木桶仕込の醤油蔵。香川・小豆島の「ヤマロク醤油」

2015.06.17 更新

日本の食卓には欠かせない「醤油」ですが、どのように造られているかを知っている人は少ないもの。興味はあるけれど、実際に調べるとなるとハードルが高いと感じる人におすすめの蔵元があります。瀬戸内海に浮かぶ小豆島にある「ヤマロク醤油」は、年間2万人以上が見学に訪れる人気の蔵元。年中無休・予約なしで入れるので、思うまま旅をしてふらっと立ち寄ることできます。しかもこの蔵は観光用に作られた建物ではなく、登録有形文化財にも指定された100年以上続く醤油蔵。

花やミント、マンゴーなど、いろんな連想をさせる複雑な香りが体を包み込みます。薄暗い建物の中、乳酸菌や酵母菌など、無数の菌がびっしりとついた木桶が目の前に並び、神秘すら感じる空間です。

醤油を造るのは人ではなく、蔵に住み着く菌

「ヤマロク醤油」がある小豆島は、醤油の代表産地のひとつ。400年余り前から醤油造りが始まり、最盛期には約400軒、現在は22軒の蔵元があります。小豆島の醤油の最大の特徴は「木桶仕込」。戦後から効率的なステンレスタンクで仕込むようになり、木桶で仕込む醤油は今や日本の醤油生産量全体の1%程度に減少。そのうちの約1/4以上が小豆島産です。
「ヤマロク醤油」も木桶だけで醤油を仕込む蔵元。「蔵は土壁、そして木桶に仕込まんとあかん」ヤマロク醤油5代目社長の山本康夫さんは、4代目からそう聞かされていたと言います。
「醤油を造るのは人ではなく、この土壁や木桶に住み着く菌ですから。人は菌の活動を少し手助けするだけ。それだけで菌がうちの味を造ってくれます。働きもんですよ」山本さんは、蔵に訪れる人に木桶の魅力を語ります。
蔵によっても桶によっても住み着く菌が違うため、「ヤマロク醤油」の味は「ヤマロク醤油」だけのもの。計4年ほど熟した「ヤマロク醤油」の看板商品、再仕込醤油「鶴醤(つるびしお)」はソースのように濃厚。日本各地の再仕込醤油と比較しても特に濃厚で、コク出しとしてカレーの仕上げに入れたり、トンカツのソース代わりにしたりもできます。また、丹波種の黒豆を使い、1年半から2年熟した濃口醤油「菊醤(きくびしお)」は、長い歴史を想わせる深く力強い味わい、余韻に甘みが残ります。

情緒あふれる場所で、伝統ある醤油を味わう

続いて、「ヤマロク醤油」の味わいを楽しめる場所へ。
小豆島を代表する観光地「二十四の瞳映画村」は、壺井栄の小説を映画化した際にロケが行われたオープンセットを改築した場所で、1950年代にタイムスリップしたようなノスタルジックな時間が流れています。

その中の「cafeシネマ倶楽部」で提供されているのが、「カリカリ豚ともろみのひしお丼」。カリカリに揚げた豚肉を、ヤマロク醤油の「もろみちゃん」と「菊つゆ」を合わせた特製タレで味わいます。
「もろみちゃん」は、醤油を搾る前の諸味に砂糖、みりん、胡麻、生姜、昆布、鰹などを混ぜ合わせた味わい深い調味料。なお、「もろみ=諸味」は「諸々の味」があることからできた言葉です(諸説あり)。ごはんには上から下までタレがかかっていて、最後まで豊かな味わいを楽しめます。

また、同じく「二十四の瞳映画村」にある「チリリン屋」では、一風変わった醤油デザートを味わうことができます。それは、なんとヤマロク醤油の「鶴醤」を混ぜたソフトクリームです!
スイーツに醤油という意外な組み合わせなのですが、これがまた合う。「ほかにもいろんな醤油を試してみましたが、『鶴醤』が一番濃厚に仕上がります」と、醤油ソフトを開発したチリリン屋の濱本千絵美さんは話します。全国各地の醤油ソフトを食べてきた筆者としても納得。

まずはヤマロク醤油で醤油造りについて学び、そのあとに「二十四の瞳映画村」でひしお丼を食べ、最後はデザートとして醤油ソフトで〆てみてはいかがでしょうか?
昔懐かしい雰囲気の中で、伝統ある醤油を使った料理は一段と味わい深いですよ。

ヤマロク醤油が味わえる店舗

「ヤマロク醤油」を訪れるイベント

黒島慶子

黒島慶子

醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)

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