気分は天上人。天空の城・竹田城跡の絶景を堪能

2016.12.27 更新

「日本のマチュピチュ」、「天空の城」と評される絶景スポット「竹田城跡」。秋から初冬にかけてしばしば、濃い朝霧が城跡を取り囲み、幻想的な風景を見せることから、早朝から多くの人々が、その景色をひと目見ようと訪れます。

兵庫県朝来(あさご)市にある山城「竹田城跡」。「日本100名城」に選ばれているこの城は、今では建物は残っておらず、石垣や竪堀(たてぼり)といった遺構が往時を今に伝えるのみです。それでも、ここを訪れる観光客は後を絶ちません。その理由のひとつが、ここで楽しめる絶景にあります。

標高約350mの古城山(こじょうやま)山頂にある「竹田城跡」は、自然と石垣とが織りなす美しい風景を楽しめるスポット。そして何といっても秋から初冬の早朝には、それはそれは幻想的な絶景を楽しむことができるんです。
▲「竹田城跡」からみた「雲海」
山々を取り囲む霧。そこから覗く山の頂は、まるで雲の海に浮かぶ島々のよう。
人々はその風景を「雲海」という言葉で表現しました。

良く晴れた日の早朝。「竹田城跡」ではこの「雲海」の風景に出合えることがあります。「竹田城跡」と聞いても、ピンと来ない方もいるかもしれませんが、「缶コーヒーのTVCMで紹介されていた雲の上に浮かぶ城」と聞けば、知っている人も多いのではないでしょうか。
そう、あの景色です。

「ぜひとも、あの景色を生で見てみたい」
雲海が頻繁に発生するのは、9月下旬~12月上旬の早朝。「竹田城跡」は、9月1日~11月30日まで朝4時から開城しますが、冬季は登山道が凍結してしまうため、12月1日~翌1月3日までは、10時開城に(ただし1月1日は特別に朝5:00開城)。さらに、1月4日~2月28日の期間は、凍てつきが激しいため登城禁止になるんだとか。そうとわかれば、登城できなくなる前に急いで行かなければ。

というわけで、今回の旅は、11月のまだ夜も明けない深夜の「竹田城跡」の麓から始まります。

中から見るか、外から見るか? 雲海スポットは大きくわけてふたつ

雲海が発生する時間は、明け方から午前8時頃までで、「よく晴れていること」「朝方と日中の気温の差が大きいこと」「風が弱いこと」がポイントなんだとか。

9月~11月の「竹田城跡」には、雲海をひと目見ようと大勢の人々が朝早くから集まってきます。
▲「竹田城跡」受付
雲海が楽しめる絶景ポイントは大きくわけてふたつ。ひとつはもちろん「竹田城跡」のある古城山の山頂。朝4時に開城する雲海シーズン(9月1日~11月30日)には、雲海に取り囲まれる「竹田城跡」を中から見ることができます。そして、もうひとつは、朝来山(あさこやま)の中腹にある「立雲峡(りつうんきょう)」の展望台。ここからは雲海に囲まれる「竹田城跡」の様子が遠景で楽しめます。

「中の『竹田城跡』か、外の『立雲峡』か…」
限られた時間と気象条件でしか発生しない雲海。一日で見られるのはどちらか一カ所が限界です。どちらも捨てがたいと迷いつつも「ここはやはり」と「竹田城跡」に向かうことにしました。

なお、「立雲峡」の展望台は、冬でも開放されています。いつでも自由に登れるので、冬はこちらからの景色を楽しみましょう。ただし、この地方は雪が積もると30cmを超えることもしばしば。積雪時は控えた方が良いでしょう。

また、2017年1月1日は、特別に朝5:00から「竹田城跡」に登城可能となるそうなので、気になる方はぜひホームページをチェックしてみてください。

まずは、場所取り! 夜明け前のライトアップを楽しみながら雲海を待つべし

古城山の山頂にある「竹田城跡」へは、山のふもとまでバスで行き、そこから登山道を歩いて登ります。雲海を撮影するベストポジション死守を誓い、開城時間にあわせて、真っ暗な登山道を登る筆者一同。
舗装されてはいるものの、なかなか急勾配な坂道を、懐中電灯を片手に進みます。

登ること約30分で、受付に到着。冷えていた体もすっかりポカポカです。
受付を抜けると、ライトアップされた石垣の姿が見えてきました。
雲海シーズンの「竹田城跡」では、4時の開城から夜明け前の5時半ごろまで、石垣のライトアップが楽しめます。夜空の星と、麓の町の街灯が遠くにかすかに光るだけの真っ暗な空間に、突如として現れるその石垣は、圧巻です。

天守台を中心に、東西に約100m、南北に約400mほどの広さがある「竹田城跡」。まずは一番の高台である天守台へと急ぎます。
▲写真中央の一番高いところが天守台
無事、天守台の最前列を確保。見下ろすと石垣の先に広がるのは、オレンジ色にぼんやりと光る麓の町の灯り。さらに奥に見える山々との間にはうっすらと、もやがかかり始めています。
▲夜明け前、天守台からの眺め

絶景ポイント1 「竹田城跡」で足元に広がる雲海を楽しむ

場所取りをした後、ライトアップを楽しみながら待つこと小一時間。徐々に空が明るくなり始めました。そして石垣を照らしていた照明が消灯。
「お~」
「いよいよか?」
周囲から期待に満ちた歓声がもれます。

その声に驚き振り返ると、10m四方ほどの広さしかない天守台に、観光客がぎっしり。
▲天守台に集まる人々
「徐々に雲海出てきてない?」
「ほんまや。キテる、キテる!」
あちらこちらからあがる声。

どうやら今日は、「当たり」のようです。
「さあ、そのまま出てこい。雲海!」
すると…
みるみる濃くなっていく朝霧。気づけば、あたりはすっかり雲に囲まれていました。
その神秘的な風景に、思わず息をのみ、見入ってしまいます。
そこら中から聞こえてくるカメラのシャッター音。天守台の下でもたくさんの人々が、思い思いに幻想的な景色を楽しんでいます。

いつも空高く、見上げた先にある雲が、自分たちの足元に広がる。
まるで天上人になって、下界を見下ろしているかのような不思議な感覚です。
そして、
「うわぁ~」
再びあたりから沸き起こる歓声。ご来光です。
▲天守台から眺めるご来光
自然の神秘をまざまざと見せつけてくれる圧巻の風景。
太陽の日に照らされた雲は、まさに波打つ海のよう。あたりの山との美しいコントラストを見せてくれます。
ひとしきり幻想的な風景を堪能したら、下山。一方通行の城内は、順路が定められていて、出口はそのまま登山道へとつながります。登って来たときは、真っ暗だった登山道ですが、帰りはときおり雲海が顔を覗かせる、すがすがしい朝のハイキングコースに。

下界に下りていく天上人の気分で、「竹田城跡」に別れを告げました。

絶景スポット2 「立雲峡」から眺める「竹田城跡」は、まさに天空の城

山を下りたら、次は朝来山の中腹にある「立雲峡」へ。
すっかり雲海の発生時間は過ぎてしまいましたが、古城山の山頂にそびえる「竹田城跡」を見ようと展望台へと向かいました。

山の中腹まで車で移動し、再び登山スタート。
登山道入り口の看板には「第3展望台、ここから5分。第1展望台、ここから20分」の文字。 
「どうせ行くなら、一番上の第1展望台でしょ」
「竹田城跡」の登山で疲れているはずの体は、絶景を見た感動でどうやら麻痺しているようです。
登山道入り口に置かれていた竹の棒を杖がわりに、がむしゃらに登ります。
▲登山道の途中に突如現れた神社の鳥居
木々に囲まれた山道。滝と呼ぶには少しかわいらしすぎる水場や、山中に突如現れる神社の鳥居など、山道の景色を楽しみながら、必死に登ること約20分。
▲第1展望台からの眺め
目の前に見える山の頂には、先程までいた「竹田城跡」。
予想どおり雲海はすっかりなくなってしまっていましたが、なるほど、この見晴らしのいい景色。
「ここからの雲海も見たかったな~」
ということで、ちょっとご紹介。
▲夜明け前の「立雲峡」からの眺め
▲「立雲峡」から見た雲海に囲まれる「竹田城跡」
まさに雲の上に浮かんでいるように見える「竹田城跡」。
「天空の城」とはよく言ったものです。

「石垣しか残っていない今でも、これだけ幻想的なのだから、かつてお城が建っていた頃の景色はさらに圧巻だったのでは?当時の人はどんな思いでこの風景を見たのだろう」
そんなことに思いを馳せながら、「次はぜひとも『立雲峡』からの雲海の風景を」
と心に誓い、下山した筆者一同でした。

雲海以外にも、まだまだ楽しめる「竹田城跡」近辺

雲海の風景以外にもまだまだ見どころはたくさんあります。まずは「竹田城跡」のふもと、JR竹田駅のすぐ目の前にある「情報館 天空の城」を紹介しましょう。
▲「情報館 天空の城」<営業時間 午前9時~午後5時(1月・2月は午後4時まで。12月29日~翌1月3日までは休館)、入館無料>
「情報館 天空の城」は、竹田城の歴史を紹介したパネルや、「竹田城跡」がそびえる古城山のジオラマ模型など、竹田城に関する資料が展示されている所。
「竹田城跡」は、神秘的な風景だけでなく、山城遺跡としてもとても貴重なもの。「竹田城跡」を訪れたら、ぜひあわせて押さえておきたいスポットです。
▲「天空の水」(税込120円)
そして、旅にかかせないのがお土産。「竹田城跡」のふもとや登山道の途中にある売店では「竹田城」にちなんだアイテムを販売しています。中にはここでしか手に入らないものもあるので、お土産にぜひ。
最後に、古城山の魅力もご紹介しておきましょう。
「竹田城跡」のある古城山には、いくつかの登山ルートが設けられており、山の麓から山頂の城跡まで、自然を楽しみながら登ることもできます。
どの登山ルートも、しっかりと整備された、登山初心者でも比較的気軽に楽しめるコースばかり。
四季折々にさまざまな表情を見せる山の自然を楽しむことができ、登山コースとしてもオススメです。

「どれだけ写真や映像の技術が進歩しても、現地・現物には敵わない」
世間では度々、そのような意見が論じられることがあります。
その考えが正しいのかどうかはわかりませんが、少なくとも「竹田城跡」の風景には、そう思わせるほどのパワーがあったように思います。
実際に見て、感じて、心のシャッターを押して欲しい。
そんな風景がそこにはありました。
James

James

イギリス人と日本人とのクォーター。大学では工学部、情報システムを専攻したかと思えば、ミュージシャンとしてギタリスト、MC、DJとして活動。TVやラジオなどでも活躍。その後(株)アドビジョンにて、デザインやコピーライティングなどマルチに活躍。バックグラウンドを活かした独自の視点が人気のライター。

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