北海道民のソウルフード、ザンギやザンタレってから揚げと違うの!?

2016.12.07 更新

ザンギって知っていますか?北海道のソウルフードの一つで、から揚げのような揚げ物の一種です。今回は元祖ザンギの店として有名な北海道釧路市にある「鳥松」と、ザンギから発展したザンタレ発祥の店「南蛮酊」、さらに進化を遂げたザンタレを提供する「炭焼鮮家 たま鳥」を訪ね、食べ比べてみました。

▲ザンギのほか昨今はザンタレも人気。その違いって?から揚げと何が違うの?

ザンギは北海道各地の居酒屋や定食屋などでの定番メニュー。鶏モモ肉を醤油などで味付けし、片栗粉などにまぶして揚げたスタイルが一般的です。近年はタコやカキなどさまざまな食材を使ったザンギも登場しています。

ザンギとから揚げは同じものと思われがちですが、北海道民の多くが「ザンギとから揚げは違う!」と強く否定します。ただ、この違いを明確に説明しにくいのは事実です。

まずはザンギのルーツを探るべく、ザンギ発祥の店、釧路市の「鳥松」の暖簾をくぐってみましょう。

元祖ザンギの店「鳥松」でザンギのルーツを知る

▲JR釧路駅から徒歩約15分、釧路市の繁華街の一角にある「鳥松」。はしご酒をするにも便利な立地です

「鳥松」は、看板メニューのザンギをはじめ、手羽先や鶏モモ肉の唐揚げなどを提供する揚げ鶏肉の専門店。1958(昭和33)年頃に焼鳥店としてオープンしました。
▲店を切り盛りする2代目店主、高倉さん

先代が切り盛りをしていた1960(昭和35)年頃、ブロイラーの売り込みがあり、一羽を丸ごと仕入れてブツ切りにし、から揚げを提供してみました。するとこれが大当たり。すぐに焼鳥の提供をやめ、揚げ鶏肉の専門店として今日まで続いています。

大好評だった鶏肉のブツ切りのから揚げを、中国語で「鶏のから揚げ」という意味の炸鶏(ザーギー)に、幸運の運(ン)を入れて「ザンギ」と名付けたそうです。
これが、ザンギのはじまりです。
▲ザンギとは本来、鶏肉のブツ切りのから揚げのこと。部位はモモ肉に限らず手羽やササミなど何でもアリ、しかも骨付きです

鳥松で「ザンギ下さい」とオーダーすると、骨付きの鶏肉が出てきます。部位はバラバラなので、どの部位が出るかはその時のお楽しみ!
▲鶏肉を仕込む高倉さん。ザンギを提供する時、ある程度万遍なく部位が交ざるように意識しているそうです

とはいえ巷では、一般的な鶏モモ肉のから揚げのような食べやすい骨なしのザンギが主流。「鳥松」でも骨なし鶏肉のザンギも提供しています。骨なしを希望の場合は、「“骨なしザンギ”を下さい」とオーダーしましょう。
▲「鳥松」でザンギといえば骨あり!ザンギは580円(税込)、骨なしザンギは690円(税込)

元祖ザンギは骨付きをタレで味わう!

元祖ザンギの特色はもう一つあります。それは、タレにつけて食べること。鶏肉には塩ベースの下味がついているのですが、卓上にある塩や胡椒、唐辛子などとともに置いてあるタレに軽くつけて食べるのが、元祖ザンギの流儀。
▲ザンギをタレに軽く浸して食べます。さらりとしたウスターソースのようなタレなので、サクッとした食感を損ないません

先代が日本各地を食べ歩き、ソースや調味料を味比べして研究を重ねて作り出したという秘伝のタレ。門外不出のレシピで、高倉さんがその味を受け継いでいます。
▲骨なしザンギにも合います。やわらかい甘辛さがありつつ、いくつもの旨みが絡み合った独特な味わいが、鶏肉のジューシー感を引き立てます

元祖のザンギは、カラッと揚げた骨付き鶏肉を、さらっとしたタレにつけて食べるもの。もちろん食べ方や味わい方は人それぞれなので、そのまま食べてもよいですし、卓上の塩と胡椒でパンチをきかせてもオッケー。
テイクアウトも可能で、タレを小さな容器に入れて添えてくれるのも嬉しいです。
▲タレにつけて食べると食が進みます!ぺろっと一皿食べられます

「鳥松」で生まれたザンギ。その後釧路市周辺の飲食店へと広がり、さらに北海道全域へと広がっていきました。その過程で、骨なしの鶏肉が主流になり、さらに鶏肉以外の食材も数多く登場しました。また、タレにつけて食べるスタイルではなく、タレがかかったザンギ、ザンタレも登場しました。

次に、ザンギの進化形、ザンタレを紹介します。

ザンギの進化形、ザンタレを、発祥の店「南蛮酊」で味わう

▲JR釧路駅から車で約20分、釧路町の釧路湿原近くに店をかまえる「南蛮酊」

ザンギにタレがかかったザンタレをはじめ、定食類や丼ものを提供している「南蛮酊」。1980(昭和55)年頃に創業した当初は現在の地ではなく、釧路市内の繁華街の中にありました。
この頃は居酒屋メニューの提供とともに宴会料理も提供していました。

アイスホッケー選手らの利用も多かったためボリュームがある料理を提供しようと、釧路市内で人気だったザンギをたっぷり盛ってタレをかけたものを、宴会コースの一料理として出していました。これが好評で、食べた客からこれは何かと尋ねられることがあまりに多かったそうです。
▲「南蛮酊」のザンタレ950円(税込)。鶏モモ肉1枚を半分に切ったものを7~8個使用、約700gもあります

そこで、ザンギにタレをかけたのでザンタレという名前にし、定食やテイクアウトのメニューとして売り出したところ大ブレイク。今では「南蛮酊」を訪れる客の8割以上がオーダーするという店の看板メニューになりました。
▲+350円(税込)で定食も可能。ご飯と味噌汁(またはスープ)、小鉢とお新香がつきます。かなりボリューミー!

ただ、一皿があまりにボリュームが多いので、別の定食や丼ものを頼みつつ、ザンタレを2~3人でシェアして食べるという人も多いのだとか。テイクアウトも可能なので、おやつや夜食にもよいかも!?

腹ペコさんならぺろっと一皿食べられるかもしれませんが、さすがに食べきれないと感じる方はお肉の量が約半分のハーフサイズもあるのでご安心を。
▲ザンタレのハーフ600円(税込)。レギュラーサイズ同様、+350円(税込)でこのように定食にすることも可能

ザンタレが目の前に運ばれてくると、甘酸っぱい匂いがツンと鼻を刺激するのが特徴。醤油と砂糖と酢で味付けしたというタレは酢がきいているので、ボリューミーな揚げ物でもかなりさっぱりとした味わいです。
▲脂っこさは感じず、意外とぺろっと食べられます!

少し違った味わいを楽しみたいなら、カラタレもおすすめ。ザンタレのタレに唐辛子とタバスコをきかせているもので、タマネギスライスがアクセント。唐辛子がきいているので舌先がピリッとしますが辛すぎるほどではなく、うま辛い味わいです。
▲カラタレ600円(税込)、サイズはハーフのみです。定食にすることも可

ザンギから発展したザンタレ。現在では提供する店が増え、北海道内各地でザンタレ定食やザンタレ丼などが登場するようになりました。
その中の一つ、さらに進化をしたザンタレが釧路市内にあります。最後にこちらを紹介します。

さらなる進化を遂げたザンタレを「炭焼鮮家 たま鳥」で味わう

▲JR釧路駅から車で約10分、釧路市街地の住宅街の一角にある「炭焼鮮家 たま鳥」

「炭焼鮮家 たま鳥」は、1999(平成11)年に開店した、串焼や揚げ物、たまご料理などを提供している居酒屋。2015年に釧路のザンタレを競うコンテストで、同店のザンタレがグランプリを獲得したことから注目されているお店です。
そのザンタレがこちら!
▲白たまザンタレ580円(税別)はサラダのようなザンタレ

ザンギ5個程度に刻んだゆでキャベツが盛られ、その上にフレンチドレッシングのようなオリジナルの白いタレをかけた独創的なザンタレ。ドレッシングのようなタレでも酸味はあまりなく、甘みを感じます。ご飯にも合い食べごたえもありながら、さっぱりとした味わいが特徴です。

揚げ物だと脂っこくて食べ飽きてしまいがちですが、これなら大丈夫!さらっと食べられるので、食事のおかずにも、お酒の席での一品にもピッタリです。
▲あわせて、自慢のたまご料理もぜひ!スイーツのように甘~いたまご焼きはシメによいかも!
北海道の定食屋や居酒屋などではごく一般的に見かけるザンギと、ザンギから派生して生まれたザンタレ。ぱっと見やイメージはから揚げに似ていますが、元祖の店や発祥の店で食べ比べてみると、から揚げとは似て非なるもの。この違いは実際に食べてみないとわかりません。
本場で食べ歩けば「ザンギはから揚げとは違う」と言い張る北海道民の気持ちが、きっと理解できますよ。
川島信広

川島信広

トラベルライター・温泉ソムリエ・イベントオーガナイザー/横浜市出身、札幌市在住。北海道内の全市町村を趣味で訪ね歩くうちに北海道の魔力に惹かれ、都内での雑誌の企画営業と執筆業務を経て北海道へ移住し独立。紙媒体やweb媒体などで主に観光や旅行、地域活性をテーマにした取材執筆と企画・編集を手がける。スイーツ好きの乗り鉄、日光湿疹と闘う露天風呂好き。

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