日本最古の道後温泉郷のシンボル「道後温泉本館」の楽しみ方

2017.02.13 更新

日本書紀にも登場し、日本最古の温泉とも言われる愛媛県松山市の道後温泉。その風情溢れる町並みはもちろん、3年前よりアートイベントが開催されるなどの新たな試みも相まって、全国でも屈指の人気を博しています。そんな道後温泉の町のシンボルでもあり、人気アニメのモチーフにもなったという「道後温泉本館」の楽しみ方をご紹介します。

松山市の中心地から路面電車で約12分ほどガタゴト揺られて道後温泉駅へ。初めて道後温泉を訪れる人は、何はなくとも「道後温泉本館」に足を運ばなければ始まりません。
駅から商店街に沿っててくてく歩き「道後温泉本館」に近づくと、重厚感溢れる外観が目に入ってきます。公衆浴場として初めて国の重要文化財に指定されたこの建物は、明治27(1894)年に建てられた「神の湯本館棟」、明治32(1899)年に建てられた「又新殿(ゆうしんでん)・霊(たま)の湯棟」、そののちに建てられた「玄関棟」や「南棟」から構成されています。

4つの入浴パターンから楽しみ方を選択

「道後温泉本館」のお湯は源泉かけ流しという贅沢さ。泉質はアルカリ性単純温泉とサラリとしていますが、湯上りはしっとり。入浴後も湯冷めしにくいと評判です。
まずは入り口横にあるチケット売り場で、入浴プランを選びます。プランは4パターンあり、この後詳しく説明するので参考にしてくださいね。
▲チケットを購入したら、靴を脱ぎ下駄箱に入れたら改札を通って中へ入ります

1. 気軽に湯浴みを楽しみたい人に

一番気軽に利用できるのは「神の湯 階下」プラン。利用時間1時間以内、入浴のみで大人410円(税込)です。休憩室などがなく、脱衣所で着衣を脱いだらお風呂にドボン。とにかくお湯をゆっくり味わいたいという人たちに人気のプランで、毎日通う地元の方々も多いそうです。タオルなども付いていないので、必要なものは持参するのを忘れずに。
▲「神の湯」男性浴室の脱衣場

男性の「神の湯」は、大きな脱衣所に面して「西浴室」と「東浴室」がつながっており、どちらも自由に利用できます。湯船に浸かる前にはしっかりと石鹸で体を洗ってから入浴を。
▲「東浴室」の湯の注ぎ口はひとつ。壁には白鷺が描かれた砥部焼の陶板画が張り込まれています
▲「西浴室」の湯の注ぎ口はふたつ。陶板画に描かれているのは大国主命、少彦名命
▲夏目漱石の小説「坊っちゃん」にも登場する「道後温泉本館」。坊っちゃんが泳いでいたと言われるだけに、こんな貼り札も
女性の「神の湯」は男性用と通路を挟んだ向かい側にあります。お風呂はひとつだけですが、大きい浴槽が真ん中にあり、少し深めでゆっくりと肩まで浸かれるようになっています。
▲常に湧き出るお湯でなみなみと満たされている浴槽。中央に背中合わせに立っている像は、道後温泉ゆかりの神様、大国主命(おおくにぬしのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)
▲館内に用意されている風呂桶には、道後温泉の焼印が押されていて味わい深い

2.お風呂後にゆっくりとくつろぎたい人に

入浴後にゆっくりと余韻を味わいたい…という人にオススメなのが、「神の湯 二階席」プランです。利用時間1時間以内で料金は大人840円(税込)。入浴できるお風呂は同じ一階の「神の湯」ですが、お座敷でくつろぐことができます。貸し浴衣やお茶とおせんべいがつくので、入浴後にほっこり。一息ついてから道後散策に繰り出せます。
入浴後は広間の軒先にも顔を出してみましょう。吹き抜ける風が入浴後の火照った肌を心地よく冷ましてくれます。
出してくれるお茶は茶釜と炭で沸かしたお湯を使って淹れてくれます。そんなところまで昔のスタイルを貫いているのもいいですね。

3. より温泉情緒を楽しみたい人に

二階でくつろげるもうひとつのプランが「霊(たま)の湯 二階席」プラン。このお風呂「霊の湯」は香川県の庵治石(あじいし)と愛媛県の大島石を使った浴槽に大理石の壁と、高級感たっぷり。1時間以内の入浴で、貸し浴衣、貸しタオル、お茶とおせんべい付きで大人1,250円(税込)です。
このお座敷には2017年の8月末まで開催されている『道後アート2016』の作品展示のひとつ、日本画家山口晃氏の絵画が展示されています。
▲「霊の湯」の女性用の浴槽は、他に比べると少しこじんまりとしたサイズ感
▲「神の湯二階席」の女性更衣室には身支度を整える鏡の部屋が用意されています
▲男性用の「霊の湯」

以前はこの浴槽をふたつに分けて使っていたそう。間にあった壁を取り払ったので、ふたつの湯口が浴槽に残されました。
▲貸し浴衣は湯玉模様

浴衣にも使われている湯玉は沸騰時に湧き上がる湯の泡を表したともいわれる模様で、道後のシンボルマークでもあるんですよ。

4.気心の知れた友人たちとしっぽり個室で楽しみたい人に

もっとスペシャル感を味わいたい!という人にオススメなのは、「霊の湯 三階個室」プランです。
80分以内の利用で大人1,550円(税込)。「霊の湯」で温まった後は、個室の休憩室でくつろげます。お茶と一緒に出されるお菓子も、松山銘菓「坊っちゃん団子」にグレードアップ。
▲入浴後には求肥の周りに三色のあんこをつけた「坊っちゃん団子」と緑茶でほっこり
▲お茶を飲み終わったお茶碗の中にも湯玉が!

「神の湯」にも入ることができるので、道後温泉本館を余すところなく堪能できるプラン。全8室しかないので、混み合う時期は順番待ちをすることもありますが、一度利用してみる価値がありますよ。
▲個室の貸し浴衣は白鷺が描かれているもの

見逃すのはもったいない!見学ポイントもたくさん

入浴利用する人なら誰でも見学できるのは、三階の「坊っちゃんの間」。道後温泉によく足を運んでいた夏目漱石が正岡子規と来館したときに使ったと言われる部屋です。胸像はもちろん、様々な資料が展示されているので、小説「坊っちゃん」に想いを馳せながら観てみるのも面白いですよ。
▲部屋の中には音声ガイダンスも。展示された資料と合わせて耳を傾けてみて
また、皇室の方が訪れた際に利用していただくためにと、明治32(1899)年に作られた「又新殿(ゆうしんでん)」も見学することができます。「前室」から続き、写真左側に見える「御居間」、写真右奥側の「玉座の間」があります。
こちらの部屋は、「霊の湯」を利用するプランには見学もセットになっていますが、「神の湯」プランまたは入浴しない場合は大人260円(税込)で見学できます。本来は写真撮影が禁止されているのでご注意を。
▲「又新殿」の欄間に彫られている斑鳩(いかるが)が飛び立っていく様。実は襖と連なっているのも見どころのひとつ
▲御影石の中でも最上級の庵治石で作られた皇室専用の浴室。各面が一枚の岩から切り出されているのだそうです
そして、「道後温泉本館」の象徴でもある「振鷺閣(しんろかく)」。普段は中までは入れませんが、今回は特別に見せていただきました。
神の湯棟の塔屋にあたるこの「振鷺閣」は、明治27(1894)年に建てられた際、障子窓には当時は珍しかった赤いギヤマン(ガラス)がはめ込まれました。その鮮やかな色は現在に至るまで120年以上にも渡り、道後を照らし続けています。
また「振鷺閣」内には太鼓が吊り下げられており、現在でも朝6時、正午、夕方6時の1日に3回、時刻を告げる「刻太鼓(ときだいこ)」として、太鼓の音を道後の町に響かせています。

最後は本館の周りをぐるりと

お風呂を堪能した後は、本館の周りをぐるりと一周してみましょう。本館北側にある「玉の石」は道後温泉の湯をかけながら願いを込めると、神様に通じると言われています。
▲持ち手の長いひしゃくで、お湯をかけると願いが叶うとか
▲道後温泉本館正面玄関の横にある俳句ポスト

松山市には市内の随所に俳句を投句できるポストが設置されています。お風呂に入った気持ちを詠んで投句してみてはいかがでしょう。
▲本館周辺に配置されている街灯はガス灯。夕方になると柔らかな光が灯ります
白鷺が傷を癒していたことで発見されたと言われている道後温泉。本館を取り囲むように配置されている柵には、白鷺と湯玉があしらわれています。
その他にも道後エリアには無数の湯玉や鷺がモチーフになったものが配置されています。散策がてら、探してみてはいかがでしょうか?

まさに地元民の銭湯。道後温泉本館の姉妹湯「椿の湯」

さらに気楽に入浴できるのが、この「椿の湯」。道後商店街のちょうど中央付近に位置し、お湯は道後温泉本館と全く同じということもあり、毎日の入浴に利用する地元客も多い。湯船に浸かりながら何十年も通い続けている地元のおじいちゃんやおばあちゃんと会話を楽しんでみるのもアリ。意外な地元情報が聞きだせるかも?!
▲湯船は男女ひとつずつとシンプル。貸しタオルは60円(税込)、せっけんやシャンプーなども30円~100円(税込)で購入できるので手ぶらでもOK
まるでタイムスリップしたかのような時間を堪能できる「道後温泉本館」。道後温泉には他にも無料で入れる足湯や日帰り湯もたくさんありますので、それぞれの異なった雰囲気の浴槽で湯浴みを楽しみ、つるすべ肌になってみては?
渡邊麻子

渡邊麻子

高知&静岡育ち。東京の出版社を経て「タウン情報まつやま」に10年間勤めたのち、2014年に独立。フリーランスのエディター&ライターとしてグルメ取材記事の作成ほか、企業のコンセプトブックなどに携わる。また音楽ライターとしての経験を活かし、南海放送ラジオでも音楽番組パーソナリティとして活動中。

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