朝食がおいしい甑島のお宿「藤や」若きとうふ屋が始めた新しい宿のカタチ

2015.06.17 更新

鹿児島県の甑島(こしきじま)は東シナ海に浮かぶ小さな島。玉砂利の砂浜と透明度の高い海が独特の情緒を生み出す美しい島です。これからの季節はマリンスポーツやフィッシングを目的に訪れる観光客で賑わう甑島ですが、漁業が盛んな土地柄、魚介類をはじめとしたグルメも魅力。そんな甑島でお土産物と豆腐の製造・販売を行う「山下商店」(前回の記事参照)が、新たにお宿「藤や」を始めました。長い間、釣り人たちに親しまれてきた船宿「民宿ふじ」を先代オーナーから引き継ぎ、リニューアルオープンしたとのこと。リニューアル早々、山下商店の豆腐や地魚、甑島産の有機野菜などをふんだんに使った朝食が話題を呼ぶこのお宿に行ってきました。

ひと・もの・場所をつなぐ宿

「藤や」は、山下商店から徒歩で10分ほど。到着すると女将の上田裕子さんが笑顔で迎えてくれます。「藤や」のコンセプトは「甑島の日常を旅する ひととものと場所をつなぐ これからの宿」。これを象徴するのが、最初に通された「交流室」という部屋。甑島で昔から使われてきた楽器・ゴッタンが飾ってあったり、おすすめスポットがコメントされた手づくりの地図が貼ってあったりと、温かみを感じさせてくれる空間です。ここは朝食会場でもあり、夜は宿泊客の交流の場としても活用しているそうです。

こだわり満載の逸品を、最高のタイミングでサーブ

「藤や」には素泊まり、1泊朝食付き、1泊2食付きの3つのプランがあります。夕食は山下商店で「シマバル」と呼ばれるディナー。有機野菜スティック、とうふのポタージュ、地魚のお造り、季節のワンプレート、濃厚雪鍋、豆乳リゾット、季節野菜のふわふわがんもなど、すべて手づくり。しかも一品ずつサーブするのがこだわりです。クラフトビールや甑島の焼酎、有機炭酸飲料などドリンクも厳選し、おいしいだけでなく身体にもやさしいディナーをお腹いっぱい楽しめます。中でも筆者が感動したのは、寄せ豆腐が丸ごと入った「濃厚雪鍋」。シンプルゆえに、豆腐のおいしさが引き立ちます。

早起きして、宿泊者特典を満喫

宿泊客は無料で豆富づくりの見学と豆富の試食ができる(一般客は税込1,000円)と聞き、翌朝は6時に「山下商店」に出発!絹ごしと木綿の違いや豆乳やおからができる工程など、意外と知らない豆腐の作り方を山下さんが丁寧に教えてくれます。他の観光客の方々との会話も楽しみながら、早朝から楽しいひとときを過ごせました。
そして、ひなたぼっこをする猫や朝の光に包まれた美しい海を眺め、すれ違う島人に挨拶しながら「藤や」に帰ります。程よく運動したところで、いよいよ待望の朝食!

完璧な「日本人の朝ごはん」がここに

朝食はできたての豆富や豆乳、地元「馬場水産加工場」のカマスの干物、自家製のお漬物や佃煮、そして「おさんすい」と呼ばれるアオサのすまし汁、煎り大豆の炊き込みご飯など、甑島のグルメが大集結。朝食は上田さんが一人で仕込んでいるそうですが、温かいものはタイミングを見ながら出してくれる心遣いはさすが。少しずついろんなものを楽しめる「藤や」の朝食は、「日本人の朝ごはん」そのものです。
初めて訪れてもなぜか懐かしくホッとするのは、温かいおもてなしの心が料理や美しく設えられた空間から伝わってくるから。今後ますます進化が期待される藤やから目が離せません。
さわだ悠伊

さわだ悠伊

鹿児島市出身・在住のフリーライター。グルメ、旅、コラム等ジャンルや媒体を問わず活動中。鹿児島県内の離島取材も豊富。

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