長崎の街が光に包まれる「ながさきクリスマス」 2019年の見所は?

2018.11.19 更新

世界新三大夜景都市に選ばれた、1000万ドルの港夜景。そして、世界遺産の暫定リストに登録されている教会群が立ち並ぶ街並み……。そんな“光と祈りの街”長崎市が、さらに美しい光に包まれるイベントが「ながさきクリスマス」です。国宝「大浦天主堂」や「グラバー園」、長崎市の街並みがライトアップされるこの期間は、一層幻想的な雰囲気に包まれますよ。

▲ブルーのライトに染まる「グラバー園」

国宝や世界遺産をライトアップ。そんな贅沢な夜景は、長崎市ならでは

毎年クリスマスシーズンになると、日本各地がイルミネーションの色とりどりの光で彩られます。壮大で煌びやかなイルミネーションももちろん素敵ですが、キリスト教の歴史を今に伝える長崎市は、祈りの心に寄り添うあたたかなイルミネーション。そんな美しい光に包まれるイベント「光のベイサイド~ながさきクリスマス~」が2018年11月30日から12月25日まで開催されます。

南蛮貿易港として栄え、キリスト教文化の影響を受けた長崎市は、異国情緒溢れる街並みと歴史的遺構が数多く残る街。世界遺産「明治日本の産業革命遺産」の構成資産の1つである「旧グラバー住宅」を有する「グラバー園」、国宝であり、2018年7月にユネスコ世界文化遺産に登録された「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の1つである「大浦天主堂」などもライトアップする何とも贅沢なイベント。
▲「グラバー園」では2018年11月22日~2019年2月19日まで冬のイルミネーションイベント「光の庭園 in グラバー園 2018」を開催。旧グラバー住宅もライトアップされます

「グラバー園」は毎年多くの観光客が訪れるイルミネーションスポット。「光の庭園 in グラバー園 2018」期間中は、20:30または21:00まで夜間開園し、瀟洒な洋館が立ち並ぶ園内全体をあたたかな光で包みます。

旧グラバー住宅とハウステンボスのコラボレーションによる3Dプロジェクションマッピングなども楽しめます。
▲12月22日~25日に行われる毎年恒例のハートキャンドルイベントはカップルに人気

「光の庭園 in グラバー園 2018」期間中は毎日17:00~、高さ7mを超える特大クリスマスツリーが登場します。
▲約30万球の灯りが園内を彩ります
「光のベイサイド~ながさきクリスマス~」の特徴は、街全体がイルミネーションで彩られていること。その中にはもちろん教会も含まれています。

鎖国の時代でも異文化が交わる貿易港だった長崎。キリスト教が生活と密着しているこの地だからこそ、クリスマスシーズンの教会は特別で、神聖な場所。迫力がある壮大なイルミネーションもいいけれど、ミサに参加して讃美歌を聴いたり、クリスマスを過ごせる平穏な日常に感謝して祈りをささげたり、そんな心穏やかな時間を過ごすのはいかがでしょう。

多くの教会は昼も拝観可能。夜の幻想的な景色も素敵ですが、昼はピンとした空気がありつつもどこかほっとあたたかい不思議な空間。拝観は可能ですが、教会は祈りの場。堂内の撮影をはじめ、携帯電話使用や、大きな声での私語、飲食などの禁止事項を事前に確認して、マナーを守って拝観を。

国宝「大浦天主堂」が、幻想的な光に包まれる

▲神々しく輝く、国宝「大浦天主堂」

「グラバー園」から歩いてすぐの場所にある「大浦天主堂」も幻想的な光に彩られるスポットの1つ。

2015年に創建150年を迎えた「大浦天主堂」は、1597(慶長2)年、日本で最初に殉教した日本二十六聖人たちに捧げられた教会。よって正面は、殉教地である西坂に向けて建てられています。フランス人宣教師のフューレ神父とプティジャン神父の依頼のもと、旧グラバー住宅建設者である天草の棟梁・小山秀之進が造り上げました。
▲「大浦天主堂」の堂内
▲堂内の左右には小さな祭壇も

「大浦天主堂」は、元々フランス人信者のために建てられていたこともあり、創建当時、信徒は外国人ばかりでした。しかし、献堂式からひと月ほど経ったある日、男女子どもを合わせた十数名の日本人の一団が天主堂に現れます。そして一人の女性がプティジャン神父にこう言いました。

「ここにおります私共は、全部あなた様と同じ心でございます」
約250年もの間、禁教として弾圧されていたキリスト教ですが、信仰を守り続けてきた潜伏キリシタンの存在が明らかになった瞬間です。

この出来事が、宗教史上、奇跡と呼ばれる「信徒発見」。この様子は、入口から天主堂へ続く階段の途中の広場にレリーフとして残されています。
▲「信徒発見」のレリーフ

建物自体の価値と、奇跡が生まれた歴史的価値、二つの意味を持つ「大浦天主堂」は1933(昭和8)年に国宝に指定(1953年に再指定)されました。飴色に輝く木造の堂内にはステンドグラスから光を差し込み、荘厳な美しさを作り出しています。
昼は青い空に白い教会が映える、爽やかな美しさを見せてくれますが夜のライトアップは、また格別の美しさ。天主堂を白い光が照らし、広場には天使のイルミネーションが夜の教会を彩ります。
▲夜の闇に浮かび上がる天使が飛び立つイルミネーション

ライトアップされる時間は17:00~20:00ですが、堂内を拝観できるのは18:00まで。「イルミネーションに輝く姿も、堂内も、どちらも見たい!」という方は17:00に訪れるのがベストですよ。

隣の「旧長崎大司教館」もライトアップされているので、ぜひ併せて訪れてみてくださいね。
▲右の建物が「旧長崎大司教館」

思わずため息がでるよう。曇りなき白に輝く「中町教会」

もう1つ紹介したいのが、長崎駅近くにある「中町教会」。
夜のライトアップはまた幻想的で、シンプルながらも白く輝く教会が印象的です。
実際に訪れれば、きっとその高貴な白に圧倒されてしまいます。

キリシタン大名・大村純忠(すみただ)ゆかりの大村藩蔵屋敷跡である地に1897(明治30)年に献堂されたこの教会、1945(昭和20)年の原爆投下により外壁と尖塔以外を焼失するものの、その6年後再建され、現在にこの姿を留めています。

堂内は500名ほどが着席できる広々とした造り。左右の壁には美しいステンドグラス、聖堂の祭壇中央にはフランシスコ・ザビエルが信仰の原点とした「ほほえみの十字架」が安置されています。
▲ロマネスク様式の美しい教会
▲神聖な空気が張り詰めています

こちらでは、信者以外の参拝も受け入れてくださり、祈りの場として広く親しまれています。週日ミサは早朝6:30から(月~水・金・土曜、木曜は19:00~)、主日ミサは土曜の19:00~と日曜の6:30・9:00~行っています。
▲棚には信者の方の聖書が。地域に愛されている祈りの場であることがうかがい知れます

長崎市街全体が優しい灯りに包まれる1カ月

クリスマスまでの約1カ月間、「グラバー園」「大浦天主堂」「中町教会」のほか、長崎駅に直結したショッピングモール「アミュプラザ長崎」や「五島町公園」、「出島(出島オランダ商館跡)」「出島ワーフ」、「孔子廟・中国歴代博物館」などでもライトアップした景色が楽しめます。(いずれもイルミネーション点灯時間は17:00~22:00)
▲国指定史跡の「出島オランダ商館跡」もライトアップ。写真は「旧出島神学校」

長崎市は小さな道が入り組んでいるため、少し歩けば違う景色に出合える、歩くのが楽しい街です。建物や公園などライトアップされた街中をそぞろ歩くのもいいかもしれませんね。

煌びやかな光が瞬き、夜を鮮やかに照らし出す──。そんなイルミネーションと少し趣向を変えて、ゆっくりと静かに美しい景色を見たいと思ったら、ぜひ長崎市へ。
ここは光と祈りの街。イルミネーションをカメラで撮影してSNSにアップするのもいいけれど、教会で心静かに祈りを捧げ、美しい音色や景色に癒されるのも素敵です。写真を撮らずとも心に残る景色がきっとここ長崎で見つかりますよ。
※写真はすべて2015年以前のものです。
※本記事は2016年取材記事を一部更新したものです。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴20年弱。食育アドバイザー、フルーツ&ベジタブルアドバイザー。

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