行列必至!「スパイスチャンバー」の辛口キーマカレーは神がかったウマさ!

2017.03.05

キーマカレーを研究し、独自の境地を切り開いた男がいる。玉ねぎの切り方、肉の炒め方までこだわった調理法は、カレー研究家さえも驚くほど。芸術レベルにまで高めたキーマカレーは、開店前から行列ができるほどの人気を博しているのだ。(by カレー調査隊隊長・井上岳久)

どうも、こんにちは!
カレーの第一人者である井上岳久先生と、一番弟子りかです。私たち2人は「カレー調査隊」として、ぐるたび編集部に届いた耳寄りカレー情報をもとに全国津々浦々を旅しています。

今回は、京都府にあるスパイシーなキーマカレーのうわさを調査してきました。

芸術作品並のキーマカレーがウマい!「SPICE CHAMBER」

りか「ぐるたび編集部宛てに、こんな調査依頼のメールが届きました」

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京都に「SPICE CHAMBER(スパイスチャンバー)」という、開店時間前から行列必至のカレー店があります。お昼の時間に何回か伺ったのですが、いつも満席で入れませんでした。キーマカレーが看板メニューだそうですが、なぜそんなに人気なのか。他のキーマカレーとどう違うのか、調査してもらえないでしょうか?
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井上先生「お、このお店は行ったことがあって、たしかに行列ができていたよ。だからカレーの作り方や店主の経歴についてゆっくり聞けなかったんだ。この機会に調査しに行ってみようか!」

りか「行ったことがあるとは、さすが先生です!私も行列店のカレーを食べてみたいです」
「SPICE CHAMBER」は、地下鉄烏丸線四条駅から徒歩2分のところにあります。お昼時は行列だそうですが、閉店ギリギリの時間を狙って訪問したので、なんとか並ばずに入店することに成功しました!
「いらっしゃいませ!」
出迎えてくれたのは、店主の阿蘓慎太郎(あそしんたろう)さん。

店内はカウンター7席のみ。少し暗めの照明で、まるでバーに来たかのよう。しかしバー営業はしていない、れっきとしたカレー専門店です。さっそく、看板メニューである「キーマカレー(辛)」をオーダー!
▲梅干しがポイントになった「キーマカレー(辛)」(税込1,000円)

りか「わ~!ピーマンの盛り付け方がオシャレですね」

井上先生「さすが京都のお店!枯山水のように、シンプルだけど華やかさがあるよ」
井上先生&りか「いただきます!」
りか「う~~んっ♪パンチの効いた辛さですね!眠いときに食べたら、目が覚めそうです(笑)。粗めの挽き肉が存在感あって、肉々しいですね。ライスも弾力や甘みがあっておいしいです」
りか「あと、カリカリの梅干しはあまりすっぱくないので、味に変化をもたらすというより食感のアクセントになっていますね」
井上先生「お~!これこれ、この味。よくある唐辛子の単純な辛さではなく、ショウガの苦みが効いた複雑な辛さだ。だけど、食べると体が活性化するような、爽快な辛さなんだよね」
りか「はい!爽快な…でもやっぱり何口も食べていたら、さすがに辛さも限界です。実は私、カレーは大好きですが、辛いのはそんなに得意じゃないんですよ」

阿蘓さん「もしよろしければ、チーズをトッピングされますか?辛さを和らげてくれるとともに、チーズのコクも加わるので、来店されるお客様の半分くらいの方はトッピングされますよ」

りか「じゃあ追加トッピングお願いします!」
▲チーズのトッピングは税込100円。まず、とろけるチーズをのせ…
▲その後、バーナーで炙る

りか「お~!ただチーズをのせるだけかと思いきや、バーナーで炙るんですね!これは、カレー屋では滅多にない光景じゃないでしょうか?」

井上先生「たしかに、カレー店ではなかなか見ないな。ライブ感が楽しめるのもいいね。前回来たときは、チーズトッピングがオススメだとは知らなかったよ」
▲チーズが伸び~る
▲パクっ

りか「う~~んっ♪チーズの焦げた香ばしさがプラスされて、さらにおいしくなっています!これはトッピングしたほうがいいですよ、マストですよ!」

井上先生「なんだか、おいしそうだな…。私もチーズトッピングいいですか?」

阿蘓さん「誰かがトッピングすると、一斉に他のお客様もトッピングしだすんですよ(笑)。もし辛ければ、食後にコーヒー牛乳はいかがですか?こちらも、お客様に好まれているんですよ」

井上先生&りか「コ、コーヒー牛乳ですか!?」
▲コーヒー牛乳(税込200円)も追加でオーダー

りか「まさか、銭湯にある瓶タイプのコーヒー牛乳が出てくるとは思いませんでした」

阿蘓さん「銭湯に行ったときに瓶のコーヒー牛乳を見つけて、“あ、いいな”と思ったので、取り入れたんですよ」
井上先生「意外とチャイみたいな味わいでカレーと合うな。今まで気が付かなかったよ。そういえば、りかさんはコーヒー牛乳が似合うね」

りか「…それ、喜んでいいんですよね?」

神は細部に宿る!「キーマカレー(辛)」の作り方とは?

挽き肉の肉々しさがあり、辛さも効いた「キーマカレー(辛)」はどうやって作っているのでしょうか?店主の阿蘓さんに聞いてみました!
阿蘓さん「実は、結構単純なんですよ!フライパンにオリーブオイルを引いて、そこにカルダモンとクミンのホールスパイスを投入し、淡路産の玉ねぎを炒め、甘い香りがたってきたら、ニンニク、ショウガ、カットトマト、ヨーグルトなどを入れてさらに炒めます。その後にコリアンダー、ターメリック、パプリカ、カイエンペッパーなど17種類のスパイスと塩を投入して炒め、最後に、別で炒めておいた鶏挽き肉を合わせて完成ですね」
井上先生「ん?挽き肉は別で炒めるんですか?スパイスで下味もつけず?普通は、同じ鍋で一緒に炒めますよね?」

阿蘓さん「一緒に炒めるとソースと肉が馴染みすぎて、ベタっとした感じになってしまうんですよね。挽き肉だけを炒めることで肉らしさが出るので、うちは下味もつけず、あえて別にしています」

りか「なるほど、挽き肉に存在感があるのはそういった調理法だったからですね。ちなみに、なぜ淡路産の玉ねぎにこだわるのでしょうか?」
阿蘓さん「淡路産の玉ねぎは甘みが強くて、味がまろやかなんです。うちは辛めのカレーなので、玉ねぎの甘みを出すことで、いいハーモニーが生まれているかなと。あと実は切り方にもこだわっていて、細かく切った玉ねぎと粗めに切った玉ねぎの両方を使っているんです。というのも、玉ねぎは細かく切ると甘みが出て、粗めに切ると食感が出るので、そのどちらも生かしたくて」

井上先生「細かいのと粗いのは、どちらのほうが多いんですか?」

阿蘓さん「玉ねぎは季節によって水分量が変わるので、割合も季節によって変えているんですよ」
りか「季節によって変えるなんて、職人技ですね。では、梅干しをトッピングする理由にも何かこだわりが?」

阿蘓さん「幕の内弁当を見てひらめいてのっけたんですけど、食べてみたら“すごく合うじゃん!”と。食べるタイミングはいつでもいいですが、途中で食べていただいたほうがいいかなと思っています。ちなみに、お米はコシヒカリを使っていますよ」

井上先生「挽き肉の炒め方といい、玉ねぎの切り方といい、梅干しのトッピングといい、やはり神は細部に宿るんだな。一体どこでカレーを覚えたのでしょうか?」

阿蘓さん「実は…独学なんです」
▲お店の壁には、小瓶に入れられたスパイスたちが並ぶ

元々レコード会社でサラリーマンをやっていた阿蘓さんは、趣味でカレーを作ったり、カレーの食べ歩きをしたりしていたといいます。しかし転勤で大阪に来たとき、大阪には面白いカレー屋が多いことを知り、徐々にカレー屋の店主という職業にも惹かれるようになっていったのだとか。そして、それから数年後の2010年に「SPICE CHAMBER」をオープンすることに。

ちなみに店名の「SPICE CHAMBER」とは、直訳すると「スパイス室」。阿蘓さんによると“実験室”的な意味も込めたそうです。常に実験をし、進歩し続けるという意志の表れでもあるのでしょう!

では井上先生、評価をお願いします。
井上先生「SPICE CHAMBERのカレーチャートはこちら!」
井上先生「ただ唐辛子を入れただけでなく、ショウガの苦みも効いた複雑な辛さで、なんだか元気が湧いてきそうだったね。名付けるなら、エネルギーチャージカレー!だから辛さは5超え!玉ねぎの切り方を変えるとか、肉は別に炒めて食感を大事にするとか面白いテクニックがあったので、オリジナリティは4に」

りか「チーズをバーナーで炙ったり、コーヒー牛乳があったりと、エンターテインメント性もあって、食べるのが楽しかったです!レコード会社出身という阿蘓さんの経歴だからこそ生み出せるアイデアかもしれないですね。こりゃ行列店になるワケだ」
▲最後はスパイスとコーヒー牛乳を持ってパシャリ!

京都でキーマカレーを食べるならば「SPICE CHAMBER」へ行きましょう!
ご協力ありがとうございました。

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

名久井梨香

名久井梨香

吉祥寺在住のフリーライター。カレー大學を卒業し、現在カレー大学院で猛勉強中(じつは井上先生の座を狙っている)。カレーパン伝道師。趣味はカレーとJリーグ。

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