鉄腕アトムや火の鳥に会える「手塚治虫記念館」は深いメッセージが詰まった夢の空間!

2017.01.04 更新

手塚治虫といえば鉄腕アトムやブラック・ジャック、レオ(ジャングル大帝)、サファイア(リボンの騎士)など数多くのキャラクターを生み出した日本を代表する漫画家。その巨匠と関わりの深い兵庫県宝塚市にある「手塚治虫記念館」を訪れて、夢の世界を体験してきました。

手塚治虫の原点は宝塚市にあった!

「手塚治虫記念館」は阪急電鉄・宝塚南口駅から徒歩5分。またはJR・阪急宝塚駅から徒歩8分です。
▲阪急宝塚駅・今津線のホームは「鉄腕アトム」が発車メロディー

阪急電車では宝塚駅・今津線の発車メロディーに「鉄腕アトム」のアニメ主題歌を採用したり、手塚治虫作品のキャラクターがたくさん描かれたラッピング列車を運行するなど、地域で手塚治虫ワールドを盛り上げようと取り組んでいます。
▲駅からの道にはキャラクターの足元サイン

宝塚南口駅からは「宝塚大橋」を、宝塚駅からは宝塚大劇場前の「花のみち」を経由しますが、それぞれの路面には陶板セラミックタイルに鉄腕アトムなど5種類のキャラクターが描かれた足元サインがあります。
▲手塚治虫の心や世界を見て、触れて、感じることができる「手塚治虫記念館」

昭和3(1928)年に大阪府豊中市に生まれ、5歳から24歳までを宝塚市で過ごした手塚治虫。少年期は近所の雑木林で昆虫採集に夢中になり、母親がファンだった宝塚歌劇にもよく通っていたそうです。
▲ブロンズ製で高さ約4mもある「火の鳥」のモニュメント

記念館の入口前にある「火の鳥」のモニュメントには「非核平和都市」を宣言した宝塚市の思いも込められています。
ちなみに、手塚治虫の本名は「治」の一文字で、昆虫好きだったことから甲虫の名前からとった「治虫」をペンネームに使っていたのはファンの間では有名な話ですが、「塚」の字もよく見ると旧字体で旁(つくり)に「ヽ」があり「冢」になっています(記事内ではすべて新字体で表記)。これは宝塚市も公式文字として使っている共通のこだわりなのだとか。
▲エントランスには鉄腕アトムをはじめとするキャラクターの手型と足型も

鉄腕アトムをはじめとするキャラクターの手形と足形をデザインした25枚のタイルを貼ったエントランス広場は2015年4月に改修され、ベンチを置いた開放的な空間になりました。車いすでも利用しやすいようにスロープも設置されています。
▲ホールは「リボンの騎士」の王宮風

では、館内に入ってみましょう。サファイアと鉄腕アトムが出迎えてくれるホールは、手塚作品の中でも宝塚歌劇と関わりがいちばん深い「リボンの騎士」にちなんだ王宮風。天井にはたくさんのキャラクターが描かれたステンドグラスが組み込まれています。
▲貴重な展示物がズラリと並んだカプセルの中に

ホールから奥に進むと常設展示室があります。「宝塚と手塚治虫」「作家・手塚治虫」に関する貴重な資料が、「火の鳥」に登場する生命維持装置をヒントにデザインされた40本のカプセルに納められています。
▲少年時代にスケッチした昆虫と観察ノート
▲初期の作品が掲載された雑誌
▲仕事に使っていたペンや原画
▲アメリカ版「鉄腕アトム」を紹介した雑誌
▲本人も登場するビデオメッセンジャー機

「火の鳥」のマザーコンピューターをデザインしたビデオメッセンジャー機もありました。画面では手塚治虫本人や、関わりのある著名人のコメントが映像と音声で流れています。
▲52人収容のハイビジョンシアター「アトムビジョン」

「アトムビジョン」と名付けられたシアターでは、3本のオリジナルアニメが月替わりで上映されています。上映時間は13~25分で、約5分のインターバルを挟んでの常時上映なので、来館の際はお見逃しなく。

ロボット工場でアニメの制作体験!

▲フロアマップを掲載したパンフレット (c)Tezuka Productions

施設は地下1階(G階)から地上2階で、地下1階は幼児から大人まで楽しめるアニメ工房。1階はこれまでに紹介した展示室などで、2階はライブラリーや企画展示室などになっています。
▲エレベーターもSFチック

階の移動は階段でもできますが、エレベーターは「わざわざ」乗ってみたくなるガラス張りのカッコいいデザインでした。
▲鉄腕アトムの横にはジオラマで再現された昭和15(1940)年頃の宝塚

地下に降りると手塚治虫が少年時代を過ごした宝塚がジオラマで再現されています。「手塚治虫昆虫日記の宝塚」がテーマで、昆虫採集に夢中になっていた当時の手帳を元に製作されています。
▲アニメの仕組みを知って体験できる「アニメ工房」

「アニメ工房」は鉄腕アトムが誕生したロボット工場をモチーフにしたデザイン。壁面のパネルではアニメーション制作の歴史や技法を紹介しています。
▲自分の描いた絵がその場でアニメに

アニメ制作体験は自由に絵を描いて、専用のスキャナーに通すとアニメになって画面に現れます。下絵もあるので絵が苦手でも簡単に描くことができ、小さな子供なら色を塗るだけでもOK。初歩のアニメーション制作を体験しながら楽しめます。
▲「虫プロ」時代の手塚治虫の仕事場を再現したジオラマもある

ライブラリーは約2,000冊の漫画が読み放題!

▲企画展「松本かつぢの世界展」は2017年2月20日まで

2階の企画展示室では「松本かつぢの世界展」が行われていました。松本かつぢは戦前から戦後にかけて活躍した兵庫県出身のマルチクリエイターで、昭和3(1928)年頃から雑誌に抒情画や漫画の連載を始めた草分け的な作家です。企画展の期間は約4ヵ月で、1年に3回行われています。
▲膨大なデータを一発検索できる「情報・アニメ検索機」

手塚治虫の作品や生い立ちなど、さまざまなデータを検索して閲覧できる8台の「情報・アニメ検索機」は、休日には順番待ちになるほどの人気。
▲検索したアニメは全編を視聴できる!

それもそのはず、TVアニメや劇場版アニメ、オリジナルアニメなどは全編全話が時間に制限なく視聴可能で、ファンなら時間を忘れて画面に釘付けになりそうです。
▲壁面には貴重な初版本など数々の単行本を展示

年配の人には懐かしくてたまらない漫画の単行本が壁面いっぱいに並んでいます。何とその数は約500冊。改めて手塚治虫の偉大さや功績には驚かされます。
▲ライブラリーは何冊読んでも、何時間いても無料

見学や体験で一通り記念館を楽しんだら、時間が許す限りゆっくりと過ごして欲しいエリアを2つ紹介します。
ひとつ目は約700タイトルの漫画が読める「ライブラリー」。
▲手塚治虫作品のほとんどが揃い、英語や中国語、ハングルなどの外国語版も

面倒な手続きは一切不要約で、気になるタイトルがあれば自由に手に取って、手塚治虫の世界に浸ることができます。約2,000冊が並んでいるので1日では読めませんが、開館から閉館までずっとここで過ごすファンも多いそうです。
▲キャラクターに囲まれてのんびりできる「ジャングルカフェ」

そして、もう一つは「ジャングル大帝」をモチーフにした「ジャングルカフェ」。コーヒー、ココア、果汁100%ジュースは税込308円で、記念館限定販売のオリジナルクッキー(1枚・税込103円)もあります。
▲キャラクターがプリントされたオリジナルクッキー

オリジナルクッキーは5種類の絵柄で、お土産としてミュージアムショップでも購入できます(5枚入り税込507円)。

記念館が伝える手塚治虫のメッセージとは…

「手塚治虫記念館」は1994年のオープン。「自然への愛と生命の尊さ」をテーマに、青少年の夢と希望を広げる施設として宝塚市が設立しました。
▲「手塚治虫の心や世界を感じて欲しい」と、館長の小坂悦朗さん

「手塚治虫は漫画やアニメの第一人者であると同時に、膨大な作品は社会文化に大きな影響を与えた偉大な思想家でもありました」と小坂館長。
実際に館内を巡って手塚治虫の生き方や作品に触れることで、漫画家としての偉大さはもちろん、未来に希望を託し、伝えようとした自然を愛する心や生命、平和の大切さを感じることもできました。
▲取材後もライブラリーで

取材が終わった頃には、にわか手塚治虫ファンに。閉館までライブラリーで過ごし、これまでとは違う視点で作品に接することができました。皆さんも「手塚治虫記念館」へ足を運んで、手塚治虫からのメッセージを受け取ってみてはいかがですか。
廣段武

廣段武

企画から取材、撮影、製作、編集までこなすフリーランス集団「エディトリアルワークス」主宰。グルメレポートの翌日に大学病院の最先端治療を取材する振り幅の大きさと「NO!」と言わ(え?)ないフレキシブルな対応力に定評。広島を拠点に山陽・山陰・四国をフィールドとして東奔西走。クラシックカメラを語ると熱い。

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