金沢「茶寮不室屋」で、麩づくしの人気ランチとスイーツを堪能

2017.04.09

金沢で生まれた加賀麩は、加賀藩の料理人・舟木伝内包早(ふなきでんないかねはや)が作り出したすだれ麩などが有名。慶応元(1865)年創業の老舗麩専門店「不室屋(ふむろや)」では、併設の茶寮ですだれ麩をはじめ伝承の加賀麩をランチやスイーツで楽しめるということで、さっそく行ってきました。

職人の手から手へ伝承されている加賀麩専門店へ

京の食文化の影響を受け、仏教への信仰心も篤く、また製麩に欠かせない良水もある金沢。このような背景から、金沢には江戸時代末期に麩を製造する家が現れたそうです。

近江町市場を市姫神社・尾張町方面に抜けてすぐ。「不室屋」は、慶応元(1865)年の創業以来、この場所でずっと加賀麩を作り続けてきた老舗店。当初は卸売のみだったのですが、昭和48(1973)年に、麩業界で初めて小売をスタート。昭和57(1982)年、本店の蔵を改装して、日本初となる麩料理専門のお食事処「茶寮不室屋」をオープンしました。
▲「ふ」のひと文字暖簾が印象的な、落ち着いた佇まいの外観
▲「茶寮不室屋」店内。蔵を思わせる内観です

蔵を改装した店内にはさまざまな部屋があり、大きな梁と白壁が印象的な1階のテーブル席や2階席がありましたが、今回は少人数で静かに過ごせる、1階奥にひとつだけある個室のお茶室へと通していただきました。

伝承の加賀麩を多彩に味わえる「麩久箱膳」

「茶寮不室屋」にはパフェやぜんざいなどスイーツがいろいろありますが、ランチ時には食事メニューを楽しむことも。メニューは麩料理づくしの「麩久箱膳(ふくばこぜん)」のみで、予約制です。

その「麩久箱膳」を堪能するべく、お茶室の中で黒塗りのテーブルを前に座って待つことしばし。黒塗りの箱膳が運ばれてきました!
▲「今月の麩久箱膳」(1名分2,592円・税込 ※料理内容は2017年2月取材時のもの)

おしながきを見てみると、生麩昆布〆、つくね麩入り茶碗蒸し、生麩のしぐれ煮…と、本当に麩づくし!

不室屋では昭和30年頃まで箱膳で食事をするのが普通だったそう。その際に使われていた箱膳が現代風にアレンジされ、多種多様な麩料理が品良く盛り付けられています。どれから食べようか正直、迷います。
▲金沢の郷土料理治部煮(じぶに)には、すだれ麩は欠かせません

加賀藩の料理人だった舟木伝内包早が創製したすだれ麩がこちら。まるですだれのように細かなスジが入った麩には、しょうゆベースのトロリとしたダシが良く絡んでいます。

治部煮にはすだれ麩のほかに、かわいい色合いと形で目を引く手まり麩、巻ゆば、小芋、竹の子、鶏肉などの具材が入っていて、山葵をダシに溶かしながらいただきます。鶏肉は小麦粉の衣を薄くまとっているため、肉の旨みが閉じ込められていて食感もやわらか。この小麦粉が、ダシにとろみが加わる理由でもあるのだそう。
▲ひとつひとつが上品な味わいで、心に響きます
▲麩久箱の中の生麩田楽はひとくちサイズ

黒漆塗りの「麩久箱」の中には生麩田楽をはじめ、生姜あんがかけられたつくね麩入り茶碗蒸し、甘い味付けの珠麩入り玉子焼、生麩岩石揚、すだれ麩射込み寿司など味わい豊か。
▲麩久箱の「蓋裏膳(ふたうらぜん)」。蓋も裏返して、お膳として供されます

こちらには生麩昆布〆と小鯛笹漬、わさび醤油でいただくみねおか豆腐など。

ほかにも味噌汁には花麩、ごはんには生麩のしぐれ煮も付き、精進料理を思わせるほど麩づくしの料理で、とてもヘルシーな「麩久箱膳」。見た目に反してなかなかのボリュームなので、女性ならこの一膳でおなかいっぱいになります。

気軽に味わえる麩のスイーツもおすすめ

おなかいっぱいでも、スイーツは別腹!加賀麩の老舗「茶寮不室屋」ならではの、贅沢な麩づかいのスイーツはぜひ味わっておきたいものばかり。
▲「不室屋パフェ」(843円・税込)

自家製の豆乳アイスと、3色の白玉麩、最中の皮のような「ふやき」が乗った不室屋パフェは、下層の黒蜜ゼリーのコクがありつつ控えめな甘さと、豆乳きなこマフィンや、わらびもちを包むきなこの香ばしさで、一層和を感じられる味わいです。
▲甘党でなくてもペロリと食べられます

アイスや黒蜜ゼリーももちろんですが、ふやきは軽い食感で、白玉麩はもっちりとしつつあっさり味。上品で甘すぎないこのパフェは、大人にこそ味わってほしいスイーツです。
▲「生麩ぜんざい」(778円・税込)

口休めに生麩のしぐれ煮が付いた生麩ぜんざいは、こんがり焼き色が付いた生の粟麩がたっぷり。花麩も添えられてかわいらしさもプラス。粒あんなので、小豆の食感と豆そのものの味わいも楽しめます。餅とはまた違う弾力と軽い味わいは、麩ならではのおいしさです。

おいしくてかわいい麩をお家でも、おみやげにも

お腹が満たされたら、店舗でおみやげをチェック。生麩は冷蔵ものなので、旅行中やお散歩中のお買い物は難しいですが、おやつ麩や焼麩、細工麩なら気軽に買って帰ることができます。
▲軽やかな食感の「おやつ麩」はクセになるおいしさ

「おやつ麩」は麩菓子ですが、予想以上のサクサク食感とやさしい口どけが後を引き、手が止まらなくなります。ほのかに甘く、こんがり香ばしいスタンダードな味と、あっさりとした辛さのカレー味、豊かな風味のチーズ味の3種類がそろっています(全て同味3箱入、各778円・税込)。
▲いつもの料理が華やかになる「細工麩」(左・おてまり、右・こばな[赤]各270円・税込)

愛らしい小さな「細工麩」は、ひとつ買っておくと料理に重宝!お味噌汁やお吸い物はもちろん、卵焼きや煮炊き物などに少し足すだけで上品で華やかな彩りが生まれます。
▲「宝の麩 おもてなし5ヶ入」は、おすまし2個、暫(しばらく)1個、加賀みそ2個入で1,080円・税込

百貨店などでもおなじみの大人気商品、お湯をそそぐだけで手軽にお吸い物やお味噌汁がいただける「宝の麩」は、おすましや赤だし、加賀みそ味など味わいもさまざま。箱に入った5個セット(種類固定)のほか、1個(184円・税込~)からでも気軽に買えるので、自分の好みを見つけたり、プレゼントにしたりと楽しく選べそうです。
▲お湯をそそぐと椀の中が華やかになる「ひとひら」

「宝の麩」には、季節のおすましもあります。4月初旬までは桜の花びらを模した「ひとひら」(227円・税込)で春を、4月初旬~5月はかえでの形の「青かえで」(227円・税込)で初夏を感じられます。もちろん具材もそれぞれに異なり、季節の味わいをおすましで楽しめるなんて、金沢ならではの粋な遊び心です。

このほか、店頭では車麩や干すだれ麩など多種多彩な麩が並んでいます。麩料理や麩スイーツに舌鼓を打った後は、ぜひ麩をひとつおみやげにしてみては。
不室屋にはほかにも、車麩カツレツランチ(1,242円・税込)や生麩と豆のベジタリアンカレー(1,026円・税込)がいただけるカジュアルカフェスタイルの「FUMUROYA CAFE」、みそだれ田楽麩(五串480円・税込)やあん麩餅(450円・税込)などが楽しめる茶屋甘味専門店「不むろ茶屋」などがあり、広く展開しています。伝承を守りつつ、新しいことにもチャレンジする意欲的な老舗店なのです。

加賀麩を知って味わうことで、ますます金沢と加賀麩への興味が深まるきっかけになるはず。金沢を訪れたら、ぜひ足を運んでみてください!
SARYO

SARYO

石川県の温泉地として名高い南加賀在住のライター・エディター、時々シナリオライター。北陸の地域情報誌に10年勤めていた経験と、国内も国外も興味津々な好奇心をフル活用し、さまざまな情報をお届けします。歴史、神社仏閣、旅、温泉に強く、利用者と同じ目線を重視するスタイル。

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