500ヘクタールの比叡山延暦寺をひとめぐり!歴史と神秘的なパワーを感じる旅

2016.12.26

京都と滋賀の県境にある比叡山。東には日本一の面積を誇る琵琶湖を、西には古都京都の町並を一望できるなど眺望も美しく、1200年以上にわたり受け継がれる神秘的な空間は「パワースポット」としても有名です。今回はその山内500ヘクタールの境内地に約150の堂塔を有し、多くの参拝客が訪れる比叡山延暦寺を余すところなくご紹介します。

日本一長いケーブルカーで比叡山へ

比叡山延暦寺へのアクセスは、京都方面、滋賀方面から車やケーブルカーなどを使う方法があります。今回はその中でも全長2,025mと日本一の長さを誇る比叡山鉄道の坂本ケーブルで比叡山まで向かうことにしました。

門前町である坂本と比叡山延暦寺を結ぶ坂本ケーブルは昭和2(1927)年に敷設されました。ケーブル坂本駅とケーブル延暦寺駅の駅舎は登録有形文化財にも指定されており、なんともレトロな雰囲気が漂います。
▲ケーブル坂本駅からは営業時間内の毎時0分と30分に出発。ケーブルカーが到着するまでしばらく待ちます
▲延暦寺方面からケーブルカーが到着。鮮やかな赤と緑が特徴的なヨーロッパ調の車両は駅の雰囲気にぴったりです
▲坂本ケーブルには「縁号」と「福号」の2つの車両があります
▲車内は広々。パノラマの窓は開放感たっぷりです!

いよいよ出発!終点のケーブル延暦寺駅まで11分かけてゆったり登っていきます。
▲車掌さんの後ろの場所は、乗り物好きの方には特等席ですよね
乗車中は車掌さんが随時アナウンスもしてくれます。
ケーブルカーがやっと通れるくらいの小さなトンネルを通ったり、線路沿いにさまざまな動物の看板が登場したりと、11分の乗車時間があっという間に過ぎてしまいます。
▲線路沿いの山道には実際にシカやサルなどが現れるそうです
あっという間にケーブル延暦寺駅に到着!ここから参道を通り、のんびりと比叡山をめぐる旅のスタートです!

比叡山は仏教の総合大学!?

古くからこの地域の人たちの間では「山」といえば比叡山を指すほど、神山として崇められてきた比叡山。延暦7(788)年に伝教大師最澄が山を開き、お堂を建てたのが比叡山延暦寺のはじまりです。

「延暦寺」というお寺があると思っている人もいるかもしれませんが、実はそのような名前のお寺はありません。約500ヘクタールの広大な境内地には「東塔(とうどう)」「西塔(さいとう)」「横川(よかわ)」という3つの区域があり、そこに点在する約150の堂塔の総称が「比叡山延暦寺」なのです。
鎌倉時代には数多くの僧がここで修行し、宗祖として宗派を立ちあげたことから、比叡山は「仏教の総合大学」とも言われています。

1200年以上続く歴史と伝統は世界的に高い評価をうけ、平成6(1994)年にはユネスコの世界文化遺産に登録されました。
▲これが比叡山延暦寺の全貌!

まずはケーブル延暦寺駅からも近い「東塔区域」から回っていくことにしましょう。

延暦寺発祥の地、東塔区域

東塔は最澄が延暦寺を開いた発祥の地であり、本堂にあたる「根本中堂(こんぽんちゅうどう)」を中心とする区域です。
これが根本中堂です。
延暦寺の総本堂と言われており、建物は国宝に、回廊は重要文化財に指定されています。最澄自作の秘仏、本尊薬師如来が祀られ、その前には「不滅の法灯」が開創以来、なんと1200年にわたって灯り続けているのだとか。
うっかり油を断ってしまうと灯が消えてしまうことから「油断」という言葉ができたとも言われています。なるほど!
▲内部は撮影が禁止なのでここまで。中の回廊は荘厳な雰囲気でした

根本中堂はこれまで何回も災害に遭いましたが、復興の度に規模も大きくなりました。現在の姿は徳川家光公の命で寛永19(1642)年に竣工したものですが、2016年から再び10年間かけて、大改修が行われています。
10年後、再びどのような姿を見ることができるのか、今から楽しみです。

根本中堂の他にも、東塔区域には各宗派の宗祖を祀っている「大講堂」、先祖回向のお堂である「阿弥陀堂」など重要なお堂が集まっています。
▲大講堂には比叡山で修行した各宗派の宗祖の木像が祀られています
▲大講堂のそばにある鐘楼
▲一回50円で鐘をつくことができます
▲天台宗の中でも重要な位置付けの「戒壇院」は厳かな雰囲気
▲朱塗りが美しい阿弥陀堂。お堂の前では水琴窟が美しい音色を響かせます

さぁ次は「西塔区域」へ行ってみましょう!
※東塔から比叡山山頂、西塔、横川区域への移動は、シャトルバスか京都市内行きの路線バスの乗車が便利です。

心を鎮め、澄んだ空気を感じる西塔区域

西塔は東塔区域からはシャトルバス(毎年12月上旬~3月下旬は運休)で5分、徒歩では約20分の場所にあります。寂光大師円澄によって開かれ、「釈迦堂」を中心に、お堂が点在している区域です。
西塔の本堂にあたるのが、重要文化財に指定されている釈迦堂です。
現在の釈迦堂は、延暦寺に現存する建築の中で最古のもの。織田信長によって焼き討ちに遭いましたが、豊臣秀吉が大津の三井寺から移築しました。
左右対称に同じ形をしたお堂が廊下によって繋がっているこちらは、正面向かって左が「常行(じょうぎょう)堂」、右が「法華(ほっけ)堂」です。弁慶が両堂をつなぐ廊下に肩を入れて担ったとの言い伝えから「にない堂」と呼ばれており、重要文化財に指定されています。
※にない堂は内部非公開です。

紅葉が美しい横川区域

横川は東塔区域からシャトルバスにて15分、西塔地域からシャトルバスにて10分と少し離れた場所にある区域で、慈覚大師円仁によって開かれました。源信、親鸞、日蓮、道元ら名僧と言われた人たちもこの地で修行したと言われています。

本堂にあたるのは、遣唐使船をモデルとした舞台造りの「横川中堂」で、秋には色づく木々の美しさから紅葉まつり(毎年10月下旬~11月下旬開催)も開かれます。
▲こちらも信長の焼き討ちと雷火で2度焼失してしまいましたが、昭和46(1971)年に再建されました

他にもおみくじ・魔除けの「角大師(つのだいし)」として有名な慈恵大師(良源。元三大師ともいう)を祀っている「四季講堂(元三大師堂)」などもあります。
▲おみくじ発祥之地の石碑
現代のおみくじの形は、ここを居住地にしていた慈恵大師が考え出したと言われており、この元三大師堂はおみくじ発祥の地と言われるようになりました。

元三大師堂で行っている正式なおみくじは、自ら引くものではなく、まず僧侶の前で自分の悩み事を話し、僧侶が引いたおみくじを授受します。その後、おみくじに書いてある内容について僧侶から教えを受けます。そのため、悩みの内容によっては数十分かかることもあるそうです。(詳細はお問い合わせください)
▲しっかりお参り

東塔・西塔・横川と盛りだくさんの比叡山延暦寺。それぞれに特徴があるお堂の佇まいを眺めていると、比叡山がパワースポットと言われるのも納得です。ぜひ3つの区域全てを回っていただきたいところですが、2~3時間はかかるので、時間に余裕を持って訪れてみてくださいね。

また、今回利用したケーブルカー以外にも、大津方面(奥比叡ドライブウェイ経由)・京都方面(比叡山ドライブウェイ経由)から車で向かうことも可能です。大晦日は終夜営業しており、初日の出が見られるスポットとしても有名なので、一年のはじめに比叡山参拝と一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか?
▲各ドライブウェイの展望台から、ぜひご来光を拝んでみてください
石原藍

石原藍

ローカルライター。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

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