口の中でスパイスが暴れ出す!?三崎「くろば亭」のマグロのキーマカレーはカレー研究家がうなるウマさ!

2016.11.02

マグロで有名な三崎。そこに知る人ぞ知る創作カレーがある。店主はパキスタン料理の名シェフのもとで、厳しい修行の末、スパイス使いを体得。スパイステクニックを駆使したカレーは、カレー上級者をもうならせる。都内にあるカレーの名店も学びに日参するほどだ。常に進化しつづけるスパイス巧者のカレーを探るべし!(byカレー調査隊隊長・井上岳久)

どうも、こんにちは!
カレーの第一人者・井上岳久(たかひさ)先生と、一番弟子の「りか」こと名久井梨香(なくいりか)です。私たち2人は「カレー調査隊」として、ぐるたび編集部に届いた耳寄りカレー情報をもとに全国津々浦々を旅しています。

今回は、神奈川県三浦市にあるマグロを使ったスパイシーなキーマカレーのうわさを調査してきました。

昭和46年創業のマグロ料理の専門店「くろば亭」

りか「ぐるたび編集部宛てに、井上先生の後輩からこんな手紙が届きました」

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井上さん、ご無沙汰です。マグロ料理の天才職人が作るマグロのキーマカレーを覚えていますか?独自のスパイスを使ったカレーで玄人好みでしたよね。あのカレーは常に進化して、日々バージョンアップしているそうです。さらに進化しているだろう「くろば亭」に行って、最新のカレーをレポートしていただけないでしょうか?
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井上先生「ほ~う、バージョンアップとはすごい。数年前に行ったきりだから、これは行ってみなくては!」

りか「どんなカレーだか、想像がつきません。さっそく調査しに行ってみましょう!」
ということで、やってきたのは神奈川県三浦市にある「くろば亭」。40年以上の歴史を持つマグロ料理の名店で、三崎港でとれた新鮮マグロが味わえます。店内は海鮮のいい香りが漂っていて、ついついマグロの刺身を食べたくなりました…が、カレー調査隊の私たちは、お目当ての「マグロのキーマカレー」(税込1,080円)をオーダー!
▲フォークで食す、進化したマグロのキーマカレー。

井上先生「彩りがキレイだね。ライスがドーム型になっていてフォトジェニックなカレーだ」

りか「はい!マグロのキーマカレーと聞いていたので少し予想外なビジュアルでした。でも、カボチャ、ナス、ピーマン、ニンジンなど野菜がたっぷり摂れるので、健康にもよさそうです。これは期待できます!」
井上先生&りか「いっただきま~~す!」
井上先生「お~、口の中でスパイスが暴れているね!舌の裏側と喉にピリピリとくるような辛味で、胃腸が活性化しそう。これはカレー界の“あばれる君”だ。でも以前食べたときよりマイルドになっていて、スパイシーさの中に、野菜やフルーツの甘みとコクもあり、くどくない」

りか「これで以前よりもマイルドになっているんですか!?思っていたよりも辛いです!市販のルウで例えるなら辛口レベルですよ。でもたしかに、辛いだけのカレーではなく、辛さの中にコクがありますね」
▲スパイシーなルウのお口直しには、キュウリのピクルスを。カレーの付け合わせといえば福神漬けがメジャーですが、さっぱりしたピクルスも清涼感があって◎

口の中でスパイスが暴れるワケとは?

おいしさの秘訣について、マグロ料理の天才職人である店主・山田芳央さんに聞いてみましょう!
▲店主のあだ名は「マグロおやじ」。伸びたヒゲに墨をつけて、年賀状を書くらしい(笑)

りか「彩り豊かなビジュアルに反して、辛口なカレーで驚きました!どんなスパイスを使っているのでしょうか?」

マグロおやじ「使用するスパイスは、カルダモン、シナモン、八角、山椒、唐辛子など12種類。ホールとパウダーの2つのスパイスを使い分けて、あえて舌ざわりが残るように仕上げているんだ。野菜は旬のものを使っていて、今回はルウにトマト、リンゴ、バナナ、熟したアボカドなどを煮込んでいるよ。トッピングにも、旬の野菜をたっぷりとね」
▲お店で天日干ししている唐辛子は地元三浦産を使うなど、ご当地愛も盛り込んでいます
井上先生「ほ~う。ホールとパウダーの両方のスパイスを使っているから、カレー界の“あばれる君”が誕生したのか。通常、スタータースパイスとしてホールを、煮込みの段階でパウダーを加えるなど、段階別ならば両方のスパイスを使うことはあるけれども、煮込みのときに同時に使うことは少ないものなんだよ」

りか「スパイスのダブル使いから生まれた辛さだったんですね!それにしても、なぜ切り身入りカレーではなく、キーマカレーにしたのですか?」

マグロおやじ「マグロの切り身をそのままカレーに入れるのは素人の考え。長時間煮込めば、肉と違って魚はパサパサしてしまう。そこで、プリプリ感を残すためにマグロを挽き肉状にしているんだ。でも、それだけでは物足りないと思うから、血合い肉を使ったマグロのカルビを添えているよ」
▲4年間研究して生まれた味噌ベースの特製ダレに漬けた「マグロのカルビ」

りか「うっまー!これマグロなんですか!?弾力があって、まるで肉の食感のよう。マグロ臭さもなくて、言われなければ牛肉のカルビと間違えてしまいそうです」

井上先生「なるほど。海外では魚肉を使ったカレーはあるけれども、日本ではあまり馴染みがないよね。それはやはり魚を煮込むとパサパサしていておいしくなかったからかも…。カレーとマグロの融合を考えた結果、挽き肉状のキーマカレーにするとは素晴らしい。それにホールとパウダーのダブル使いだけでなく、八角や山椒といったスパイスまで使いこなすカレー店はなかなかない。まさに職人技のカレーだ」

りか「え?八角と山椒を使いこなすカレー店って少ないんですか?」

井上先生「おや?そんなことも知らないようじゃ、カレーの食べ歩きが全然足りてないよ。最低1日3食はカレーを食べて研究しないと!」

りか「…は、はいっ!一番弟子としたことが!(え、最低1日3食!?)」
ちなみにルウはおかわり無料です。
師弟そろっておかわりをしたら、「ルウをおかわりする人は、真のカレー好きだよ」と、マグロおやじにカレー好き認定されました。しかも「そんなにカレーが好きならば…」と、試作段階である新作メニューを特別にいただくことに!
▲見たこともない聞いたこともない試作メニュー!その名も「カリーたんぽ」

なんと!ターメリックライスをきりたんぽ風にして、マグロのキーマカレーにつけて食べるカレーです!カレーをフォンデュのようにして食べるとは斬新!きりたんぽ風のターメリックライスがもちっとした食感です。読者の皆さんは、レギュラーメニュー化されるのをお楽しみに。

そもそもなぜマグロの料理人がカレーを作っているの?

そもそも、なぜマグロ屋がカレーを作っているのか、マグロおやじに聞いてみました。

マグロおやじ「20代の頃、赤坂にあるフランス料理店で修業していたんだ。そこにパキスタン人の料理人も働いていて、彼の作るエスニックカレーに感動してしまい。何度も何度もお願いして、やっと作り方を教わったんだ」
マグロおやじによれば、いろんな料理を修業してきたなかでカレーを作るのが一番苦手だったといいます。しかし、厳しい修業のもとスパイスを使いこなせるようになり、今では都内のカレー店が視察に来ることもあるのだとか。

マグロ料理屋の店主が、こんなにもカレー想いだったとは……!ちなみに、マグロおやじは新メニューを開発するのも好きだそうで、日曜の朝に開かれる「三崎朝市」では、毎週違うオリジナルカレーを提供しているのだとか。だから、日々マグロのキーマカレーの味が進化していっているんですね。

では井上先生、カレーの評価をお願いします!
▲じゃんっ!

井上先生「くろば亭のカレーチャートはこちら」

【辛さ】4
【コク】3
【スパイステクニック】5
【ご当地グルメ度】5
【オリジナリティ】5
※各項目5点満点
井上先生「もう文句なしのウマさだよね。コクを味わうカレーというよりは、スパイスの辛さを堪能するカレー。ホールとパウダーの両方のスパイスを使いこなし、八角や山椒といったスパイスまで駆使。さらにマグロの良さが生きるようにキーマカレーにするといったテクニックもあり、彩りやライスの形などビジュアルまで考えて作られている。まさに完璧。カレー上級者はぜひ食べてもらいたい逸品だ!」

りか「オリジナリティはもちろんのこと、ご当地のマグロや唐辛子を使っているのもいいですよね。調査しに来た甲斐がありました!」
▲マグロのかぶと焼きを持ってパシャリ!

三崎港に来たら、ぜひ「くろば亭」でマグロのキーマカレーを食べましょう!
ご協力ありがとうございました。

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

名久井梨香

名久井梨香

フリーライター。毎日カレーを食べるカレー愛好家で、現在はカレーパンも研究している。カレー大學、カレー大学院卒。趣味はカレーとJリーグ。

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