名店「デリー」の系譜を継ぐ「nandi」の極辛カレーがクセになる!

2017.04.02

東京のカレー名店「デリー」で修業した人物が、広島県でカレー店を創業。習得したテクニックを最大限活かしつつも、独創性を加え、新たな境地でカレーの魅力を引き出している。言うなれば、伝統と革新のカレーだ!(by カレー調査隊隊長・井上岳久)

どうも、こんにちは!
カレーの第一人者である井上岳久先生と、一番弟子りかです。私たち2人は「カレー調査隊」として、ぐるたび編集部に届いた耳寄りカレー情報をもとに全国津々浦々を旅しています。

今回は、広島県の極辛カレーのうわさを調査してきました。

リゾート地の食堂風カレー店「nandi」

りか「ぐるたび編集部宛てに、こんな調査依頼のメールが届きました」

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「デリー」(※)で修行していた弟子が、数年前に広島県でカレー店を開業し、人気が出ていると評判を聞きました。行って食べたいところですが、なかなか広島までは行けないので、代わりに井上さんたちが行ってきてくれないでしょうか?
カレー大學名誉教授、デリー代表 田中源吾より
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※創業60年以上の歴史を誇るインド料理店。本場インドの味を活かしつつも、日本人向けにアレンジしている。店舗は銀座、上野、東京ミッドタウン内にある。カレー大學が策定した「カレー専門店番付2015年首都圏版」では横綱に認定されている。(デリー銀座店
井上先生「田中社長から連絡だとは!私がカレーミュージアムの責任者をやっていたときに『デリー』も出店してくれていて、田中社長とは長い付き合いなんだ。『デリー』はインドカレーの名店中の名店。もちろん一番弟子のりかさんは知っているよね?」

りか「もちろんです!私も『デリー』のカレーが大好きです!」

井上先生「それならよかった。知らなかったら、一番弟子を辞めてもらうところだったよ(笑)。実は『デリー』には全国から若者が修業しに来ていることもあって、出身者のカレー店が全国各地にあるんだ。広島ではどんなカレーが食べられるだろうか」
やってきたのは、広島電鉄1号線・中電前駅から徒歩3分の「nandi(ナンディ)」。

りか「外観がカワイイ~!! 北欧や地中海のリゾート地にあるような食堂風のお店ですね」

井上先生「うん、たしかにそんな感じではあるが…これが本当に『デリー』の系統?店の雰囲気は全然違うな。とりあえず入ってみよう」
「いらっしゃいませ」
出迎えてくれたのは、口ひげが印象的な店主・平原祥行(ひらはらよしゆき)さん。
▲おしゃれな店内にはテーブルとカウンター合わせて14席

りか「店の雰囲気で一目惚れしてしまいました。内装のテーマはあるんですか?」

平原さん「そうですね、女性が一人でも入りやすいお店にしたくて。あと、僕がよくあるインドカレー店の民族調の雰囲気が得意ではなかったので、無国籍な感じにしました。ただ『何屋ですか?』とお客様に聞かれることが多いですね(笑)」

カシミールカレー風!イチオシは極辛口の「ナンディカレー」

基本メニューは全部で5種類。なかでも、お店イチオシの「ナンディカレー」をオーダー!「nandi」にはナンがなく、どのカレーもごはんと一緒にいただきます。
▲粘性のないサラサラした「ナンディカレー」(税込800円)。フライドオニオンがトッピングされたターメリックライス、大根のピクルスとキャベツのスパイス炒めの付け合わせ

りか「食器もかわいくてワクワクしますね!メニュー表の説明には、辛さの中に深いコクが同居した、極辛口のカレーだと書いてあります」

井上先生「なるほど。盛り付け方は少し違うが、『デリー』の代名詞でもあるカシミールカレー(※)にインスパイアされているようだな」

※黒茶色のサラサラしたカレー。刺激的な辛さだが、奥行きのある複雑な味わい。熱狂的ファンが多い。
井上先生&りか「いただきます!」
りか「う~~~~んっ♪おいしい~!極辛口というだけあって、なんだか目が覚めますね。でも辛さの中にコクがあって、うま辛ですよ。朝カレーとして朝食に食べたい!」
りか「ただ『デリー』のカシミールカレーに比べれば、辛さは控えめですね。あれは相当な辛さで、舌がしびれる感じがしますから。私のような適度な辛い物好きには、ナンディカレーのほうがちょうどいいかもしれません」
井上先生「どれどれ…お、カイエンペッパーの辛さが効いていて、毛穴が開く感じがするね。汗をかきそうだ。鼻から香りが抜けるとき、カルダモンの爽快さを感じるよ。お米は少し硬めだからか、よく噛みしめると、ごはんのうまみが出てくる。ライスの中にはマスタードシードが入っているね」

りか「カレーソースとごはんが口内調味をして、より一層おいしくなりますね。ごはんは大盛り、おかわり無料なのもポイント高いです」
りか「それに、鶏肉は一切れが大きいんですよ!3切れほど入っているので、食べごたえあっていいですね。内装は素敵だし、味もばっちり、お値段もお手頃。家の近所にあれば、通っちゃいますよ~!」

オリジナルのテクニックを加えた“伝統と革新”のカレー!

「デリー」のカシミールカレーにインスパイアされつつも、独自のスタイルを持つ「ナンディカレー」。調理のポイントはどこなのでしょうか?平原さんに聞いてみましょう!
平原さん「『デリー』のカシミールカレーに比べ、辛さを抑え、使っている野菜も変えています。もっとあっさりで、相対的に塩味を感じるようにしていますね。あと、鶏肉を焼いたときに出てくる焼き汁を入れています。ゼラチン質が固まった煮凝りを入れることで、すごく芯の強い味になるんですよ」

その他にも、野菜や果物のうまみを出すために、にんじん、じゃがいも、りんごなどはすりおろして使うのだとか。
スパイスはターメリックやコリアンダー、カイエンペッパー、スターアニス、キャラウェイ、カルダモンなど13種類使っているといいます。
平原さん「一番のポイントは、ごはんとの組み合わせです。『デリー』の田中社長から『カレーができたら一口味見するだけでなく、ごはんと一緒にワンオーダー分食べて、味を確認しなさい。カレーはごはんや付け合わせとの組み合わせが大事だ』と教わりました」

平原さんによると、広島は東京のようにカレー店が多くないため、カレーといえばお家で食べるような欧風カレーやナンで食べるものという認識が強いそう。そのため「nandi」の粘性のないスープのようなカレーソースを見ると、「これがカレーなのか!?」と、少し困惑するお客様もいるのだとか…。ただ、ごはんと合わせて食べるとその印象がガラリと変わって、満足の声をいただくといいます。
井上先生「たしかに、いろんなジャンルのカレーを食べ慣れていなければ、斬新なスタイルに思えるでしょうね」

りか「なぜ、あまりカレー文化が根付いていない広島で開業したのでしょうか?」

平原さん「僕が広島出身というのもありますが、東京でサラリーマン生活をしているうちに、地元に根付いた愛されるお店を作りたいという気持ちが高まってきちゃって…」

元々、平原さんは東京でサラリーマン生活を送っていて、当時の楽しみといえば、ランチに食べる「デリー」のカシミールカレーだったそうです。その後、「デリー」に転職。4年ほど働いたところで、ご家族の介護のため帰郷することに…。そこで一念発起して「nandi」を開業したというわけです。
ちなみに店名の「nandi」とは、ヒンドゥー教のシヴァ神の乗り物とされる牝牛のことを指します。インドでは各家庭にナンディの置物があるそうで、「nandi」の店内にも、至るところに置いてあります。また、サンスクリット語で「幸せなもの」という意味もあるのだとか。

「デリー」でカレーを食べることが、平原さんにとって幸せな時間であったように、「nandi」も誰かにとって、幸せな時間を提供したいという思いが込められているのかもしれません。

では井上先生、カレーの評価をお願いします。
井上先生「『nandi』のカレーチャートはこちら!」
井上先生「カシミールカレーよりも抑えているとはいえ、十分辛さはあったので5。『デリー』の伝統を守りつつも、広島という地で革新を遂げていたね。味だけでなく、内装にもこだわっていたので人気があるのもよくわかった。東京にしかない名店に似た味を、広島エリアでも気軽に食べられるのがいいね。広島のカレー文化の発展を『nandi』が担っていってほしいな!」

りか「はい!田中社長にもいい報告ができますね!」
▲最後は、チャイのポットを持ってパシャリ!

広島でごはんに合うカレーを食べるなら「nandi」へ。
ご協力ありがとうございました。

井上岳久(カレー大學学長/株式会社カレー総合研究所代表)

カレー業界を牽引する、業界の第一人者。横濱カレーミュージアム責任者を経て現職に至る。カレーの文化や歴史、栄養学、地域的特色、レトルトカレーなど、カレー全般に精通。レトルトカレーは全国から2,000種類を収集し試食している。著書に『一億人の大好物 カレーの作り方』『国民食カレーに学ぶもっともわかりやすいマーケティング入門』など多数。

名久井梨香

名久井梨香

吉祥寺在住のフリーライター。カレー大學を卒業し、現在カレー大学院で猛勉強中(じつは井上先生の座を狙っている)。カレーパン伝道師。趣味はカレーとJリーグ。

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