国宝・姫路城で歴史探訪。姫路城&好古園の見どころ、楽しみ方まとめ
ユネスコの世界文化遺産に登録され、日本100名城にも選定されている兵庫県姫路市の国宝「姫路城」。慶長14(1609)年に建築された大天守を中心に、その美しい姿を現代に残す姫路城は、その歴史的価値はもちろん、日本の伝統的な美しい風景が楽しめるスポットとしても人気で、世界中から観光客が訪れます。今回はそんな姫路城の見どころを、同じく秀逸な景色が堪能できる庭園「好古園」といっしょにご紹介します。※本記事の情報は取材時点のものです。最新情報は直接施設にお問い合わせください。

お城散策のその前に。知っておきたい「姫路城」

建築技術の粋を極めた傑作として、平成5(1993)年に日本で初の世界文化遺産に指定されたほか、国宝や重要文化財にも指定されている姫路城。大天守を中心に、櫓(やぐら)・門・土塀等の建造物や石垣・堀などの土木建築物が良好に保存されていて、歴史的にとても貴重な建築物なんです。


今の形を築いた池田氏の後も、城主を変えながら明治時代になるまでお城として活躍。赤松氏のころから数えると実に670年以上の歴史あるお城ということになります。
さて、さきほどさらりとご紹介した戦国時代の武将、黒田重隆。
歴史通の方はこの名前だけでピンとくるかもしれませんが、実はこの人「軍師官兵衛」として有名な豊臣秀吉の家臣、黒田官兵衛の祖父。

現在でも大河ドラマの題材となるなど、日本の歴史上の人物として人気の高い黒田官兵衛。
ご存知の方も多いと思いますが、官兵衛はこの姫路城で生まれたとされているほか、毛利攻めに向かう秀吉に姫路城を献上した張本人。
たとえば、お城を囲う東面のこの石垣は、秀吉が居城している時代、秀吉の命により官兵衛が築いたものなんだとか。姫路城は「黒田官兵衛ゆかりの城」としても、官兵衛ファンならぜひ押さえておきたいスポットなんです。
ほかにも徳川家康の孫娘であり、戦国一の美女といわれるお市の方の孫として知られる千姫が暮らした城としても有名な姫路城。日本の歴史の舞台として、さまざまなドラマを紡いできた姫路城は、歴史に思いを馳せるにはピッタリの場所です。

姫路城は、シラサギが羽を広げたような優美な姿から「白鷺城(はくろじょう・しらさぎじょう)」の愛称で古くから人びとに親しまれてきたんだとか。
鮮やかな白の城壁、精巧に建てられている大天守の美しさは、たしかにほかの城とは一線を画す見事さです。

豊かな自然に囲まれている姫路城は、四季折々にさまざまな表情を見せてくれます。春は桜とともにうららかな風景を、夏は青々とした新緑、秋は紅葉、冬は雪景色と、オールシーズン味わい深い景色を楽しむことができます。

これが歴史やお城にあまり興味のない人にも姫路城観光をオススメする理由。
散歩がてらに城内を散策すれば、姫路城と自然がみせる美しい景色にきっと心洗われるはずです。
城内の楽しみ方その1。歴史情緒あふれる、お城のある風景を堪能

どこまでをお城の敷地と考えるのかという細かいところはさておき、姫路城の敷地はとても広大。
内曲輪(うちくるわ)と呼ばれる内堀の中の敷地面積はおよそ23ヘクタール。東京ドーム約5個分という広さがあります。その中の約半分ほどの敷地は、現在公園として整備されていて、だれでも無料で入ることが可能。そして内曲輪の中でも天守閣を中心とする北側半分のエリアが有料エリアとなっています。
実はここまでご紹介してきた写真は、どれも有料エリアの外から撮影したもの。無料のエリアからでも姫路城の美しい景色は存分に楽しむことができるのですが、ぜひ姫路城の迫力を間近で感じましょう。
というわけで入城口からいよいよ入城です。(入城料 : 大人〈18才~〉1,000円、小人〈小学生・中学生・高校生〉300円・ともに税込)


威風堂々とした面構えの菱の門は、重厚感たっぷり。


城内に入ったといっても天守閣までの道のりはまだまだ。たくさんの櫓や門、石垣が、侵入した敵を迎え撃つために設けられています。その一つひとつが、どれも歴史的価値の高い、趣深いものばかりで見どころいっぱいです。
くわしくはぜひ現地で見ていただくとして、ここでまず「城内の楽しみ方その1」としてオススメするのは、城内の風景を楽しむこと。

城内は、どこもかしこも歴史情緒にあふれる景色でいっぱいです。

中でも、お城といえばやはりメインは天守閣。姫路城の大天守は、標高45.6mの高台に、石垣が14.85m、建物が31.5mで合計海抜およそ92mという高さでそびえ立っているので、城内のさまざまな位置で「ふと見上げるとそこには大天守の姿が」状態。

というわけで、いきなり発表。独断と偏見で選んだ、大天守のかっこいい写真撮影ポイントランキング!
まずは第3位!

つづいて第2位!

まさに目の真ん前に大天守!
大天守の迫力を間近で感じられるポイントといったらココです。


そして、第1位は…!

その庭園越しに眺める天守閣のフォルムが絶妙なんです。

城内の楽しみ方その2。 ARアプリ「姫路城大発見アプリ」で楽しく城内探検
姫路城は専用アプリを使って散策することで、普通に散策するより、何倍も楽しむことができるんです。

まずは、アプリを自分の端末(スマホやタブレット)にダウンロードし、インストールします。

たとえば、ARポイントのひとつである「はの門南方土塀」。

こちらの塀の前にある看板にスマホをかざすと、

まるで目の前で当時の再現VTRがはじまったかのような臨場感です。
今日の最新テクノロジー情報に詳しい方からすると、
「はいはい、結局ポイントごとの解説動画が見られるアプリね」
と思われるかもしれませんが、決してそれだけではありません。ネタバレになるのであえてくわしくはご紹介しませんが、解説動画が流れる以外にもさまざまな仕掛けが。


城内の楽しみ方その3。天守閣に登城して、歴史に思いを馳せる
中でもメインはやはり天守の中。池田氏が建てた現存する天守閣は、大天守と3つの小天守が渡櫓(わたりやぐら)で連結された連立式天守と呼ばれる構造になっています。その天守群の中に入って見学しながら、大天守の最上階まで上ることができます。

じつはこの天守群一体は、平成22年からはじまった大天守保存修理工事を終え、平成27年に一般公開を再開しました。一般公開が再開されて以来、たくさんの観光客が訪れるため、混雑時には整理券を配布し1日15,000人までの入城制限が設けられることもあるのだとか。天守の中を見たい人は混雑状況をチェックしながら早めに登城するのがいいでしょう。
それでは見学順路の案内看板にそって、天守の中へ。




城内各所の見どころなどをユーモアをまじえて、くわしく案内してくれるので、ぜひ利用してみてください。(入城口近くの「シルバー観光ガイド受付」詰所で当日直接申し込みを。時間帯によってはガイドさんが出払ってしまうこともありますので、事前に予約を入れておくと確実です)


各階を見学しながら徐々に上へ。
窓の外にふと目をやると、姫路の景色が広がっています。

上の階に上るたびに、どんどんと傾斜が急になっていく階段。
そしてとうとう、最上階へ。

そしてお城といえば「しゃちほこ」。
お城の守り神とされるしゃちほこは本来、雄と雌の対になっているそうなのですが、姫路城のしゃちほこはなぜかふたつとも雌。

その理由はなんともあっけないものでした。江戸時代から補修を繰り返して、今に残る姫路城の大天守。しゃちほこは非常に壊れやすく、これまで何度か復元補修され、交換されてきたようなのですが、昭和時代の復元大修理の際、雌のしゃちほこしか残っておらず、それをもとに復元されたため、両方とも同じ雌のしゃちほこになってしまったのだとか。
ちょっと残念な気もしますが、それだけ歴史のある建物。修復のドラマもこれまた一興です。
城内の楽しみ方その4。まだまだ見どころいっぱいの城内展示
まずは、「西の丸」。


こちらも天守同様、建物の中を見学することができます。
まっすぐに伸びる廊下は圧巻。建築物としての姫路城の美しさを実感できるポイントのひとつです。


興味深いさまざまな展示や建物内にしかけられた工夫を楽しめるのも天守内同様。とくに千姫好きな方はぜひ西の丸も回ってみてください。

ところ変わってお次は城内中央あたりにある「にの門」。こちらの瓦をよく見ると十字型の紋が刻まれています。
これは「十字紋瓦」と呼ばれており、キリシタンだった黒田官兵衛にゆかりがあるのではともいわれているんだとか。実際は関係ないとか諸説あるようですが、こんなところにも「黒田官兵衛」を感じることができます。
最後に紹介するのが石垣の魅力。
時代とともに拡張を繰り返してきた姫路城。異なる時代の石垣が混在していて、さまざまな年代の石垣を見ることができます。
これらの石垣は、時代によって積み上げ方が違ったり、灯篭や石棺(石の棺)など、さまざまなものを転用して石を集めていたのが分かっているのだとか。
こちらは、石垣の石集めに苦労していた秀吉に、町の餅売りのおばあさんが自分の使っていた石臼を献上したとの言い伝えが残っている「姥ヶ石(うばがいし)」。石垣にも歴史のロマンがいっぱい詰まっています。

というわけで、掘り下げると次々と出てくる姫路城の見どころ。
風景や美しい建物を見るにも、歴史に思いを馳せるにも、見応え充分の観光スポット。日本が世界に誇る文化遺産として姫路観光の際には、外せない場所です。
姫路市は、大阪や神戸から車や電車でおよそ1時間。姫路城はアクセスも抜群なので、関西に観光に訪れた際は、ぜひ姫路まで足を延ばしてみてください。
姫路城
兵庫県姫路市本町68
[開城時間]9:00~16:00(閉門は17:00)※夏季(4月27日~8月31日)は9:00~17:00(閉門は18:00)
[休城日]12月29日・30日
[入城料]大人(18才~)1,000円、小人(小学生・中学生・高校生)300円(ともに税込)
079-285-1146(姫路城管理事務所)
まるで映画のセットのよう。風光明媚な「好古園」

好古園は姫路城の西側にあった武家屋敷の跡地に造られた日本庭園。
発掘調査でわかった屋敷割や通路跡の遺構を活かして、築地塀等で仕切られた9つの庭園から構成されていて、風情ある景色を楽しむことができるスポットです。

この料金で総面積3.5ヘクタールという広さの9つの庭を満喫できちゃうんです。
さらに驚くことに、姫路城と好古園両方に入場できる共通券はなんと大人(18才以上)1,050円、小人(小学生・中学生・高校生)360円(ともに税込)で実質、大人なら姫路城の入城料にたった50円プラスするだけ!
お得感ハンパない!
姫路城を訪れたら、好古園に行かない手はありません。

入園料が安いからと言って侮ってはいけません。
好古園の庭は、江戸時代の建築を再現した門や塀、さらには渡り廊下などが設けられていて、庭園の美しさと、日本の伝統的な建築の調和が楽しめるように造られています。
このコンビが造り出す風景が秀逸。

映画「るろうに剣心」や「大奥」、TVドラマ「水戸黄門」「大岡越前」に「暴れん坊将軍」など、数々の時代劇のロケ地として利用されている好古園。名だたる話題作がいっぱいのロケ実績からも好古園の景色のすごさが伝わってきます。

さまざまなコンセプトで手入れの行き届いた庭はどこも見事の一言。


こちらは中秋の名月を愛でるのに最良の方向に向けて建ててあるという「潮音斎」と呼ばれる御屋敷からの景色。
この日の新緑の風景も素敵ですが、紅葉の時期になると、

ジャーン!
毎年、紅葉の時期には開園時間を延長してライトアップが行われているそう。
ライトアップされた紅葉の景色もぜひ生で見てみたいですね。


好古園の中には、庭の景色を楽しみながらのんびりと食事を楽しむことができるレストラン「活水軒」があるほか、季節の生菓子と抹茶で一服できる茶室「双樹庵(そうじゅあん)」なども用意されています。



濃厚なお茶の香りが口いっぱいに広がり、じんわりと舌を刺激する苦味。やさしいお茶の味にやすらぎを感じると同時に、本格的な茶室の雰囲気に身が引き締まる思いです。
日本の心を感じることのできるひと時でした。

「堅苦しいのはちょっと」という方は、足をくずして庭の景色を眺めながらのんびりとお茶を楽しんでもOK!
お庭散策のひと休みにぜひ立ち寄ってみてください。
豊かな自然と日本の伝統美を感じられる「好古園」。ここではご紹介できなかった美しい景色がまだまだいっぱいあります。気になった方は、この後に続く写真ギャラリー、そしてぜひ現地で体感してみてください。
姫路城西御屋敷跡庭園「好古園」
兵庫県姫路市本町68
[開園時間]9月1日~4月26日 9:00~17:00(入園は16:30まで)、4月27日~8月31日 9:00~18:00(入園は17:30まで)
[休園日]12月29日・30日
[入園料]大人(18才~)310円、小人(小学生・中学生・高校生)150円(ともに税込)
079-289-4120
心洗われる景色がいっぱい。姫路城&好古園ギャラリー















James
イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
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