とんこつ&揚げニンニクにヤミツキ!熊本ラーメンの名店3選

2017.01.31

熊本県民のソウルフードといえば、熊本ラーメン。博多ラーメンなどとはまた違った独特の風味を持つとんこつラーメンを求め、熊本県外からも熱烈なファンが多く訪れます。熊本地震にも負けず、熊本人にパワーを与え続けている熊本ラーメン。数多ある美味しいお店の中でも、まず押さえておきたい人気の3店をご紹介します。

▲「大黒ラーメン」のラーメン

そもそも、熊本ラーメンってどんなラーメン?

熊本市・近郊を中心に広まっている熊本ラーメン。「とんこつスープ(鶏ガラスープを加えるお店もあり)に揚げニンニクやマー油(焦がしニンニク油)を合わせ、中太ストレート麺を使うラーメン」が基本的な形です。

とんこつスープは福岡県の博多・久留米ラーメンなどと比べて、とんこつ臭控え目なのが特徴。そこに揚げニンニクの香ばしさが合わさり、絶妙なコクと風味を生み出します。
▲蒸気釜で1日かけて炊きあげたとんこつスープ(写真は「黒亭」のもの)

熊本ラーメンの発祥は1950年代の戦後までさかのぼります。久留米でとんこつラーメンが生まれ、北上して博多に広まるのと同じ頃に、南下して熊本県玉名(たまな)市にも伝わりました。その玉名に修行に行った職人達が熊本市で店を開き、独自の発展を遂げたのが熊本ラーメンなのです。同じとんこつラーメンでも、北と南、それぞれで少し違う形で発展を遂げたのだと思うと、とても興味深いですね。

伝統の味を堪能できる、行列必至の人気店「黒亭」

▲JR熊本駅から徒歩10分の場所にある「黒亭(こくてい)」。お昼時のピークを外して行くのがオススメ

1軒目は、熊本ラーメンを知る上でまず押さえておきたいお店「黒亭」。熊本駅から徒歩圏内という立地もあり、週末・平日問わずお昼時には行列ができる人気店です。長期休暇中などにできる県外観光客や帰省客の大行列は、もはや風物詩とも言えるもの。
▲カウンター席とテーブル席が並ぶ店内。キレイで居心地良い雰囲気

こちらの創業は昭和32(1957)年。熊本ラーメン創生期のお店の一つ「こむらさき」で修行した先代女将さんが、ご主人と一緒に立ち上げたのが始まりです。伝統的なスタイルを継承し続ける、いわば“正統派・熊本ラーメン”の味。

同店の1番人気が、創業以来の定番「玉子入りラーメン」。玉子好きだった先代女将さん考案のメニューで、今も1日100~150杯は出るという看板メニューです。肩ロースチャーシューが贅沢に乗り、食べ応え十分の一杯です。
▲「玉子入りラーメン」(税込900円)

契約農家から取り寄せた味の濃い玉子の卵黄のみを載せたプチ贅沢な一杯で、スッキリしたとんこつスープが持ち味。ニンニクも程よい香りで、たまらない組み合わせです。
▲ニンニクが苦手な方は、焦がしニンニク抜きも対応してくれるので、気軽に伝えてみて
▲美味しい食べ方レクチャーシートも。まずはスープと麺を楽しみ、レンゲの中で玉子を割り、麺や具を少しずつ絡ませて食べるとコクが増します!

そしてこのラーメンを追い上げる勢いの人気の一杯が、「旨辛豚そぼろ入りラーメン」。「辛い味のラーメンが食べたい」というお客さんの要望に応えて作ったというメニューです。
▲「旨辛豚そぼろ入りラーメン」(税込900円)

元々サイドメニューにあった「豚そぼろ丼」のそぼろをラーメン向けに改良し、ラー油で辛味をつけてトッピングしたら、絶妙な旨辛風味に人気が爆発したそう。ラーメンのためにラー油から手作りした程の、こだわりの辛味です。
▲子どもでも食べられる程よい辛さが絶妙。もっと辛さが欲しい人向けに、卓上にはラー油と一味が設置してあります

こちらのおいしさの秘訣は、徹底した手作り・手作業へのこだわりにあります。自家製の中太ストレート麺はタンパク質豊富で風味豊か、豚頭骨のみを使ったスープは高温で一気に炊きあげるので、うま味を引き出しつつも臭みや脂味なく後味スッキリ。そしてチャーシューは創業当時から継ぎ足しで使っている秘伝のタレに手作業で漬け込みます。素材から製法まで手間を惜しまずこだわった技が、絶品の1杯となって表れているのです。
▲平ざるで繊細に手間暇かけて湯切りするのが、こちらの流儀。均等に水気が切れるので、麺の食感を損ないません

元気のいいスタッフさん達の雰囲気も爽やかな「黒亭」。伝統の味を守りつつ新しい味の追求にも余念がありません。
▲20年超のベテランさんから、若いスタッフも多いお店。伝統の技がしっかり受け継がれています
▲オリジナルのお土産も人気!自宅でお店の味を楽しめる「お土産ラーメン2食箱入り」(右・税込864円)。「焦がしにんにく油」(左・135g税込972円)は、お店で使われているものより苦みマイルド。いろんな料理のアクセントに!

ボリューム系メニューも魅力の「大黒ラーメン」

次のお店は、これまた行列ができる人気店「大黒(だいこく)ラーメン」。場所は、熊本市街地から熊本城脇を抜けた県道303号線(通称・旧3号線)沿い。「黒亭」と同じく、伝統的な熊本ラーメンの味を楽しめるお店です。というのも、こちらの先代夫婦が「黒亭」で修行後、昭和55(1980)年にオープンさせたのがこの「大黒ラーメン」だからです。地元民から芸能人まで多く来店するお店として知られています。
▲熊本駅からは車で約20分。バスで行く場合は、熊本交通センターより「山伏塚」バス停を目指しましょう(産交バスまたは都市バス)。黒いのれんが目印です
▲店内はカウンター席と座敷席。芸能人も多く訪れ、お店の一角には多くのサインが飾られています

「ラーメン」(税込600円)など昔ながらのメニューも人気ですが、最近注目を集めているのがボリューム系メニュー「くろまるラーメン」です。山盛りのモヤシに、真っ黒なスープ、そしてその下に潜むのは通常の2倍の量の大盛り麺…。
▲「くろまるラーメン」(税込750円)。サッとゆでたモヤシの食感も楽しい

スープを覆う黒いものの正体は、他のメニューよりニンニクを黒く揚げたマー油です。この黒マー油によって焙煎したかのような香ばしい風味が増し、普通のラーメンよりもあっさり食べられると熱烈なファンも多いそう。
▲中太麺にスープと黒マー油がしっかり絡みます。程よいコクと香ばしさがたまりません

元々熊本ラーメンには、博多などでは定番の「替え玉(麺を一玉ずつ追加する)」の文化がありません。その代わりに、大盛りを食べる人に向けてインパクトのある特別な一杯を作りたい…、そんな想いで開発したメニューなのだそう。普通よりもちょっと苦みのあるマー油が、なんだかクセになります。

なお、創業以来のサイドメニューでもある「ホルモン味噌煮込み」が、同店の密かな名物。熊本では馬ホルモンが使われることが多いのですが、こちらではプリプリの豚モツを使用。
▲トロトロ、プリプリでたまらない「ホルモン味噌煮込み」(税込500円)。肉厚なモツを3種の味噌でじっくり煮込んだ味わいは、味噌まで全部なめてしまいたくなるほど!
▲ラーメンやホルモン味噌煮込みがセットになった、お得な「ラーメンセット」(税込980円)。週末には1日100セット以上は出るという人気ぶり

現在は2代目の中川博文(ひろふみ)さんが営みます。両親がお店を開店したときはまだ高校生。当時からお店を手伝い、卒業後はそのままお店に入って”大黒の味”を継承しました。
▲「大黒ラーメン」2代目店主の中川さん。スープは豚頭骨100%、麺は30年以上の付き合いの「富喜(ふうき)製麵所」の特注麺を使用している

スープや麺にこだわりを見せつつ、揚げニンニクも繊細に。「ニンニクは揚げ具合が若すぎても焦げすぎてもいけない。ラーメンの味を決めるポイントなので、一番気を遣って揚げます」と中川さん。強くもなく弱くもない、程よいニンニクとスープの抜群のバランス感が、「大黒ラーメン」ならではの一番の持ち味です。

人生を熊本ラーメンに捧げてきた中川さんは、その魅力をこう語ります。「とんこつ100%のスープと焦がしニンニクの出合いは、本当に奇跡だと思います。強くて優しい、素朴だけど繊細、そんな熊本独自の食文化を、いろんな人に知っていただきたいですね」。
▲10年以上のベテラン女性スタッフによる手厚い接客も、同店の名物の一つです

進化系熊本ラーメンを堪能するなら「いっぷくラーメン」へ

3店目は、伝統と革新を兼ね備えたラーメンの数々に注目が集まる「いっぷくラーメン」です。こちらの創業は昭和57(1982)年。「子ども連れでも入りやすい、ファミレスのようなお店にしよう」というコンセプトで始まりました。当時はまだ、カウンター席だけのラーメン店がほとんどだったので、斬新な店舗作りが大好評だったそう。
▲国道57号線・通称東バイパス沿いにある店舗。車でのアクセスが便利です
▲「ファミレスのラーメン版」をイメージして作られた明るい店内

ラーメンも、先の2店とはひと味違う「進化形」のスタイルが特徴です。一番の違いは麺に「たまご」を練り込んでいること。厳選のたまごと2種類の小麦粉をブレンドし、毎日お店の厨房で製造している自家製麺です。ツルツル、シコシコの食感が、喉に滑り込む美味しさ。ラーメンの種類に合わせて中太ストレート麺、細ちぢれ麺、太麺の3種を製造しています。
▲たまご麺のツルツル感は、やみつきになる食感です。濃厚スープも良く絡む!

なお、スープは、豚の頭骨にゲンコツ(大腿骨)を混ぜて炊きあげます。とんこつ臭抑え目でマイルドな熊本らしい風味を持ちつつ、少しトロみを感じられるのがこちらのスープの特徴。背脂・ラードは不使用で、とんこつだけで出したこの濃いトロみが、ツルツル麺との相性抜群なのです。
▲とろみスープのコクとマー油の香ばしさを、喉奥でゴクリと堪能

自慢のチャーシューまでしっかり楽しみたいなら、「チャーシュー麺」がオススメ。何とチャーシューは豚ロース、豚バラの2種から選べ、両方を2枚ずつ載せてもOK。
▲「チャーシュー麺」(税込860円)。写真はロースのチャーシュー4枚
▲自慢の豚バラのチャーシュー。一本一本丁寧に仕込みます

「いっぷくラーメン」のもう一つの魅力が、多彩なメニュー展開です。熊本県産食材を研究したり、常連のラーメン愛好家達に意見を求めたりしながら、常に新しいメニューに挑戦。

「天草大王塩ラーメン」は、そうやって生まれたメニューの中でも一番の出世作です。というのも、あまりにも人気が出すぎて、この塩ラーメン専門店「マルイチ食堂」を熊本市街地に作ってしまったほどなのです。
▲「天草大王塩ラーメン」(税込750円)

天草大王とは、うま味があまりにも濃厚なことで有名な熊本の地鶏。その鶏ガラを弱火で4時間煮込んで塩で仕上げたスープは、透き通った見た目からは想像できないほどのダシとコクが感じられます。細いちぢれ麺がしっかりスープをまとって、黄金に輝くかのよう!あっさりしっかりした風味は、クセになる美味しさです。
▲「とんこつだけでない、いろんな熊本ラーメンを楽しんでください!」と若大将・一美さん夫妻

他にも、県産醤油を使った「豚醤麺(とんじゃんめん)」(税込650円)や熊本名物の「太平燕(タイピーエン)」(税込720円)など、とにかくバラエティ豊か!そしてどのメニューにも熱烈なファンがついています。まさに「熊本ラーメンのデパート」的な存在です。
かつては伝統的なとんこつの味わいが主流でしたが、最近は新感覚ラーメンや塩、醤油、煮干し系など、バラエティ豊富に広がりつつある熊本ラーメン。ぜひ、食べ比べを楽しんでみては?
中川千代美

中川千代美

長崎生まれ、熊本在住。地方出版社に勤めたのち、「チヨミ編集事務所」として独立。地域の子育て情報誌や生活情報紙をはじめ、幅広いジャンルの編集・ライティング・企画を手がける。食欲・物欲・お出かけ欲・温泉欲・ビール欲が赴くままに熊本・九州を駆け回る日々。趣味は二胡。(編集/株式会社くらしさ)

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