岡山・倉敷の大原美術館で奇跡のコレクションを堪能!

2017.02.04 更新

江戸時代の風情が残る岡山の倉敷美観地区。このエリアのシンボル的存在「大原美術館」は、倉敷観光のマストスポットです。地元の誇りになっている美術館には、世界の名だたる巨匠の作品が展示。日本にあることが“奇跡”と言われるコレクションをぜひご堪能あれ!

▲日本に2点しかないスペイン絵画の巨匠エル・グレコの作品。そのひとつがこの「受胎告知」

岡山観光の人気スポット倉敷美観地区。江戸時代の風情を色濃く残す白壁の街にあって、この土地の文化、建造物の両面でシンボリックな役目を果たすのが「大原美術館」です。
▲倉敷美観地区を流れる倉敷川

倉敷川沿いを歩くと、威風堂々とそびえるギリシャ神殿のような建物が見えてきました。
▲美術館を囲む石垣も趣深い

大原美術館は、西洋美術を公開展示する国内初の私設美術館として1930(昭和5)年に設立。地元の実業家である大原孫三郎(おおはらまごさぶろう)と岡山県出身の洋画家・児島虎次郎(こじまとらじろう)が出会い、育んだ友情の産物なのです。

孫三郎の援助を受け、洋画を学ぶため、1908(明治41)年にヨーロッパへ留学した虎次郎。そこで目にした西洋画に衝撃を受けます。日本では本物の西洋画に触れる機会がまだまだ少なかった時代。絵画を学ぶ多くのひとたちのため、優れた作品を日本へ──。

2人の思いが共鳴し、孫三郎は惜しみなく私財を投じ、虎次郎は画業の傍ら作品収集に奔走します。
▲本館入口の両脇にはロダンの彫刻作品「カレーの市民‐ジャン・デール」(右)と「洗礼者ヨハネ」(左)が

ところが、虎次郎は47歳の若さで死去。悲しみに暮れる孫三郎でしたが、虎次郎の功績をたたえ、収集したコレクションを展示する美術館(本館)の建設に乗り出します。構想から完成までに要した時間は、わずか1年半でした。

大原美術館は現在、「本館」「分館」「工芸・東洋館」「児島虎次郎記念館(2017年閉館後、移設オープン予定)」の4館で構成されています。

今回、取材のため特別に撮影の許可をいただきましたよ。まずは本館から見ていきましょう。

コレクター垂涎の名画がそろい踏み!大原美術館・本館

▲本館入口付近で「音声ガイド(税込500円)」を入手しよう。作品の解説や裏話を聞くと、鑑賞のおもしろみがぐっと増しますよ

入口正面を飾るのは、児島虎次郎の油彩画「和服を着たベルギーの少女」。誰もが目にする絶好の配置はもちろん、虎次郎へのオマージュ。
▲西洋人が和服を着ていることから、西洋と日本の融合の象徴として展示する意味合いも

この建物は、虎次郎が集めたコレクションを展示するための美術館でしたね。それを一眼のうちに証明する作品があるんです。

それがこちら、レオン・フレデリック「万有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん」。この作品の横幅(11.5m)を基準に、本館展示場の幅が決まったそうです。
▲左が死の場面を描く三連画、中央をはさんで右が再生の場面を描く三連画の7枚で構成

壮年期に26年かけて制作したフレデリックの代表作品。作品の一部に亡くなった娘も描かれているほど思い入れがあり、簡単に手放せない作品でしたが、虎次郎が直接アトリエを訪ね、熱意を伝えて購入にこぎつけました。

虎次郎は、代表作「睡蓮」で有名なクロード・モネのアトリエも訪問。生涯、たくさんの睡蓮を描いたモネの、お気に入りの1枚を直接口説いて入手したのだそう。
▲クロード・モネ「睡蓮」
▲工芸館横の池には、フランスにあるモネの自宅庭園から株分けされたスイレンが咲く(見頃は5~10月)

鑑賞のハイライトはなんといっても、日本に2点しかない巨匠エル・グレコの作品。ここ大原美術館にある作品「受胎告知」には、聖母マリアがキリストを身ごもったことを天使ガブリエルから告げられる新約聖書のワンシーンが描かれています。

実はこの「受胎告知」、虎次郎コレクションの中では異例の作品なんだとか。同じ時代を生きる作家のコレクションにこだわった虎次郎ですが、受胎告知は1590‐1603年に描かれた、いわば過去の名画。1922(大正11)年のヨーロッパ滞在中、この作品が売りに出されたという知らせを耳にして実物に出合い、作品の迫力に心奪われた虎次郎。すぐに孫三郎に購入の許可を願い出たエピソードが残っています。

今なお、世界的に人気のエル・グレコ。ここにあること自体、奇跡とも言われる名画を前に、作品が放つエネルギーに圧倒され、ただただ感動で立ちすくみました。
▲暗室に近い状態でスポットライトを浴びた「受胎告知」は、展示空間も含めてひとつの作品のよう

セザンヌ、モネ、ゴーギャン、ピカソ、ルソーなど、大原美術館のすごさは、ひとつの美術館で近現代の美術史をたどれるほどの圧倒的なコレクション。これは、日本の芸術発展という社会的使命を背負い、直接作者の元に足を運ぶことをいとわなかった虎次郎の努力と情熱の結晶なのです。

いや──、本館は、何度訪れても見ごたえがある!

建造物自体もアート!分館と工芸・東洋館

ささ、本館を後にして、敷地奥の分館へ進みましょう。
▲芝生の上にイサム・ノグチらの彫刻が映える。その奥に見えるモダンな建物が分館

分館は1961(昭和36)年、大原孫三郎の息子、總一郎(そういちろう)が建設。青木繁、岸田劉生(りゅうせい)ら、近代から現代の日本を代表する作家の絵画や彫刻が揃い、美術の教科書で見たことがある数々の名画に出合えます。
▲教科書でおなじみの岸田劉生「童女舞姿」

地下1階は特大カンバスが並ぶ現代アートの空間。草間彌生(やよい)や横尾忠則など、国内の著名な芸術家の作品もありますよ。
▲北城貴子「Waiting Light - muison-so -」

時代が生んだ名作の歩みをたどるコレクションの奥行きは、見事。加えて、分館の見所は、地元の建築家である浦辺鎮太郎(うらべしずたろう)が手がけたモダニズム建築。時代の先を見据えた建築そのものの評価も高いんです。
▲地下1階に通じるエントランスを見上げると、こんなにステキな灯りが

続いて、本館右側にある工芸・東洋館へ。
▲中庭を囲むように立つ「工芸・東洋館」

工芸館は、棟方志功(むなかたしこう)やバーナード・リーチなど、日本の民芸運動(暮らしの中で使われてきた手仕事の日用品の中に「用の美」を見出した)に関わった作家たちの陶芸作品や版画などを部屋ごとに展示。部屋はそれぞれの作風に合わせたつくりになっています。

工芸館とつながる東洋館は、虎次郎が収集した東アジアの古代美術品を展示。虎次郎の、飽くなき収集心を垣間見ることができる内容になっています。
▲高さ2m51cmもある、北魏時代(386~534年)の「一光三尊仏像」(作者不詳)。かつては台座を含めると4mを超える高さがあったそう

東洋館も、建物が魅力的。ディテールの凝り具合に、つくづく愛すべき美術館だな、と感じ入ってしまう。お見逃しなく!
▲栗の木のレンガが敷かれた床。積み重なる時間が光沢を与え、歩くとカタカタと音が鳴る
▲工芸館と東洋館の渡り廊下にあるステンドグラスは、「倉敷ガラス」を生んだ小谷真三(こだにしんぞう)作。柔らかな光を演出するオレンジ色のレトロ感がたまらない

「ミュージアムショップ」やアートプログラムも魅力尽くし!

最後に足を運んだのは、美術館の敷地内にあるミュージアムショップ(注:本館に併設しているミニショップもあり)。
▲入館料を払わなくても利用することができる

所蔵作品のレプリカやポストカードをはじめ、お菓子や雑貨など美術館のオリジナル商品もズラリ!ハイセンスなラインナップで、大原美術館スタッフが思いを込めてチョイスしているのが伝わってきます。
▲キュートな包み紙の大原美術館オリジナル「チロルチョコ」(1箱9個入り税込756円)
▲美術館にちなんだ図柄が入ったオリジナル手ぬぐい(1枚税込1,296円)も人気

所蔵品を公開する美術館の役目に加え、体験型イベントにも積極的に取り組む大原美術館。学芸員の解説がたのしめるツアーや、子ども向けワークショップ、現代アートイベントなど、多彩なイベントを開催しています。

そのうち、毎年8月に開催される子どものためのアートイベント「チルドレンズ・アート・ミュージアム(通称チルミュ)」は、芝生の上で体をいっぱい使って野外彫刻と遊ぶダンスワークショップなど、この美術館ならではのプログラムが満載です。
▲過去の「チルミュ」の様子。分館前の野外彫刻を取り囲んで身体を使ったワークショップを体験する子どもたち(写真提供:大原美術館)
▲モーニングツアーで学芸員の解説を聞く参加者たち(写真提供:大原美術館)

2017年4~9月の第1、第3日曜の午前8時からは、「モーニングツアー」を開催予定。1人税込2,000円(入館料込。ただし本館のみで午前9時まで)で作品の解説をじっくり聞くことができます。

見る者に寄り添う、おおらかな雰囲気を持つ大原美術館。社会のために尽くした孫三郎と虎次郎のDNAが今も受け継がれ、美術館全体を包み込んでいるからなのかも。何度も訪れ、そのときの感性で向き合いたい。そんな気持ちがわき起こる、スペシャルな場所・大原美術館へ、ぜひ足を運んでみてくださいね。
撮影:松本紀子
ココホレジャパン

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