岡山「吉備津神社」と「鬼ノ城」で、桃太郎のルーツをめぐる旅

2017.04.12 更新

岡山といえば日本昔話の「桃太郎」ゆかりの地として有名。県内には桃太郎にまつわる史跡や神社が数多く存在します。そして桃太郎のモデルになったといわれている岡山に伝わる伝説が吉備津彦命(きびつひこのみこと)の温羅(うら)退治です。今回はその吉備津彦命を祀る「吉備津神社」とその伝説に由来する古代の山城「鬼ノ城(きのじょう)」をご紹介します。

▲桃太郎のモデルとなった吉備津彦命が祀られている「吉備津神社」

岡山観光といえば岡山後楽園や岡山城、倉敷美観地区などが有名ですが、岡山を訪れたらぜひ立ち寄りたい名所が「吉備津神社」です。JR岡山駅から桃太郎線で約20分、岡山市中心部から車で約30分のところにある「吉備津神社」は、三備(備前、備中、備後の三国)を合わせた一宮の格式ある神社です。古代、備前、備中、備後に美作を加えた地域は、吉備国と呼ばれ、出雲や大和などと並ぶ大きな勢力でした。
▲比翼入母屋造(ひよくいりもやづくり)の本殿・特殿は国宝に指定されている(写真提供:晴れらんまん。岡山旅ネット)

創建年は不明ですが、その歴史は古く、現在の国宝に指定されている本殿・拝殿は室町時代応永32(1425)年に足利義満によって再建されました。

そして、ここ「吉備津神社」は鬼退治ですっかりおなじみの日本昔話の「桃太郎」発祥の地としても有名な場所。それは「吉備津神社」に祀られる吉備津彦命が温羅を討伐したという伝説に端を発します。
▲岡山駅前の桃太郎像。吉備津彦命がモデル…!? (写真提供:晴れらんまん。岡山旅ネット)

主祭神の吉備津彦命は、「古事記」や「日本書記」などに伝わる古代日本の皇族です。第7代孝霊(こうれい)天皇の皇子として生まれ、四道将軍(しどうしょうぐん/日本書紀に登場する皇族の将軍)の一人として、西国から運ばれてくる物資を略奪するなどの蛮行を重ねていた温羅一族を討伐するために吉備国へ派遣されました。そして、現在の「吉備津神社」の場所に本陣を構え、温羅を退治し、平和をもたらしたと伝えられています。

私たちがよく知る桃太郎のお話は、「桃太郎」=吉備津彦命、「鬼」=温羅一族として童話化したものだといいます。

国宝に指定「吉備津神社」でしか見られない吉備津造

▲お参りの前にはお清めを忘れずに

まずは、手水舎にてお清めを済ませたら参道をあがり、本殿へご挨拶に参りましょう。
▲本殿・拝殿は創建以降、2回の火災に見舞われ焼失しましたが、応永32(1425)年に再建。(写真提供:晴れらんまん。岡山旅ネット)

「吉備津神社」の本殿は比翼入母屋造という「吉備津神社」のみでしか見らない様式です。比翼入母屋造りとは、入母屋の屋根を前後に二つ並べ同じ高さで繋ぎ一つの大きな屋根にまとめたもので、全国でも唯一の様式であることから「吉備津造(きびつづくり)」とも呼ばれ、国宝に指定されています。
▲学問・芸術の神様を祀る「一童社」

本殿左の階段を上ると学問の神様・菅原天神と芸術の神様・天鈿女命が祀られる「一童社」に辿り着きます。江戸時代の国学者も信仰したと伝えられ、現在では、受験生を中心に学生のお参りも盛んで、たくさんの合格祈願の絵馬が奉納されています。
▲「一童社」には合格祈願の絵馬が奉納されています

四季の花々や「廻廊」など撮影スポットがたくさん

▲吉備国の地主神を祀っている「岩山宮(いわやまぐう)」

「一童社」を抜けた山道の先にあるのは「岩山宮」。こちらには吉備国の地主神が祀られています。「岩山宮」へと続く山道には、1,500株ほどの紫陽花が植えられており、初夏になると美しく色づきます。
▲初夏には紫陽花が見頃を迎える(写真提供:晴れらんまん。岡山旅ネット)

「吉備津神社」は一年を通して美しい草花が咲き誇ることでも有名です。春は椿や桜、牡丹にツツジなどが咲き、秋には、樹齢約600年の大銀杏が境内を鮮やかに彩り、四季折々の花を観ようとたくさんの人が訪れます。
▲自然の傾斜をそのままいかした「廻廊(かいろう)」

本殿と並びひときわ存在感があるのが、岡山県指定重要文化財に指定されている全長360mに及ぶ「廻廊」です。天正7(1579)年に再建された「廻廊」の美しく波打つ全景は、どこから撮っても画になるおすすめの撮影スポット。
▲美しく伸びる「廻廊」は絶好の撮影スポット

「廻廊」の途中には、商売繁盛の神様を祀る「えびす宮」があり、毎年1月9日~11日に行われるえびす祭には、縁起物を求めるたくさんの人でにぎわいます。
▲「廻廊」の途中にある「えびす宮」。商売繁盛・家業繁盛の神様として有名

釜の鳴り方で吉凶を占う、鳴釜神事

▲右奥が鳴釜神事(なるかましんじ)が行われる「御竃殿(おかまでん)」

本殿を背に「廻廊」の途中を右に曲がった先にあるのが「御竃殿」といわれる建物です。
こちらで執り行われているのが鳴釜神事。下に退治した鬼の首が埋まっていると伝えられている竃で湯を沸かし、その音を聞き、願い事が叶うかどうかを占う神事です。2014年にNHKで放送された大河ドラマで注目された黒田官兵衛もここで吉凶を占ったことを伝える書簡が残されています。
▲窓から光が差し込む「御竃殿」。凛とした空気に歴史と神聖さを感じます

鳴釜神事は、希望をすればご祈祷される方どなたでも受けることができます(祈祷初穂料3,000円~。※祈祷初穂料に含まれています)。社務所にて祈祷受付する際に鳴釜神事も一緒に申込をし、「祈祷殿」にてご祈祷します。その後「御竃殿」へと移動し、鳴釜神事が行われます。

全国でもめずらしい「吉備津神社」だけの神事なので、ぜひにと体験しました。
▲下に鬼の首が埋まっているといわれている竃。湯を沸かし、釜の音を聞きます

巫女さんが薪をくべ、釜で湯を沸かします。その蒸気で鳴る釜の音を聞いて吉凶を占うのですが、その際に宮司さんからのお告げなどは特にありません。「良い音だな」と自分が思えば吉、逆に「あまり良い音じゃないな」と思えば凶。音を聞いて自分で感じるのです。

同じ音を聞いても「良い」と思う人もいれば「良くない」と思う人もいるし、それどころか「聞こえなかった」という人もいるそうです。
私には、低く長くとても心地よい音に聞こえました!
▲鳴釜神事の様子

全国でも珍しい鳴釜神事。運勢を占うのも楽しみではありますが、歴史ある建物で執り行われる神聖な神事を体験することは、とても貴重な体験でした。

占いがお好きな方、歴史がお好きな方はもちろん、凛とした空気に触れ気持ちをスッキリとさせたい方にもおすすめしたいです。きっと神様が伸びやかに心地よく美しい音を響かせてくれるはずです。

現在では延命長寿、産業、安産育児、学問芸術の神様として岡山県民の心の拠り処として親しまれる「吉備津神社」。昔話「桃太郎」と古代ロマンを追い求める吉備津神社詣へぜひ出かけてみてください。

瀬戸内海も望む、絶景の古代山城「鬼ノ城」

「吉備津神社」を後にして、温羅を討伐した舞台と伝えられている「鬼ノ城」へ。
鬼ヶ島ならぬ「鬼ノ城」は、「吉備津神社」から車で30分ほどの距離にある、鬼城山(きのじょうさん)の山頂にあります。
▲古代の山城「鬼ノ城」

「鬼ノ城」は、標高約400mの鬼城山山頂につくられた、城壁が周囲2.8kmにおよぶ古代の山城です。
石垣や西門と呼ばれる城門などが復元されていて、自由に見学することができます。
▲山頂に復元された石垣と城門

「鬼ノ城」の地名は温羅伝説に由来します。
伝承によると、温羅という百済の皇子が居城を吉備国に構えたそうですが、西国から都へ送る物資を奪うなどの度重なる悪行に、人々は恐れ「鬼ノ城」と呼んだといいます。
しかし、調査研究によると、現在の「鬼ノ城」は温羅の居城ではなく、唐・新羅からの侵攻を恐れ国土防衛のため7世紀後半に建てられた山城というのが有力な説とされています。
▲晴れた日には遠くの瀬戸内海まで望むことができます

ここから一望する岡山の景色は、風光明媚な瀬戸内海、厳かな自然を有する里山、そして豊かな実りをもたらす大地。岡山が「ハレの国」と呼ばれるのにふさわしい、美しい土地であることが実感できます。岡山が誇る伝説を今に伝える「吉備津神社」と「鬼ノ城」は、岡山の美しさを体現できる場所でもあります。

昔話と伝説や伝承、それを祀る神社と神事、実在した古代の山城。桃太郎はただの昔話としてではなく、岡山の歴史文化の中に確かに存在しています。桃太郎をめぐる旅は、岡山のルーツを感じる旅。岡山にお越しの際は、ぜひ桃太郎ゆかりの名所を訪れてみてください。もちろん、お土産はきびだんごで決まりですね!
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