正月の縁起物!だるまの本場、高崎で絵付け体験

2016.12.30 更新

群馬県高崎市は、東京・調布の深大寺、静岡県の富士市とならぶ日本三大だるま市が行なわれる町として知られている。正月や祈願達成の縁起物として定番のだるまだが、ここ高崎にはだるまの絵付けを体験できる店もある。伝統工芸士の指導のもと、併設の工房で眉と髭を描く作業を体験してみた。

▲高崎のだるま

現代のだるまは種類もさまざま

▲創業80余年の老舗「だるまのふるさと大門屋(だいもんや)」

だるまの購入やだるまの絵付け体験ができる「だるまのふるさと大門屋」は、JR高崎駅から信越本線でふたつ目の駅、群馬八幡(やわた)から南へ徒歩10分ほどのところにある。
だるま売り場では、大小さまざまなだるまが販売されている。顔の下に「福」と描かれた一般的な「福だるま」のほか、「合格だるま」「寿だるま」など種類もさまざまだ。
だるま売り場の奥には工房があり、朝から職人さんたちが張り子のだるまに絵付けを進めていた。
▲店内には色とりどりのだるまが並ぶ
▲左から「安産だるま」「寿だるま」「必勝だるま」「合格だるま」「福だるま」「招きだるま」。写真の福だるまの大きさ(33cm)で4,000円(税込)
▲売り場の奥に併設された工房
▲工房で乾かされているだるま

高崎だるまは眉と髭に特徴あり

絵付けを体験するためさっそく工房に入り、大門屋の社長で、群馬県ふるさと伝統工芸士である中田純一さんに手本を見せていただいた。
中田さんは1本の筆に墨をつけて、スッスッとリズムよく線を描いていく。細い線も太い線も同じ筆で引いていく技にはつい見とれてしまう。

「眉は鶴を表わし、髭は亀を表わしています。千年万年生きるという長寿の動物にあやかろうというわけですね。この2つを描くのが高崎だるまの大きな特徴です」
と教えてくれた。
▲髭を描く中田さん
▲眉、髭を描き入れただるまと中田さん

大門屋の絵付け体験では、絵付けするだるまの色を選ぶことができる。
伝統的な赤のほかにも白、ピンク、緑、黄色、オレンジ、紫があり、ご利益に違いはないそうだが、私は清潔感があって神聖な感じのする白を選んだ。
▲絵付け体験用のだるま。体験はひとつ(1回)800円(税込)

思うような線を描くのはむずかしい

だるまを手に持って大きく深呼吸をした。中田さんがやっていたように1回の筆の動きで失敗なく思うとおりの線を描きたいと思った。失敗したからといって何度もチョコチョコと描きたすのは男らしくないぞ……と。
▲見本を前にして心をしずめる

しかし、ひと筆目を動かした瞬間に簡単でないことがわかった。筆がうまく流れず、思ったとおりの太さと長さの線が引けないのだ。
▲気を集中して筆を動かす

思い通りの線にならないが、集中を切らさないように線を引いていった。結局2、3カ所はチョコチョコと描きたして、なんとか眉と髭らしく見えるようになった。
最後に、家族の健康を願いながら、向かって右側の左目に目を入れた。
どちら側の目を先に入れるかはとくに決まりはないが、「右に出るものはいない」という言葉もあることから、向かって右側に先に入れることをおすすめしているそうだ。
▲目を入れる

「うまくいかなかったからといって気にすることはありません。私は仕事ですからうまくやらないといけませんが、みなさんはそうではありませんよね。一所懸命に心を込めたかどうかが大事だと思いますよ」
中田さんはそう言ってなぐさめてくれた。
▲描き終わったらストーブの前で少し乾かす

2017年から市街地で新しいだるま市を開催

そもそも「高崎だるま」の歴史は約200年前にさかのぼる。
この近くの豊岡村(現高崎市上豊岡町、中豊岡町、下豊岡町)に住む山縣朋五郎(やまがたともごろう)という人が作りはじめたといわれている。
当時は赤い塗料の入手がむずかしく生産量は少なかったようだが、横浜が開港して外国から赤の顔料が入ってくるようになると、近在の農家が農閑期に作るようにもなり、生産量は増えていった(大門屋も80年前くらいから作り続けている)。そして、それらのだるまは正月のお祭りや近くの「少林山達磨寺」で販売されるようになった。
▲昔の木製のだるま

近年、「高崎談図抄」という文政12(1829)年の文献に、高崎市街地の田町でだるまを売る絵が載っていることがわかり、高崎の町なかでもだるま市を開催しようという機運が高まった。
そこで群馬県達磨製造協同組合では、2017年1月1日と2日に高崎駅西口駅前通りで「高崎だるま市」を行なうことになった。どのようなだるま市になるか楽しみである。
▲正月を1カ月後に控えて、たくさんのだるまが絵付けされていた

だるまの絵付けやだるま市を見に、ぜひ高崎に出かけてみよう。高崎では高崎駅構内をはじめ、町のいたるところでだるまが待っている。
▲大門屋のそばの橋に設置されているだるまのオブジェ
大塚真

大塚真

編集者・ライター。出版社兼編集プロダクションの株式会社デコに所属。近年編集した本は、服部文祥著『アーバンサバイバル入門』、『加藤嶺夫写真全集 昭和の東京』シリーズの「4江東区」「5中央区」(ともにデコ)ほか。ライターとしては『BE-PAL』(小学館)などで執筆。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP