地元民オススメ!本当においしい「ほうとう」3選

2017.02.11

平らな麺を季節の野菜とみそで煮込む、山梨の郷土料理「ほうとう」。山梨県出身の戦国武将・武田信玄公が陣中食として用いたともいわれています。今回は、県内に数あるほうとう屋さんの中でも、地元の食材にこだわった地元民イチオシの3店をご紹介します。

▲「完熟屋」の野菜ほうとう

山梨県産大豆を使って、さらなるおいしさを求める「皆吉」

最初に訪れたのは、地産地消の食材にこだわる勝沼の「皆吉(みなき)」。広い庭に囲まれた築130年のけやき造りの民家が、穏やかな時空間を演出します。
▲庭の緑を眺めながら、のんびり順番を待つお客さんもちらほら

こちらの名物は、山梨県産食材(以下、県産)の富士桜ポークを使った「豚肉ほうとう」(税込1,620円)。まずはスープを一口いただくと、やさしいみその味が口いっぱいに広がります。8種類以上の素材からとった贅沢なだしを使用しているとあり、さまざまな旨みが次々と出てくる味わい深さ。大根など県産の旬野菜に、やさしく絡まります。
▲スープの味も色も、まろやかでやさしい

「皆吉」のほうとうの特徴は、まさにこの自家製だしとみそにあるといいます。「昔ながらの麦麹をたっぷり使って、約2年熟成させてできるのが自家製みそです。麦麹と米麹は7:3の割合で、麦麹を多く使った方が香りが出るので、皆吉では代々この味を受け継いできました」と話すのは、店主の小沢香山(おざわかやま)さん。

「生産者の顔が見える安心感を大事にしたい」と県産にこだわっているそうです。小沢さん自ら毎年仕込んでいる「皆吉」特製のみそは、これまで秋田や長野県産の大豆で作っていましたが、2017年からは県産の大豆「あけぼの大豆」も取り入れていくのだそう。
▲県産のあけぼの大豆でどんな味わいになるのかとても楽しみと小沢さん。今まで通り、香りとコクのある味噌に仕上げていきたいと意欲を燃やす

かぼちゃやニンジンなどの具材にも、甲州市内で作られている地元産がたっぷりと使われています。そこに特製だし、ほうとう麺を入れ10分ほど煮込んでいきます。
「だしは、北海道産利尻昆布や煮干しなどを使って毎朝とっています。もちろん、化学調味料は一切不使用。麺は、毎日夜練って一晩寝かしておき、翌朝製麺した自家製のものを使っています」(小沢さん)
▲野菜、麺に火が通ったら、自家製みそを入れて出来上がり

「皆吉」の特徴は、麺にもあります。ほうとう麺といえば“幅広で平らな麺”というイメージがありますが、「皆吉」の麺は少し丸みがあります。こしのある、もっちりとした食感を出すために、あえて厚みを出しているのだそう。深みのあるだしに、みずみずしい野菜の食感、食べ応えのある麺がすべてマッチして、あっという間に食べきってしまいました。
▲毎朝、厨房横で作られるもちもちのほうとう麺

「豚肉ほうとう」以外にも、「野菜ほうとう」(税込1,296円)、「きのこほうとう」、「鶏肉ほうとう」(ともに税込1,512円)、すべての食材が入った約2倍サイズの「特製皆吉ほうとう」(税込1,998円)があり、どれもボリューム満点、アツアツのまま食べられます。
▲ゆったりとした店内で、思い思いの時間を過ごします

新鮮な地元食材と、代々受け継がれてきたみそとだしの旨みを楽しめる「皆吉」。ぬくもりあふれる店内で、時間を忘れてゆっくり過ごしたくなります。

ほうとう作りを楽しめる、創業100年越えの老舗店「奥藤本店」

次に訪れたのは、大正2(1913)年開業の老舗店として地元の方に長く愛される、甲府市の「奥藤本店 国母(こくぼ)店」。甲府のご当地グルメ「鳥もつ煮」発祥のお店としても知られています。
▲JR身延線国母駅が最寄りの国母店。2016年3月には、JR甲府駅南口から徒歩2分の甲府駅前店もオープン

こちらの「奥藤ほうとう」(税込1,200円)の特徴は、地元野菜とだしが入った鍋に自分でほうとうを入れて、出来上がるまでを目の前で眺められること。完成をわくわくしながら待ちます。
▲特製だしと野菜たっぷりの鉄鍋に、ほうとう麺、自家製みそがついてきます。ちゃんと砂時計も用意されていて、そのレトロ感がまた良い

だしを強火にかけて沸騰したら、ほうとう麺をほぐしながら入れていきます。
▲中火で3分ぐつぐつ煮ます
▲こげないように、はしでよく混ぜるのがポイント

麺が好みのかたさになったところで、甲州みそを入れます。
▲みそを入れたら弱火で3分。合わせて10分ほどで、奥藤ほうとうの出来上がり

一口いただくと…おいしい!スープは、太めの麺とよくからまり、みそのほのかな甘みが口の中にふわっと広がります。「自分で煮込んだ」という思いからか、一口一口を丁寧に味わいたくなります。
▲一緒に行った人とそれぞれの味を交換して楽しむこともできます

だしは、かつお、サバ、昆布、煮干しのほか、甲州地鶏のガラと季節野菜からとつたもの。奥藤の甲州みそは、麦麹、米麹をちょうど半分ずつ入れた「合わせみそ」。さっぱりとした味の関東・東北みそに、九州みその甘みをミックスさせ、奥藤ならではのまろやかな味わいになっています。

「ほうとう麺は、名水百選にも選ばれた八ヶ岳南麓の湧水で丁寧に練り上げています。できるだけ地元の食材を多く使用することに代々こだわってきたので、水も、その食材と相性のいいものを使い続けています」(四代目・塩見大造さん)
▲広々とした店内。家族連れでにぎやかにほうとう作りを楽しめます

友人や家族と一緒にほうとう鍋を囲みながら「まだかな」「もう食べごろだよ」など、わいわい盛り上がれる「奥藤本店」。完成を目の前で待つからこそ、美味しさもひとしおです。

採れたての完熟した食材を味わう「完熟屋」

3店目は、JR塩山駅南口から徒歩8分、山梨県の農業生産法人hototo農場(以下、ホトト農場)直営飲食店の「完熟屋」。築約120年の古民家を一から改装してできた、木のぬくもり溢れるお店は、ついつい長居したくなる居心地のよさです。
▲観光客と地元の方が約半分ずつの割合で訪れ、夜はお酒も楽しめるお店として一層賑やかになります

いただいた「野菜ほうとう」(税別1,280円)には、農家で採れた白菜、大根、にんじんに加え、しいたけ、ネギ、かぼちゃ、マイタケなど季節野菜が溢れんばかり。
▲1人前とは思えないボリューム!

早速口に運んでみると、みその甘みにどこかなつかしさを感じ、心も体も温まっていくよう。じっくり煮込んでとろみのあるスープと、野菜の新鮮さが口の中で絶妙に合わさっていき本当においしい!

完熟屋がオープンしたのは2014年7月。店長の岩根輝次(いわねこうじ)さんは、ホトト農場のぶどう園のスタッフとして働いていたそうです。「せっかく食材を作っているのなら、お客さまの口に入るところまでを自分の目で見たい」と思ったことが、「完熟屋」を始めるきっかけになったといいます。
▲ホトト農場で働く前は10年間飲食業を経験、店長もしていた岩根さん

「ホトト農場が所有していた古民家を使って、『ほうとうなら、自分たちで作ったみそ、野菜を使って提供できる』と考えたんです。農場直営店だからこそ、完熟した素材をお客さまに届けたいという思いから『完熟屋』と名付けました。形が少々悪くても、採れたてのおいしいものをいっぱい提供したいと考えています」(岩根さん)
▲熟成されたみその香ばしさが店内に広がっていきます

こだわりのみそは、自家製の麹をぜいたくに使い、麦麹、米麹を独自の割合で混ぜています。みその味わいは麹の量で決まるので、たっぷりと使うのがポイント。毎年みそを仕込み、1年を通じて春夏秋冬をみそに体験させることで、まろやかな味が完成されるそう。

「みそが濃い目の色なのは、時間の経過とともに熟成されて濃くなっていくから。刻々と変化する、生きた味わいを楽しむことができるんです」(岩根さん)
▲夜の「完熟屋」。オレンジの灯りにともされ、古民家のぬくもりがより一層引き立ちます

ほうとうの他にも、「限定甲斐サーモン桶もり」(税別1,180円)など、地元の料理を楽しめる「完熟屋」。「お客さんがずっといたくなるような居心地のいい空間にしよう」と、店内の内装はお店のスタッフみんなで作ったといいます。心あたたまる田舎の実家に帰ってきたかのようで、また訪れたくなるお店です。
同じ郷土料理でも、それぞれのこだわりがつまった3つのお店。みそや麺、食材への思いを聞けば、さらに奥深いほうとうを知ることができます。山梨県を巡り、自分に合った一品を探す旅に出かけてみてはいかがでしょう。
田中瑠子

田中瑠子

ライター兼編集者。神奈川県生まれ。広告会社、出版社を経てフリーランスに。アスリートからビジネスパーソンまで人物インタビューを幅広く手がける。昨今ロードバイクにハマり、全国津々浦々チャリンコ旅を楽しんでいる。(編集/株式会社くらしさ)

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