!
▲日本酒3種がセットになった「利き酒セット」もおすすめ!北海道の地酒を味比べしてみましょう

食事をたっぷり楽しんだら、お部屋でしばし寛いでから温泉や買い物に出動!
▲お部屋タイプは和室中心。こちらはスタンダードな定員4名の客室(写真提供:第一滝本館)
▲三世代や車椅子の方も使いやすいバリアフリータイプの客室(写真提供:第一滝本館)

フロントから1、2分歩くと館内に土産物などを販売している「湯の街」があり、手前は大きな吹き抜けになっています。
▲吹き抜けの中央には「鬼の大金棒」というからくり時計のオブジェがあり、夜と朝数回、1時間ごとにからくり人形のショーが行われています

さらに3、4分奥へ進むと、温泉棟へと行くことができます。温泉棟に入る手前には、温泉地ならではの飲泉処があります。
▲ぬるくてちょうど飲みやすい温度。食後ひと息ついて温泉に入る前にクイッと一杯!

あとは数々の湯船に浸かり、身体がふやけて溶けてしまいそうなくらい、ゆったりのんびり湯めぐりを楽しみました。

“地獄”の前に広がる“温泉天国”には、1日では入りきれないほどさまざまな泉質の湯船がありました。「愛妻の湯」から始まった名湯の数々を湯守が今に伝える「第一滝本館」で、みなさんも「生きたお湯」めぐりを楽しんでみませんか?
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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