「産業遺産」をカッコよく撮る!カメラ女子の撮影旅

2017.01.26 更新

突然ですが女性の皆さん!スマホの写真フォルダ、いっぱいじゃありませんか?クリームがたっぷりのったスイーツやキレイな風景があったらついつい撮影しちゃいませんか?そんなアナタ、立派なカメラ女子です!スマホ片手にちょっと面白い撮影旅、しちゃいませんか。旅の行き先…それは「産業遺産」です!え、渋い?ノンノン。超カッコいいんです!

▲空に向かってそびえたつ、高さ47.65mの「旧志免鉱業所竪坑櫓(きゅうしめこうぎょうしょたてこうやぐら)」

普通の撮影に飽きた女子必見!「産業遺産」を素敵に撮る!

そもそも「産業遺産」ってどんなの?って方にちょっとだけご説明。ざっくり言うと「産業遺産」とは、日本の産業の発展を支えた歴史的背景のある建物や遺構のこと。2015年、世界遺産に登録された「明治日本の産業革命遺産」を構成するのは「製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の分野の23資産でしたが、それ以外にも日本各地には炭鉱跡などの産業遺産がたくさんあります。
▲赤レンガで造られた「巻き上げ機台座」

その中でも、ここ福岡県には産業遺産が残る飯塚市や田川市など炭鉱の町がたくさん。撮影旅にもってこいなのです。今回は、そんな炭鉱跡地に残る煙突や竪坑など、フォトジェニックなスポットをご案内します。

かくいう私も写真フォルダぱんぱんのカメラ女子(“女子”の年齢かどうかはさておき)。同行するのは、九州各地を撮影して数十年、離島も含めほぼ九州は撮影制覇したというツワモノ・カメラマンKさん。早速コツを教えてもらいながら、撮影旅へ行ってきます!

高さ47.65mの竪坑櫓は、存在感・インパクトともに大! 「旧志免鉱業所竪坑櫓」

まずは、博多駅から車で約25分の糟屋(かすや)郡志免町にある「旧志免鉱業所竪坑櫓」へ。
グラウンドや公園、ホールなどを備えた「志免町総合福祉施設シーメイト」と同じ敷地内にあります。竪坑櫓とは、石炭や資材を荷揚げ、または鉱員を昇降する為に造られた建物のこと。

この「旧志免鉱業所竪坑櫓」は、高さ47.65m、地下430mまで延びる竪坑だったため、いかに巨大な炭鉱だったかうかがい知ることができます。
竪坑櫓を所有していたこの「志免鉱業所」は、1889(明治22)年の採掘開始から1964(昭和39)年の閉山まで、終始官営であった日本国内唯一の炭鉱だったそう。
▲志免町のシンボルタワーでもあります。遠くから見えるので、道に迷うことはなさそう!竪坑櫓はフェンスで囲まれているので、見学・撮影はフェンスの外から

さて、まず早速1枚撮ってみましょう。

素人とはいえ、いつもカメラマンと取材している身ですもの。意外と上手く撮れちゃうんじゃない?私ってば。

パシャリ。
▲ふぅ。高さがあるから難しかったです!

どうですか?Kさん!

「…う~ん、逆光…だね」
ですね…。
「竪坑櫓、あんまりわからないね」
そう、ですね…。
「そして、まず第一にレンズ汚れてない?意外と汚れてる人多いから、まず拭いてみようか」
あ、確かに…。

早速のダメ出し!レンズは拭きます…!どう撮ればいいですか~?

「何を見せたいかによるけど、全体の雰囲気を見せたいなら逆光で撮っても面白いと思うよ。逆光の場合は、影を楽しんだり、あえて太陽を少し見せたりしてみたらどうかな」
▲Kさん撮影。手前に竪坑櫓の影が広がってます

ふむふむ。太陽を少し見せる…と。
こんな感じ。どうでしょう?

「うん、面白いんじゃない?あと、竪坑櫓を見せたいなら近づいて撮ってみたらどう?全部を見せようとせずに撮ってみて」
▲近づいて撮ってみます
▲近づいて撮影

おぉ~、いい感じ!

「手前のフェンスを避けて撮影してたけど、フェンス入れても面白い写真が撮れるんじゃない?」
▲フェンスも入れてみました

なるほど!面白いかも!

「あえて左右にずらさなくても真ん中に配置したり」
▲竪坑櫓の存在感が分かる!

「ゴースト(光源の影響による光の玉のようなもの)が入ってもいい感じだし」
▲建物に重なった黄緑の光の玉ですね

「ほかの対象物と組み合わせて撮影してもいいんじゃないかな」
▲手前にあるのは、石炭の運搬口だった「第八坑連卸坑口」

Kさん、さすがです!!素敵~!

【面白く撮るポイントまとめ】
・逆光なら、あえて太陽を入れてみる
・対象物の影も入れてみる
・高さのある対象物などは、全部をフレームに収めようとしない
・対象物の一部分だけを切り取ってみる
・対象物を真ん中に置いて、シンメトリーにしてみる
・フェンスもあえて入れてみる
・ゴーストも気にしない
・ほかの対象物と組み合わせてみる

こんなにポイント聞いちゃいました。もう私、次は上手く撮れそうです!

ちなみにココ「旧志免鉱業所竪坑櫓」は、2007年に国登録有形文化財に、2009年に国の重要文化財に指定されています。また、現存するワインディング・タワー形式(塔櫓捲式:櫓と巻き上げ機がひとつになったもの)の竪坑櫓は、志免のほかにベルギーのブレニーと中国の撫順(ぶじゅん)の2カ所だけだといわれています。世界で3カ所しか現存していない貴重な文化財!ぜひとも自分の目で見てみてくださいね。

住宅街にひっそりと佇む、重厚な巻き上げ機台座。「三菱飯塚炭鉱」

次は、福岡空港から車で1時間ほどの飯塚市にある「三菱飯塚炭鉱」へ。こちらには、三菱飯塚炭鉱で使用されていた巻き上げ機台座が残っています。巻き上げ機台座とは、巻き上げ機を据え付けた基礎のこと。巻き上げ機はその名前通り、坑内と地上の間を繋ぎ、石炭や資材、鉱員を搬出入するトロッコを引っ張るロープを巻き上げる機械です。
赤レンガ造りで、カッコいい! こちらは住宅街の中にあるため、Kさんだけに撮影してもらいました。
▲住宅街の中にあるため、撮影時は住民の方のご迷惑にならないようご注意を

この巻き上げ機台座は2つ現存しています。横から撮影するとよくわかりますね。
▲まるで双子のヒヨコのよう。可愛い!

手前側の道路から並んだ様子を撮影。
▲空が入っていい感じ!

「カッコいいから質感を出してもいいね。近づいてみようか」とのKさんの言葉で「巻き上げ機台座」の近くまで行ってみます。こちらはフェンスなどはないのですが、隣が住宅なので私有地に入らないようにご注意を。
▲巻き上げ機台座の全体が分かります

「対象物を左右にずらして、風景とか入れてもカッコいいよ」
▲おお~、手前の雑草がなんだか素敵に見えます!

「フェンスとかないから、ぐっと近づいてみるね」
▲写真なのに、レンガの感触まで伝わりそう!
▲先程教えてもらったポイント、“シンメトリー撮影”もいい感じですね

【面白く撮るポイントまとめ】
・対象物を左右にずらし、風景なども入れてみる
・質感を見せたい場合はググッと寄ってみる

「三井田川鉱業所伊田坑跡」は真っ赤な竪坑櫓と
にょきっと伸びた2本の煙突で、写真映え効果抜群

さて、最後に行ったのは飯塚市の隣、田川市の「石炭記念公園」。福岡空港からバスで1時間30分ほどの田川市は「月が~出た出~た~、月が出た~ヨイヨイ♪」の歌詞で知られる炭坑節発祥の地。日本初のユネスコ世界記憶遺産(世界の記憶)となった「山本作兵衛コレクション」が保管されている「田川市石炭・歴史博物館」もあります。
「山本作兵衛コレクション」697点のうち、炭坑記録画585点、日記等記録文書42点を所蔵しています。

そして、博物館が立つこちらの公園は、かつて筑豊最大の炭鉱であった「三井田川鉱業所伊田坑」の跡地であり、国の登録有形文化財に指定されている「伊田竪坑櫓」と「伊田竪坑第一・第二煙突(二本煙突)」が現在でも残されています。

遠くから見ても本当にフォトジェニック!写真を撮りたくてうずうずしちゃう被写体です。
▲公園の中にある赤い梯子みたいなものは…?
▲正体は「伊田竪坑櫓」!
▲奥にある「伊田竪坑二本煙突」もカッコいい

これは素敵に撮る自信ありです!
早速「伊田竪坑櫓」をパシャリ。
▲どうだ!

「いいね!被写体を左右にずらして、上部だけを撮ってみたんだね。この竪坑櫓なら下から撮ると面白いよ」
▲スゴイ!滅多にみられないアングル!

私も真似て撮ってみました!
パシャリ!
…う~ん、何だか今一つ…。何でだろう?

「カメラのフレームのラインと櫓の鉄骨が平行だからね。平行にしない方がカッコいいよ」

なるほど!!後はほかの風景も入れて撮ってみます。
▲手前の木を入れてみました

「うん。ええっと、やりたいことはわかるけど、木の割合が大きいでしょ」
ああ~、言われてみれば…。

「あくまで撮影したい主役は何なのか考えてみなさいね」
…ハイ。
▲無心で撮影しています

「煙突も色んな角度から撮ってみたら面白いよ。逆光を利用してみてもいいかも」
▲横から見た煙突

では、撮ってみます!
▲さっき褒められた上半分切り取るバージョン
▲逆光で神々しい感じに!

【面白く撮るポイントまとめ】
・横からや下からなど色んな角度から対象物を撮ってみる
・撮影したい主役は何なのか考えて撮る

ちなみに、最近のスマートフォンカメラは高機能。標準機能として、ハイダイナミックレンジ合成(HDR)に対応しているものがほとんどです。ダイナミックレンジとは、光の明るさ・暗さの差を指し、その露出が異なる写真を複数枚撮り、合成してくれる機能。
要するに、逆光で白く飛んだり、黒く潰れたり、という現象が少ない写真を撮影することが簡単にできるそうですよ。ぜひこちらも使用してみてくださいね。

技術は二の次!まずは楽しもう

3カ所巡って、すっかり上達(した気分)!色んなコツを伝授してくれた、Kさんありがとうございました!

「今回みたいな“産業遺産”は、そのものがカッコいいから撮影するのも楽しいと思うよ。でも、良いアングルで撮りたいからって近隣の方に迷惑をかけないこと。最近は、立ち入り禁止の場所に入って撮影する人も多いって聞くからね。それはダメ。あと、撮影に夢中になって転んでケガしたりしないようにね」
▲撮影に夢中の私。確かに…

「そして何より、コツは色々あるけれど、一番は“楽しく撮る”こと。技術とかは二の次で、こんな感じで撮ってみようってチャレンジするのがデジカメの醍醐味だしね」

そうですね!色んな角度から、色んな撮影方法を試してみて楽しかったです。

【ポイントまとめ】
・近隣の方に迷惑をかけない。マナーを守って撮影する
・何より、撮影を楽しむ!

いかがでしたか?今回は晴天に恵まれましたが、雨の日でもまた違った趣で面白い写真が撮れるそうです。福岡には世界遺産の「官営八幡製鐵所(北九州市)」や「三池炭鉱(大牟田市)」などもあるので、これらの産業遺産をカメラ片手に巡ってみてはいかがでしょう。きっと面白い写真が撮れるはず!ぜひ撮影旅に出かけてみてくださいね。
桑野智恵

桑野智恵

フリーの雑誌ディレクター/ライター。福岡生まれ、福岡育ちの博多女。3つの出版社を渡り歩き、雑誌編集歴20年弱。食育アドバイザー、フルーツ&ベジタブルアドバイザー。

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