戦国時代の名将・武田信玄ゆかりの地をめぐる旅

2016.12.15 更新

「風林火山」の軍旗で知られる、戦国時代きっての名将・武田信玄。21歳の若さで国主となり、以来30年にわたって連戦連勝を重ねた武将です。かの出身地・山梨県内には、信玄公を御祭神として祀る武田神社をはじめ、信玄公墓などゆかりの地がいたるところにあるそう。名将をめぐる旅に出かけました。

▲JR甲府駅西側を降りると、高さ3.1mの武田信玄公銅像がお出迎え

まずは信玄公ゆかりの地として外せない「武田神社」へ参詣

訪れたのは、信玄公を御祭神として祀っている武田神社。JR甲府駅北口からバスで10分というアクセスの良さから、常に多くの観光客で賑わい、県内有数の初詣スポットとしても知られています。大正8(1919)年に造営されたこの神社は、武田氏三代が62年にわたって国政を執った「躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)」の跡にあり、国の史跡にも指定されています。
▲神橋を渡り、参道を歩いて進んだ先に拝殿があります
▲拝殿でお詣り

拝殿の右側には、武田家伝来の名刀など、信玄ゆかりの宝物を数多く保存した「宝物殿」があります(大人300円、中学生以下150円)。信玄直筆の詩が書かれた「信玄公軍扇」や、国の重要文化財に指定された太刀「吉岡一文字」など、歴史的価値の高い数々の収蔵品をじっくり楽しむことができます。残念ながら、記事内で写真を紹介することはできないので、ぜひ実物を見て、歴史をじっと味わってみてください。
▲昭和47(1972)年に開館した宝物殿。全国の武田信玄ファンが多く足を運ぶ

また、武田神社の中で、信玄公ゆかりのスポットとして外せないのが「姫の井戸」です。信玄公のご息女誕生の際、産湯(うぶゆ:生まれたばかりの赤ちゃんを入浴させること)に使われたため、この名称になったといわれています。延命長寿、万病退散のご利益があるとされ、拝殿横の授与所には「お水取り」ができる特製ペットボトル(100円)もあります。
▲拝殿を出て右手へ歩くとすぐに「姫の井戸」がある
▲「茶の湯の井戸」とも呼ばれ、井戸の付近で発見された茶釜などの品々は宝物殿に展示されています

「姫の井戸」の向かいには、癒しの音として人気の「武田水琴窟(すいきんくつ)」があります。竹筒に耳をあてると、中で水滴が落ちた音が反響し、琴のように澄んだ音を響かせます。
境内には、能や神楽が実際に行われる能舞台「甲陽武能殿(こうようぶのうでん)」もあり、厳かな雰囲気が魅力です。
▲「甲陽」の名は、甲斐武田氏の軍学書『甲陽軍艦』から引用されているそう

死を隠していた間の信玄公墓所へ

次に訪れたのは、武田神社から車で4分、信玄公の亡骸を火葬した場所とされる「信玄公墓所」。信玄公は、「自分が死んだ後3年間は喪を秘めること」という遺言を遺しており、外敵から守るためにも、埋葬地を秘密にしていたとされています。その3年の間葬られていたといわれているのが、この場所です。
▲武田神社から約3km。ひっそりと佇む信玄公墓所(火葬塚とも呼ぶ)

「風林火山」の軍旗に迎えられ、中に進むと、公墓の先には緑豊かな山々が広がります。厳かな気持ちになると同時に、自然に囲まれ心癒される場所でもありました。

信玄公が眠る、禅寺「恵林寺」へ

続いて訪れたのは、武田氏の菩提寺として知られる「恵林寺(えりんじ)」。元亀41(1573)年に53歳で亡くなった信玄公が今も眠る「武田信玄公墓所」があり、命日の4月12日には毎年供養が行われています。
▲緑に包まれ、鳥のさえずりが心地よい

国の重要文化財である「四脚門」や、国の名勝指定を受けている「恵林寺庭園」など見どころにあふれた恵林寺。歴史に思いをはせながら、ゆっくり巡りたい場所です。
▲天正10(1582)年の織田信長による甲州征伐の際、焼失した四脚門。その後、慶長11(1606)年に徳川家康によって再建され、今日に遺っています
▲三門には「心頭滅却すれば火も自(おのずか)ら涼し」という快川和尚の有名な一句があり、僧侶の動揺を鎮め、自らの運命に身を委ねたといわれています
▲禅寺では珍しいといわれる、日本有数の大庫裡
▲国の名勝指定を受けている恵林寺庭園が幻想的に浮かび上がります

恵林寺には、信玄公が生前に対面で摸刻させたという、等身大の不動明王が安置されているほか、武田家家臣の墓、約70基に守られるように「武田信玄公墓所」があります。通常は非公開ですが、毎月12日のみ特別公開をしているので、その日に恵林寺を訪れてはいかがでしょうか。

信玄も心を整えた、坐禅を追体験

恵林寺では、毎週土曜日(朝6:00~7:00)、第2日曜日(15:00~16:00)の1時間、無料で坐禅会を開いています(詳細はコチラ)。信玄公は、日常から熱心に禅に取り組んでいたそう。信玄公が心酔した坐禅にはどんな魅力があるのか、坐禅体験に申し込んでみました。
しんと静まった本堂に案内してくれたのは、住職の金子宗永(そうえい)さん。まずは、金子さんに足の組み方、姿勢の保ち方、目線の位置などを教わります。すると、それまで意識していなかった鳥の声や風に揺れる木の葉の音の大きさに気づきます。
▲坐禅は外国人にも人気。恵林寺では全国でも珍しい「英語の坐禅会」も開催しているそう(事前に確認・予約が必要です)

坐禅というと、“煩悩を捨てて無にならなくては”と意気込みがちですが、初心者にとっては、それはとても難しいことだそう。そこで「何も考えない」コツを教えてもらいました。
「坐禅をすることで、押し寄せるようにやってくる考えごとや、そこから妄想を始めてしまう自分を受け止めること。受け止めた上で、“今”だけに心を定めるように、考えごとを一つひとつ捨てていってください」(金子さん)

実際にやってみると、“考えない”ことのむずかしさを実感。それでも、時間が経つうちに心の中の変化をじっと観察できるようになっていきます。坐禅を終えると、時間の感覚を忘れていたためか、心も体もすっきりと軽くなった気がしました。
▲「己を見つめる」ために、信玄公が禅を大事にしていた気持ちに少しでも触れられた、そんな時間でした

昭和12年創業、オリジナルの信玄グッズが並ぶ老舗店

武田信玄ゆかりの地めぐり、最後に立ち寄りたいのは、信玄公のオリジナルグッズがずらりと並ぶお土産店「かぶとや」。ここだけでしか手に入らない、信玄公の兜のレプリカや風林火山の旗などがそろっています。
▲武田神社のすぐ前にある「かぶとや」。お土産の定番「桔梗信玄餅」ももちろん手に入ります

人気は、「風林火山」と記された軍旗風うちわや扇子、タオルなど。オリジナルTシャツもデザインがさまざまあり、信玄ファンにはたまらないお店です。
▲人気の「紙製軍旗」(税込1,190円)
「マフラータオル」(税込1,080円)には、信玄公の軍旗に記されていたとされる「疾如風、徐如林、侵掠如火、不動如山」(疾(はや)きこと風の如く、徐(しず)かなること林の如く、侵掠(しんりゃく)すること火の如く、動かざること山の如し)の文字がデザインされています。
1日では回りきれないほど、山梨県内に多くある武田信玄の軌跡。数日かけてゆっくりめぐりたいという方は、信玄誕生の地「積翠寺(せきすいじ)温泉」(山梨県甲府市)や、川中島の合戦で負傷した体を癒したといわれる「下部温泉」(山梨県身延町)など、信玄公が愛した温泉に泊まる旅もいいかもしれません。
▲往復約6時間のパレード

また、信玄公の命日(4月12日)には「信玄公祭り」も開催されます。武田神社の例大祭に併せ、一般参加者による「武田24将騎馬行列」が武田神社をスタートし、甲府市内をパレード。戦国時代にタイプスリップしたかのような光景を楽しめる、人気の恒例行事となっています。

あなたならではの、信玄公ゆかりの地めぐりを楽しんでみてください。
田中瑠子

田中瑠子

ライター兼編集者。神奈川県生まれ。広告会社、出版社を経てフリーランスに。アスリートからビジネスパーソンまで人物インタビューを幅広く手がける。昨今ロードバイクにハマり、全国津々浦々チャリンコ旅を楽しんでいる。(編集/株式会社くらしさ)

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