「自分と同じ名前の駅」を訪ねる羽越本線の旅。奇跡の夕日は必見!/古谷あつみの鉄道旅 Vol.11

2016.10.24 更新

古谷あつみが行く、全国各地の鉄道旅!今回は、鉄道ファンなら誰でも…いや、鉄道ファンでなくとも一度はやってみたい!そんな旅をしてきました。今回もアドバイザーは鉄道ライターの土屋武之さん。カメラマンはレイルマンフォトオフィス所属で鉄道誌で活躍中の若手、村上悠太さんと一緒に行って来ました。みなさんもこんな旅、いかがですか?

▲今回の旅の出発地、JR川越線南古谷駅の前で記念撮影

今回の見どころはここ!

1.出発地は、自分の苗字から!?
2.いろんな所で自分探しの旅
3.楽しみ方いろいろ「きらきらうえつ」であつみ温泉へ!
4.村上カメラマン大興奮!日本海に沈む夕日

1.出発地は、自分の苗字から!?

今回はここ、JR川越線南古谷駅から出発です!…え?なんで南古谷駅から出発するかって?
そう、実は今回の旅のテーマは「自分の名前を訪ねる旅」なんです。ここ南古谷駅を出発し、山形県のあつみ温泉駅を目指します!
▲自分の名前が入った乗車券は、見るだけでもなんだか嬉しい

ほら、見てください。南古谷の「南」と、あつみ温泉の「温泉」という文字を隠して持つと、完全に私の名前になっちゃうんです!これは嬉しいです。
私が、南古谷から出発するって言ったら、土屋さんは「土屋から出発する!」って張り切っていました(笑)。でも、土屋駅なんてあったかなぁ…?
▲土屋さんの旅の出発地、土屋バス停

あ、これは西武バスのバス停じゃないですか。南古谷駅の隣りの指扇(さしおうぎ)駅の近くにあるそうです。
なるほど!さすが土屋さん…。鉄道だけでなく、バスも網羅しているんですね…。
それにしても、バス停に寄りかかる土屋さん、なんだか嬉しそうです。
▲駅名標は、記念撮影にもいい

みなさんも、自分の名前の駅があるのか気になってきましたか?まずはインターネットで調べてみましょう。
土屋さんのように、鉄道の駅がなくても、バス停で見つかるかもしれません。
▲新潟までは大宮から新幹線で移動

さて、この旅は南古谷駅に行っただけでは終わりません。山形県の羽越(うえつ)本線にある、あつみ温泉駅がいちばんの目的地ですし、なにより、羽越本線は車窓も素晴らしいんです。
そして、あつみ温泉に行く途中には、もうひとつ、大事な駅があります!
▲ここからが旅の本番。さぁ、出発です!

新潟駅からは、ある駅を目指して特急「いなほ」に乗り込みます。
そう、忘れてはいけません。今回の旅は、村上カメラマンも一緒なんです。
羽越本線には「村上駅」があるんですよ!これは行かない訳にはいきません。
▲車内にあった地図

村上駅は、新潟駅からあつみ温泉駅に行く途中にある駅。地図で見るとわかりやすいのですが、日本海に沿って走るため、車窓には美しい海が続きます。
なかでも、村上~あつみ温泉間は特に美しい区間。夏は穏やかだけど冬は荒々しく、季節それぞれの日本海の姿を見ることができます。
▲ついに、村上駅に到着です

あっという間に、村上駅に到着です。これで、三人全員が自分の名前の駅に足を運ぶことができました。私の名前の駅ではないけれど、なんだか嬉しいです。友達同士で周ると、盛り上がること間違いなしですね!
▲駅スタンプにも、もちろん「自分の名前」が入るので、忘れずに押したい

古谷「村上さぁ~ん!駅スタンプ押さないと!記念になりますよ!」
村上カメラマン「そうですね。僕もなんだか嬉しいです。」
土屋「バス停にもスタンプを作って欲しいよ…。」
古谷「村上さんには、とっておきのお昼ごはんを用意しましたよ!停車中の列車で食べましょう!」
村上カメラマン「とっておき!?」

2.いろんな所で自分探しの旅

▲「村上」の名前が沢山入ったお昼ごはん(村上牛しぐれ弁当1,200円、村上茶180円)

古谷「じゃじゃ~ん!村上茶と村上牛しぐれ弁当ですよ!」
村上カメラマン「おぉ!これを、村上で食べるという訳ですね。いいですね!」
古谷「最近は、SNSをしている人も多いので、面白い写真をアップできますよね。そういった楽しみもあります。」
村上カメラマン「SNSかぁ…。こういった写真とか?」
▲お茶の奥に見えるのは、村上駅の駅名標

古谷「あはは!村上駅で村上茶を飲む村上です!と、アップするのはいかがでしょう?」
村上カメラマン「それも良いですね。こんなに『村上』ばかり見るのは人生で初めてかも(笑)」
古谷「あ、あと、こんなものも見つけましたよ!」
▲村上駅の駅名標キーホルダー(540円)

村上カメラマン「これ、いいじゃないですか!僕、買います!」
古谷「駅名が入ったキーホルダーはあちこちにありますが、なかなか自分と同じ駅の物は買えませんもんね。」
土屋「いろんなところで『自分の名前探し』ができるのがこの旅の魅力だね。」
古谷「さぁ、村上牛しぐれ弁当を食べましょうよ!新潟駅で買ってきたんですよ!」
▲列車内で駅弁をいただく

ここで昼食タイムです。都会ではなかなかできませんが、列車の中で食べる駅弁は旅情たっぷりで、格別です!

古谷「お、おいし~い!味が濃いのにしつこくないですね。くどくないというか。」
土屋「うん。お肉もしっかりしているし、甘辛くてどんどん箸が進むね!」
古谷「お肉系の駅弁はたくさん食べてきましたが、私、これは一番好きです!村上さん、好きです!」
村上カメラマン「僕じゃなくて、村上牛ね…。村上茶も濃いお茶なのに、渋みが少なくて美味しいです。このあたりは実はお茶の産地。『北限のお茶』と言われていて、商用としては日本でいちばん北で作られているお茶なんですよ。」
土屋「いろんな村上が楽しめたね。さて、今回のメインスポットへ行こうよ。」

3.楽しみ方いろいろ、「きらきらうえつ」であつみ温泉へ!

▲「笹川流れ」を走る観光列車「きらきらうえつ」

土屋さんの言うメインスポットは、もちろん「あつみ温泉駅」のこと。でも、それまでにも鉄道旅行のポイントがたくさんあります。
村上からは、ジョイフルトレインとして長い間親しまれている、「きらきらうえつ」で移動。臨時列車として、週末を中心に走っています。
▲白を基調にパッチワーク風にカラフルに塗装された外観は、羽越本線の色彩豊かな四季をイメージしたもの

「きらきらうえつ」につけられているキャッチコピーは「乗って楽しい・降りて楽しい」。ただ列車に乗って車窓やグルメなどを楽しむだけではなく、列車を降りた後も、沿線地域の観光地などを合わせて楽しんでほしいという、JR東日本新潟支社の思いが込められています。
まず、列車に乗り込み目に入ったのは、こちら。
▲沿線の観光地を紹介する「きらきら情報コーナー」

プロジェクションマッピングで沿線の観光情報を紹介する、きらきら情報コーナーです。
「きらきらうえつ」の「きらきら」は、日本海の美しさを表現したもの。列車名にしてしまうほどの景色、どんなものなのか楽しみです。
▲バリアフリー設計で、家族連れや、お年寄り、お身体の不自由な方でも安心です!
▲まずは、普通車に乗り込みました

車掌さんの制服も、可愛らしいアロハシャツ。帽子もよく見てください!特別仕様のものです。素敵な笑顔で接客してくださいます。

土屋「村上を出るとすぐデッドセクションだよ。」
古谷「じゃあ、一瞬、電気が消えるんですね!?」

デッドセクションは、電化された鉄道において、異なる電気方式の接続地点に設けられた、架線に給電されていない区間のこと。
最新式の電車では技術の改良によって電気が消えることはなくなりましたが、「きらきらうえつ」では、ちょっと懐かしい?鉄道風景を見ることができるのです。
▲短い時間ですが、電気が消えます

羽越本線では、村上~間島間にて直流~交流と電気方式が変わるため、デッドセクションが設けられています。
さぁ、電気が消えました!一部、点灯している電気は、非常灯だそうです。不思議な光景です…。
鉄道ファンは何故か、デッドセクションで電気が消えると拍手してしまう人もいるんですよ(笑)
▲車窓から美しい海が見える

古谷「きらきらしていますね。私、日本海側の海って静かで、大好きです。」
土屋「太平洋側と全然違うからね。そうだ、2号車の『茶屋』に君が好きなものがあるよ。『きらきらラウンジ』で味わえる。」
▲2号車にある、「きらきらラウンジ」と名付けられたミニビュッフェ

窓が大きく造られたミニビュッフェ「きらきらラウンジ」では、日本海の美しい車窓を眺めながら食事や飲み物が楽しめます。カウンター席もありますが、こうしてボックス席で家族や友人と楽しく過ごせます。
▲「茶屋」で軽食と日本酒を購入

いっぽう、同じ2号車にある売店は「茶屋」と名付けられています。
ここで働くアテンダントさんは、「きらきらうえつ」の他、新幹線にも乗務しているんだそうです。でも、「きらきらうえつ」の乗務がなによりも楽しみだとか。
理由はやっぱりこの綺麗な海で、毎日のようにこの景色を眺めるアテンダントさんも、乗るたびに感動するそうですよ。
▲日本酒飲み比べセット

私が注文したのは、3種類の日本酒が楽しめる飲み比べセット(1,250円)です。
羽越本線沿線の日本酒が楽しめるこのセット!その日の状況により、列車に積み込む日本酒が変わるそうで、この日は6種類ほどの日本酒のなかから、菊水、鶴亀、越乃松露(こしのしょうろ)をチョイス!
▲海のなかを走っているかのような景色です

早速、日本海に向かって乾杯です!日本酒の旨みを、日本海の美しい景色がより一層ひき立ててくれます。
そうそう、お酒が飲めない土屋さんとも、美しい景色を目の前にすると会話が弾みます。
▲海のむこうの景色を眺めつつ会話が弾みます

古谷「お!あれは佐渡島じゃないんですか!?」
土屋「君はもう酔っぱらったの(笑)。あれは粟島。よく間違われるらしいんだが、佐渡島は晴れていると遠くの方に少しだけ見えるらしい。」
古谷「酔っぱらってないのに間違えた…泣」
▲車内に設置された思い出ノート

今日のこの思い出を、車内にある思い出ノートに書き記し、列車をあとにします。これだけ美しい海です。夕日がますます楽しみになってきました。
▲そして、ついに「あつみ温泉駅」到着!

「あつみ温泉~!」の案内放送に思わず照れてしまいます。まるで、自分の名前が呼ばれているかのよう。

古谷「ついに来たどぉ~!!!ずっとずっと、夢だったんです!」
土屋「たくさん記念撮影すると良いよ。この駅での主役は君さ。」
古谷「なるほど、自分の名前の駅への旅は、自分が主役にもなれる旅ってことですね。」
土屋「その通り!」
▲駅前でも記念撮影

まずはこんなふうに駅前で記念撮影。ここからは自分の名前探し。
事前にインターネットで調べたりもしたのですが、思わぬところでの発見もあったりと、なかなか楽しい旅でした。
▲あつみ温泉の観光協会の前で見つけた看板

駅からバスで6分ほどのあつみ温泉の温泉街へ行くと、いたる所に「あつみ」の文字が!
「あつみ」の文字を目当てに、あつみ温泉まで来ましたが、街並みは趣があり、これだけを目的に来ても素晴らしいところです。
誰でも入ることができる公衆浴場(管理協力金200円)や、無料の足湯もあります。
温泉旅館は川沿いを中心に立ち並んでいます。
▲やはりここでも記念撮影

あつみ温泉の旅の締めくくりに、温泉の入口で記念撮影をしました。
どうですか?みなさんも自分の名前の駅を辿る旅、したくなりましたか?え?もう検索したって?
自分の名前をたどるだけでなく、こうした観光スポットや、車窓なども考慮しながら周るのがポイント。旅が100倍楽しくなりますよ!

4.村上カメラマン大興奮!日本海に沈む夕日

▲自分の名前を辿る旅もここで終了

土屋「自分の名前を辿る旅っていうのも、面白いね。」
古谷「ですね。今度はルートを変えて、色々楽しむのもいいかも。この記事を見て、鉄道で旅に出たいという方が増えてくれるといいな~と思います。」
土屋「今回の旅のメインは、名前を辿ることだったけれど、最後に見せたいものがある。」
古谷「また、土屋さんのとっておきですね。」
▲普通列車に乗って、再度新潟方面を目指す

古谷「これに乗って行くんですね。どこへいくんだろう…。」
土屋「行けばわかるさ。」
古谷「出た。『行けばわかるさ。』」

日が陰ってきた日本海も美しいけれど、海とは反対側に見える木々も、昼間とは違う顔を見せてくれます。

土屋「温泉も入れたし、長い一日だったね。」
古谷「名前を辿る旅がこんなに素敵なものになるとは思いませんでした。」
▲笹川流れの玄関口、桑川(くわがわ)駅に到着

「笹川流れ」は、村上市にある海岸で、新潟県北部屈指の景勝地。国の天然記念物にも指定されていて、美しい夕景が見られることで有名です。
桑川駅は「道の駅笹川流れ・夕日会館」と一体になっています。展望台などもあり、たくさんの観光客で賑わっています。
▲駅前の風景

桑川駅のすぐ前に広がる海は、ここが駅前だということを忘れさせてくれる景色です。昼は、透き通った青い海が、夕方には日本海に沈む夕日を見ることが出来ます。
▲展望台に登ると、また違う角度からの景色が見える

古谷「わぁ!ここからの景色も素敵ですね。」
土屋「夕日も綺麗だろうね。見られなくて残念だ。」
古谷「え、まさか夕日を見ないで帰るつもりですか!?」
土屋「次の列車まで2時間近く時間の余裕があるし、ちょうど日没の時刻だから、夕日は見られるけどね…。でも、その列車が、東京行きの上越新幹線への最終接続だよ。」
古谷「列車があるなら待ちましょうよ!」
▲夕暮れ時になると、夕日を眺めに来る人が増える

こうして、夕日を待つことになった私たち。すこしずつ見物客が増え始めます。
今日はどんな夕日が見えるのか?毎日変わる様子も、楽しみのひとつです。
▲少しずつ夕日が沈み始めます

村上カメラマン「おぉ!こんなに綺麗な夕日はなかなか見られませんよ!待った甲斐がありますね!」
古谷「待つと言ったのは私です!褒めてください!」
村上カメラマン「あはは。夕日が丸い形のまま沈めば、さらにラッキーですよ!」
▲ここまで、完全に丸いまま沈んでゆくのは珍しい

古谷「わぁ!まんまるのまま沈んでいきますよ!」
村上カメラマン「これは驚きだなぁ。僕たちカメラマンも、こんなに綺麗に沈んでいく夕日は、ほとんど見られないんです。」
▲雲にさえぎられることもなかった…

村上カメラマン「見ましたか!?本当にこんなこと、滅多にないんですから!大抵、雲などが邪魔したりして、こんなふうにまんまるには見えないんです。」
古谷「興奮しすぎですよ、村上さん!」
村上カメラマン「それくらい、凄いことなんです!」
▲旅の終わりは夕景の中で

普段、多くの夕日を見ているはずのカメラマンさんが、ここまで興奮したのは、私の日頃の行いが良いから…?
というのは、冗談ですが、ここでは、一年を通して美しい夕日を眺めることができます。運が良ければ、まんまるに沈む夕日をみることができるかも!?

自分の名前を辿る旅がテーマだった羽越本線の旅ですが、このように沿線の景色も思う存分楽しめます。夕日の運試しに足を運んでみてはいかがでしょうか?

次回、古谷あつみの鉄道旅 Vol.12は、山形県の「山形線・山形鉄道」へ!

※記事内の価格表記は全て税込です。

土屋武之(鉄道ライター)

鉄道を専門分野として執筆活動を行っている、フリーランスのライター・ジャーナリスト。硬派の鉄道雑誌「鉄道ジャーナル」メイン記事を毎号担当する一方で、幅広い知識に基づく、初心者向けのわかりやすい解説記事にも定評がある。
2004年12月29日に広島電鉄の広島港駅で、日本の私鉄のすべてに乗車するという「全線完乗」を達成。2011年8月9日にはJR北海道の富良野駅にてJRも完乗し、日本の全鉄道路線に乗車したという記録を持つ、「鉄道旅行」の第一人者でもある。
著書は「鉄道のしくみ・基礎篇/新技術篇」(ネコ・パブリッシング)、「鉄道の未来予想図」(実業之日本社)、「きっぷのルール ハンドブック」(実業之日本社)、「鉄道員になるには」(ぺりかん社)など。

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

古谷あつみ(鉄道タレント・松竹芸能所属)

小学生の頃、社会見学で近くにある車両基地へ行き、特急電車の運転台に上げてもらったことがきっかけで、根っからの鉄道好きとなる。 学校卒業後は新幹線の車内販売員、JR西日本の駅員として働く。その経験から、きっぷのルールや窓口業務には精通している。 現在はタレント活動のほか、鉄道関係の専門学校や公立高校で講師をしている。2015年には、「東洋経済オンライン」でライター・デビューし、鉄道旅行雑誌「旅と鉄道」等で執筆活動中。

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