米沢・上杉雪灯篭まつり2019。雪灯篭と雪ぼんぼりの灯りに酔いしれる

2019.01.25 更新

辺り一面真っ白な雪景色の中に、ぽっと浮かぶろうそくの灯。山形県の南部に位置する城下町、米沢市では毎年2月に「上杉雪灯篭まつり」が開かれます。約300基の雪灯篭と約1,000個の雪ぼんぼりに灯がともる幻想的な冬の景色はまるで別世界!温もり溢れる冬のまつりをご紹介します。

※本記事は2016年12月取材記事を一部更新したものです。
▲幻想的な光を灯す雪灯篭

雪景色の中に幻想的な世界が映し出されます

江戸時代屈指の名君として知られる上杉鷹山(ようざん)が治めていたことでも知られる米沢市。東は奥羽山脈、南は吾妻山系に囲まれていることから例年の最高積雪深は1mに達するほどで、道路脇の雪の壁は2mを超えてしまうこともあります。

そんな雪国ならではのまつりが、雪を使った演出が美しい「上杉雪灯篭まつり」。上杉神社の境内と米沢城址である松が岬公園一帯を主会場に、毎年2月の第2土・日曜に開催されます。
会場では約300基の雪灯篭と約1,000個の雪ぼんぼり(雪洞)に灯がともり、雪景色の中に幻想的な世界が映し出されます。雪灯篭はもちろんですが、雪ぼんぼりも見ごたえ十分!

この雪ぼんぼりですが、積もった雪の中に穴を掘って作る方法と、バケツに詰めて固めた雪を逆さに取り出して型を作る方法の2つがあり、上杉雪灯篭まつりでは両方の雪ぼんぼりを楽しむことができます。
▲バケツを使って作る雪ぼんぼり
▲雪ぼんぼりの優しいろうそくの灯に癒されます
▲ピンと張りつめる空気の冷たさの中で、雪灯篭の灯りにホッとする

祭りのルーツは亡くなった友への思いから

「上杉雪灯篭まつり」が始まったのは1978(昭和53)年のこと。
米沢観光コンベンション協会(取材時点)の青木一成(かずなり)さんにまつりのルーツについてうかがいました。
▲ポスターを見ながら、まつりの紹介をしてくださる青木さん(写真は第40回・2017年開催時のポスター)

「はじめて雪灯篭まつりが開かれた一年前のある日、市内の名士たちが上杉神社に集まり、恒例の雪見の宴を開いていたそうです。盃をかわしながら、話は戦争で亡くなった友のことへ。そこで、故人を偲ぼうということになり、境内の雪の山に小さな横穴を掘ってろうそくに火を点けてみると、雪の中で灯りがゆらめく情景が幻想的で、皆さんとても感動されたそうです」

このことがきっかけとなり、戦争で亡くなった方たちの御霊を慰めることと、雪国の生活をマイナスとして捉えるのではなく、雪国ならではの楽しみと幽玄な美を味わってほしいという思いから、「上杉雪灯篭まつり」が開かれることになりました。
▲まつり開催のきっかけとなった鎮魂の塔。毎年2月第2土曜17時~鎮魂祭が行われます

市民の協力で作るたくさんの雪灯篭

300基におよぶ雪灯篭は、米沢市内の企業や中学生、高校生、大学生ら有志によって作られます。

雪灯篭の作り方を簡単に説明しましょう。
まずは雪灯篭を建てる場所をしっかりと踏み固めます。次に土台が四角形になるよう4枚のコンパネ(板材)を立て、その中に雪を入れてしっかりと踏み固めます。
▲まつりの1週間前から制作に入ります

踏み固めたら、その上にまた雪を入れて踏み固める…この作業を2mの高さになるまで繰り返していくのです。これで「トーフ」の出来上がり(「トーフ」というのは白くて四角い状態から名付けられたもの)。

このままの状態で1~2日置くと「トーフ」はカチカチに。コンパネを外し、雪灯篭の型をあてて印を付け、専用の雪べらと鋸で削りながら雪灯篭の形に仕上げていきます。
▲第40回(2017年)からは、かつて米沢城の武器庫として使用されていた「米沢城御三階」も雪で再現している

雪が少ない年でも楽しめる「キャンドルゾーン」

その年によって降雪量が違うので、雪の確保が毎年の課題です。足りない分は、毎年降雪量が多い福島県境の米沢市白布(しらぶ)地区から大量の雪を運んできます。暖冬の年には、11tトラック80台分もの雪を運んでこなければならないことも。

自然相手のまつりゆえの難しさはありますが、今や冬の風物詩となった「上杉雪灯篭まつり」は、毎年2月第2金曜のプレ点灯式と、翌土・日曜の本番をあわせて全国から約18万人以上もの来場客を迎えるまでになりました。
▲九里学園高校の高校生たちが制作した「キャンドルゾーン」

雪が少ない年でも楽しんでもらいたいという思いから、地元の高校生たちがデザインを担当し制作している「キャンドルゾーン」は、絶好の撮影スポットです。
▲廃ろうそくを溶かして作ったろうそくを立てて。当日は手づくりローソク体験コーナー(土曜12~20時、日曜12~21時)も
▲存在感のあるキャンドルタワーと、数えきれないほどのキャンドル

グルメコーナーでは米沢牛を堪能

雪灯篭を見学した後は、「テント村物産展」で米沢のグルメに舌鼓を打ちましょう。食べ物やお土産などを販売する屋台が45店並び、米沢牛のとろべこ汁や米沢牛のすじ煮込み、米沢牛串焼きなどで米沢牛を手軽に味わえます。
▲この機会に食べてみたい米沢牛グルメもいっぱい
▲やわらかくて美味しい「米沢牛串焼き」
▲米沢牛のすね肉を軟らかく煮込み、野菜をたっぷり入れたあっさり塩味の「とろべこ汁」

また、いも煮や玉こんにゃく、米沢ラーメンなど地元の名物をはじめ、米沢と交流の深い各地の美味しいものも大集結します!
▲山形名物、醤油で煮込んだ「玉こんにゃく」
▲熱々の食べ物で温まりながら、ゆっくりと散策を楽しんで

おもてなしの心は、灯りとともに

第42回(2019年)は、松が岬第2公園からテント村物産展へ続く道の出口付近に「ランタンロード」が出現。これは、米沢市が「2020年東京オリンピック・パラリンピック」の香港フェンシングのホストタウンに登録されたことを受け、2月上旬が中華圏の祝祭日である春節の時期に当たることから、会場の一部をランタンで華やかに飾り付ける趣向です。

また、雪にあかりを灯して「おもてなし」をしようと、メイン会場の松が岬公園から徒歩5分程のところにある西條天満公園では「竹あかり」を設置します。
▲竹に開けられた穴から灯りが漏れて情緒あふれる「竹あかり」

竹は米沢上杉家の家紋、伊達家の家紋にも使われた米沢にゆかりのあるもの。さらに、熊本地震復興のシンボルとして広がっている「竹あかり」を東北で灯すことで、東日本大震災や熊本地震の被災地へ想いを寄せ、祈りへと繋いでいく意味合いもあるそう。

「雪景色の中に優しいろうそくの灯りが浮かび上がる姿は、どなたにも感動していただけると思います。市内を散策しながら米沢の人の心にも触れてください」と青木さん。
▲優しい灯りに照らされ、辺りは幻想的な世界に

真っ白な世界にやわらかな灯りがゆらぐ米沢の街。日常の喧騒を離れ、ゆっくりとした時間を過ごしてくださいね。

※雪灯篭制作、まつり全体の写真はすべて2018年以前の開催時のものです。
※写真提供:上杉雪灯篭まつり実行委員会
佐藤昌子

佐藤昌子

エディター&ライター。山形県知事認可法人アトリエ・ミューズ企業組合専務理事。山形県内を中心にタウン誌、フリーペーパーや企業広報誌等ジャンル問わず、印刷物の企画、取材・編集の仕事を手掛ける傍ら、モデルハウスのディスプレイやリメイク等『気持ちの良い暮らし方』も提案している。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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