信州・善光寺参りで、御利益を倍増させる方法

2016.12.31

本堂が国宝に指定されている「善光寺」は信州を代表する観光名所。「遠くとも 一度は参れ 善光寺」と謳われ、“一生に一度お参りするだけで、極楽往生が叶う”といわれているありがたいお寺です。今回は、初参詣でも何度目でも楽しめる境内の見どころと合わせて、御利益をさらに倍増させる方法を善光寺事務局の内田崇仁(しゅうじん)さんに伝授していただきました。余すことなく境内を巡り、功徳をめいっぱいいただいちゃいましょう!

どこにも属さない“無宗派”のお寺「善光寺」

▲実は縦長で、T字型の形状をしている本堂。約24mの間口に対して、奥行きが約54mもある

信州のシンボルとして知られている善光寺ですが、どこの宗派にも属さない“無宗派”のお寺であることはご存知ですか?
これは、善光寺が、まだ仏教の宗派ができる前に開山されたお寺だから。約1400年も前に創建されたといわれる、大変歴史のあるお寺なんです。どこの宗派にも属さないため、誰でもお参りできる門戸の開かれたお寺として、古くから広く信仰を集めてきました。
▲龍の戸張の後ろに設けられた瑠璃壇(るりだん)に御本尊が祀られている。絶対秘仏のため、善光寺の住職すらもその姿を見ることはできないのだとか

善光寺の御本尊は「一光三尊阿弥陀如来(いっこうさんぞんあみだにょらい)」。欽明天皇13(552)年の仏教伝来とともに百済から海を渡ってきたとされ、日本で最も古い仏像と伝えられています。仏教伝来については諸説ありますが、“日本に伝わった最も古い仏像”が御本尊とは驚きですよね!

仁王門や仲見世通り、山門にもご利益倍増スポットが満載

▲境内を一緒に歩きながらお話を伺った善光寺事務局の内田さん

境内に入ると、まず見えてくるのが仁王門。
「ここに安置されている金剛力士像がすごい迫力なんです」と内田さん。隆々とした筋骨と今にも脈打ちそうな血管――躍動感あふれるその姿に、思わず見とれてしまうことでしょう。
▲善光寺の金剛力士像(仁王像)は、左側に阿形(あぎょう)、右側に吽形(うんぎょう)と、通常とは逆の配置になっている
▲境内の入り口から山門まで続く約400mの石畳。全部で7,777枚の石畳が敷き詰められているといわれている

仁王門を抜け、おやきやソフトクリームなどの食べ歩きが楽しめるにぎやかな仲見世通りの途中、「延命地蔵」の前でふと足を止めた内田さん。
「善光寺のご本堂は、元々ここに建てられていたんですよ。度重なる火災に遭い、その度に建て直したといわれています」
▲仲見世通りのほぼ中間地点に建つ延命地蔵

仲見世通りを過ぎると、次に見えてくるのが大きな山門。門の中央上部には「善光寺」と書かれた額文字が掲げられています。「牛に引かれて善光寺参り」という故事がありますが、この文字の中にも牛が隠されているんですよ。
▲江戸時代中期に建てられた高さ約20mもある山門
▲「善光寺」の文字の中に、5羽の鳩と牛の顔が隠されている。どこにいるかわかりますか?

本堂では、極楽往生が約束されるという「お戒壇巡り」も!

▲国宝である本堂。宝永4(1707)年に、今の場所に建て替えられたという

山門を過ぎるといよいよ本堂です。大香炉のお焼香で身を浄め、本堂の中へ入ります。
▲本堂に入ってすぐの場所に祀られている「びんずる尊者」。体の悪いところと同じ箇所をなでると治るといわれている。頭をなでると頭がよくなるとも
▲より近くで御本尊に手を合わせたい方は「内陣(ないじん)」での参詣がおすすめ

有料(大人500円)で入場できる内陣は、約150畳の広大な空間。江戸時代までは、多くの信徒がこの場所に泊まり、お祈りをしていたそうです。

「参詣の際は、御本尊が祀られている、向かって左側の瑠璃壇に向かって手を合わせてくださいね。また、右手には善光寺を開山された本田善光卿ご一家が御神体として祀られているので、願いごとを祈願するのもいいでしょう。良縁祈願をされる女性の方も多いですね」(内田さん)
▲内陣券を購入すると体験できる「お戒壇巡り」の入り口

さて、ここでぜひ体験したいのが「お戒壇巡り」。瑠璃壇の床下の真っ暗な回廊を手探りで歩き、戻ってくると新たに“生まれ変わる”ことができるのだとか。

「回廊の途中には、ドアノブのような形をした“極楽の錠前”があり、これに触れると、極楽往生が約束されるといわれています」と内田さん。
この錠前の真上には御本尊が祀られているので、触れることで御本尊とつながることができるのだといいます。本堂の中で、最も御本尊の近くにいけるありがたい場所なんですよ。

階段を下りて数mも進めば、辺りはもう真っ暗闇。進めども、進めども闇に目が慣れることは決してなく、ただただ真っ暗な回廊を手探りで歩きます。長さは45mほどですが、出口がまったく見えないため想像以上に長く感じられるはず。それでも、なんとか錠前に触れることができました。

じっくりお参りしたい方はこちらもおすすめ!

もし時間に余裕があったり、2度目以降の方なら、もう1歩踏み込んだこんな参詣方法はいかがでしょうか?
▲365日毎日行われている朝の法要「お朝事(あさじ)」の様子。読経の声や木魚の音が響き渡る

善光寺参詣の醍醐味はなんといっても、荘厳な雰囲気を体験できる朝!
本堂では毎朝、日の出の時刻に合わせて「お朝事」と呼ばれる朝の法要が行われていて、一般の参詣者も参列することができます。

お朝事を行っているのは、境内にある天台宗の「大勧進(だいかんじん)」と25の宿坊(寺院)及び、浄土宗の「大本願(だいほんがん)」と14の宿坊(寺院)。善光寺を護持・運営している両派の寺院によってそれぞれ執り行われているので、宗派にこだわりのない方は、両方の法要に参加して違いを比べてみるのもおすすめですよ。

また、お朝事の昇堂・下堂の際には、お導師様が数珠で頭をなでてくれる「お数珠頂戴」が行われるので、功徳を授けていただくといいでしょう。
▲お数珠頂戴の様子。お導師様を務めるのは、善光寺住職である大勧進・貫主(かんす)様と大本願・お上人(しょうにん)様、もしくは両寺の副住職

時間があるなら、山門の2階にも上がってみましょう(大人500円)。ここには、四国八十八カ所霊場の分身仏が安置されているので、お遍路をしたのと同じだけのご利益が授かれるといわれています。
▲山門からの眺め。参道はもとより善光寺平を一望できる

また、参道から一本入った場所にある「世尊院(せそんいん)」というお寺に行けば、日本で唯一の等身大の「銅造釈迦涅槃(しゃかねはん)像」をお参りすることもできますよ。
▲涅槃釈迦像が御本尊の「世尊院」。別名「釈迦堂」とも呼ばれている
▲御本尊の釈迦涅槃像。鎌倉時代の作で、身長166cm、重さ250kg。祝日や連休、仏教行事の際などは無料、普段は有料で拝観可(10名まで1,000円。以降は1人増えるごとに100円)

お釈迦様は現世の願いを叶える仏様。善光寺の御本尊である阿弥陀如来は極楽往生の仏様なので、両方に手を合わせておくと幸せが叶うといわれています。

初詣や「御開帳」の時期もご利益がいっぱい!

善光寺といえば、数え年で7年に1度行われる「御開帳」が有名です。
▲次回の開催予定は2021年春。写真は2015年の中日庭儀(ちゅうにちていぎ)大法要の様子(写真提供:善光寺)

御本尊は絶対秘仏なので、たとえ御開帳の期間であっても姿を見ることはできません。その代わり、御本尊のご分身である前立本尊(まえだちほんぞん)を、この期間だけ参詣することができます。御開帳期間中に大香炉の前に建てられる「回向柱(えこうばしら)」が、「善の綱(ぜんのつな)」と呼ばれる綱で前立本尊と結ばれることから、この回向柱に触れることで前立本尊に触れるのと同じご利益を得られるといわれています。
▲回向柱に触れるために行列を成す参詣者たち(写真提供:善光寺)

初詣でにぎわう年始にも、さまざまな行事があります。
たとえば、1月1日の0時からは、108回の除夜の鐘つきが行われます。鐘をつくのは一般の参詣者。大晦日の22時頃から鐘楼前で整理券が配られ、先着108名まで鐘をつくことができます。
▲毎日10~16時までの毎正時に時を知らせる鐘楼の鐘。環境省の「日本の音風景100選」に選ばれている

さらに、正月限定の行事として見逃せないのが「御印文頂戴(ごいんもんちょうだい)」。印を頭に押してもらうと極楽往生が叶うといわれています。
▲毎年1月7~15日に行われる「御印文頂戴(ごいんもんちょうだい)」(写真提供:善光寺)

初詣に訪れるなら、金を基調とした華やかな御朱印もぜひいただきましょう。季節ごとに台紙が変わるのですが、1月はなんと台紙が金色に!
▲本堂や山門など5種類の御朱印(1枚300円)のほかに、季節限定の金文字朱印(写真、1枚500円)がある。9・10月は紺、11・12月は白、1月は金、2・3月はピンクに
▲日本一頒布品が多いといわれている善光寺。女性に人気のかわいらしいお守りも多数そろうので、手に入れてみては?

善光寺は“極楽行き”の装置が散りばめられた仏教のテーマパーク。それらを探しながら境内を歩いてみると、楽しさもご利益も倍増することでしょう。
(写真・和田 博)
松井さおり

松井さおり

出版社勤務を経て、フリーランスのライター&編集者に。雑誌や書籍を中心に、主に、食・旅・くらしなどにまつわる記事を執筆している。現在は、東京から長野県長野市に拠点を移し、県内外を奔走する日々。(編集/株式会社くらしさ)

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