宮城が誇る郷土料理!キラキラ輝く「はらこめし」3選

2016.11.22 更新

サケの風味がしっかりきいた炊き込みご飯に、一口大のサケの切り身と大粒のはらこを贅沢にのせた「はらこめし」は宮城県亘理(わたり)町の郷土料理。サケが遡上する秋から楽しめる逸品です。亘理町民が誇る「はらこめし」には各店ごとの味がありました。

サケ、はらこ、炊き込みご飯が三位一体となった「はらこめし」を求め亘理町へ

宮城県沿岸南部の亘理町へは、仙台市から国道4号を南下して40分ほど。太平洋と阿武隈(あぶくま)高地に囲まれた自然豊かなエリアで、宮城県の郷土料理「はらこめし」の町としても知られています。

その中でも荒浜地区が「はらこめし」の発祥の地といわれています。阿武隈川の河口にある荒浜地区では、秋に遡上したサケを新米と一緒に調理する習慣があるそう。その歴史はとても古く、江戸時代、荒浜の漁師が仙台藩に「はらこめし」を献上したと伝えられています。
▲休日になると釣り人でにぎわう荒浜港
「はらこ」とは成熟したサケの卵巣をバラした状態のもの。いわゆるこの地域の「イクラ」の方言で、漢字で「腹子」と書きます。白米にイクラをのせた「イクラ丼」に対し、「はらこめし」はサケのダシがきいた炊き込みご飯にサケの切り身とはらこをトッピングするのが特徴。また、一般的なイクラは塩や醤油に漬け込んで食べますが、亘理では煮汁にくぐらせて味付けするのが主流です。
「はらこめし」は阿武隈川にサケが遡上し始める10月を中心に、12月頃まで楽しめます。現在は町内20軒以上の店で販売。店ごとに味付けが異なり、食べ歩きも楽しみのひとつです。

「はらこめし」といえばここ!名店の逸品に舌鼓を打つ

今回はそのおいしさのヒミツに迫るべく、発祥の地・荒浜地区を中心に人気の3店を訪ねました。1店目にご紹介するのは、「旬魚・鮨の店 あら浜 亘理店」です。
▲東日本大震災から5年5カ月ぶり、2016年8月に営業を再開
▲カウンターとテーブルがあり、全60席
「イクラ丼とはまったく別の料理なので、ぜひ一度試してもらいたいですね」と話すのは、店長の塚部慶人(よしひと)さん。
▲「先代たちが築いた、はらこめしの味をしっかり受け継いでいきたい」(塚部さん)
「あら浜」では、しっかり脂がのった5~8kgサイズのオスのサケの身を使用。はらこは大粒で、丁寧に下ごしらえをして磨いたものです。サケの切り身、はらこ、ご飯は、サケのアラのダシがきいた醤油ダレでそれぞれ味付けしています。
▲ピーク時は1日600~700食の「はらこめし」を作るそう
▲新鮮なはらこがたっぷり。入念な下処理が味の決め手
「生臭さをしっかりとることが大切」と塚部さん。「はらこめし」は、サケの皮をむいたり、小骨を取り除いたり、はらこの薄皮をはがしたりと、仕込みに時間がかかります。サケのおいしさを楽しんでもらうため、手間と時間を惜しみません。

そして、いよいよ「はらこめし」の登場!
▲「はらこ飯(1,620円・税込)」。ハーフ(1,296円・税込)もあります
この美しいビジュアルも「はらこめし」の魅力です。「はらこを丁寧に磨いているので、宝石のように輝くんですよ」と塚部さん。
塚部さんにおすすめの食べ方を聞いたところ、「豪快に混ぜて食べること」とのこと。崩すのはもったいないですが、「はらこ、サケ、ご飯が一つにまとまった味を楽しんでください」という塚部さんの言葉に促され、一気にかき混ぜます。
▲米は宮城県産ひとめぼれ。新米の香りもポイント!
たしかに、はらこ、サケ、ご飯が三位一体となり、あっさりとした味付けながらも奥深い味わい。はらこのプリッとした軽快な口当たり、脂ののったサケのしっとりとした食感、もちっとしたご飯。一口で、さまざまな味と食感を楽しめます。

「はらこめしは、この時期、ここでしか食べられない料理です。亘理町で、本物の味を食べてほしいですね」と語る塚部さん。このおいしさは、本場でしか楽しめませんよ!

人気寿司店の「はらこめし」は祖母の味がルーツ!

次に訪れた「鳥の海 浜寿し」の「はらこめし」は、店主・太田政志さんの祖母の味がルーツだといいます。
▲創業約50年。2012年から現在地で営業
▲和モダンなインテリア。個室もあり、ゆっくりと食事を楽しめます
▲2代目店主の太田政志さん。魚の目利きに自信アリ!    
「祖母が作ってくれたはらこめしは、小さい頃から慣れ親しんだ味です。この店のはらこめしは祖母の味がベースになっていて、40年以上変わらぬ味を守り続けています」と太田さんは話します。

こちらの「はらこめし」は荒浜産または三陸産のサケとはらこ、宮城県産ササニシキ、亘理町の永田醸造の醤油などを使った、地産地消を目指した一品です。
▲「はらこめし(1,600円・税込)」。これを目当てに足を運ぶ人がいっぱい!
サケ、はらこ、ご飯は、素材に合わせて別々の味付けに。素材の持ち味を生かすため、薄味にしています。サケは注文を受けてから煮汁に入れ、ふっくら、やわらかく仕上げるのがポイントです。

サケの鮮度の良さを実感できるやさしい味付け。醤油の香ばしさが際立ちながらも、角がない豊かな味わいです。随所に丁寧な仕事ぶりが光ります。
▲セットのあら汁にはサケのアラ、サトイモ、豆腐などが入っています
サケのあら汁は、ユズがきいた醤油仕立て。「はらこめし」と同じく、こちらも上品な味。あら汁にも店の個性がでていて、おもしろいですね。

気軽に味わえるお弁当もおすすめ!

亘理町では、はらこめしの弁当も人気です。荒浜港のすぐそばにある「鳥の海 ふれあい市場」では、テイクアウト用のはらこめしを市内の加工場で調理・販売しています。
▲すべて手作業というこだわりの「はらこめし(1,000円・税込)」。ご飯のなかにもサケが入っています
サケをまるごと一本、余すところなく使ったこちらの「はらこめし」。骨や皮、頭などもダシに使い、サケのうまみや脂をとことん引き出しています。東日本大震災後に「はらこめし」の担当になった佐藤さやかさんは、荒浜地区の人々のアドバイスを受けながらオリジナルの味を生み出しました。
▲「臭みをなくしているので、どなたでもおいしく食べられますよ」と佐藤さん
「冷たい状態でおいしく食べられる味付けにしています。」とのこと。しっかりとした味付けで、濃厚な味わいになっています。
「温かくして食べたい場合は、はらこに火が通らないように上下を逆にして、電子レンジで1分加熱してください」と裏技も教えてくれました。
▲地元でとれた魚介や野菜なども豊富に販売
こちらのお弁当は荒浜港で釣りを楽しむ人が購入することが多いそう。海を眺めながら、「はらこめし」を味わうなんて最高ですね!
同じ「はらこめし」でも味や盛り付けはさまざま。店や家庭ごとにレシピがあり、独自の味が受け継がれています。亘理町にいかに「はらこめし」が根付いているかがわかりますね。
ちなみに、亘理町では「はらこめし」のシーズンが終わると、冬から春にかけてホッキ貝がたっぷりのった「ほっきめし」のシーズンに突入。亘理町の楽しみは尽きません。
加藤亜佳峰

加藤亜佳峰

編集者・記者。編集プロダクションMOVE所属。仙台を拠点に、企画・編集・取材・執筆を担当。旅行誌を中心に、情報誌やムック、書籍、パンフレットなど幅広いジャンルの印刷・出版物を手がける。

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