福岡生まれの105歳!「ひよ子」の秘密を工場見学で探ってきた

2017.10.23

上を向いたつぶらな目に小さなくちばし。「名菓ひよ子」は、福岡県飯塚市で誕生したお饅頭。東京名菓とも言われますが、発祥はおよそ100年前の福岡にて。コロンと可愛い「ひよ子」が生まれる様子を工場見学で見てきましたよ。その知られざる秘密をご紹介します!

大正元年に生まれた「ひよ子」、実は2017年で105歳!

誰もが一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。ご存知「名菓ひよ子」(以下、ひよ子)は、福岡県飯塚市にある「ひよ子本舗吉野堂」が作るお饅頭。そして、なんと2017年12月1日で105歳だというから驚き!
▲「みなさんより、私の方が年上なのよ~」

ひよ子本舗吉野堂の歴史は、明治30(1897)年に初代 石坂直吉氏が飯塚市で菓子舗「吉野堂」を開業したことから始まります。
▲吉野堂は、飯塚市八木山に咲く「吉野桜」から名付けられたそう

そしてチャレンジ精神が旺盛だった二代目 茂氏が店を継ぎます。
可愛いらしいお饅頭を作ろうと試行錯誤していた茂氏の夢にひよこが出てきて、その癒される愛らしさを表現しようとできたお饅頭こそ「ひよ子」。それは大正元(1912)年のことでした。茂氏はそのお饅頭をわが子同様と考え、「ひよこ」ではなく、「ひよ子」と名付けたそうです。

「ひよ子」は福岡名菓?東京名菓?

愛らしさと美味しさからたちまち人気者となった「ひよ子」。その後、昭和39(1964)年の東京オリンピックを機に東京工場を建設し、別会社「東京ひよ子」を設立したのです。
▲東京の名所を四季とともに表現した「東京ひよ子」のパッケージデザイン。写真は秋

「福岡からひよ子を東京へお土産に持っていったら笑われた」そんなエピソードとともに、「ひよ子」は博多名菓か東京名菓か、という話をよく聞きますが、「ひよ子」に限って言うと、発祥は福岡ということになります。
ただ東京でも「ひよ子」を製造しており、またそれぞれ独自にオリジナル商品を製造しているので、いずれの地ともに名菓と言っても良い、ということになりますね。

「安心して子供に食べさせられるものを」。素材や製法にこだわりがたっぷり

「ひよ子」の原料となる小麦粉は九州で生産されたもので、なんと「ひよ子」専用の粉。その専用の粉を新鮮な卵と上白糖などで作った「糖蜜」とこね合わせることにより、生地に香ばしさとコクを生み出しています。

さらには中に詰められた黄味餡も然り!原材料のインゲン豆は、身のつまりや大きさ、味などに厳しい基準を設けるなど、様々なこだわりがたくさん!!

こんなこだわりと誇りを持って100年以上引き継いできた味を、ひよ子本舗吉野堂では今も変わらず提供し続けているのです。

そんな「ひよ子」の製造工程が見られるのは、飯塚市の穂波工場。こちらは、ひよ子本舗吉野堂の主要商品を製造している工場です。
▲穂波工場。JR博多駅や福岡空港から車で約1時間ほど

2017年3月に完成!「へぇ~」が満載の工場見学通路とレトロ可愛い売店

「ひよ子」が出来上がる工程を観賞できるこの工場見学。以前から受け付けていましたが、2017年3月17日に工場見学通路と売店をリニューアル。よりわかりやすく、より魅力的な見学ができるようになりました。
▲まるで御茶屋のようなスペースと売店

工場へ入ると、まず目に入るのはレトロな売店。こちらは昭和初期の飯塚本店を再現したデザインになっています。
▲昭和初期、飯塚商店街にあった本店を再現。電話番号の看板などもリアル

そして売店の横には待合スペースがあり、休憩することができます。中央のテレビには100周年の際に制作した「ひよ子」の歴史や逸話を紹介する映像などが流れていますよ。
▲左右には吉野桜が咲いています
▲天井の間接照明には「ひよ子」ちゃんが!

約40分で全工程が分かる工場見学

待合スペースの奥に、工場見学通路へと続く入口があります。集合時間になると、スタッフさんが参加者を連れて、通路へと案内。わくわく~!
▲工場見学通路は約30mほど。奥に見える「ひよ子」がキュート

工場見学は、スタッフさんが解説しながら真っ白な通路を進んでいきます。写真左側は窓ガラス越しに「ひよ子」を製造している工場を見学できるようになっており、写真右側には、ひよ子本舗吉野堂の歴史やコンセプト、思いなどを伝えるギャラリーを展示しています。

ピヨピヨ産まれる「ひよ子」ちゃんたち!

「ひよ子」の製造は全部で6工程。工場の撮影はNGのため今回は説明のみですが、昔の手作業風景のモノクロ写真も交えてご紹介します。

1.包餡(ほうあん)
選び抜かれた隠元豆を特許製法で白雪餡にし、砂糖×卵黄を加え黄味餡に。九州産の小麦を「ひよ子」専用粉に仕上げ、それを生地に練り上げて、黄味餡を包餡します。
▲昔は一つひとつ、職人の手で包餡していたそうです

2.成形
成形機で一瞬にして「ひよ子」の形に!形が出来あがると、柔らかいブラシで丁寧に手粉を払い落とします。
▲成形も昔はもちろん、ひとつずつ手作業

3.釜入れ
▲「釜入れ」の様子は見学できないため、映像にて焼きあがっていく様子を疑似見学

16列に並べられた「ひよ子」がオーブンのトンネルの中に入っていきます。入口から出口まで、上火と下火を調整しながら、バランス良く仕上げていきます。
▲昔は縦釜で焼いていたそうです

4.目付け
キュートな「ひよ子」ちゃんの命。自動目付け機で、次々につぶらな目が付けられていきます!
▲目付けも昔はひとつずつ職人の手で行っていたというからすごい!

5.冷却
目付けをされた「ひよ子」は、冷却室のスパイラルコンベアーに乗って、ゆっくりと冷やされていきます。冷却後は、一つひとつ焼き上がりをチェックします。

6.個包装・箱詰め
完成した「ひよ子」を包装紙で包み、仕上げは人の手によって箱詰めされていきます。
▲昔はもちろん手包み。熟練の技が必要だったそう

基本的に機械作業の工場とはいえ、現代でも各工程では人の手によってチェックや仕上げなどがされており、手作業だった昔と変わらず、丁寧にそして大事に作られている印象でした。

「こんな商品あったね!」 懐かしの商品にも出合えるギャラリー

▲会社誕生から現在までのヒストリーが、分かりやすくまとめられています

ギャラリーには、ひよ子本舗吉野堂ヒストリーや商品に対する思い、商品年表などもあります。福岡県民の中には「あ、この商品あった!」や「このCM好きだった~」など、懐かしむ方も多いとか。
▲「ひよ子」誕生秘話を伝えるスペースでは、当初の道具も
▲商品の包装も陳列。カラフルで可愛い!

工場見学の後は、なんと出来立ての「ひよ子」を試食できます!
▲工場からそのまま持ってきてくださるのでアツアツ!

出来立てを食べられるのは、この工場見学をした参加者の特典!何度も食べたことがある「ひよ子」ちゃんですが、出来立てを食べてみたらびっくり!
もう、中の黄味餡がホックホク。生地も香ばしくて外はサクッと中はしっとり。この出来立てを食べるだけでも訪れる価値アリ!ですよ。

季節の商品や新商品も続々。いろんな味わいが揃う、ひよ子本舗吉野堂のお菓子

工場見学で観賞できるのは基本商品の「ひよ子」ですが、季節ごとの味わいもあります。それが福岡限定の「季(とき)ひよ子」。

5月中旬~8月下旬は福岡県産の八女(やめ)の新茶を使用した「茶ひよ子」、9月中旬~11月下旬は熊本県産の和栗を使用した「栗ひよ子」、12月~2月中旬は博多あまおうを使用した「苺ひよ子」、2月中旬~4月上旬は屋号名の由来である八木山の吉野桜への想いを込めて誕生した「桜ひよ子」。

ほぼ通年、季節の味わいをお饅頭「ひよ子」で感じられる人気商品です。
▲お茶の風味が爽やか「茶ひよ子」(3個入486円・税込)
▲栗餡がたっぷり「栗ひよ子」(3個入486円・税込)

他にも、フィナンシェやトリュフ、クッキーなどもラインナップ。年配の方から小さな子供まで好みに応じた商品がきっと見つけられますよ。
▲ひよこの形の可愛いフィナンシェ「ピィナンシェ」(6個入540円・税込)
▲爽やかなミント香る焼きトリュフ「ひよこれいと チョコミント」は9月中旬まで販売※なくなり次第終了(5個入729円・税込)
▲柔らかなクッキー「ソフル」の抹茶味「ひよ子ソフル八女茶」(5個入540円・税込)※11月中旬までの期間限定販売

「ひよ子」を通じて掲げ続ける思いとは?

産みの親である石坂茂氏が「ひよ子」をわが子同様に愛したように、ひよ子本舗吉野堂は、昔から製法と共に引き継いでいる精神があります。

それは「ひよ子を通じてお付き合いの輪を広げ、明るい社会を作る」こと。

商品は“真心”であり、大切に育てた“真心”をお客様に伝えたい。そして笑顔溢れる社会を作りたいー。
「ひよ子」の愛くるしい姿には、そんな思いがたっぷり詰まっていました。
昔も今も素朴であたたかい味わいの「ひよ子」は2017年現在105歳、これから150歳も200歳も、変わらぬ美味しさとあたたかさで引き継がれていくでしょうね。
▲ぴよぴよ

ぜひ、誕生の地へキュートな「ひよ子」に会いに行ってみてくださいね。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴はや18年。3歳娘の子育てをしながら、旅行情報誌を中心に活動中です。

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