関東屈指のパワースポット・榛名神社。奇岩、巨岩の迫力に身が引き締まる

2016.12.27

榛名(はるな)神社は、上毛三山のひとつ榛名山の中腹に位置する。創建は6世紀後半といわれ、1400年を越える歴史を持つ。沢沿いの境内は深い森とたくさんの奇岩・巨岩に囲まれ、近年パワースポットとして注目を集めており、初詣スポットとしても人気が高い。今回はそんな榛名神社の見どころを紹介する。

▲榛名神社の鳥居とその奥にある随神門(ずいしんもん)

群馬県高崎市にある榛名神社は、主祭神として火の神である「火産霊神(ほむすびのかみ)」と、土の神である「埴山毘売神(はにやまひめのかみ)」を祀り、古くから鎮火、開運、五穀豊穣、商売繁盛のご利益があるといわれている。

清らかな沢と奇岩・巨岩に囲まれた地形によって修験道の霊場としても有名で、現在はその清浄な雰囲気からパワースポットとして若い世代の関心も集めていると聞いてやってきた。

昔はお寺だった!? 山岳信仰や神道、仏教が習合した霊場

JR高崎駅からバスに乗り、榛名山のおだやかな山なみを見ながら向かうこと1時間ほどで榛名神社のバス停につく。参道に立つ鳥居をくぐるとすぐに重厚感のある門が現れる。
「随神門」といい、上棟は弘化4(1847)年、建てられた当時はお寺の仁王門だったという。
▲随神門。もとは仁王門と呼ばれた

どういうことかというと、榛名神社は用明天皇の時代(585~587年)に創建されたといわれているが、古くから神仏習合が定着し、江戸時代には榛名山厳殿寺(がんでんじ)と称されるお寺だったそうだ。しかし慶応4(1868)年に神仏分離令が出されると仏教色が排除され、もとの榛名神社となった。
そういわれてみると、鳥居がなければお寺の山門に見えてくる。
▲いまは仁王像ではなく、随神像が鎮座している

誰がつくった!?対岸に現れた岩の橋

随神門から神社の突き当たりである「本殿」までは500mほどの参道を登る。
随神門をくぐって「みそぎ橋」を渡ると右手に沢が見えてきて、さっそく清浄な空気がただよう。やがて沢の対岸にアーチ状の奇岩「鞍掛岩(くらかけいわ)」が見える。もともとは洞窟状だった岩の奥の部分だけが崩れ落ちてアーチ状になったという。
▲アーチ状の奇岩、鞍掛岩

参道の右側には杉の古木が立ち並び、森閑とした雰囲気だ。さらに進むと、左から岩が張り出していて、岩が崩れ落ちないようにトンネル状に補強されている。もし補強されていなかったら、歩くだけで修行になりそうな道である。
▲トンネル状に補強された道

トンネルを抜け、左にそそり立つ大きな岩を見ると、秘密基地への入口のように木の扉がついている。これは「東面堂(とうめんどう)」という建物の名残だそうで、手前に建物があって、この扉の奥に秘仏が安置されていたらしい。
▲旧東面堂の名残りをとどめる扉

大杉、名瀑、壮麗な門……。見どころが続く

この先から道は狭く、急な登りになっていく。
左には「矢立杉(やたてすぎ)」という杉の巨木。武田信玄が戦勝祈願のために矢を射立てたという言い伝えがある。
右には「瓶子(みすず)の滝」。滝の両側の岩を「瓶子」(神にささげる神酒を入れる酒器)に見立てた名だ。流れは細く、白ヘビが天に昇っていくようにも見える。
▲矢立杉。推定樹齢600年、高さ55m
▲瓶子の滝

滝を過ぎると階段となり、その先に大岩を背後にしたがえた力強い門が待ち構える。左右対に龍の彫刻が施されていることから「双龍門」と呼ばれる。この門をくぐるといよいよ「本殿」だ。
▲双龍門
▲双龍門に施された龍の彫刻

本殿の裏の大岩が“ほんとうの”本殿

文化3(1806)年に建てられた本殿は、国の重要文化財に指定されている。
本殿は背後の「御姿岩(みすがたいわ)」とつながっていて、その岩の洞窟内にご神体が祀られているという。前から見るとふつうの神社の本殿に見えるのだが、右手から裏を見てみてようやくこの本殿の特異さがわかった。

建物が岩にくいこんでいる、いや岩が建物をなかば呑み込んでいるようにも見える。
岩を見上げると、上部がくびれてキノコ型になっている。いまにも落ちてきそうだが、1400年前から落ちてこないのだから大丈夫なのだろう。

この光景を前にしたとき、沢からの冷気に包まれて自然と体がしゃんとした。背筋が伸びた。神社のなかでもっともパワーを感じた瞬間だった。
本殿に手を合わせて、もと来た参道を戻った。
▲正面から見た本殿
▲右手から見た本殿と御姿岩
▲岩のくびれ部分に大麻(おおぬさ)が。あんな高いところにどうやって置いたのだろうか

味噌おでんと焼きまんじゅう。社家町グルメ

帰りは参道途中の茶屋「みそぎ屋」で「味噌おでん」を食べて体をあたためた。味噌おでんはおでんのコンニャクに味噌だれをつけて食べるスタイル。味噌はうめやごまなど7種から選べる。「くるみ」を選んだが、くるみがぜいたくにゴロゴロと入っていて、香ばしい味がした。
▲味噌おでん。1串100円(税込)
▲みそおでんの「くるみ味噌」

このまま帰ろうかと思ったが、なんだか甘いものが食べたくなってしまい、鳥居のそばにある「三杉屋」で焼きまんじゅうを食べた。焼きまんじゅうは群馬県の名物で、蒸したまんじゅうを竹串に刺して焼き、甘辛いみそだれを塗ったもの。見た目は大きいが、まんじゅうはふわふわしているので、意外とたくさん食べられる。
▲焼きまんじゅう。1串200円(税込)

江戸時代はこのあたりに参拝者(榛名講と呼ばれた)のための宿坊が立ち並び、社家町(しゃけまち)を形成していた。いま宿坊は宿としてというより食事処としてそばなどの軽食を出している。榛名講の人たちも参拝のあとの食事を楽しみにしていたのだろう。
▲社家町には食事処が並ぶ

榛名神社は、沢と大岩が融合する自然の造形がすばらしく、おそらく神道や仏教が広まる以前から、人々にとって身が引き締まるような感じのする聖地だったのだろう。沢沿いには榛名湖に続く遊歩道が整備されている。1時間くらいで行けるそうだ。こんどはそこも歩いてじっくりと自然に包まれてみたいと思った。
▲境内に沿って流れる沢と榛名湖へと続く道
大塚真

大塚真

編集者・ライター。出版社兼編集プロダクションの株式会社デコに所属。最近編集した本は、服部文祥著『サバイバル登山入門』、松崎康弘著『ポジティブ・レフェリング』(ともにデコ)ほか。ライターとしては『TURNS』(第一プログレス)、『BE-PAL』(小学館)などで執筆。

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