絵ではなく文字をデザイン。凧の町・五十崎でマイ凧づくり体験!

2016.12.16 更新

誰もが子供の頃には体験したことがある凧揚げ。お正月にはどこまで遠く飛ばせるか友達や家族と競いあったことがあるのではないでしょうか?実は愛媛県の内子町五十崎(いかざき)は、新潟県の白根、静岡県の浜松に並んで、日本三大凧合戦に挙げられる凧の名産地。「五十崎凧博物館」では日本だけでなく世界の凧について学べ、実際に凧作りや凧揚げを体験できるのです。

古くは平安時代の書物にも登場する凧の歴史を知る

松山市から高速で30分ほど、内子ICを降りて5分ほどの場所にある内子町五十崎地域。目の前には小田川が流れ、緑が溢れるのどかな場所に「五十崎凧博物館」はあります。
この地で凧作りが盛んになったのは、お隣の大洲地域(現在は大洲市)が和紙の産地だったこと、そして小田川沿いには骨組みに使う竹が豊富だったことなどが背景にあるそうです。
まずは館内の見学から。日本はもとより世界中から集められた凧はなんと400点以上!それぞれの地域ならではの色使いやタッチ、「こんな形でも飛ぶのかな?」と不思議になるような形状までひとつひとつが興味深く、おもわず唸ってしまいます。壁面はもちろん天井まで使った展示は、アミューズメント性も高く、ワクワクしながら最後まで見学できます。
▲日本列島凧マップ。日本だけでもこんなにあるんですね!
▲本当の鳥が飛んでいるように見えるリアルなものはインドネシアのもの
凧に込めた想いも時代や地域で様々。天井に展示されている約20畳ほどの滋賀県四日市のこの凧は、切り抜き工法と言われる手法で作られた一枚。夢という文字に噛み付く龍がモチーフになっているのですが…ドリーム+噛む+two+龍=ドリームズカムトゥルーという意味が込められているのだそうです。

そんな謎かけのようなモチーフがたくさんあるので、絵の意味を考えながら見ていく面白さも。
▲希望をすればスタッフさんが案内をしてくれます。それぞれの凧に秘められた思いや背景を教えてくれるので、凧の面白さにますますハマっていきますよ

世界にひとつの自分だけの凧作り

見学を終えたらいよいよ凧作り体験に挑戦!作ることができるのは2種類。実際に糸をつけて揚げる凧は、A2サイズ(420mm×594mm)くらいのもので一週間前までに予約をすれば凧師さんが教えてくれます。所要時間は人にもよりますが約3時間程度ですので、本格的に作りたい人はぜひ(税込800円~)。

今回はふらりと立ち寄っても手軽に作れて、お土産にもなる「かざりミニ凧」を作ることにしました。こちらは予約不要で見学者は税込100円で作ることができます。
▲今回作り方を教えてくださるのは、館内見学の際に解説をしてくださったスタッフの大野智美さん
▲よく見ると「五十崎」という文字が描かれているのが分かります

五十崎凧の特徴は絵ではなく文字凧であるということ。決まった書体というものはなく、凧師さんそれぞれのタッチで描かれ、空にあがった時にきちんと読めるようにと太い文字になったため、一連の文字がどこかで繋がっています。
まずは凧に書く文字を選びます。A2サイズの凧の場合はフリーハンドで好きな文字を描きますが、このかざりミニ凧では、文字の型がいくつか用意されており、その中から好きな文字を選びます。
今回はめでたい「祝」という文字をチョイスしました。
大洲和紙に鉛筆で文字の型取りをしていきます。実際のフレームになる位置いっぱいまで、はみ出ないようにバランスよく配置していくのがコツです。3分ほどで完成。
五十崎凧のもうひとつの特徴は、文字の内側ではなく外側に色を入れること。塗る面積を少なくすることで塗料で凧が重くならず、風に上手く乗せことができるという理由だと言われています。
用意されている色鉛筆、マジック、クレヨンから好きな色を選び着色。今回はベーシックな赤をセレクト。
文字以外の部分に色を入れたことで文字が浮かび上がってきました。そしてよりくっきりさせる為に、最初に鉛筆でなぞった下書き部分をマジックで再度なぞり強調します。
次は、骨となる竹ひごを貼り付けていきます。この竹ひごが薄く削られしなやかで軽量化されているのも、五十崎凧の3つ目の特徴。縦に2本、その上から横に4本貼り付けたら、のりしろを折り込んで貼り付ければ完成!
▲プチサイズがとってもキュート。所用時間は約30分ほどで、小学生でも簡単に作ることができます。

A2サイズの場合はこの後に、竹ひご同士が重なる部分に和紙を貼り付けて補強したり、飛ばすための凧糸を結びつけたりする作業を行います。

意外と難しい?! 凧揚げにも挑戦

実際に揚げられるA2サイズの凧を作った場合はもちろん、それ以外でも凧揚げ体験をさせてくれます。目の前の河原ですぐに揚げることができるので、童心に返って駆け回ってみてはいかがでしょうか?
▲この日は風が弱く、あまり高くまでは揚げられませんでした

五十崎の豊秋河原では毎年5月5日に「五十崎大凧合戦」が行われます。その歴史は400年以上と言われています。男児出生を祝って初節句に凧揚げをしていた時、糸が絡みあったことから空中凧合戦が始まったのだとか。
凧のすぐ下に“ガガリ”という金具をつけて、それで凧糸を切り合うのだそうです。一斉に凧が揚げられる圧巻の風景は、一見の価値アリですよ。
▲これがガガリ。1枚の凧に一つ結びつけ、ツメのような部分で相手の糸を引っ掛けて切るのだそうです

今回数十年ぶりに凧の世界に触れてみて改めて実感したのは、子供の頃の遊びと侮るなかれ、と言うこと。大人になった今だからこそ分かる、凧の歴史の奥深さと凧づくりの面白さがありました。人それぞれの絵心や手先の器用さが試されるもの。友達と一緒に“凧づくり選手権”を開催してみるのもおすすめです。
▲お土産にこんな「ピンバッチ」(800円・税込)はいかがでしょう?
渡邊麻子

渡邊麻子

高知&静岡育ち。東京の出版社を経て「タウン情報まつやま」に10年間勤めたのち、2014年に独立。フリーランスのエディター&ライターとしてグルメ取材記事の作成ほか、企業のコンセプトブックなどに携わる。また音楽ライターとしての経験を活かし、南海放送ラジオでも音楽番組パーソナリティとして活動中。

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