あでカワイイ!レトロな町・内子をアンティーク着物でお散歩

2017.01.23 更新

愛媛県松山自動車道・松山ICから車で30分ほど走ったところにある内子町(うちこちょう)。木蝋の生産を中心に、古くから財をなした商家が立ち並ぶ白壁の町並みが保存された地区で、そのレトロな雰囲気はとても風情があり観光スポットとしても人気のエリアです。そんなレトロな町並みを着物を着て歩いてみませんか?という新しい試みがスタートしたので体験してきました。

今回の「あでカワイイ!キモノでめぐる恋する町並み」プロジェクトは、愛媛に来た観光客の方や、地元に住む人たちにももっと内子町に立ち寄るきっかけを作れたらと始まったもの。
内子町地域おこし協力隊として2015年に移り住んだ清水香奈さんの発案で2016年の5月から始まりました。
▲左が当プロジェクト発案の清水香奈さん

「内子町も例にもれず高齢化が進んでいます。この景観を守っていくには、もっと若い世代の人にも興味を持ってもらう必要があると感じたんです」と清水さん。町並みを連想させる「あでやか」に女性が興味をもつ「カワイイ」を合わせてタイトルをつけたそうです。

迷う時間も楽しい着物選びから

着付けができるのは「うちこの和 手しごと職人の家」の2階。町並み保存地区の中にあり築140年の古民家を使った、趣のある一軒です。

長年の美容師経験を活かして、着付けをしてくれるのも清水香奈さん。着付け費用は3,300円(税込)。草履や足袋、肌襦袢や手提げなどすべての道具がセットになっているので、手ぶらでOKです。当日レンタルもできますが、事前に予約をしておくのがオススメ。オプションでヘアアレンジも1,000円(税込)でしてくれますよ。
着物や帯などは全て地域の方達からの寄付。「町おこしの役に立てるなら」と今回の清水さんの思いに賛同した皆さんが、タンスで眠っていた着物を持ち寄ってくれたのだそうです。レトロな柄に味わいがあるものばかりです。
まずは色とりどりの着物の中から、自分の好きな一枚を選んでいきます。「似合う似合わないは考えずに、まずは着たいと思ったものを選んでください」と清水さん。
もちろん迷った時はアドバイスもくれるのでご安心を。元美容師さんなだけあって、肌の色や雰囲気を見て的確にアドバイスをしてくれます。

今回は淡いピンク色の生地にいろはの文字が描かれた一枚をセレクト。柔らかい雰囲気ながらも個性的な柄がインパクト大です。前の持ち主は舞台女優さんだったそうと聞き、納得です。
着物が決まったら、帯の色を決めていきます。今回は着物が淡い色を選んだため引き締まるよう、迷った末に深みのある色をチョイス。
そして、帯締め、帯揚げを選んでコーディネートが完成!組み合わせ次第でどんな雰囲気も作っていける着物は、選ぶ時間もとても楽しいものです。

いよいよ着付けスタート!

足袋を履き襦袢を着せてもらったら、いよいよ着物を着付けてもらいます。
「少し締めますので足を踏ん張ってくださいねー」などと楽しく会話をしながら、苦しくないけれど着崩れない絶妙な締め具合で手際よく着付けてくれる清水さん。着付け時間は15分程度。選ぶ時間をいれても30分程度で完了です。あっという間!
▲帯はシンプルな「お太鼓結び」で
ここでもう一つ見せてくれたのは髪飾り。地元のおばあさんたちが集まり和紙でひとつひとつ手作りをしているもので、価格も150円~200円(税込)とお手頃。というよりむしろ安すぎる気もしますが……その代金は全て内子町に寄付され、町の福祉事業に役立てられます。花の形のものが一番人気だそうですよ。
▲ショートヘアにも合うころんとしたボタン型がキュートなピンタイプを購入しました
▲手提げや草履も着物に合わせて数種から選べます
▲体験者には清水さん自らが登場する特別割引券も。「うちこの和 手しごと職人の家」の1階のショップで商品を購入すると5%OFFになります
「うちこの和 手しごと職人の家」の1階では職人さんたちが作った工芸品などを販売。内子の名産品の和紙を使ったギルディングと呼ばれる金箔の型抜き技法で絵柄を表現したポストカードや木製のわっぱなどが並んでいます。
▲お弁当派の人におすすめの曲げわっぱ。中仕切りがあるのも嬉しいポイント。6,000円(税込)~
▲猫ブームの昨今は猫柄のポストカードも人気なのだそうです。1枚350円(税込)~
▲1週間以上前に予約をすれば工芸体験もできます。写真の木工工芸(ぐいのみ作り)の他にもミニあんどん作り、ギルディング、紙漉きなど。費用は内容により500円~2,000円(税込)

いよいよ町並みの散策に繰り出します

着付けが完了したところで、さっそく町並みの散策を楽しみます。「うちこの和 手しごと職人の家」は町並み保存地区のちょうど真ん中くらいの位置。町並み保存地区を通り、保存地区外の内子町の名所に立ち寄ってから戻ってくるという、内子町をぐるりと一周するルートにしてみました。
▲この標識が町並み保存地区の目印です
▲明治・大正時代に製蝋業だったことを表す標識

現在はお店として営業していないところでも、明治・大正時代はどんな風に使われていたかの標識が設置されています。当時の暮らしぶりに想いを馳せながら歩いてみましょう。
まずは徒歩で5分ほど北へ向かって「木蠟資料館 上芳我(かみはが)邸」へ。国の重要文化財指定を受けた上芳我邸は、内子の経済を支えていた木蝋生産の基礎を築き発展の中心となった芳我家の分家。内子の木蝋最盛期である明治27(1894)年に上棟された立派な主屋は、当時の豪商の暮らしを垣間見ることができます。
▲中庭を囲むように仕舞部屋(女性が身支度を整える部屋)や産部屋(出産時に使う部屋)、炊事場や離座敷など様々な部屋が配置されています。とにかく部屋の数が多いことに驚かされます
▲主屋の2階には資料の展示があるだけでなく、建物の造りも良くわかります
▲木蝋資料展示棟の入り口

主屋以外にも木蝋資料展示棟があり、内子のみならず西日本周辺地域の貴重な資料が。木蝋の生産に関わる道具だけでなく、人々の生活に関わる民具も多いため、国の重要有形民俗文化財の指定を受けている貴重なものばかりです。
▲女性にとっては欠かせない口紅も、木蝋がなければ生まれなかったのだそう
▲敷地内には土蔵を改装した「カフェ蔵」も。ドリンクやお菓子付きの抹茶などがあるので、ここで一服するのもオススメ
▲木蝋といえばやはりロウソク。お土産には水に浮かべるキャンドル(1個300円・税込)はいかが?

「町家カフェDOLF」で内子の食を堪能

お腹がすいたら内子の食材をふんだんに使ったランチやカフェメニューが人気の「町家カフェDORF」へ。古民家を改装しており、中庭を望む座敷では靴を脱いでゆっくりとお座敷でくつろげます。
▲今回選んだのは、「内子豚のステーキランチ」(1,050円・税込)。とても柔らかく甘みの強い肉質は女性にも人気が高い逸品
▲そしてフォルムが美しい「オムライス」(700円・税込)は、クリーミーでトロトロ卵の食感が絶妙。中には内子豚のソーセージが使われています

築100年を迎えた劇場「内子座」に潜入

大正5(1916)年に創建された「内子座」は、歌舞伎や文楽、映画や落語などが上演され地域の人々に愛されてきた内子町のシンボル的木造劇場。老朽化のため取り壊しになりそうだったものを、町民の熱意により残されることに。2016年で築100年を迎えた現在でも実際に使用されており、公演のない日は普段入ることのできない劇場のバックヤードまで見学できます。入場料は大人400円(税込)。
▲演者の気持ちになって舞台上から客席を眺めてみましょう
▲舞台下の“奈落”も見ることができます
▲定員は650名まで。落語や演劇はもちろん、音楽ライブなどでも使用されています。全体が見渡せる2階席からの眺めもまた一興ですよ

まだまだあります。時間があればここにもぜひ

散策途中にぜひ寄りたいスポット「商いと暮らし博物館」は、大正10(1921)年頃の薬屋の暮らしを再現した資料館。最初に足を運んだ豪商「上芳我邸」との暮らしぶりの違いを考えながら見学してみるのも面白いですよ。
ちなみに「内子座」「木蠟資料館上芳我邸」「商いと暮らし博物館」の3館見学セットになった、お得なチケット(900円・税込)もあります。
▲人形に近付くと当時の言葉で会話が流れます
▲欄間の模様もひとつひとつ異なり面白いので見逃さないで

お酒好きの人は見逃せない、内子の地酒事情を知るならぜひ立ち寄ってほしいのがここ。
愛媛県には43もの酒蔵がありますが、ここ内子町にある「酒六酒造」「千代の亀酒造」の2つの酒蔵のお酒を取り揃えているのが、内子座の近くにある酒屋「蔵」です。中でも千代の亀酒造の「梨風(りふう)」(1,620円・税込)は、ちょっぴり発泡性のある日本酒で軽やかな口当たりが女性に人気。指名買いをしに来る人も多数います。自分用としても、お土産としても。
散策が終わったら、着物を「うちこの和 手しごと職人の家」に返却して終了です。当日の営業時間内に返却ができれば、特に時間制限などはありません。

着物を着て散策をすると、無意識にいつもより歩幅が小さくゆっくりとした動きになります。そのおかげで、いつもは見逃していたことに気付けたり、初めて訪れた町でもその町の小さな魅力をたくさん見つけたりするきっかけになります。
女性同士はもちろん、男性の着付けもできるので、古都の町並みのゆったりとした時間の流れを大切な人と体感してみてはいかがでしょうか?
渡邊麻子

渡邊麻子

高知&静岡育ち。東京の出版社を経て「タウン情報まつやま」に10年間勤めたのち、2014年に独立。フリーランスのエディター&ライターとしてグルメ取材記事の作成ほか、企業のコンセプトブックなどに携わる。また音楽ライターとしての経験を活かし、南海放送ラジオでも音楽番組パーソナリティとして活動中。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
また、本記事に記載されている写真や本文の無断転載・無断使用を禁止いたします。
PAGE TOP