成田詣といえば「うなぎ」!60軒が連なる新勝寺参道の名店3選

2016.10.14 更新

成田名物といえば、やっぱり「うなぎ」!JR成田駅から距離にして約800m、徒歩15分ほどの成田山表参道には、うなぎを出す旅館や料理店など60軒が連なり、伝統の味と風情ともてなしを競います。成田空港からも近いとあって、多くの外国人観光客も立ち寄って舌鼓。香ばしい匂いに誘われ、情緒に誘われ、名物のうなぎの名店3軒を食べ歩きします!

うなぎの歴史を紐解けば、縄文時代に遡るともいわれ、万葉集にも歌われていますが、庶民が食すようになったのは、蒲焼きが発祥した江戸時代だとか。成田市の西方に広がる印旛沼でもうなぎがよく採れていたことから、新勝寺へ参詣する「成田詣(なりたもうで)」にやってきた参拝客を、古くから栄養価の高いうなぎでもてなしてきたのだそうです。
▲風情ある風景と昔ながらの味、土産物探しを楽しむ人々が行き交う参道

まずは、創業明治43年【川豊本店】へ。
店頭でうなぎをさばく風景が圧巻!

さて古い町並が今も残り、昔の風情が漂う参道にやってくると、店頭が賑わう一軒が見えてきました。
こちらは、成田山新勝寺の参道でひときわ賑わう「川豊(かわとよ)本店」。2016年で築95年という木造の建物は、昔は旅籠(はたご)として使われていたとか。お昼前からすでに多くの人が店頭に集まっています。

割きたて、蒸したて、焼きたてのうなぎをライブ感覚で堪能

集まっている人をかきわけお店の中をのぞき込むと、店頭ではうなぎを割く光景が。長さ約2m、幅約1mもの大きな一枚板のいちょうのまな板に向かい、この道50年の腕利きの親方が次々に熟練の技でうなぎをさばき、その周囲で若手の職人たち5、6名が串打ちを行っていきます。
うなぎに目打ちをし、独特な形のうなぎさき包丁で背を開き、肝や中骨を取り、身を切り離していく親方の手さばきは実に圧巻。訪れたこの日、うなぎを割く数は平日でありながら400匹ほど。週末やお祭りの日は、この2倍にも3倍にもなるというから驚きです。
活気あふれる店内は奥に広く、テーブル席が並ぶ土間の先には座敷もあり、次々とできあがったうな重が運ばれていきます。2階席もあるとのことで、階段をあがって注文することにしました。

昔懐かしい雰囲気の2階席で、あつあつの「うな重」を

▲上うな重3,100円、肝吸い100円(共に税込)
2階のお座敷も木造の純日本家屋の佇まい。どこか昔懐かしい雰囲気のなか、人々が笑顔でうなぎを味わっています。

さあ、あつあつの「うな重」がやってきました。川豊のたれは、創業時から継ぎ足され、受け継がれてきたもの。おびただしい数の蒲焼きがくぐったたれには、うなぎのエキスが溶け込み、独特の深みとまろやかさを持つオリジナルの味になっています。
箸を入れてみると、ふんわり、ふっくら。口に運べは、香ばしく、脂はほどよくのっていて、ごはんとやや甘口のたれとのからみ具合で食がすすみます。ついさっき店頭で割かれていたうなぎが、焼きたてで登場してきたのだと思うと、おいしさもひとしお。「肝吸い」を100円で追加できるのもうれしいポイントです。
成田の参道をライブなうなぎ料理で盛り上げる「川豊本店」。多くの職人を育てる老舗は、いつでも活気とおいしさで旅人を迎えてくれる名店です。

創業300年の【旅館大野屋】でほっこり「うな茶漬」。
望楼を高く掲げた木造4階建ての建物も見所

「川豊本店」から新勝寺方向へ参道を少し下っていくと、ひときわ高くそびえる望楼(遠くを見るために建てたやぐら)に風格が漂う建物が見えてきます。
創業時は、成田山新勝寺に納める蝋燭屋。その後、旅館業をはじめたという「大野屋」。現在は宿ではなく、和食料理店及びつけもの屋さんとして親しまれています。
昭和10(1935)年に建てられたという建物に一歩入れば、間口の広さに、かつて著名人や芸術家たちが集ったという由緒が感じられます。ゆったりした店内は、混雑をさけてゆっくり食事したい場合にもおすすめ。ガラス扉の向こうには、ペット連れでうなぎをいただけるテラス席もあります。

国登録有形文化財の建物を巡る
「御食事付見学コース」を特別体験

食事の前に、国の登録有形文化財指定の館内を巡ります。この「御食事付見学コース」(うな重・おしんこ・肝吸付)は、通常は10名以上でしか受け付けていないということですが、女将さんに特別にご案内いただきました。
昭和の時代の客室を現存させた一室は、まるで博物館のよう。旅館時代の枕や備品、調度類、文房具までずらり。見ているだけでタイムスリップしたような気分になってきます。
▲ずっしり重い旧式のドライヤーも。大野屋に残された時代の遺物一つひとつが懐かしい物語を語りかけてくるよう
114畳もの大広間にはなんと、54・55・56世と3代にわたる梅若六郎などの名人たちが舞ったという能舞台が。欄間には黒柿の板、床柱には巨大なもみじなど、稀少な銘木があちこちに使用され、昔の職人技が発揮された組子細工の障子など見所たっぷり。テレビドラマなどのロケ地にも使用されているのも納得です。

まず「うな重」として、最後は「お茶漬け」として
2倍楽しめる「うな茶漬」をテラス席で

▲大野屋特製「うな茶漬」3,300円(税込)
御食事付見学コースにはうな重がセットになっているのですが、今回は特別に大野屋特製「うな茶漬」を注文しました。皮がぱりっと焼かれた蒲焼きがのった「うな重」に、だし汁と薬味、自家製漬物が添えられています。まずは、そのまま「うな重」としていただきます。無農薬のご飯もほどよい固さで、やや甘めのうなぎの蒲焼きとおいしくからみます。
半身を食べたらいよいよ薬味とわさびを乗せてお茶漬けに。土瓶からだし汁をかけていくと、かつおの香りがほんのりと。
うなぎの身をほぐし、おだしとごはんと一緒にレンゲでずずっとほおばれば、あっさりした中にも旨みが凝縮した絶妙な味わいが体にしみわたります。さっぱりといただけるので、食べ歩きにも、高齢者にも人気なのだそうです。
成田名物・鉄砲漬でも名高い「大野屋」。漬物茶漬けや天麩羅、蕎麦など多彩なメニューも揃っています。英語や中国語はもちろんイタリア語、スペイン語など10カ国語で建物を説明する冊子が用意され、食事が来るまで外国人観光客もほっこり。もちろん日本語での詳しい解説書もあり、「大野屋」のこと、成田山周辺のことを詳しく知ることができます。

新勝寺総門脇にある江戸時代創業の老舗【駿河屋】
備長炭、家伝のたれ、幻のうなぎで人気の専門店

成田山新勝寺の総門脇にある「駿河屋」も、江戸時代創業の老舗。こちらも旅館、割烹を経てうなぎ料理専門店となったという歴史を、この地でゆるやかに刻んでいます。店先では、端正に串うちされたうなぎが焼かれる光景が。のれんをくぐると漂ってくる香ばしさに、ふわりと包まれました。
注文を受けてから割き、白焼きし、蒸し、長州備長炭を使用し焼き上げる蒲焼は、外には香ばしく焦げ目が立ち、身はふっくらとやわらかくなるのだそうです。

たれ・米・水、すべて上質にこだわって。漬物も自家製

家伝のたれに用いられているのは、木桶仕込みの下総醤油と三河の白九重本味醂、および氷砂糖。こだわりの調味料で作られたたれは、風味豊かですっきりとした味わい。お米は千葉県産のコシヒカリのみ。毎日汲んでくる地元の名水「横芝小堤(おんづみ)の名水」で炊くのだそう。
和装姿の女性スタッフが、気さくな笑顔でサービスしてくれる店内。秋~春は、絣の着物で迎えてくれます。

天然ものを越えるという
「大井川共水うなぎ」を奮発してオーダー

さて、通常のうな重も美味だと評判なのですが、折角ならぜひとも食べてみたい逸品うなぎメニューが、ここ駿河屋にはあります。
その素材となる「大井川共水うなぎ」は、静岡の大井川の南アルプス伏流水と厳選された飼料によって育てられた幻のブランドうなぎ。豊かな自然のなか、通常の養殖うなぎの2倍以上の歳月をかけ育てられ、天然物を越えるという甘い肉質と香り、旨みが特徴的で、ごく限られた名店にのみ卸されていると聞きます。ここは一つ奮発して注文してみます!
▲大井川共水うな重(肝吸付)5,500円(税込)

待つことしばし。運ばれてきたのは、共水うなぎのやや細長いスタイルに合わせ、横幅ワイドな特注のお重。駿河屋のロゴマークもすっきりいいデザインで、いやがうえにも期待が高まります。
蓋をあけると「おお~」と思わず感嘆の声が出ます。はみ出た身を二重に折り返してある共水うな重は、2匹づけでボリュームも満点。名水仕立ての肝吸も、女将お手製の漬物も、うな重のおいしさを存分に引き立ててくれます。
ほろほろと身がほぐれるほどに柔らかく、脂のしつこさなどは一切感じさせない共水うなぎの味わいは、洗練の極み。うなぎ本来の滋味を引き出す焼き方、すっきりとしたたれが噛むほどに混然一体となる一瞬一瞬が至福のひとときです。「成田まで来てよかった~」と、美味しさを心ゆくまでじっくり堪能できました。
駿河屋さんの味をご家庭でも…ということで、たれの販売も。うなぎはなかなか調理できないかもしれませんが、焼き鳥や煮魚におすすめなのだそうです。(万能 駿河屋のたれ1,080円・税込)
このほかにも参道界隈には、まだまだ名店がいっぱい。うなぎ料理を扱うそれぞれの店が味に工夫や創意を凝らす成田は、多彩な味比べが楽しめる場所。自分だけの贔屓店を探しに、ぜひ訪れて気軽にのれんをくぐってみてくださいね。
ゴトウヤスコ

ゴトウヤスコ

ホテル、レストラン、神社、婚礼、旅、食、暦&歳時記、ものづくりなどの広告コピー、雑誌記事、インタビュー記事などを多数執筆し、言葉で人と人をつなぎ、心に響くものごとを伝える。旅は、基本一人旅好き。温泉、パワースポット、絶景、おいしいものがあるところなら、好奇心がおもむくままどこへでも。得意技は、手土産&グルメハンティング。最近は伝統.芸能、日本刀、蓄音機など和文化への興味を深堀中。読書会なども開催。(制作会社CLINK:クリンク)

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