豪雪地帯にあるレトロな秘湯・酸ヶ湯温泉で、初めての混浴体験!

2016.12.14

青森県の中央にそびえたつ八甲田山に「酸ヶ湯(すかゆ)温泉」はあります。酸ヶ湯と言えば、「ヒバ千人風呂」と呼ばれる混浴の大浴場が有名です。国内で初めて国民保養温泉地に指定されたこちらの温泉を、さっそくリポートしていきます。

豪雪地帯としても知られる酸ヶ湯温泉

酸ヶ湯が発見されたのは今から約300年前のこと。鹿が湯に浸かり傷を癒していたことから「鹿湯」と呼ばれたのが名前の由来。その後、酸性の強い湯であることから「酢ヶ湯」「酸ヶ湯」とその名は変わっていきました。筋肉痛や関節痛、冷え性、疲労回復など、さまざまな体の不調に効果が期待できる「療養に適した温泉」と言われています。
▲酸ヶ湯温泉旅館の宿舎外観

簡素な小屋しかなかった温泉宿舎を、現在のような木造宿舎にしたのは1917(大正6)年。紀行文で紹介されたり道路建設によりアクセスがよくなったりしたことから、観光地として有名になりました。現在では、JR新青森駅から「酸ヶ湯温泉」行きバスで約1時間10分の距離です。

標高925mの場所にあるため、夏の暑い日でも20度を上回ることが少ない過ごしやすい気候。大自然に囲まれ、四季折々の美しさを見せてくれることも特徴です。
▲夏の酸ヶ湯。暑い日でも20度を上回ることは少ない
▲紅葉が美しい酸ヶ湯の秋
▲スノートレッキングや山岳スキー客の立ち寄り湯としても利用される冬

その一方で、豪雪地帯としても知られています。
酸ヶ湯は2013年に日本の観測史上最大の積雪量566cmを記録しました。冬季は付近の道路が雪のため通行止めになることもしばしば。雪が完全に溶けるのは6月くらいとも言われ、毎年春には雪の回廊を歩くイベントが行われています。
▲吹雪いた時の酸ヶ湯温泉旅館の様子。ロケが過酷だったことで知られる映画『八甲田山』の撮影は、酸ヶ湯を基地に行われ、大物俳優が宿泊しながら挑んだとか
▲冬季閉鎖される区間の開通前に行われる雪の回廊ウォーク

昭和の雰囲気が残る館内を通って大浴場へ

玄関を入れば、そこはすでに硫黄臭が充満しています。入口の券売機で日帰り入浴チケットを購入してロビーを進むと、突き当たり右手に酸ヶ湯の目玉「ヒバ千人風呂」の入口がありました。
▲酸ヶ湯温泉の広いロビー。奥の休憩所は無料で利用できる

約100年前に建てられた旅館・湯治棟は古い木造建築で、懐かしさのある雰囲気が今も残っています。
▲年季の入ったあめ色の木材がつややかに光る廊下

ヒバ千人風呂の入口は、番頭さんが座っていた名残がある趣深い雰囲気。現在は番頭さんがいないため、中央にある入浴券入に購入したチケットをいれます。
▲ヒバ千人風呂入口

脱衣場もまたレトロな雰囲気が残り、入浴のエチケットを紹介したイラストや、昭和初期からあるという入浴方法を説明した案内板が飾られています。
▲シンプルな造りの脱衣場(男湯)
▲外国人観光客がよく注目するという入浴エチケットを描いたイラスト

じんわり体が温まる、ヒバ千人風呂の4つの温泉

では、いざヒバ千人風呂へ!どーんと広がるヒバ千人風呂の浴場は約160畳。だいたいテニスコート1面分くらいの大きさです。天井までの高さが約5mもある大空間には、柱が1本もありません。木材には青森県産のヒバをふんだんに使用しています。
▲ヒバ千人風呂を一望

ヒバ千人風呂の特徴は、なんといっても混浴であること。2つの湯船は基本的に左が男性で、右が女性スペースとなります。一部、男性の立入禁止スペースに衝立が設けられていますが、湯船が仕切られているわけではありません。浴場内には注意書きなどがあり、それぞれのスペースを守って温泉を楽しむことができます。
▲男性向けにマナーを喚起する注意書きが

ヒバ千人風呂は、千人も入れそうな広さだということから名付けられたようです(実際に千人が入ったという事実はないそう)。浴場内にある2つの湯船は、それぞれ異なる源泉を使用しています。

手前にある「熱湯(ねつゆ)」は、浴槽底から源泉が湧いてくるため、空気に触れていない生の湯を直接体感することができます。その温度は41~42度。少しぬるく感じるかもしれませんが、長く浸かることができるため、ヒバ千人風呂の中では一番身体が温まります。
▲こちらが「熱湯」。じわじわと温かさが体中に広がっていき、身体の芯が温まるようなお湯です。pH1.7という強い酸性であるため、入浴時間は5分~10分程度がオススメ

一方、奥にある「四分六分(しぶろく)の湯」は、温度43度とやや高温。しかし、体の温まり具合は「熱湯」を10とした場合、4~6割ということからこの名前がつけられました。「熱湯」とは別の源泉を使い、5つあるという酸ヶ湯の源泉のうち2つの湯を混ぜ合わせています。
▲「四分六分の湯」。「熱湯」より湯船は広く、衝立で目隠しされた女性専用スペースもある

他にも、浴場内にはかぶり湯と打たせ湯があります。
かぶり湯「冷の湯」は、湯船に浸かる前に体を軽く洗い流すためのもの。これもまた、先に紹介した2つの湯船とは違う源泉を使っています。湯の温度は38度と低め。かぶり湯のためだけに1つの源泉を使うという贅沢さは全国でも珍しく、酸ヶ湯の豊富な湯量を物語っているのでは。
▲女性専用スペースにも、女性のみが使える冷の湯がある(写真は男女共用)

打たせ湯「湯瀧」は、四分六分の湯と同じ源泉です。約3mの高さから落ちる湯を肩こりなどの患部に当てれば、絶好の温泉マッサージとなることでしょう。
▲酸性度の高いお湯が飛び散るので口に入らないようにご注意を

女性必見!酸ヶ湯の混浴攻略法

酸ヶ湯を楽しみたいけど混浴に抵抗があるという女性や、チャレンジしてみたものの直前で心折れた女性もいるということを聞きます。そんな人にオススメの、混浴に入るための必須アイテムがあるんです。それが、温泉の中で着用できる「湯浴み(ゆあみ)着」。
▲混浴に勇気のない女性には必須の「湯浴み着」(1,000円・税込)

入館してすぐ右手にある売店で販売しています。これを着れば女性でも安心して混浴を楽しむことができます。ちなみに、ヒバ千人風呂には女性専用の時間もあります。毎朝8~9時が女性のみとなっており、早起きはしなければいけませんが、男性の目を気にせずゆっくりと楽しむことができるでしょう。

「それでもやっぱり」混浴に抵抗が残る方には、男女別の内風呂「玉の湯」へ行きましょう。玉の湯はシャワーや洗い場も設備されており、のんびりと温泉を楽しむことができます。また、ヒバ千人風呂とは異なる源泉を使っているため、混浴を楽しんだ人にもオススメです。
▲男女別の内風呂「玉の湯」にはシャワーもついている
▲日帰り入浴客にも対応する温泉顧問医が常駐していることも特徴。健康管理のアドバイスなどを、無料でしてもらえる

酸ヶ湯温泉は酸性で硫黄臭が強いため、苦手な人がいるかもしれませんが、風情ある木造の浴室内は清潔感があり、ゆっくりと上質のひと時を送ることができます。リピーターも多いと聞く泉質は、万病に効能があるだけでなく、心にも効能がありそうで、誰かにすすめたくなる温泉でした。

温泉の後は酸ヶ湯グルメ&観光

温泉を堪能した後は、併設のお食事処「鬼面庵」で酸ヶ湯グルメを味わってみましょう。店内では八甲田の湧き水をセルフサービスでいただくことができます(無料)。青森市内からわざわざこの水を汲みに来る人もいるとか。
▲標高1,200mの八甲田山の湧き水

この湧き水とそば粉だけを使った十割そば「酸ヶ湯そば」は、雲谷(もや)と呼ばれる八甲田の麓にある地区に伝わる、独特なそば打ちの方法を受け継いだ逸品。のどごしがよく、昔ながらの素朴な味わいです。
▲山菜そば(750円・税込)。地元の山菜をふんだんに使っている
最後に周辺観光をちょっとだけご案内。酸ヶ湯温泉から徒歩10分程度のところにある「まんじゅうふかし」は、95度という高温の出湯場所。まんじゅうを本当に蒸すというわけではなく、地面から登ってくる熱で身体を温めることができる場所です。
▲中にお湯が通っている木箱に座って、お尻を温める「まんじゅうふかし」

また、付近には地獄沼と呼ばれる火山活動の噴気口がいくつかあり、一年中蒸気が立ち込める荒涼とした景色が広がります。そのほか、紅葉や樹氷が美しい八甲田ロープウェイや城ヶ倉大橋といった、四季を通じて楽しめる大自然やアクティビティが酸ヶ湯周辺にはたくさんあります。
▲地獄沼付近には火山ガスや温泉が噴出する噴火口がいくつかある

300年の伝統と良質な泉質。そして八甲田の大自然。酸ヶ湯には都会では体験することができない癒しがあります。ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
くどうたける

くどうたける

東京でウェブライターを経験し、2012年に青森へ移住。地域新聞や地域の情報を発信するお仕事をいただきながら、田舎でせっせと暮らしてます。(編集/株式会社くらしさ)

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