ジューシーで甘みたっぷりの冬限定デザート「あんぽ柿」作り体験!

2018.11.10 更新

柿の甘みがふわっと口に広がる「あんぽ柿」。干し柿とは異なり、とろけるような柔らかな食感が特徴です。その「あんぽ柿」作りを体験できる場所があると聞き、山梨県笛吹市へ向かいました。でも、「あんぽ柿」ってそもそもどういうものなの?作り方から絶品レシピまで、奥深き「あんぽ柿」の魅力を探ってきました。

しぶ~い柿がとろとろの甘いスイーツに大変身!

化学肥料を一切使わない「低農薬農法」で桃やぶどう、柿を育てる「マルサフルーツ古屋農園」。こちらの農園が運営する「マルサマルシェ」は、農業体験からフルーツ狩り、調理体験まで「食育」活動を一貫して行っている施設です。自家農園で収穫したフルーツを贅沢に使った「フルーツパフェ作り」や「ピザ作り」、山梨の郷土料理である「ほうとう作り」など、季節ごとにさまざまな食育ツアーが充実しています。
都心から車で約1時間半、中央自動車道・勝沼ICを降りて約5分でアクセスできる「マルサマルシェ」を訪れると、ずらりと並んで干された鮮やかなオレンジ色の柿がお出迎えです。
▲1年を通してさまざまな食育ツアーを開催している「マルサマルシェ」
▲乾燥中のあんぽ柿がずらり!
▲2週間ほど干すと、このような美しいあんぽ柿が完成します

ドライフルーツの一種でありながら半生のような食感で、ジューシーさがおいしい「あんぽ柿」。渋柿を硫黄で殺菌し、乾燥させて作る高級和菓子として知られています。
▲「あんぽ柿作り体験」は、6個作って税込1,500円。マルサマルシェで生産されたあんぽ柿の試食付き
▲あんぽ柿に使われるのは「甲州百目柿(こうしゅうひゃくめがき)」という渋柿。三角形なのが特徴的

山梨県甲州盆地で古くから栽培されている「甲州百目柿」は、そのままでは渋くて食べられませんが、乾燥させることで渋み成分のタンニンが不溶性となり、口に入れても渋みが感じられなくなるそう。あんぽ柿に合った品種として、山梨県で多く作られています。
▲あんぽ柿作りを教えてくれたのは、マルサマルシェスタッフの角田さん

「甲州百目柿は、そのままではとても食べられないほど渋い柿です。でも1~2週間干す間にゆっくり熟し、形が崩れることなく甘くなるので、あんぽ柿には最適なんです。一口食べると、熟した柿がとろっと口に広がって美味しいですよね」と話すのは、この日の先生・角田さん。

生まれも育ちも山梨県の角田さんにとって、あんぽ柿は子どもの頃から「おやつの定番」なのだそう。では早速、施設内のクッキングスタジオであんぽ柿作りのスタートです!

ヘタの周りをきれいに切り取るところからスタート

あんぽ柿の完成までには2週間弱干す必要があるので、体験では、甲州百目柿をむいて殺菌消毒し、「あとは自宅に持ち帰って干すだけ」の状態にするところまで教えてもらいます。

説明の後、まずは甲州百目柿のヘタの周りを切り取る作業から。皮、実、ヘタまでを一気にカットするため、包丁の刃を平行に入れていきます。実が固いため、思うように包丁を入れることができず苦戦しました。
▲渋柿なので、実が固く、意外に力が必要
▲手前は失敗作。葉が残ってしまった上、断面が斜めになっています。角田さんがカットした奥の柿のように、断面が平行であることが大事
▲2個目で成功!あとで干しやすいよう、ヘタをキレイに残しておきます

次に、皮をすべてキレイにむいていきます。
「皮が薄く残ると、乾燥した際にその部分だけ固くなってしまいます。少し厚めでもいいので、皮を残さずにむいてください」と角田さん。
▲上の部分の皮を包丁でむいたら…
▲下の部分はピーラー(皮むき器)でむきやすくなります
▲皮のむき残しがあってはダメ。干したあと、固い部分と柔らかい部分の差ができてしまいます

皮をすべてキレイにむいたら、ヘタの部分に麻の紐をくくりつけます。紐に柿を2つつけてバランスがとれるように、同じくらいの重さや大きさの柿を選びましょう。
▲柿のヘタに引っ掛けるために、麻紐で二重の小さな輪を作ります
▲柿のヘタの部分にひっかけ、ぎゅっと絞ります

ちなみに自宅で作る際には、丈夫なビニール紐でもOK。あんぽ柿作り専用にプラスチック製の業務用つるし紐も市販されているそうですが、「やはり麻の紐はナチュラルな雰囲気でいいですよね」と角田さん。確かに麻紐だと干した時にオシャレですね。
▲ずっしり重い2つの柿。1~2週間干すことで半分以下のサイズになるそうです

最後に、殺菌消毒のためにグツグツと沸騰したお湯の中に柿を一つずつ入れていきます。硫黄を使わなくても5~10秒熱湯につければ殺菌できるそうです。
▲柿を入れても沸騰し続けるくらい、強火をキープ
▲あとは自宅に持ち帰って干すだけ!あんぽ柿2個セットが完成です

干す場所のポイントは「日光の当たる風通しのいい場所」だそう。
「洗濯竿にかけるのが理想ですが、カラスに食べられる危険がある場合は、洗濯ネットをかぶせるといいでしょう。干している間にカビが生えてしまったら、カビ部分だけ取り除き、もう一度沸騰したお湯に入れて殺菌すれば大丈夫ですよ」(角田さん)
▲干すときは、柿同士がくっつかないことが大切なのだそう。「柿と柿の間にスペースができるように、上下差をつけて干してくださいね」

当施設でできるあんぽ柿作り体験はここまで。普段食べる柿をむくような軽い気持ちで取り掛かったら、渋柿の想像以上の固さに苦戦してしまいました。皮を丁寧にむき、1~2週間干すという手間をかけて、あんぽ柿の独特の甘さが作られるのだと実感しました。

あんぽ柿とチーズの絶品コラボレーション!?

「マルサマルシェ」にはカフェスペースも併設されており、ランチや軽食を楽しむことができます。マルサフルーツ古屋農園でとれた旬の食材のほか、お米や肉も山梨ブランドのものを使用。生産者の顔が見える「地産地消」を目指しています。
▲広々としたカフェスペース。奥はクッキングスタジオのスペース

季節によっては、あんぽ柿を使ったさまざまなメニューも楽しめます。果汁100%のももジュースやぶどうジュース、季節のビネガードリンクなどと一緒に、趣向をこらした料理の数々を味わってみてください。
▲「あんぽ柿ピザ」。サクサクのピザ生地と、柔らかなあんぽ柿の相性は抜群です ※提供メニューは随時変更となる場合あり

カフェであんぽ柿メニューを堪能した後は、せっかくなので自宅で簡単にできるあんぽ柿のアレンジレシピを教えてもらうことに。

角田さんがオススメするのは「あんぽ柿&チーズ」。半分に切ったあんぽ柿にクリームチーズを挟むだけなのですが、“渋い和菓子”というイメージのあんぽ柿が、おしゃれなカフェメニューに早変わり!いつも食べているあんぽ柿をもっと美味しく食べたいと角田さんが考えた一品なのだそうです。
▲角田さんが「鉄板のおいしさ」という、「あんぽ柿&チーズ」。クリームチーズ、プロセスチーズなど、どんなチーズでも美味

体験のあとには、店内に並ぶジャムやコンポート、果汁100%ジュースなどをお土産に買うこともできますよ。
▲「黄金桃のコンポート」など、新鮮なフルーツを使った商品がカフェ内にずらり
▲もちろん、あんぽ柿も買えます

完成したあんぽ柿で、自宅でアレンジレシピに挑戦!

後日、自宅で10日間ほど干したあんぽ柿を使って、角田さんから教えてもらった「あんぽ柿トースト」を作ってみました。材料は、パン、ヨーグルト、とろけるチーズ、ブラックペッパーとあんぽ柿。5分もあればできちゃうので、忙しい朝にもうれしい一品です。

【作り方】
1:パンにティースプーン1杯分のプレーンヨーグルトをぬります。ヨーグルトはかけすぎると、パンがべちゃっとするので少なめに。
2:その上に、食べやすい大きさに切って種を抜いたあんぽ柿をのせます。ハムやベーコンがあれば一緒にのせましょう。
3:とろけるチーズをのせてブラックペッパーをかけ、トースターで焼けば出来上がり。
▲角田さん直伝の「あんぽ柿トースト」。ベーコン、チーズに、あんぽ柿の甘さが加わるとこんなに美味しいとは!

「マルサマルシェ」に来るまで、あんぽ柿には「日本茶と一緒にこたつで食べる、おいしいけれどちょっぴり地味なおやつ」というイメージを持っていました。実際に自分で作って改めて食べてみると、素材だけの味とは思えないとろとろの甘みはもちろん、チーズやパンと一緒に食べたときのおいしさにびっくり。1~2週間、じっくり干してできるからこそ、食べた時のありがたみもひとしおです。ぜひ、手作り体験に足を運んでみてください。

※本記事は2016年の取材記事を一部更新したものです
田中瑠子

田中瑠子

ライター兼編集者。神奈川県生まれ。広告会社、出版社を経てフリーランスに。アスリートからビジネスパーソンまで人物インタビューを幅広く手がける。昨今ロードバイクにハマり、全国津々浦々チャリンコ旅を楽しんでいる。(編集/株式会社くらしさ)

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