日本で唯一の飛べない鳥は愛の鳥。ヤンバルクイナに出会う旅

2015.06.23 更新

沖縄本島北部のやんばる地域には「ブロッコリーの森」と呼ばれる深い森があり、たくさんの希少生物が暮らしています。日本で唯一の飛べない鳥「ヤンバルクイナ」は、その名の通り「山原(やんばる)」に暮らす「水鶏(くいな)」。この地域では、沖縄だけに生息するめずらしい動物に出会うことができます。

ヤンバルクイナを探しに、やんばるへ

北から国頭(くにがみ)、中頭(なかがみ)、島尻(しまじり)の3地域に分けられる沖縄本島。ヤンバルクイナとの出会いを求めて、沖縄本島最北端にある国頭村(くにがみそん)へ。那覇から高速道路に乗り、終点となる名護市から国道58号線を国頭村に向かって延々と北上。国頭村の入口で、さっそくヤンバルクイナがお出迎えしてくれました。
▲国頭村の入口ではヤンバルクイナ像がお出迎え
▲道の駅「ゆいゆい国頭」にはさまざまなヤンバルクイナが揃います
▲「国頭ドーナツ」のパッケージはなんともおしゃれなヤンバルクイナ

国頭村の道の駅「ゆいゆい国頭」に立ち寄ると、そこには個性豊かなヤンバルクイナグッズがたくさん。買い物を楽しんだあとは、本物のヤンバルクイナ探しへ。ブナ科の樹木がうっそうと生い茂る風景がモコモコとして見えることから、地元民の間では「ブロッコリーの森」とも呼ばれる深い森を抜ける途中には、可愛らしい「飛び出し注意」の看板がちらほら。
▲ヤンバルクイナの飛び出し注意看板

1981年に沖縄本島北部で発見されたヤンバルクイナは、国の天然記念物にも登録される希少な鳥。かつて毒蛇のハブ対策のために放されたマングース、ノネコや野犬などの外敵が増えたことで、一時期は700羽まで数を減らしたヤンバルクイナは、保護活動の成果により2013年頃には1,500羽ほどに増えたそう。とはいえ、エサを探しながらぴょこぴょこと道路に出てきてしまい、ロードキル(交通事故)に遭うケースも多々。ヤンバルクイナが暮らす森を運転するときは、くれぐれも「飛び出し注意」です。
▲ロードキルの注意看板。野生のヤンバルクイナが飛び出してくることもあるため、ゆっくり走りましょう


やんばるの森では、運がよければ野生のヤンバルクイナを見かけることもできますが、おすすめはこちら。安田(あだ)にある「安田くいなふれあい公園」のヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」。ここは生きたヤンバルクイナを見ることができる、世界的にもめずらしい施設なのです。
▲2013年にオープンしたヤンバルクイナ生態展示学習施設「クイナの森」


やんばるの森やヤンバルクイナの生態について知ることができる、クイナの森には「キョンキョン」という名のヤンバルクイナが暮らしています。
▲この風景のどこかにキョンキョンが…
▲いました!! 片足で立ちながら寝ています

解説員の中根さんの話では、キョンキョンは日中はケージのなかを歩き回り、落ち葉をめくりながらエサを探したり、水浴びをしたりするとのこと。
▲キョンキョンは2011年4月に卵で救護されたそう
▲キョンキョンを見に来たお客さんの様子をうかがいにくるキョンキョン


ヤンバルクイナは縄張り意識が強いため、傷つけあわないようケージのなかにいるのは1羽だけ。てこてこと歩くかわいい姿に、心が癒されます。

人に育てられたキョンキョンは、警戒心の強い野生のヤンバルクイナとは違い、ガラス越しに人の姿がみえると奥から出てきてくれるなど、愛嬌たっぷり。ヤンバルクイナは、夏場にみるとすらっとスマートな印象ですが、冬場は体を温めるために羽に空気をいれて体全体をふんわりさせるので、首がなくなってお団子みたいになるとのこと。

3月から7月の間は繁殖活動期で、ヤンバルクイナたちは恋のお相手探しに夢中だそう。一年に一度、ペアを変えるというオシドリとは違い、一度カップルなるとどちらかが死ぬまで一緒にいるというヤンバルクイナ。愛情深いヤンバルクイナに出会う旅は、カップルにもおすすめです。
satoimo

satoimo

那覇在住。編集者を生業にライターやイラストレーターとしても活動。夫と子どもとあちこちめぐりながら、島の自然・歴史・文化を観察中。心のメモ帖に書き溜まった事柄をたまに執筆している。

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