小豆島の食材がてんこ盛り!醤油の島のご当地丼「ひしお丼」3選

2017.01.28

醤油の一大産地である小豆島のご当地グルメ「ひしお丼」。島内の複数の飲食店や宿泊施設が、いろんな島産食材を特産の醤油や諸味(もろみ)などで味付けし、バラエティに富む丼に仕上げています。なかでもおすすめの丼を3つご紹介します!

ひしお丼とは?

瀬戸内海に浮かぶ小豆島は、400余年前から醤油業によって栄えた島。今でも21軒もの醤油蔵があり、そのうち16軒の蔵元が軒を連ねる島の南東・内海湾を囲むエリアは、「醤(ひしお)の郷」と呼ばれています。
▲風情溢れる伝統的な景観美が広がる、「醤の郷」の風景

そもそも「ひしお」とは塩で漬けたものの総称。 小豆島では弥生時代から塩づくりが行われ、天正年間(1572~1592年)に国内一の塩の産地・播州赤穂(現・兵庫県赤穂市)から塩浜師(塩を造る職人)が移り住むことによって、塩の生産量が赤穂に次ぐ2位に至るまで発展しました。そこから醤油業へと発展し、今でも醤油の代表産地の1つになっているのです。
▲「ひしお」の一種の「醤油」を仕込む諸味蔵

「ひしお丼」は、そんな醤油や醤油を絞る前の「諸味」を使った丼もののことです。条件は以下の3つ。
1.「醤の郷」で作った醤油や諸味を使っている。
2. 小豆島の魚介、野菜やオリーブなど地元の食材を使っている。
3. 箸休めにはオリーブか佃煮を使っている。

「島」というイメージから「海鮮丼」と思われることが多いのですが、「醤油」はほとんどの食材や料理に使える万能調味料。カリカリに揚げた豚肉の丼や天丼、チャーシュー丼やハンバーグ丼、とろろ丼やピラフ丼、たたき丼など、それぞれに趣向をこらした多彩なひしお丼があります。今回はその中から3つを厳選してご紹介します。
▲「ひしお丼」を提供するお店によって、選ぶ蔵元も醤油もさまざま

やっぱり島なら魚!ぴっちぴちの海鮮が主役の「ひしお丼」に舌鼓

まず訪ねた場所は、神戸・三ノ宮と行き来するジャンボフェリーの発着地、坂手港の側にある「大阪屋」。漁業が盛んな町を代表する海鮮食堂です。店内の生簀(いけす)で地元の人が獲った魚を生かし、新鮮な状態で提供しています。
▲最初は海の家として始まり、繁盛するにしたがって増築していったそう
▲生簀にいる魚介もその日によって様々。生簀をみるだけで旬がわかる(写真は夏)

大阪屋のメニューで最も人気なのが「ひしお丼(さしみ丼)」。
「当日手に入った魚を使うので、何の魚を何種類使うかも決まっていません」と大阪屋の奥様。常時2~4種類の鮮魚の刺身がごはんの上にのるそうです。
▲「ひしお丼(さしみ丼)」1,030円(税込)
▲いよいよひしお丼をいただきます!
▲醤油にわさびを溶いてかけて食べる

取材日(2016年12月12日)は、オリーブの葉を混ぜた飼料で養殖した瀬戸内の特産「オリーブハマチ」と、太刀魚がのっていました。新鮮な刺身に無添加の醤油。質の良いシンプルな組み合わせだからこそ、食材本来の持ち味が伝わってきます!
魚の旨みが醤油によってぐっと引き立ち、品のある甘みが残ります。これだけで島まで来る価値があるなぁ。
▲オリーブハマチはしっかりと脂がのっているのに、後口さっぱり!
▲キラリと輝く太刀魚は歯ごたえが良く、繊細な魚の甘みが口に広がる

なお、この日の箸休めは「山クラゲの佃煮」。甘じょっぱい懐かしい味わいと、コリッとした心地よい食感を楽しめます。
▲小豆島は佃煮も特産品。この「山クラゲの佃煮」も近所の佃煮工場が造ったもの

また、こちらのひしお丼には、箸休めの他に日替わりのおかずが2品添えられます。ひじきの煮物だったり、タケノコの土佐煮だったりと日によって様々。この日はオクラのおひたしと、ケンニシ(ミヤコボラ)の酢味噌和えでした。
▲ケンニシとは瀬戸内海でよくとれる巻貝のこと。繊細な旨みを楽しめる
▲日替わりの汁物。取材日のお吸い物には、そうめんのバチ(小豆島特産の手延べそうめんの端の部分)が入っていた

筆者は何十回と大阪屋のひしお丼を食べていますが、訪れるたびに丼にのる魚もおかずやお汁の種類も違っていて楽しいです。島の海の幸に出合える大阪屋、これからも何度でも通おう。

ボリューム満点!肉好きの心を奪うリゾートホテルの「ひしおステーキ丼」

続いて訪ねた場所は、島景色を楽しむ特等席に位置するリゾートホテル「オリビアン」。レストラン「ブラ・ドゥ・メール」で提供される100gのサーロインステーキがドーンとのった「ひしおステーキ丼」をご紹介します。なんと島内唯一のステーキ丼だそう。
▲オーシャンビューや夕景が美しいリゾートホテル「オリビアン」
▲「ブラ・ドゥ・メール」からも瀬戸内海を一望できる

丼ぶりと聞いてあなどるなかれ。なんとこちらのひしお丼(1,700円税込)はコース仕立て。前菜→スープ→メインと順に出てくるので、なんだかリッチな気持ちになれます。
▲まずは前菜。オリーブ+野菜+肉か魚の3品の組み合わせ。日によって内容が変わり、この日は左からオリーブ、山芋のムース、豚のロースト
▲続いて出てきたオニオングラタンスープ。ポタージュやミネストローネなど日によって変わる
▲最後に出てきたメインの「ひしおステーキ丼」。お肉は一口サイズに切ってくれているので、お箸でもスプーンでも食べやすい

いよいよひしお丼をいただきます!お肉は網焼きにしているので余分な脂が落ち、品のある味わいに。鶏がらと牛すじをこんがり焼いて、煮出したスープに諸味と醤油を合わせた特性のひしおソースは、酸味とコクがありステーキとの相性抜群です。
▲ひしおの特性ソースをかけて食べる。ステーキの上には糸唐辛子や玉ねぎが載っているので後口さっぱり
▲刻んだパプリカや玉ねぎ、オリーブ、ニンニク、生姜などが米と肉の間に入って味わいにアクセントを与える
▲焼き加減はミディアム。口の中で広がる肉汁がたまらない

なんとプラス300円(税込)払うとドリンクバーが利用でき、館内の温泉入浴チケットも手に入るそう。オリビアンに湧く温泉は、約30万年前に降った雨水が濾過されて出来た天然古代温泉。pH値が高くてつるつるすべすべになりますよ。ボリューム満点のひしお丼を食べた後に、立ち寄り温泉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
▲ジュースやコーヒー、紅茶やお茶など、種類豊富なドリンクバー

旬の魚や野菜、豆腐や卵など島食材が盛りだくさん!「ひしお丼 野の花あそび」

最後に紹介するのは、創作料理「野の花(ののか)」。草壁港もしくは池田港から車で10分の場所にある、仲睦まじい夫婦と娘3人の5人が営むアットホームな創作和食料理屋です。
▲花々に囲まれた一軒家の「野の花」。仲の良い家族が営む
▲「野の花」の店内。外の光が注ぐ落ちつく空間

こちらでは、島の食材をアレンジした多種多様な料理を少しずつ提供してくれるので、奥様方に大人気。筆者の知人女性もわざわざ東京から通っているほどです。
▲「ひしお丼 野の花あそび」 1,280円(税込)。にゅうめんやデザートまでついた豪華なセット

「ひしお丼 野の花あそび」も、小豆島の美味しいものをいろいろいいとこ取りした丼です。ご飯の上にのっているのは、ミョウガ、ネギ、シソなどの香味野菜を使い、オリーブオイルと醤油で味付けした「天然ブリの香味焼き」。さらに、内海湾のちりめんじゃこを炒って醤油などで味付けしたふりかけをはじめ、それぞれ異なる調理や味付けをした旬の魚や野菜、豆腐、卵など、島の食材が丼ぶりを彩ります。
▲美味しさのポイントは思い切って卵も魚もすべて崩してざっくりと混ぜ合わせること

ざっくり混ぜて口に入れると、卵+野菜、豆腐+じゃこ、ブリ+野菜など食べ進めるたびにいろんな味わいや食感が表れ、さまざまなハーモニーを生み出していきます。
▲どの組み合わせも相性が良く、最後の一口まで食べ飽きない

聞けば、まかないとしてさまざまなアレンジ丼を食べてきており、その中から特に美味しいネタを組み合わせて誕生したのが「ひしお丼 野の花あそび」なのです。食材はすべて小豆島産。卵などにかかるオリーブオイルは自家製です。
▲セットにつくのは、日本三大そうめんの1つ「小豆島そうめん」を使ったにゅうめん。小梅と海苔のてんぷらが風味を豊かにする
▲茶碗蒸しにはガーリックオリーブオイルをひとかけ。ホッとする優しい味わいで、中にはそうめんの「バチ」が入っている
▲箸休めにタコとキャベツのアヒージョソース和え。日によって変わる

一皿の中に様々な料理が盛られ、食べ進めるにつれて変わる味わいの丼。そして、冬の寒さを気遣ってくれるような温かい茶碗蒸しやにゅうめん。いずれも一工夫も二工夫もされていて、思いがけない美味しさに出合えます。料理上手な奥様方が唸るのもわかるなぁ。
醤油は、どんな食材やどんな国の料理とも合う万能調味料。だからこそお店ごとの得意料理や旬の食材を活かした、多種多様なひしお丼が小豆島にはあります。
ひしお丼を食べれば、小豆島の豊かな実りに出合えることでしょう。今回ご紹介した3店舗以外にもさまざまなひしお丼があるので食べ比べてみてはいかがでしょうか?

美味しい食材に出合ったら、醤油蔵や佃煮工場、オリーブ農園やそうめん工場など、その美味しさを生み出す現場に訪ねてみるのもお勧めです。
黒島慶子

黒島慶子

醤油とオリーブオイルのソムリエ&Webとグラフィックのデザイナー。小豆島の醤油のまちに生まれ、蔵人たちと共に育つ。20歳のときに体温が伝わる醤油を造る職人に惚れ込み、小豆島を拠点に全国の蔵人を訪ね続けては、さまざまな人やコトを結びつけ続けている。 (編集/株式会社くらしさ)

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