敦賀ラーメンは濃厚だけどあっさり!屋台から生まれた味を食べ尽くす

2017.03.19

ご当地ラーメンは全国に数多くありますが、北陸・福井には「敦賀ラーメン」があるのをご存知ですか?屋台が発祥の敦賀ラーメンは、今では全国のラーメンランキングにも入るなど、知名度も年々高まっています。今回は超人気店から新しい敦賀ラーメンを目指す進化系まで、敦賀に行ったらぜひ訪れたい3つのお店をご紹介します。

敦賀ラーメンって?

敦賀ラーメンは名前の通り、敦賀市で生まれたラーメンのこと。スープは豚骨や鶏ガラがベースで、醤油味に仕上がったものが敦賀ラーメンの特徴です。あっさりめのものからパンチの効いたものまで味の幅も広いので、老若男女が楽しめるのも魅力だと言われています。
▲幅広い世代に受け入れられる敦賀ラーメン (写真は「赤天(あかてん)」のもの)

そして、敦賀ラーメンを語る上で欠かせないのが「鉄道」の話。敦賀はもともと日本海に面した港として栄えていましたが、1882(明治15)年、全国で5番目に鉄道が敷設されました。

鉄道関係に従事する人も多く住んでいた敦賀で愛されていたのが、「中華そば」の屋台でした。夜になると駅周辺にはたくさんの屋台の灯りがともり、多くのお客さんで賑わう光景が見られたそうです。

敦賀ラーメンの礎を築いた「一力」

敦賀ラーメンの元祖と言われている「一力(いちりき)」も、屋台から生まれたお店です。1961(昭和36)年に中華そばを出す屋台として開業し、1977(昭和52)年に今の場所で店舗を構えました。
▲いつも行列が絶えない「一力」

2008(平成20)年にはなんと、北陸のラーメン店としては初めて「新横浜ラーメン博物館」に出店。「一力」の名前は一躍全国に広がり、行列が絶えないお店として名実ともに人気店となりました。

早速注文したのは定番の「中華そば」。人気の味をどのようにして作るのか、その様子を探るべく、厨房をのぞかせていただきました。

麺は高級ベーカリーにも使われる小麦粉を使用した特注の多加水熟成ウェーブ麺。小麦粉に配合する水の量が一般的な麺に加えて多いため、もちもち感があり、茹でてものびにくい絶妙な軟らかさを実現しています。

しかし、独特の食感を保つには季節によって水の配合や麺の熟成の具合を調整することが必要です。「一力」では製麺会社と毎日やりとりをし、その日の温度や湿度を見極めながら配合を決めていくというこだわりようなのです。
▲小麦粉に混ぜるかん水も最上級のものを使っています
▲麺を茹でる際は常に時計と睨み合い。いくつもの時計を駆使しながら最適な茹で時間を計ります 

スープは国産の豚骨・鶏ガラを敦賀の地下水で一日中煮込み、じっくりと旨みを出していきます。吹きこぼれる寸前まで火力を強め、煮詰まらないよう常に水分を足していくため、目を離すことはできません。時間をかけるからこそ、豚骨独特のこってりななかにもあっさりしたスープに仕上がるのだそうです。
▲吹きこぼれる寸前の絶妙な火力
▲醤油だれに濃厚なスープを加えていきます

具はチャーシューとメンマ、ネギ。そして紅生姜をのせるのが「一力」ならでは。 紅生姜の鮮やかな赤が「中華そば」に彩りを添えています。
▲「中華そば」(750円・税込)
▲仕上げに一振りする黒胡椒(左)とお好みでかける白胡椒(右)
まずは一口。スープがしっかり絡んだ麺がするすると喉に入っていきます。豚骨ベースなのにこってりしすぎず、けれど深い味わい。そして胡椒がさりげなく味をキュッと引き締めます。
添えられている紅生姜もさっぱりしていて良い箸休めになります。
そして一番人気がこの「チャーシュー麺」(1,000円・税込)。ベースは定番の「中華そば」と同じですが、麺が見えないほど自家製チャーシューがぎっしり!これでもかというほどのっています。 

あくまでラーメンの引き立て役のチャーシュー。脂が主張しないようあっさりしたもも肉を使っており、麺と一緒に食べやすいよう極薄でカットされています。

チャーシューで麺を包み込むようにして食べると、肉の旨みと麺に絡んだスープのコクが豊かな味わいを生み出します。
▲食べ応えも十分です

変わらないことは変えていくこと

毎日多くのお客さんが訪れる「一力」ですが、なかには開業当初から何十年も通い続けている人も多いのだとか。

「美味しいものをつくることは誰だってできる。難しいのは『また食べたい』と思わせるものをつくること」と、2代目店主の菅井宏治さんは言います。

「時代とともに食べる人の味覚も変わっていくなか、昔とそっくりそのまま同じものを出し続けていてはお客様には受け入れられません。『一力』の良い部分を残しながら、時代に合った味を追求し、進化し続けているんです」
基本の豚骨・鶏ガラスープに加え、野菜でとっただしや和風だしなどを試すこともあるのだそう。「一力」の新しいメニューに加わる日も遠くはないかもしれません。

「一力」の中華そばは定番という言葉に甘んじることなく、日々試行錯誤しながら新しい可能性に向けて挑戦を続けています。
▲「敦賀ラーメンをもっと盛り上げていきたいですね。うちで修行したいという方も大歓迎ですよ!」と菅井さん

さらに「一力」のこだわりは?と尋ねると、意外にも「掃除」という答えが返ってきました。
「美味しいものは清潔な環境から生まれる」という先代の頃からの教えで、営業時間中でも、気になるところは常にピカピカに掃除しているのだそうです。
▲椅子に座る時、ほとんどの人がさわる座面の外側もツルツル。一脚ずつ毎日閉店後に磨いています
▲私たちが訪れた時も床の溝に至るまでスタッフの方が丁寧に磨いていました

店主のラーメン哲学を肌で感じ、「一力」の人気と美味しさの秘密が少しわかったような気がします。

「一力」の中華そばの美味しさを自宅でも楽しみたい人はこちらのお持ち帰り用もおすすめです。なんと、パッケージの絵は漫画家・松本零士先生によるもの。鉄道のまち・敦賀にちなんで「銀河鉄道999」のモニュメントを設置することになった縁から「一力」のラーメンと出合い、その味に惚れ込んでパッケージの絵を描き下ろしてくださったのだそう。「銀河鉄道999」のメーテルと鉄郎が「一力」のどんぶりを持っています。
▲敦賀土産としても大人気のお土産用パック3食入り(1,200円・税込)

大満足で次のお店へ。ごちそうさまでした!

赤い提灯が目印!敦賀の屋台ラーメンと言えば「赤天」

今度は敦賀駅近くにやってきました。

向かったのは国道8号線沿いにある屋台ラーメンの「赤天」。20時のオープンから深夜まで、常にお客さんがひっきりなしに訪れる人気店です。
県外から「赤天」のラーメンを求めて敦賀まで訪れるという方も多いそうですが、近隣の道路は両側が24時間無料駐車スペースとなっているので、駐車に困ることはありません。
▲20時頃になると、ごらんの通り、車がびっしりと集まり出します

通りの中でもひときわ目立つ赤いテントが「赤天」です。こういう佇まいのお店は美味しいに決まっている!と、根拠のない自信とともに中に入ります。
▲この赤いテントがお店です

テントの中に入ると12~13人ほどが座れるテーブルと椅子があり、ラーメン仕様にカスタマイズされたキッチンカーが横付けされています。
「一杯お願いします!」と言うと、ご主人がサッと麺を茹で始めました。
▲調理器具や具材、テレビのリモコンにいたるまで、ご主人の手の届く範囲にすべてセットされています
▲麺はちぢれがやや強め
▲キッチンカーの周りを移動しながら、ご主人がテキパキと具を盛り付けていきます

待つこと数分であっという間に完成です。
こちらの具はチャーシューにメンマ、ネギ、そしてカリカリの揚げニンニク。
▲「ラーメン(並)」(600円・税込)
こちらは豚骨ベース。敦賀ラーメンらしい醤油味のこってりしたスープが寒い身体に染み渡ります。決して脂っぽくはないのに後引く美味しさ!スープがしっかりと絡んだ麺は程よいもっちり感があって、するすると喉の奥に入っていきます。 深夜、お酒を飲んだ人が「赤天」のラーメンを求めてやってくる気持ちがよくわかります。
▲大きなチャーシューのほかにも切り落としのチャーシューがたっぷり入っていて満足度UP!

揚げニンニクが程よいアクセントになっていて、最後まですべての旨みを堪能できる味でした。
▲大盛りにしておけばよかったなぁ……(ちなみに大盛りはプラス200円・税込です)

20時にオープンすると、いつもあっという間にお客さんでいっぱいになる「赤天」。天候によっては営業を見合わせる日もあるそうなので、ぜひお天気の良い日に訪れてみてください。

醤油味の敦賀ラーメンの歴史を塗り替える「麺匠かぐや」

最後にご紹介するのは、2015年に誕生したばかりの「麺匠 かぐや」。
屋台や老舗ラーメン店が軒を連ねるなか、こちらはおしゃれな店構えが特徴的です。
▲お店は最初に紹介した「一力」のすぐそば。味への自信がうかがえます
お店に入ると正面に見えるのが塩・醤油・味噌・魚介・つけ麺と豊富なメニュー。

スープのベースは鶏ガラと豚骨ですが、今までの敦賀ラーメンとは違う新しい味を作りたい!と醤油味にこだわらないメニューを生み出しました。

麺もラーメンの種類に合わせて中太ストレート麺・細ちぢれ麺・太麺の3種を使い分けています。

醤油ベースが基本の敦賀ラーメンですが、こちらのおすすめは「塩」。全国のさまざまなラーメン店を食べ歩いた店主が、これなら敦賀で勝負できる!とたどり着いた味なのだそうです。これは期待が高まります!
鶏ガラと豚骨は最新の圧力鍋で一気に炊くことで臭みや雑味が出にくくなり、骨までホロホロと崩れ旨みがさらに凝縮します。あぁ、この白濁のスープの中に飛び込みたい!!
▲「芳醇塩らーめん」(780円・税込)。チャーシューにメンマ、キクラゲ、煮卵、ネギ、白ゴマが入っています
▲トロッとしたクリーミーなスープは意外にもあっさり。汁まで飲み干す人も多いのだそう

豚骨・鶏ガラスープの味が際立つ塩味。醤油味より素材本来の味が出るため、雑味が出ないよう繊細に作られているのがわかります。
北海道産小麦を使った細ちぢれ麺はモチモチ。つるんと喉に入ってしまう前に、口の中で麺の弾力とスープの余韻を楽しんでください。
定番の中華そばから進化系ラーメンまで、バラエティー豊かなラーメンを楽しむことができる敦賀。さまざまなお店をハシゴしながらお気に入りの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。
石原藍

石原藍

フリーライター/プランナー。 大阪、東京、名古屋と都市部での暮らしを経て、現在は縁もゆかりもない「福井」での生活を満喫中。「興味のあることは何でもやり、面白そうな人にはどこにでも会いに行く」をモットーに、自然にやさしく、心地よい生き方、働き方を模索しています。趣味はキャンプと切り絵と古民家観察。

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